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マイナス金利、経済活動にもプラス効果と確信=黒田日銀総裁(ロイター)
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/785.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 22 日 21:45:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

 2月22日、黒田東彦日銀総裁は午前の衆院予算委員会で、貸出金利の低下などを通じてマイナス金利政策の効果はすでに表れており、経済活動にもプラスの効果があると確信している、と語った。鈴木克昌委員(民主)の質問に答えた。写真は都内で1月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)


マイナス金利、経済活動にもプラス効果と確信=黒田日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/kuroda-idJPKCN0VV04B
2016年 02月 22日 11:22 JST


[東京 22日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は22日午前の衆院予算委員会で、貸出金利の低下などを通じてマイナス金利政策の効果はすでに表れており、経済活動にもプラスの効果があると確信している、と語った。鈴木克昌委員(民主)の質問に答えた。

総裁はマイナス金利の導入以降、国債のイールドカーブが全体的に下がり、貸出の基準金利や住宅ローン金利なども低下していることから、「金利面での効果はすでに表れている」とし、こうした実質金利の低下が今後、実体経済に波及し、「経済活動にもプラスの効果があると確信している」と語った。

これまでの量的・質的金融緩和(QQE)に3つ目の次元となる金利という要素を加えたことで、「2%の物価安定目標の実現を目指して、機動的かつ十分な緩和効果を経済に与えていくことになる」との認識を示した。

今年に入ってからの金融市場の変動については、投資家のリスク回避姿勢が「過度に広まっている」とし、日銀として「金融市場の変動が日本の経済・物価に与える影響を注視していく」と語った。

(伊藤純夫 編集:山川薫)
 

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コメント
 
1. 2016年2月22日 22:11:24 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[300]
Business | 2016年 02月 22日 16:02 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス

 焦点:大口預金にマイナス金利なら円高抑制も、企業リパトリ軽減で

[東京 22日 ロイター] - 国内銀行が大口預金にマイナス金利を適用すれば、円高抑制効果があるとの見方が出ている。日本企業が海外部門の利益や配当を国内に移すリパトリエーション(資金の本国還流)を抑える可能性があるという見立てだ。

現時点でマイナス金利を大口預金に適用すると決めた国内銀はゼロだが、仮に適用されれば、数千億円規模のドル売り/円買いが軽減され、円高圧力を和らげる効果はあるとの声が出ている。

<全銀協会長が研究中と発言>

市場関係者の注目を集めた発言がある。18日の佐藤康博・全国銀行協会長(みずほフィナンシャルグループ(8411.T)社長)の定例会見で、預金に対するマイナス金利導入の可能性について、各金融機関の判断としながらも、みずほとして調査・研究していると説明した。その際、「(先行してマイナス金利政策を採用している)ユーロ圏では、大口預金に対して残高に応じた手数料を設定するケースはある」とも述べた。

ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミスト、上野剛志氏は「日本の親会社に資金を還流させて積んでおくとコストがかかるようになるなら、海外で得た収益は、利息の付く外銀の預金や外債投資に回した方が企業行動として合理的という判断に傾きやすい」とみる。

預金者から手数料を徴収するとしても「残高に比例するような仕組みならば、実質的にマイナス金利と変わらず、資金を国内に置きたくない動機づけになる」という。

外為市場では「(大口預金へのマイナス金利適用が)実現すれば、日銀のマイナス金利政策がようやく、円高抑制の効果を発揮し始めるかもしれない」(国内金融機関)との声が出ている。

<数千億円規模のリパトリ>

ドル/円JPY=EBS相場では、四半期末ごとに円高圧力が強くなるという季節性が意識される。国際展開する日本企業が海外にある資金を自国に戻す資金還流(リパトリ)が集中する時期に当たり、ドルを円に転換するドル売り/円買いの需要が高まりやすいためだ。特に年度末の3月末と中間期末の9月末は、その規模が膨らむ傾向にある。

国際収支統計の直接投資における配当金・配分済支店収益は、2015年3月で6932億円。国際決済銀行(BIS)の2013年統計によればドル/円は、1日100兆円程度が動く。

市場取引の多くは反対売買を伴う投機的な取引のため、相場へのインパクトは限定的なケースが多い。これに対し、リパトリは一見、微々たる規模に見えるが、一方向の取引であるため、相場の地合いによっては影響が強く出ることもある。

2013年─2014年のドル高/円安トレンドの中では、リパトリの円高圧力も飲み込まれたが「リスクオフ環境下での円買いにリパトリによる円買いが加われば、同じ方向の要素が重なって、円高圧力は高まりやすい」と三井住友信託銀行・マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は指摘する。

リパトリが軽減されるとしたら「ドル/円の押し上げにはつながらなくとも、下押し圧力は和らぎ得る」(三井住友信託銀の瀬良氏)という。

佐藤会長は、大口融資に対するマイナス金利を実際に導入するかどうかは「現時点ではわからない」としている。

ただ、日銀のマイナス金利導入を受けて、銀行は収益面にネガティブとなりかねない預金規模の拡大に慎重姿勢を強めてもいる。「日銀が追加緩和でマイナス幅をさらに拡大するようなら、邦銀が大口預金へのマイナス金利適用に踏み出す引き金になり得る」(市場関係者)との見方も出ている。

大口預金のマイナス金利と円高抑制という予想外の組み合わせが、市場の関心を集める可能性も出てきた。

(平田紀之 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/bis-idJPKCN0VV0GL


 


