#こういう人々にどんどん融資すればいいのだ#「バンザイファクトリー」社長・高橋和良さんの挑戦。 9月 8th, 2014 | Author: morioka 今回の「復興にエール」は 9月4日に盛岡市中ノ橋通にオープンした、 陸前高田市の製麺会社「バンザイファクトリー」直営の生パスタ専門店 「椿の森 mini」について社長の高橋和良さんにお話を伺いました。 ——高橋さん、ご自身が育った町・陸前高田に、 震災後に製麺会社を設立してということだけでも 大変なご苦労があったと思うんですが…… ●高橋和良さん 「そうですね。震災から1ヵ月目に工場をやることを決め、 3ヵ月目にもう工場を建てる土地を決めました。 もちろん、瓦礫だらけの状況でしたが。 幼少時代から家庭の事情もあって陸前高田に暮らして、 社会人になって、会社を作ろうという時も、 地元の方々のお世話になって育てていただいたんです。 マイヤの社長とか白石パンの方々とか。 そういう経緯で育ててもらったんです。 だから震災があった時、なにか恩返ししなければと思ったんです。 ですから復興支援ということではなくて、 お世話になった人たちに自分なりの方法で 地域の役に立つ姿を見て貰いたいという思いはありましたね。 第一にやろうと思ったのは工場でも建てて、そこで雇用の創出です。 しかし決断してからが大変でしたよね。財産処分したりして資金を作りました。 被災者でも被災企業でもないので、補助金ももらえませんし。 すべて自分のお金で工場建てて。 今はそうじゃないですが、当日は理解されませんでした」 ——高橋さん、それでは、これからの目標や夢についてお話いただけますか。 ●高橋和良さん 「気仙地区というのは椿の北限で、良質の椿油が採れるんですが、 それを私たちはパスタに使ってるんです。 でも畑があるわけではなく、椿があるというところに行っては 採取してくるということをしているわけです。 今回、椿の森と名付けた理由でもあるんですが、 いずれは陸前高田、大船渡に椿の森を作って、そこで実を取って、 食品に使って、ということおをやるぞと決めたんです。 春一番に咲くのが椿です。その実を冬に絞って油を取るというのが夢です。 それと、3年前と今は、被災地の人たちの気持ちもだいぶ変わって来ていますよね。 楽しみは何かというと、飲み食い、遊びだけでなく、 生かされている、誉められたいとか、そういうことを望んでいるんです。 お年寄りもそう。そういう人たちが働いて、 そして喜ばれるということが明るく材料になっていると思います。 だから私は今以上に働く場所を作って行きたいですね」 「バンザイファクトリー」社長、高橋和良さんの挑戦は続きます。 http://furusato.fmii.co.jp/morioka/2014/09/08/%E3%80%8C%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%8D%E7%A4%BE%E9%95%B7%E3%83%BB%E9%AB%98%E6%A9%8B%E5%92%8C%E8%89%AF%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE/ 2016年1月号 プロジェクトニッポン 岩手県 道端の「椿」が生んだ新産業 被災地の「成功モデル」を途上国へ 渡邉 さやか(re:terra 代表) 0 三陸・気仙地域に自生していた椿の油を使い、化粧品を開発。re:terraの取り組みは拡大を続け、地元企業と農園をつくり、雇用の創出も視野に入れる。それは、地域の「豊かさ」を問い直す試みでもある。 re:terraは、バンザイ・ファクトリーなどと協働し、「椿茶」を開発。椿を使った事業の開発を続けている 「違う世界を見てみたい」 長野の田舎で10代を過ごした渡邉さやか氏は、中学3年生の頃、新聞で見かけた交換留学の制度に、親にも内緒で応募。高校に入学してすぐ、1年間をアメリカで過ごした。 もともと、渡邉氏は初めての海外旅行で11歳の時に訪れたネパールにおいて、自分と同年代のストリートチルドレンを目にし、「豊かさとは何だろう?」と疑問を抱いていた。子どもの頃から社会に対する関心を持っていた渡邉氏にとって、田舎は物足りない場所のように感じられた。そんな渡邉氏に、父親が話した言葉がある。 「世界は広い。世界のどこかで君と気の合う人に出会う。だから、常に世界を広げていきなさい」 その言葉のとおり、自らの世界を広げてきた渡邉氏は今、被災地とカンボジアで新たなビジネスの創出に挑んでいる。 椿の油を化粧品にする発想 三陸・気仙地域に自生している「気仙椿」は、これまで一部が食用油として使われているだけだった。渡邉氏は、その実から採った油を使い、化粧品の開発に乗り出した 渡邉氏は大学・大学院で国際協力を学んだ後、日本IBMでコンサルタントを経験。3.11を経て、被災地での事業開発に乗り出すことを決意し、2011年11月に一般社団法人re:terraを設立した。 当初は、さまざまな事業計画を考えていたが、最終的に残ったのは「椿」だった。三陸・気仙地域には、気仙椿が自生している。しかし、その椿の実は一部が食用油に使われているのみで、産業化されていなかった。渡邉氏は、椿の実から採った油を使って、化粧品をつくることを思い立ったのである。 「大学で国際協力を勉強していた時に、モロッコのアルガンオイルが、もともとは食用油だったものを高級美容オイルにして、成功したことを学びました。それが記憶にあったんです。それに化粧品ならば、食用油よりも商品単価を高くすることができると考えました」 まずは、パートナー探しに動き始めた。渡邉氏は、いろいろなNPOの活動に関わっていたことがあった。その縁もあってハリウッド化粧品の社長と知り合い、協力を取り付けた。 並行して現地でのパートナーを探したが、最初は、候補に考えていた事業者から「大手に頼って事業をしていたら、撤退されたときに地元は困ってしまう。そうした持続性のない事業ならダメだ」と断られた。 「地域の人たちとビジョンを共有し、一緒に何かをやるには時間が必要です。東京と地方では、事業の規模感やスピード感、時間軸が異なります。それを考えないと、うまくいきません。私には、特別なスキルがあるわけではないので、まずは話を聞く。一緒にお酒を飲んだりして、話を聞きます。私、すごくお酒を飲むんですよ(笑)。それに、私は田舎出身なので、その人間関係の機微を肌感覚で理解できることが役に立っているかもしれません」 渡邉さやか re:terra 代表 異なるプレーヤーをつなぐ 気仙椿の油を使った化粧品づくりは、多くの協力者を得て実現した。椿の実を拾い、精油する作業は陸前高田で行い、製造はハリウッド化粧品が担う。商品の企画には、女性医師の会「En女医会(エンジョイ会)」や地元の高校生が参加した。 「被災地でのビジネスは、国際協力にも共通するところがあります。途上国に進出した企業の多くがローカライズに失敗していますが、被災地や途上国で大事なのは、現地の人たちを理解し、寄り添うこと。私は地域や企業の間に立ち、さまざまなプレーヤーをつなぐ役割を担いたい」 また、渡邉氏は、どのような連携が社会課題の解決につながるのか、それを考えるのが好きだという。 「普段から『この企業とNPOが組んだら、目指す方向性は一緒だし、きっとこの課題が解決できる』といったことを考えるのが好きなんです。それは、地域や社会に深く根ざしたNPOと、大きな経済力や人的リソースを持つ企業をつなぐことができたら、そこから生まれる社会的インパクトは計り知れないものになると信じているからです」 企画から1年半を経て、2012年12月に最初の商品である「気仙椿ハンドクリーム」を発売。続いて「気仙椿リップクリーム」を商品化した。 「化粧品業界のこともよく知らず、とにかく走り続けました。始めた後にわかったことは、たくさんあります。化粧品は、原価を抑えて広告費に投資するのが重要なビジネスです。でも、気仙椿の化粧品は小ロットであることに加え、ある程度の価格で椿の油を購入するために原価は高くなります。販売店にとっては、利幅が薄い商品であるため、理解のある一部の販売店しか置いてくれませんでした」 OEMで生産するハリウッド化粧品も、自社のハンドクリーム、リップクリームを持っており、自社の流通では気仙椿の化粧品を扱わなかった。しかし発売から2年を経て、re:terraの取り組みを応援する人は、ハリウッド化粧品の社内にも増えていった。そして2014年後半には、ハリウッド化粧品の流通網で取り扱いが開始。ある現場では、re:terraの挑戦を知り、「あの商品を扱いたい」と、本社に打診した販売店もあったという。 売り上げは2014年後半から大きく伸び、現在までにハンドクリームは約1万5000個、リップクリームは1万個弱を販売している。 椿オイルを使ったハンドクリーム、リップクリームを商品化。販売も順調に伸ばしている 「椿」の新しい用途を開発 しかし、化粧品のビジネスに力を注ぎつつも、渡邉氏は「本当の意味では、被災地のために何もできていない」と悩み続けていた。当初、目標にしていたのは、被災地に産業を根付かせ、雇用を生み出すこと。しかし化粧品の事業において、被災地で行っているのは、椿の実を拾って選定し、精油する作業のみ。それでは、大きな雇用につながらない。 気仙椿の産業を広げていくためには、供給能力を増やすことも重要になる。 「気仙椿に注目が集まった結果、大企業からも、椿の油を使う商品が発売されました。