「量的緩和の後というのが間違い」、マイナス金利論者歴20年の藤巻氏
2016/02/22 15:56 JST

    (ブルームバーグ):先に打ってしまった量的緩和というカンフル剤がマイナス金利政策の足かせになるーー。20年近くにわたりマイナス金利政策を提唱してきた参議院議員の藤巻健史氏(65)は、日本銀行が導入したばかりの「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の問題点をこう指摘する。
日銀は2013年4月以降、マネタリーベース増加を目的に多額の日本国債の購入を進めており、昨年9月末時点での保有額は前年比35.3%増の315兆円と国債残高全体の30.3%に膨らんでいる。1月には世界的な金融市場の混乱を踏まえ、初のマイナス金利政策の導入を決めた。
藤巻氏は16日のインタビューで、「180度違う相性の悪い政策をやろうとしたことが大きな問題」と指摘。「マイナス金利はかなり効く政策だが、量的緩和の後というのが間違いだった。本来なら量的緩和を減らしてから、マイナス金利政策をやるべきだった」とし、「マイナス0.1%で駄目ならマイナス1%、マイナス5%、マイナス10%にすれば良い。量的緩和をやったことによって、マイナス金利政策の効果を減じている」と言う。
日銀の黒田東彦総裁はマイナス金利導入を決めた後の記者会見で、「これまでの量と質にマイナス金利という金利面での緩和オプションを追加し、いわば3つの次元の全てにおいて追加緩和が可能なスキームとなる」と述べ、必要な場合にはさらにマイナス金利を拡大する姿勢を示した。その後、国債市場ではボラティリティが急上昇し、13年以来の高水準を記録した。
欧州中央銀行(ECB)は、14年6月にマイナス金利を導入した後、量的緩和による追加緩和を実施した。日銀の場合は、資金供給を大幅に拡大した後で導入に踏み切ったため、超過準備を積み上げてきた金融機関に悪影響があると藤巻氏はみる。
ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めるなど金融業界での経験が長い藤巻氏は、金利格差で円安・ドル高が進みインフレ目標に到達すれば、国債を売り、資金を吸収する金融引き締めへ方向転換をしなければならないが、国債市場では日銀以外の多額の買い手がほとんどなくなっている状況だと指摘する。
「ルビコン川を渡って余計な量的緩和をやってしまった以上、資金を回収する手段のない日銀は怖くて追加利下げに動けない。じゃぶじゃぶに資金を供給して、引き締められるのか。資金を吸収するには国債を売り戻す必要があるが、価格が下落する国債を買う民間機関はいない」。藤巻氏は、「マイナス金利を拡大すると、早く財政破綻が来る。袋小路に入っている」とみる。
外貨建て資産拡大へ
日銀によるマイナス金利政策導入の発表から2週間程度で、東証1部の銘柄で構成されるTOPIXは高値から安値まで23%近く下落した。すでに世界最低水準にあった金利収入が一段と悪化するとの観測を背景に、銀行株は26%下落する場面があった。
ドル・円相場は日銀発表当日の1月29日に1ドル=121円69銭を付け、昨年12月18日以来の水準まで円安がいったん進んだ。ただ、2月11日には、中国経済や原油相場の不透明感、欧米の信用不安などを背景に、110円99銭と、14年10月31日以来の円高値まで戻している。
藤巻氏は、日本が軸足を利下げに置いていく見通しにある一方で、米国は利上げ方向にあり、「目先の混乱が終われば明らかに円安になっていく」と指摘する。マイナス金利で当座預金にペナルティをかけられる銀行の資金の流れで、「外貨建て資産が1番増える」と言う。
新発10年物国債利回りは2月9日、一時マイナス0.035%と史上最低水準を更新した。米国債との利回り格差は19日時点で、約174ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大した。ブルームバーグの金利予測調査(中央値)では、日本の新発10年債利回りは年末に0.15%が見込まれている。同調査を基にした日米の10年債利回り格差は年末に235bpへ拡大する見通しだ。
「日銀が20年債、30年債を大量に購入しているため、利回り曲線が非常に寝ている状況下で、マイナス金利導入後も、すぐには預金金利はマイナスにならないため、銀行の収益低下が懸念されている」と藤巻氏は言う。
日銀の資金循環統計によると、家計の金融資産残高は昨年9月末で1684兆円。このうち、現金・預金は887兆円と全体の53%を占めている。
黒田総裁は、預金金利がマイナスになることはないとの見解を示しているが、藤巻氏は、「マイナス0.1%がワークしなければ、どんどんマイナス幅が拡大せざるを得ない可能性もあり、最終的には預金金利もマイナスになっていく」と指摘。「日本の個人資産は大量に国内に滞留しており、数%しか外に向かっていないが、円の預金金利がマイナスになれば、ドルに向かう」とみる。
民間の金融機関は日銀によるマイナス金利政策発表後、預金金利の引き下げを相次いで発表している。メガバンクの円普通預金金利は従来の年0.02%から0.001%に引き下げられている。市場の利回り曲線の起点金利である無担保コール翌日物金利の加重平均は17日以降、12年ぶりにマイナス圏で推移している。
「国や企業、個人もドルを買うべきだ」
国際通貨基金(IMF)によると、日本の公的債務残高は18年に、対国内総生産(GDP)比で約250%へ達し、15年の約246%から上昇する見通し。主要7カ国を大幅に上回る状況が続いている。
藤巻氏は、「財政拡大で公的債務が膨らみ、財政ファイナンスを始めたことが最悪」と指摘し、「だんだんこれから円安になれば、ハードランディングが早まるリスクがある」と言う。その上で、量的緩和の副作用として生じ得るハイパーインフレに備えて、「国や企業、個人もドルを買うべきだ」と語る。
藤巻氏は1950年6月生まれ。74年に一橋大学を卒業し、三井信託銀行(現三井住友信託銀行)に入行した。85年にモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)に移籍し、95年から2000年まで東京支店長。2013年7月の参院選で日本維新の会(現維新の党)から比例代表で初当選。昨年「おおさか維新の会」に入党した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net;東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net; Tokyo Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2QBFW6K50Y001.html


 

 


Business | 2016年 02月 22日 08:19 JST
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ロイター企業調査:しぼむ春闘賃上げ、大半が2%未満

 2月22日、2月のロイター企業調査によると、今春の賃上げ率が2%以上と予想する企業は全体の16%にとどまり、昨年1月調査の40%に比べて大幅に減少した。2012年11月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 22日 ロイター] - 2月のロイター企業調査によると、今春の賃上げ率が2%以上と予想する企業は全体の16%にとどまり、昨年1月調査の40%に比べて大幅に減少した。ベースアップ(ベア)実施予定の企業は現状で9%。8%への消費増税前からの賃上げ率累計が3%以下の企業が86%に上り、増税分をカバーできていない。
安倍晋三首相が力を入れる「同一賃金同一労働」という働き方もほとんどが現実的ではないとみている。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に2月1日─16日に実施。調査対象企業は400社で、うち回答社数は240社程度。
春闘の賃上げ率予想をみると、最も多かったのが1.5─2%未満で29%、1%台前半が28%、1%未満は27%となり、2%未満が合計で84%を占めた。2%以上の企業は昨年1月には40%に上っていたが今年は16%。賃上げ機運は大分しぼんでいる。
2014年4月の消費税引き上げ以前と比べて賃上げ率が3%を超える企業は、今年の春闘を含めてもわずか13%。消費増税分さえ補えていないことになり、実質所得は目減りしたままとなりそうだ。
消費喚起につながりやすいベースアップを実施する予定の企業は9%に過ぎない。「ベアは実施せず定期昇給のみ。損益を踏まえて賞与で還元」(機械)、「賃金上昇は2%までに抑える。それ以上の業況反映は賞与で対応」(情報サービス)など、ベアには消極的だ。

春闘の賃上げ率予想
労働市場改革について安倍首相が取り組もうとしている「同一労働同一賃金推進法」については、企業の間で否定的な意見が大半を占めた。「あまり現実的とは思わない」が74%、「非現実的」が17%となった。
「同一労働の定義が困難」(多くの企業)、「賞与で差が出るためあまり意味がない」(建設)「成果でみないと労働生産性の低下につながる」(卸売)「知見や成果など幅広い要素を加味すべき」(多くの企業)など多数の意見が寄せられた。
実施するには「正規社員の減給しかない」(機械)との回答が表すように、「非正規雇用者の賃金上昇」「正規雇用者の賃金引下げ」が起こり得るほか、「非正規雇用者の削減」と「正規雇用の拡大」を予想する回答が多かった。