大手資本と地域の連携を考えるうえで、そのつなぎ方は、とても難しい。三陸・気仙地域では、今まで椿の実を拾っていなかった地元の人たちが、ある意味では競い合って拾うようになり、椿の油が不足するようになりました。一時は、気仙椿の事業を止めることも考えました」 気仙椿の化粧品開発には、女性医師の会「En女医会(エンジョイ会)」も協力 供給を安定させるには、椿の農園が必要になる。しかし、今から苗木を植えても木が育つのに10年以上かかり、その間はお金にならない。しかも、椿の実が採れるのは年1回にすぎず、化粧品だけでビジネスを成立させるのは難しい。農園をつくるには、化粧品以外にも気仙椿の用途を開拓する必要があった。 そこで開発したのが、気仙椿の葉を使った「椿茶」だ。苗木でも、すぐに葉はつけるし、それは年4回摘むことができる。しかもお茶ならば、乾燥・焙煎など、すべての製造工程を三陸・気仙地域で完結させることができる。 re:terraは、地元の企業や住民たちの理解を得て、椿の事業を実現。渡邉氏は、地域と企業をつなぐ役割を担う 問われた「経営者」としての覚悟 「椿茶」の商品開発にあたり、大きな役割を果たしたのが、陸前高田のベンチャー企業、バンザイ・ファクトリーだ。同社の高橋和良代表は、渡邉氏に対して「覚悟」を問い続けていた。 「高橋さんからは、被災地で事業を続ける覚悟について、ずっと問われてきました。でも、どうすれば自分の覚悟を表せるのか、それがわからなかった。陸前高田に住めば、覚悟を示せるのかと考えましたが、私の強みはそこではない。私の強みは、販売やマーケティング。私はそれまで、原材料の調達から販売まで、すべてを手掛けようとしてきました。覚悟のあり方として、それはあきらめる。農園や製造は高橋さんに頼り、私は販売やマーケティングを担う。高橋さんと一緒に事業することを決めました」 渡邉氏は「椿茶」の事業において、主に販売やマーケティングを担っている その第一弾商品が、「椿茶」だ。 2015年10月には、バンザイ・ファクトリーの資金で農園を借り、苗木はre:terraが購入する形で恊働を始め、供給体制の整備を進めている。 「高橋さんには、経営者としての背中を見せてもらっています。厳しい言葉も、たくさんありました。高橋さんからは『よく泣かなかったね』と言われます(笑)」 陸前高田のベンチャー企業、バンザイ・ファクトリーの高橋和良代表と知己を得た渡邉氏は、協働して椿の新規事業に挑む 渡邉氏は被災地での活動と並行し、カンボジアでも現地の起業家とともに、新しいビジネスの創出に挑んでいる。渡邉氏の中で、そうした取り組みは、すべてつながっている。 「新しい社会を考えるヒントが、被災地や途上国にはあります。被災地と途上国は似ていて、支援のアプローチは変わりません。最終的には、被災地でビジネスを成功させて、そのモデルを途上国でも展開していきたい」 東京を介さずに、地域と途上国をつなげることで、新しい経済のモデルをつくる。根底にある思いは、「豊かさ」を問い直し、「未知の世界」を求め続けていた10代の頃から変わりはない。 カンボジアでも新ビジネスの創出に挑むなど、世界を舞台に活躍の場を広げている 地方創生のアイデア 月刊事業構想では、「地域未来構想 プロジェクトニッポン」と題して、毎号、都道府県特集を組んでいます。政府の重要政策の一つに地方創生が掲げられていますが、そのヒントとなるアイデアが満載です。参考になれば幸いです。 o プロジェクトニッポン 愛媛県(2015年12月号) o 地方創生特集(2014年12月号) o プロジェクトニッポン 栃木県(2015年11月号) o プロジェクトニッポン 徳島県(2015年10月号) ※バックナンバーには、そのほかの都道府県も掲載されております。是非ご一読ください。 0 この記事の感想はこちらへ プロジェクト研究/セミナーのご紹介 • 地元貢献型・事業構想 地域貢献を第一に考えた事業創出を目的とした研究会。全国各地から企業経営者・幹部が研究員として集まり、自社・自地域の地域貢献型事業を構想する。特に地方で事業可能性が高いと思われる、エネルギー、超高齢社会対応(2025年問題)、農林業、観光業に焦点を当てる。 2016年1月〜2016年12月(予定) 詳細はこちら
プロジェクトニッポン 岩手県 の記事一覧 かつての「日本のチベット」は今 地域特性の「強み」と「弱み」 嶋田 淑之(自由が丘産能短大・教員、文筆家) 224 デザインで町の「稼ぐ力」を育む 地域づくりデザインプロジェクト 細井 洋行(西和賀町長)
328 「よそ者」の視点で村は目覚める 漁師の「生活」を体験ツアーに 山野 智久(アソビュー 代表取締役社長)
249 被災地を「学びの町」に 町民の経験こそ「町の財産」 臼沢 和行(一般社団法人おらが大槌夢広場 代表理事)