「同一労働同一賃金推進法」には否定的意見が大半

(中川泉 梶本哲史 編集:橋本俊樹)


http://jp.reuters.com/article/poll-salary-idJPKCN0VU10Q 


 


 


先進国でコアインフレ安定、中銀に心強い兆候
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米国や英国、欧州などの先進国ではここ数カ月、コアのインフレ率が横ばい、もしくは上昇している(写真は米インディアナ州マリオンのスポーツ用品店) PHOTO: JEFF MOREHEAD/THE CHRONICLE-TRIBUNE/ASSOCIATED PRESS
By
DAVID HARRISON AND TODD BUELL
2016 年 2 月 22 日 09:53 JST
 世界の株式市場は経済成長をめぐる懸念で混乱し、原油相場は供給過剰で圧迫されている。だが、世界経済の健全性を測る尺度の一つ、基調的な消費者物価は驚くほどの底堅さを見せている。
 米国や英国、欧州などの先進国ではここ数カ月、食料品とエネルギー品目を除いたコアのインフレ率が横ばい、もしくは上昇している。
 これらの国の総合インフレ率は1年以上もの間ゼロ近辺で推移しているが、こうした中でのコアインフレのしっかりした足取りは、経済の現状をめぐる悲観論が行き過ぎている可能性を示唆している。
 米国では、1月のコア消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.2%の上昇となり、2012年6月以来の大幅な伸びを記録した。前月比では0.3%上昇と、伸びは11年8月以来の大きさだった。全体のCPIは前年同月比1.4%上昇と控えめな伸びにとどまった。
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各国のコアインフレ率
 各国中央銀行は引き続き総合インフレ率を注視しつつ、コアインフレに一層の注意を払うようになっている。コアインフレの対象品目には、靴などの生活用品や散髪といったサービスの価格が含まれ、石油や食料品価格の一時的な上昇でゆがみが生じる総合インフレ率よりも景気動向のより良い指針になり得る。例えば、最近の総合インフレ率は主に原油価格の急落が原因で低下している。
 コアインフレの上昇は、原油価格がひとたび安定すれば、総合インフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)、英中銀イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)が長年達成を目指してきた2%をようやく達成するとの心強い兆候を示している可能性がある。
 各国中銀はインフレの極端な上昇と同じように、過度な低インフレを回避しようと細心の注意を払っている。物価の伸びが極端に低い、あるいは下落する現象はデフレと呼ばれ、賃金の伸びが失速する。低インフレ下では借り手の債務返済も厳しくなり、中央銀行にとっては景気支援策として必要な利下げが難しくなる。
 英国では1月のコアCPIが前年同月比1.2%の上昇となり、昨年6月に記録した0.8%から伸びが加速した。ユーロ圏では1月の総合インフレ率が0.4%だったが、コアインフレは1%程度と高かった。
 そして超低インフレと長年格闘している日本では、食料品とエネルギーを除く消費者物価が昨年半ばからゆっくり上向いており、12月は前年同月比0.8%上昇と、4月の0.4%を上回る伸びとなった。日銀が物価の基調を見極めるため独自に公表している「生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数(日銀版コアコアCPI)」は12月、前年同月比1.3%の上昇となった。
 懸念の種は残っている。米国では持続的なドル高が輸入物価を圧迫し、インフレを抑え込んでいる。だが、ドルが安定、もしくはここ数週間のように下落した場合、コアインフレは上向くだろう。
 ユーロ圏ではここ3年ほど失業率が低下傾向にあるが、12月は10.4%とまだ2桁台にとどまる。ユーロ圏の賃金は15年7-9月期の伸びが前年同期比1.4%となり、4-6月期の2%を下回った。
 賃金の上昇は通常、散髪や自動車修理といったサービス価格の上昇に反映される。一例を挙げると、米国では映画や演劇、コンサートのチケット価格がここ数カ月で大きく伸びており、1月は前年同月比3.5%の上昇となった。
 サウスダコタ州南東部で3つの映画館を経営するローガン・ラグジュアリー・シアターズのジェフ・ローガン社長は、2つの映画館でチケット価格を1ドル、もう1つでは0.5ドル引き上げた。州最低賃金の引き上げを受け、賃上げしたことが一因だという。「そうした費用をどこで工面するのか。値上げせざるを得なかった」と同社長は述べた。
 FRB当局にとってこれは心強い。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先月、コアインフレ率の安定を「前向きな兆候」だと指摘した。シカゴ連銀のエバンズ総裁は、FRBがコアインフレについて、「総合インフレ率が今後2年程度で向かうとみられる水準に関するよい指標」だとみていることを明らかにした。
 コアインフレの底堅さは、欧州の金融政策タカ派の慰めにもなっている。ECBの金融緩和を最も率直に批判するドイツ連邦銀行(中央銀行)のバイトマン総裁は最近、ユーロ圏のコアインフレは上昇しており、「デフレの危険地帯には程遠い」との見解を示した。
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• まだら模様のインフレ率、FRBには追い風か
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http://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CJ078_OUTLOO_16U_20160219174507.jpg 

 

Business | 2016年 02月 22日 19:44 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
ユーロ圏総合PMI速報値、2月は52.7 13カ月ぶり低水準

[ロンドン 22日 ロイター] - マークイットが発表した2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、製造業とサービス業を合わせた総合指数が52.7と、13カ月ぶりの低水準だった。

前月は53.6、市場予想は53.3だった。

製造業PMI、サービス部門PMIとも予想を下回った。

サービス部門PMIは13カ月ぶり低水準の53.0で、前月の53.6から低下。予想は53.3だった。

製造業PMIは51.0で、前月の52.3から低下。予想は52.0だった。

50が好不況の節目となる。

調査では企業が値下げを進めていることも明らかになり、欧州中央銀行(ECB)の3月の追加緩和観測が強まる可能性が高い。

マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「過去1年の大規模な刺激策を考えると、大きな失望だ。デフレ圧力が強まっている」と指摘。「ECBはできる限り早期の追加対策を迫られるだろう。予想外に積極的な措置を講じる可能性もある」と述べた。

内訳では、産出価格指数が48.6で1年ぶりの低水準。1月は48.9だった。

生産指数は51.9で14カ月ぶり低水準。前月は53.4だった。

製造業の新規受注指数も51.6で、1年ぶりの低水準。前月は53.0だった。

ウィリアムソン氏は「先行指標を見ると、3月も減速が予想される」と述べた。

キャピタル・エコノミクスのジェシカ・ハインズ氏は「総合指数が大幅に低下しており、域内の景気回復ペースが第1・四半期に鈍化した可能性があることが裏付けられた。ECBは来月、金融政策を強化するだろう」と述べた。

ロイター調査によると、ECBが3月の理事会で中銀預金金利を引き下げることはほぼ確実視されている。資産買い入れ額を現在の月600億ユーロから増やすかどうかは五分五分とみられている。
http://jp.reuters.com/article/euro-pmi-idJPKCN0VV0T6?sp=true