186 漆はニッポンの文化、「本物」は滅びず 衰退する伝統産業を救う 松沢 卓生(浄法寺漆産業 代表取締役)
266 「岩手の酒」を世界26ヵ国へ 五代目が「老舗の酒蔵」を変えた 久慈 浩介(南部美人 代表取締役社長、五代目蔵元)
372 バックナンバー 2016年3月号 地方発の新事業モデル
2016年2月号 交通・物流革命 2016年1月号 成熟産業にチャンスあり 2015年12月号 2025年問題 超高齢社会の新ビジネス 2015年11月号 子育て支援ビジネス 2015年10月号 外国人を呼び込む 観光・移住のインバウンド市場 2015年9月号 オープンイノベーション&オープンデータ 2015年8月号 スポーツ起点の新戦略 2015年7月号 IoT 先駆者の構想 2015年6月号 農業を変えた新発想 2015年5月号 マイナンバー/コンシェルジュ型サービス 2015年4月号 EC・決済の新モデル 2015年3月号 地域エネルギー事業参入 2015年2月号 身近に潜む海外展開のチャンス 2015年1月号 今日から始めるロボット事業 2014年12月号 地方創生 2つの輪 2014年11月号 メディア・ベンチャーズ 2014年10月号 2020年の都市デザイン 2014年9月号 未来の学び産業 2014年8月号 水ビジネス 2014年7月号 新発想で挑むヘルスケア 2014年6月号 日本を変える観光 2014年5月号 強い「企業理念」 2014年4月号 ボーン・グローバル 2014年3月号 東京五輪の活かし方 2014年2月号 3Dの市場創造力 2014年1月号 グロースハッカー 2013年12月号 上場100社が狙う新規事業 2013年11月号 BIG DATA 2013年10月号 未来の医療が始まる 2013年9月号 女性イノベーター50人の構想 2013年8月号 食ビジネスの進化 2013年7月号 イノベーティブ人材 2013年6月号 モバイルで市場を拓く 2013年5月号 クラウドソーシング2.0 2013年4月号 バイオミミクリーは世界を救う。 2013年3月号 ショッピングイノベーション 2013年2月号 新世代の思考法 2013年1月号 Amazonが狙う 業界構造革命 2012年12月号 Jリーグアジア戦略VS欧州メガクラブ 2012年11月号 スターバックスはどこへ行くのか? 2012年10月号 イチロー電撃移籍の仕掛け人 PrevNext 1 2 3 4 5 6 7 8 9 社風が変わる、イノベーターが育つ 地方創生・イノベーションにつながるアイデアと思考に注目! 志高い、ビジネスパーソン・行政・NPO職員・起業家が理想の事業を構想し、それを実現していくのに役立つ情報を提供する、実践的メディア。 メルマガで記事を受け取る メルマガ会員限定で、 ピックアップしたオンライン記事を 毎日お届けします。 メルマガの設定・解除はいつでも簡単 特集ピックアップ • new 経営に必要な哲学を探る 「環境会議」「人間会議」 • 防災・危機管理担当者 必見 「防災ガイド」2015年版 バックナンバー検索 2016年1月号 売り切れ続出注目のバックナンバーはこちら • 2015年3月号 地域エネルギー事業参入 • 2014年12月号 地方創生 2つの輪 事業構想セミナー・説明会 購読者の皆さまを、事業構想大学院大学 院生限定サロンスピーチに毎月1回ご招待しています • キッズデザイン〜子ども目線・子ども視点の社会・市場の構築へ向けて 2016年2月23日(火) • 電力・ガス小売り完全自由化エネルギー併売モデルを考えるセミナー 2016年3月1日(火) • クリエイティブに生きる=世界を変える 2016年3月1日(火) 週間ランキング ピエリ守山、「体験型」で再生 「コト消費」で商業施設に活気 1056 連続起業家は「模倣」の名手 個々が得意な「方法」をパターン化 382 客が米を炊く、人気の料理店 「暮らし」を問うローカルビジネス 323 広域連携が地方創生のポイント 人をつなぐ多摩信用金庫の挑戦 527 社内より社外、会社より社会を見よ 2000 最新情報をチェック。 今、事業構想が必要な理由 TOPへ戻る • 事業構想大学院大学 • 購読お申込み • マイページ • 法人パックのご案内 • 特定商取引法に基づく表示 • 会員規約 • プライバシーポリシー • 広告掲載のご案内 • FAQ • お問い合わせ http://www.projectdesign.jp/201601/pn-iwate/002650.php
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