 

鉄鉱石価格、トン当たり50ドルを上回る−昨年10月以来の高値
2016/02/22 20:42 JST

    (ブルームバーグ):鉄鉱石価格は22日、1トン当たり50ドルを上回った。昨年は世界的な供給過剰で大きく下げていた。
メタル・ブレティンによれば、鉄鉱石(鉄分62%)は一時6.2%高の51.52ドルを付けた。これは昨年10月27日以来の高値。同年12月に約6年ぶりの安値となる38.30ドルまで下げたが、今年に入ってからは18%上げている。
原題:Iron Ore Powers Back Above $50 as Whipping Boy of 2015 Rebounds(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2Y4YS6JTSEK01.html


中国人民元NDF、上昇−G20控え人民銀の元相場支援観測で
2016/02/22 19:13 JST

    (ブルームバーグ):中国人民元のノンデリバラブル・フォワード (NDF)は22日、香港市場で1週間ぶりの大幅高。上海で26、27日両日開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、中国当局が元相場の支援に動くとの観測が広がった。
東亜銀行の香港在勤為替アナリスト、ケニックス・ライ(頼春梅)氏は、「中国人民銀行(中央銀行)はG20期間中に良い地合いを保ち、ネガティブなコメントを最小限にとどめることを望んでいるため、G20を前に元相場の安定確保を狙い人民元を支えるだろう」と分析。「元相場を比較的安定的に維持するという人民銀のスタンスは非常に明確であり、相場が大きく上下することは当面ないだろう」とコメントした。
ブルームバーグの集計データによれば、香港時間午後4時41分(日本時間同5時41分)現在、元の1年物NDFは0.16%高の1ドル=6.7765元と、15日以来の大幅高。香港オフショア人民元は6.5247元とほぼ変わらず。
中国外国為替取引システム(CFETS)によると、上海市場で人民元は6.5196元とほぼ横ばいだった。
原題:Yuan Forwards Rise on Bets PBOC to Support Currency Before G-20(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2Y0YK6JTSEV01.html



ユーロ圏:2月の経済活動鈍化、世界的な減速で−マークイット
2016/02/22 18:54 JST

英マークイット・エコノミクスが22日発表したユーロ圏の製造業とサービス業を合わせた2月の総合購買担当者指数(PMI )速報値は52.7で、1月の53.6から低下し、約1年ぶりの低水準となった。PMIは50を上回れば活動拡大を意味する。外需減少でドイツ製造業が影響を受けたほか、フランスの総合PMIは活動の停滞を示唆した。
今月のPMIで明らかとなった経済活動の弱まりと企業による一段の値下げは、ユーロ圏経済の健全性をめぐる懸念を高めるものだ。欧州中央銀行(ECB)には、来月の定例政策委員会で刺激策拡大を迫る圧力を高めるかもしれない。
マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「成長ペースが1年ぶりの弱さとなっただけでなく、デフレの勢いが強まったことを調査は示した」とし、今回のデータは「ECBが一段と積極的な刺激策を講じる確率をかなり高めるものだ」と指摘した。
PMIに基づくと、1−3月(第1四半期)のユーロ圏経済成長率は昨年10−12月(第4四半期)の0.3%を下回りそうだ。
2月のドイツ製造業PMIは50.2と、活動拡大・縮小の分かれ目である50をわずかに上回る水準だった。
発表によれば、2月のユーロ圏製造業PMIは51.0と、前月の52.3から低下。サービス業PMIは53.0で、これも前月の53.6を下回った。
原題:Europe’s Weak Economy Feels the Strains of the Global Slowdown(抜粋) Eurozone February Flash Services PMI: Summary(抜粋) Eurozone February Flash Manufacturing PMI: Summary(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2XZD76JTSF401.html


英銀HSBCが億万長者を量産、100万ユーロ超プレーヤーが42%増加
2016/02/22 19:13 JST

    (ブルームバーグ):英銀HSBCホールディングスが億万長者を量産している。2015年報酬として100万ユーロ(約1億2510万円)超を受け取った行員の数が42%増え453人となった。一方、スチュアート・ガリバー最高経営責任者(CEO)の報酬は2011年の就任以後で最少だった。
22日公表の年次報告書によれば、ガリバーCEOの15年変動報酬は300万ポンド(約4億8000万円)。前年は340万ポンドだった。給料と株式報酬は前年から変わらず360万ポンド。手当は66万2000ポンドと、前年の58万9000ポンドから増えた。
同行は15年のボーナス総額を35億ドル(約3950億円)と、前年の36億ドルから減らした。報酬総額も前年を下回り199億ドル(前年は204億ドル)。
上級幹部が受け取った報酬最高額は1030万ポンド。個人名は明らかにされていない。ダグラス・フリント会長はほぼ変わらずの250万ポンド、財務責任者のイアン・マッケイ氏は17万6000ポンド増えて430万ポンド。
原題:HSBC Makes More Millionaires as Gulliver Takes Lowest Pay Packet(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2XZXC6KLVRO01.html


Business | 2016年 02月 22日 18:59 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス

英HSBC、2015年税前利益は予想下振れ 厳しい事業環境を予想

[香港 22日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングス(HSBA.L)(0005.HK)が発表した2015年通期決算は、中国の成長鈍化やコモディティー(商品)価格急落を背景に、税引前利益が1%の増加にとどまり、アナリスト予想を下回った。HSBCは、今年も厳しい状況が続くと予想した。

15年税引前利益は188億7000万ドル。前年同期の187億ドルとほぼ変わらずで、トムソン・ロイターがまとめたアナリスト予想平均(218億ドル)を下回った。

第4・四半期は税引前で8億5800万ドルの赤字だった。デリバティブ資産の評価替えや訴訟費用、ブラジル事業の売却などの費用がかさんだ。リストラ費用も影響した。

HSBCは声明で、中国事業拡大戦略を維持するとしながらも、中国経済の減速で状況は厳しくなっているとの認識を示した。

フリント会長は「中国の成長鈍化は、金融環境の一段の悪化につながるのは疑いないとみられる。だが、中国経済が、製造業やサービス業の高付加価値化や消費主導型に移行するに伴い、世界経済成長の最大のけん引役を果たすと引き続き予想する」と述べた。

15年税引前利益に占めるアジア部門の割合は83.5%で前年を上回った。

通期配当は普通株1株当たり0.51ドル。前年は0.50ドルだった。

また、売却する計画だったトルコ事業を維持すると発表した。買収提案が株主の利益にならないと判断したとしている。

アジアでの採用慣行について米証券取引委員会(SEC)の調査を受けていることも明らかにした。政府高官とつながりのある候補者の採用慣行について情報提供を求められているという。

HSBC株は0815GMT(日本時間午後5時15分)時点で3.7%安。

HSBCは前週、本社を引き続きロンドンに置くことを決めたが、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば、業務が混乱する恐れがあると表明した。

2015年のガリバー最高経営責任者(CEO)の報酬は734万ポンド(約1048万ドル)と、前年の762万ポンドから3.7%減少した。

http://jp.reuters.com/article/hsbc-results-idJPKCN0VV0BR?sp=true


ロンドン外為:ポンド大幅安、ロンドン市長が「Brexit」運動へ
2016/02/22 18:53 JST

    (ブルームバーグ):ロンドン時間22日午前の外国為替市場で、ポンドは対ドルで2010年5月以来の大幅安。ジョンソン・ロンドン市長が英国の欧州連合(EU)離脱「Brexit」を支持し、キャンペーンを展開すると表明した。
ポンドは主要16通貨全てに対して少なくとも1.2%下落。キャメロン英首相はEUから英国の加盟条件についての譲歩を勝ち取り、残留・離脱を問う国民投票の6月23日実施を宣言していた。
ロンドン時間午前9時20分(日本時間午後6時20分)現在、ポンドは対ドルで1.7%安の1ポンド=1.4163ドル。このままいけば10年5月6日の英総選挙以来の大幅安となる。対ユーロでは1.2%安の1ユーロ=78.24ペンス。
原題:Pound Slides Most Since 2010 as Johnson Backs ‘Brexit’ Campaign(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2XTW96KLVRB01.html


英首相、EUに「とどまる理由」議会で説明へ−ロンドン市長は離脱派に
2016/02/22 18:22 JST

    (ブルームバーグ):キャメロン英首相は22日、英国が欧州連合(EU)内にとどまるべき理由を英議会で説明する。EU離脱陣営にはロンドンのボリス・ジョンソン市長が加わった。
首相は英国のEU加盟条件について他の諸国から合意を得た修正について説明する。6月23日に実施を決めた国民投票に向けて、自身が獲得した合意が残留を選ぶ根拠となることを首相は期待している。
英国で最も人気が高い政治家の一人で与党・保守党の有力メンバーでもあるジョンソン市長が「Brexit(離脱)」キャンペーンを展開すると表明したことは、首相が思い描いたような事態の展開を阻む障害となりそうだ。
原題:Cameron to Make EU Case to Commons as Johnson Backs ‘Brexit’ (1)(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2XYME6KLVRM01.html



円が反落、株高や原油反発で対ドル一時113円台−ポンドは下落
2016/02/22 16:12 JST

    (ブルームバーグ):22日の東京外国為替市場では円が反落。日本や中国の株価上昇や原油相場の反発を背景にリスク回避ムードが和らぎ、円を売る動きが優勢となった。
午後4時6分現在のドル・円相場は1ドル=112円75銭前後。朝方の112円台半ばから一時は113円05銭までドル買い・円売りが進んだ。もっとも、113円台の滞空時間は短く、午後にかけては112円台後半で一進一退の展開となった。
外為どっとコム総合研究所の石川久美子研究員は、ドル・円はかなり下げたので、株が戻せば戻りもあるが、英国の欧州連合(EU)離脱問題や原油安など材料的にはあまりにもリスク要因が多く、「上昇基調に転じるというのは見えない」と指摘。今月11日の111円割れの後の戻りで「115円に到達できなかったというのは大きい」とも言い、「基調的には依然戻り売りと思う」と語った。    
ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨中、ポンドを除く15通貨に対して前週末終値比で下落。ユーロ・円相場は早朝に1ユーロ=125円02銭と先週末に付けた2013年6月以来の円高水準に並んだ後、125円56銭までユーロ買い・円売りが進み、その後もみ合いとなった。同時刻現在は125円36銭前後。一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.11ドル台前半でもみ合う展開が続いた。
22日の東京株式相場は反発。日経平均株価は開始直後に150円下げたが、その後プラス圏に浮上し、午後も堅調に推移した。中国・上海総合指数も反発。ニューヨーク原油先物相場はアジア時間22日の時間外取引で上昇している。
石川氏は、ニューヨークまで株高が続けば、ドル・円がもう一段上昇する可能性はあるが、先週以降、一目均衡表の転換線で上値を抑えられる形となっており、リスクオンになり切れなければ足元113円台前半にある転換線付近の重さが改めて意識され、「戻り売りとなる可能性が高い」と指摘。実際、週末に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控えて、「為替に直接効くような政策」を単独で打ち出すのは難しいため、いったん下を攻め始めると、111円割れを目指す展開になりやすいと語った。
事情に詳しい複数の当局者が明らかにしたところによると、26、27日に中国・上海で開かれるG20会議では世界成長見通しの悪化や政策当局の対応方法が主要議題になる見通し。中国金融市場の混乱や世界の金融システムのセーフティーネットを強化する方法についても話し合われる。  
ポンド下落
週明けのアジア市場ではポンドが反落。ロンドン市長がEU残留の是非を問う6月の国民投票に向けて、EU離脱を求める運動を展開すると表明したことが売り材料となった。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、英国のEU離脱はまずないと思うが、不透明感は続くので、ポンドの上値は重く、対ドルでは1ポンド=1.4ー1.5ドルでのもみ合いになると予想。世界経済の不安定さが落ち着いてくれば、米国に次いで利上げするのは英国との見方も強いため、1.4ドルを割り込むポンド安には違和感があるが、「しっかり買うのは離脱うんぬんがしっかり晴れてから」と語った。
ポンドは対円で一時1ポンド=160円ちょうど付近まで下落し、今月11日に付けた13年11月以来の安値に接近。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの平野淳外国為替営業部長は、「6月23日の国民投票が決まり、これからさまざまな政治家などが離脱残留の意思表示をして、モメンタムが出てくるため、織り込むにはまだ早い」とした上で、ポンド・円は160−165円がコアレンジだが、「時期的に3月末の年度末前で円へのレパトリ(自国への資金回帰)フローがあることを考えると、157−158円程度までオーバーシュートする可能性もあるだろう」と話した。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2X6546S972801.html



ブラックロックは日本株に強気、海外勢売りと一線画す−春闘が鍵 (1)
2016/02/22 11:58 JST

    (ブルームバーグ):4.6兆ドル(約524兆円)を運用する世界最大の資産運用会社、ブラックロックは日本株に対する強気の姿勢を崩していない。割安感や海外と比較した企業業績の堅調、日本銀行の金融緩和姿勢を依然評価しているためで、主要国の中でも目立つ年初来の下げを主導した他の海外投資家とは一線を画す。
チーフ・インベストメント・ストラテジストのラス・ケステリッチ氏(サンフランシスコ在勤)は、ブルームバーグの取材に文書で回答し、日本株に対する判断は「オーバーウエート」と説明。バリュエーション面で依然として相対的に魅力があり、企業業績を支えるアグレッシブな金融緩和の継続なども理由に挙げた。
2016年のTOPIXは大発会から6日続落と、年始からの連続安としては東京証券取引所の戦後再開以来で最長を記録。その後も下値を切り下げ、2月12日には14年10月以来、およそ1年4カ月ぶりに1200ポイントを割り込んだ。19日時点の年初来下落率は17%と、世界93の主要株価指数の中ではギリシャ、イタリア、中国上海に次ぐワースト上位国だ。一方、東証の投資部門別売買動向によると、海外投資家はことしに入り2月2週までに日本株現物を6週連続で売り越し、累計売越額は2兆2400億円と最大の売り主体となっている。
ケステリッチ氏は日本株の下げが大きくなった要因について、欧州株に次いでこれまで買われていた反動に加え、「銀行株が売られたことや円高が背景にある」と分析。日本銀行のマイナス金利が「銀行システムに対する税のように受け取られ、良い押し上げとはならなかった」との認識も示した。
しかし同氏は、バリュエーション面やコーポレートガバナンス(企業統治)の変化から株主資本利益率(ROE)が継続して上昇傾向にある点を評価。また、日銀がこれまでの大規模な量的緩和策のほか、市場がサプライズを持って受け止めたマイナス金利を導入したことは「短期的に円が上がらないように封じ込め、輸出企業の業績に対する救命袋となっている。他の先進国に比べて日本の業績は良い方」と指摘した。投資対象は、「内需関連や独自のビジネスモデルを持つ企業が好みだ」としている。
もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが緩やかになる可能性や原油価格の長期下落で世界の金融市場がパニックに陥り、円は安全通貨とみられている中、「日銀がどれだけ円安にしておくことができるかが問題だ」とも言及。日本のリフレ戦略が効果を上げるには金融緩和だけでは足りず、民間企業の賃上げこそが輸入物価の上昇を打ち消し、内需をサポートするとみている。ケステリッチ氏は、ことしの春闘は重要なシグナルとの認識を示した。
22日の日本株は、前週末の海外為替市場での円高推移、国際原油市況の下落が嫌気され、TOPIXは朝方に一時1%以上下げたが、その後は内需セクター中心に見直しの買いがが入り、1%以上反発する場面がみられた。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/data?pid=avimage&iid=iblg1ySJtBUY
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2Q8DF6K50XW01.html

 

Business | 2016年 02月 22日 14:46 JST
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ロイター企業調査:最適な円相場110円台が5割、製品値上げは減少

 2月22日、2月のロイター企業調査によると、現状ではほとんど業種で望ましいドル/円相場は1ドル110─120円が5割を占めた。名古屋で2013年7月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 22日 ロイター] - 2月のロイター企業調査によると、現状ではほとんど業種で望ましいドル/円相場は1ドル110─120円が5割を占めた。輸送用機器だけは、120円台が最適との回答が6割を占めた。
一方、昨夏以来の人民元相場の下落が減益要因とした企業が全体の2割を占めた。原油価格下落の影響もあり、製品・サービスの値上げを実施・検討している企業は全体の18%で、昨年同時期の32%より大幅に減少した。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に 2月1日─16日に行った。調査対象企業は400社で、うち回答社数は265社。
事業関係に望ましいドル/円相場を聞いたところ、製造業・非製造業を合わせた輸送用機器を除く全ての業種で110円━120円が最多となった。いずれの業種でも最多となり、4割弱から6割程度を占めた。次いで多かったのが120円台。全体で3割を占めた。
昨夏以降、人民元相場が対円で下落したが、「減益要因になる」としたのは全体で21%。最も影響が大きいのは輸送用機器で46%、電機や精密機械も35%程度と多かったほか、卸売やサービスでも2割を超えた。

最適相場は110円台が最多
具体的には「輸出採算の悪化」(非鉄金属)、「中国での元建て売り上げの目減りやドル建て貸付金のコスト増」(化学)などのほか、「中国産余剰鋼材の東南アジア向け輸出ドライブに拍車かかる懸念がある。現状でも市況を大きく乱している」(卸売)といった影響もある。「インバウンド消費に水を差す」(小売り)ことも懸念されている。
「影響はない」は73%、「増益要因」は5%で、「中国生産品の輸出採算好転」(輸送用機器)、「仕入減価の低減」(小売り)などのコメントがあった。
今年、自社の製品・サービスの値上げを実施・検討している企業は全体の18%となった。昨年1月調査の32%に比べて大きく減少した。インフレ期待醸成の足を引っ張りそうだ。「原燃料価格の低下」(化学)、「原価高騰の状況にないため」(食品)、「需給の緩み」(機械)などが背景。 ただし「人件費上昇への対応」(運輸)など人手不足の深刻な建設やサービス、運輸では引き続き3割程度が値上げを検討しており、昨年とそれほど変わらない。

製品・サービス価格改定は「据え置き」が7割

(中川泉 梶本哲史 編集:山川薫)

http://jp.reuters.com/article/poll-forex-idJPKCN0VU10O


Column | 2016年 02月 22日 15:33 JST 関連トピックス: トップニュース

 
コラム:市場が想定していない英国の「EU離脱」リスク

Hugo Dixon

[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国の欧州連合(EU)残留に向けた改革案をめぐり、キャメロン英首相はEUと合意にこぎつけた。今度は、英国民が6月23日に行われる国民投票で、EUに残留するか離脱するかの意思を示す番である。

英国のEU離脱(ブレグジット)の可能性は50%を下回っているが、もし有権者が離脱することを選択するなら、その経済的影響は深刻なものになり得る。

複数の世論調査が離脱リスクの高いことを示している。NatCenソーシャル・リサーチの世論調査では「離脱」は48%で、「残留」の52%とそう大差ない。

だが実際にそこまで接戦というほどではないだろう。とりわけ、キャメロン首相のみならず、残留17対離脱5で割れている彼の内閣も、EU残留に向けたキャンペーンをほとんどまだ始めていない。

一方、ロンドンのボリス・ジョンソン市長は21日、離脱を支持すると表明。人気のある同市長による離脱支持表明は、離脱派にとって非常に強力なカンフル剤となる。

離脱後のビジョンについて異なる見方をする2つのグループに分かれる離脱派の代表格としては、右派の英独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首がこれまで最も有名だった。ファラージ氏の場合は、人を引きつけるよりも、離れていく人の方が多かった。

しかしさらに問題なのは、多くのことが残留派にとって不利に働く可能性があることだ。この春に、もし中東や北アフリカから新たに大量の難民・移民が欧州に押し寄せた場合(実際に起こりそうなことだが)、英国民はEU離脱が最善と考えるかもしれない。英国に入ってくる難民・移民がほとんどいなくても、また、離脱することで逆に難民危機にさらされる可能性があったとしても、離脱派はそれとは反対のことを主張している。

有権者はまた、政治エリート層が自分たちの利益を主張しているとして、彼らの言うことを容易に無視するかもしれない。過去に他のEU加盟国の国民投票で実際にそれが起きたことがある。例を挙げれば、フランスの有権者は2005年、提案されていた欧州憲法条約を国民投票で否決した。

ブレグジットが起きる可能性をはかるうえで世論調査よりも優れた尺度は、ブックメーカー(賭け屋)のオッズかもしれない。ラドブロークスによると、ロンドン市長の離脱支持表明は反映されていないものの、20日時点での離脱する可能性は28%だった。

このような賭けで分からないのは、ブレグジットによって被るダメージだ。しかしながら、為替市場はその兆しを示している。英国がEUを離脱する可能性が高まると、ポンドはユーロに対し、過去3カ月で9%下落した。実際に離脱することになれば、さらに下落するだろう。

経済的影響を分析するには、離脱後の新たな常態と、それに至る過程を区別するのが有益だろう。

新たな常態は現在と比べてそれほど都合良くはいかないだろう。なぜなら、英国はEUの単一市場へ十分に参入する機会を得るのに苦しむことが予想されるからだ。そのような機会が十分に得られなければ、英国の長期的な成長見通しは引き下げられることになる。

理論上、EU加盟国でなくても市場に参加しているノルウェーのような道を歩むことは可能だが、英国がそのようなモデルを目指す可能性は低いように見える。結局のところ、人の自由な移動だけでなく、投票することなしにEU市場のルールを適用せざるを得なくなる。そのようなことを離脱を選んだ有権者に売り込むことは困難だろう。

離脱後の常態が現状よりも魅力的でないとしたら、それに至る移行の過程ではさらなる痛手を受ける恐れがある。

第一に、英国とEU加盟国双方の国民からそれぞれ譲歩しないようプレッシャーを受けることから、EUとの「離婚」は辛辣(しんらつ)なものとなり得る。対EU貿易が英国の貿易全体の半分近くを占めているのに対し、EUの対英貿易はわずか14%であることを考えると、英国の方が失うものが大きいだろう。

さらに重要なのは、EU離脱の決定が英国で政治的混乱の引き金となる可能性があることだ。キャメロン首相はたとえ離脱することになっても首相にとどまるとしているが、辞任を求める圧力は計り知れないほど高まるだろう。ロンドンのジョンソン市長がその後任として最有力となるかもしれない。

国民投票後に経済が大きく低迷し、与党保守党で激しい内部争いが起きて分裂するなら、現在はあまり真剣に受け止められてはいないシナリオだが、2020年の総選挙で野党労働党のジェレミー・コービン党首が首相となる可能性すら出てくる。コービン氏の時代錯誤な社会主義的経済政策を考えれば、市場の反応は悪いだろう。

故に、EU離脱によって、カーニー英中銀総裁が先月に警告したように、投資家は英国の資産にリスクプレミアムを乗せるようになりかねない。カーニー総裁は、英国の経常赤字を考えれば、ブレグジットは「他人の親切心」を試すことになると述べている。欧州委員会(EC)によれば、英国の経常赤字は昨年の国内総生産(GDP)の5%に達する見込みだという。

この数カ月のポンド下落にもかかわらず、市場はそのようなテールリスクを想定していないように思える。
http://jp.reuters.com/article/column-market-brexit-risk-idJPKCN0VV0EI


 


IMF、アフリカでのイメージ回復なるか
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ナイジェリアのポート・ハーコートでサンダルを売る露天商 PHOTO: GEORGE OSODI/BLOOMBERG NEWS
By
MATINA STEVIS
2016 年 2 月 22 日 14:00 JST
 【ナイロビ】国際通貨基金(IMF)は、ナイジェリアから過去の支援プログラムに関して嫌われている余り、2年ほど前に全く縁のなさそうなヒットチャートで話題になった。
 ナイジェリアのポップ歌手シェウン・クティは「IMF」と題したアフロビートの楽曲で、「われわれに涙と苦しみをもたらす」としてIMFを暗に中傷している。白黒映像のミュージックビデオには、手錠のついたブリーフケースを手にするスーツ姿の男性が登場し、IMFからの借り入れに伴う厳しい条件を示唆している。
 10年にわたり経済成長を加速させた国際商品(コモディティー)ブームが収束した今、全盛だったアフリカ経済の多くはIMFの緊急融資を再び必要としている可能性がある。商品価格急落と中国の需要減退の影響で、IMFはアフリカ経済における中心的な役割へ猛スピードで戻る可能性がある。
 IMFはアフリカ大陸全般で存在感を再び高めており、経済見通しの悪化を背景に資金や政策の処方箋を提供している。
 IMFは昨年、ガーナへ約10億ドル、モザンビークへ2億9000万ドルの金融支援を提供する一方、他にも複数の国と協議を開始した。現在は貧困国を中心に多数の支援プログラムを実施中だが、専門家らは今後、アフリカで看板的存在の国への支援が注目を集めるだろうと主張している。
 資源豊かなザンビアは、銅価格の上昇や中国の投資急増で7年にわたり力強い経済成長を遂げたが、商品価格の急落で政府歳入は急減し、政府は8月の選挙後にIMFとの支援合意を成立させようとしている。
 ザンビアのチクワンダ財務相は、IMFのガイドラインが厳格であるため、厳しい改革をIMFのせいにできるかもしれないと指摘した。
 財務相はウォール・ストリート・ジャーナルとの最近のインタビューで、「財務省関係者にとっては大きな助けになり得る。議会のメンバーには要求がある」と述べた。「われわれはIMF加盟国であり、それは権利であって後ろめたいことではない」と話した。
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IMFのラガルド専務理事(写真)は昨年、アフリカを複数回訪れた PHOTO: BLOOMBERG NEWS
 IMFがアフリカに再注目していることは、ラガルド専務理事がここ1年で複数回アフリカを訪問し、話題のイベントで話をしていることにも表れている。IMF職員は、これまで専務理事のアフリカ訪問はさほど頻繁でなく、通常はほぼ取り上げられないと述べている。
 IMFアフリカ局のロジャー・ノード副局長はインタビューで、「IMFの最高幹部は、アフリカにとって世界の状況が厳しさを増す中、われわれはいつでもそこにいて各国に必要な方法で支援するというシグナルを送ることが重要だと考えている」と話した。
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アフリカ各国の為替レート【青:ケニア・シリング、赤:モザンビーク・メティカル、黄:アンゴラ・クワンザ、灰:ザンビア・クワチャ】
 IMFはアフリカなどの債務国でのイメージ回復を図る一環として、最も立場が弱い人向けの予算保護を強化することで支援プログラムの見栄えを良くしている。さらに昨年は、危機下の加盟国の債務を免除するために資金を用いた上、エボラ出血熱に見舞われた西アフリカ諸国には一時的に医療や社会保障費を拡大するよう要請した。
 それでも、アフリカ諸国がここ数十年に順守した構造調整プログラムは厳しく、時に失敗に終わったとして、IMFはアフリカ全般で引き続き物議を醸している。例えばザンビアでは、民間機関リザルツとアフリカ経済ガバナンス・AIDSセンターによると、かつてのIMFの救済で貧困層が支援前より20%拡大した。IMFはこうした批判を否定している。
 IMFへの反感はナイジェリアでも根強い。同国は1986年、市場の自由化と予算削減、通貨切り下げを組み合わせた構造調整プログラムを処方されたが、これは最近欧州などの国に処方しているものと似ている。だが、IMF内部や世界保健機関(WHO)の専門家を含む批判家は、ナイジェリアにはそうした政策の影響に対処する準備がなく、結果として公衆衛生の悪化といった社会的悪影響が出たと主張した。
 とは言え、アフリカの見通しについて懸念している投資家は、IMFの存在感が増すことをまさに必要としている可能性がある。
 キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ジョン・アッシュボーン氏は「IMFはアフリカに非常に辛い経験をさせており、直近の経験は成功と言えない」と述べた。「だが、直接の影響(借り入れコストの低下や通貨の安定など)こそ最も関心を集めるため、西側諸国の投資家はそれほど思い悩まないだろう」とした。
 IMF自身にとってアフリカ対応の立て直しは、中核的事業への回帰を意味し、5年に及ぶユーロ圏での失策で傷ついたイメージを回復できるかもしれない。
 IMFは2010年以降、ギリシャなどユーロ圏の先進国向けに数十億ドル規模の金融支援を提供した。この経験はIMF内での自省につながったほか、IMFが富裕国の最後の貸し手となったことに憤慨した新興加盟国から反感を買った。
http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CO052_AFIMF_16U_20160218183007.jpg 

FX Forum | 2016年 02月 22日 17:57 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:株安は本当に米国景気後退の合図か=村上尚己氏

アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト
[東京 22日] - 年明けから株式などリスク資産が大きく下落、さらに2月に中国が春節の休暇に入った週には、欧州の銀行に対する信用不安が浮上し、株式市場などは調整度合いを強めた。MSCIベースの世界の株式市場は2月10日前後に昨年5月の高値からの下落率が20%に達し、いわゆる弱気相場入りとなった。

1月の混乱は中国の人民元切り下げや原油安が主たる要因だったが、2月中旬までリスク資産の調整が続いたのは、問題の震源と見られた中国の悪影響が米欧などに広く及び、2016年の世界経済の成長率が失速するリスクが一段と意識されたからだろう。

株式市場が急落した2月11日には、フェデラルファンド(FF)先物市場では米連邦準備理事会(FRB)が16年末までに1度も利上げができない可能性が約90%まで高まった。FRBは2回目の利上げはおろか、再利下げの可能性も相当見込まれるほど、成長率が失速するシナリオが織り込まれた。

日欧株の下落と比べると下落幅はややマイルドだが、米国株は15年8月安値を下回り、16年2月11日には終値ベースで15年5月の高値から14.2%下落。過去1年の高値からの米国株の下落率は約15%に達したわけだが、同様の株価下落が起きて米景気後退が意識されたのは11年夏場にさかのぼる。欧州債務危機への懸念に米国債の格下げが加わり、急落が起きた時である。

11年当時は、米国債の格下げで株価が急落した後に一部の統計が悪化、景気後退の可能性を示したことで、約2カ月にわたり直近の高値から10%以上の安値で推移した。そして高値から20%近く調整した後、欧州債務問題がくすぶる中で自律反発に転じた。11年後半から出口が見えないとされた債務問題で欧州経済がマイナス成長となったが、金利低下やFRBによるツイストオペの発動で、米国経済は外的ショックを吸収し、景気後退には至らなかったのだ。

現在は、海外経済の減速に加えて、米国内でもエネルギー資源セクターを中心に、信用市場でのスプレッドが高止まりしている。ハイイールド市場で資源関連が約20%のウェイトを占めているため、企業業績などの状況が異なるそれら以外の業種にも影響し、金融引き締め的に作用している。原油価格下落は米国経済にプラスの影響を及ぼす側面があるが、FRBの引き締めとともに、金融市場を通じてネガティブな悪影響が大きくなっている。

さらに、FRBによる銀行融資担当者への調査で、15年央から2四半期連続で企業向けの貸し出し態度をやや厳しくするとの回答が見られる。FRBが利上げを始める前の15年9月までの調査で、企業向けに貸し出しだけは態度をやや厳しくするとの回答が増え、12月までの調査でも貸し出し態度は若干ながらもさらに慎重化していた。エネルギー安やドル高などで、エネルギー関連を中心に融資態度が慎重化した。FRBの利上げ開始より前に、金融規制の影響も重なり、企業部門に限界的に金融引き締め効果が及んでいたことを意味する。

すでに3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性はほぼゼロになったが、FRBは、労働市場やインフレ率の動向に加えて、金融市場の下落率やボラティリティーはもちろんのこと、銀行の融資態度を含めた金融引き締めの副作用を幅広く勘案し、利上げ再開の判断を行うことになるかもしれない。

<2011年の株安再現でも景気後退入りリスクは低い>

ただ、信用スプレッド拡大が示す信用サイクル悪化のシグナルが、経済全体の景気後退につながるとは限らない。

そもそも信用スプレッド拡大は、原油価格下落によって引き起こされている部分が大きい。原油市場は現在、産油国同士の減産交渉の行方に関する報道や、在庫貯蔵施設の限界説から来る在庫投げ売り観測など、景気動向と離れたストーリーに支配されているが、現実には信用スプレッド拡大を助長することで景気後退リスクを強く意識させる要因となっている。

ゆえに、原油価格の変動で市場心理が決まる様相が強まっているし、銀行の融資態度の慎重化を含めた信用サイクルが景気循環を転換させるリスクとして認識されるようになっている。

過去の米景気後退のパターンを見ると、企業全体が、内部留保を超えて、設備投資などの支出を増やし、外部資金(社債・貸し出し)に依存する期間が3年以上にわたり、かつ「資金調達ギャップ(設備投資−内部資金)」が一定程度大きくなった後に景気後退が到来するケースがほとんどである。

企業の資金調達の積極化とともに、設備投資拡大が起きて、同時に株式や不動産などの資産価格上昇が発生。企業部門の資金調達の積極化と資産市場の上昇が数年続いた後、景気後退が起こるのだ。

一方、09年以降の景気回復以降、米国企業全体で見ると、利益などの内部留保を超えて、設備投資などのために外部資金による調達を増やすように(資金調達ギャップがプラスに)なったのは15年からで、1年程度しか経過していない。資金調達ギャップは1960年代以降の平均的な水準であり、平時に戻ったという段階である。

つまり、米国で景気後退を招くほど、米国企業の資金調達が積極化したとは言い難く、ようやく企業の資金調達・投資行動が平時に戻りつつあるというだけだ。シェール革命が生んだバブルとともに、13年までにハイイールド市場でブーム的に資金調達が広がったが、それは一部の関連企業に限定された局所的な動きと言える。企業部門全体で見れば、景気循環の転換をもたらすほど、企業行動の積極化が起きていたとは言い難い。

実質金利水準がマイナスの領域にあることに加え、企業の資金調達行動が平時に戻ったステージで、景気後退が到来するケースは経験則的にほとんど観測されない。今後、FRBの利上げ判断が慎重に行われれば、米国内で景気縮小圧力が高まらず、一定の外的ショックは米国の最終需要の底堅さで吸収できる余地があると思われる。

仮に11年同様に米金融政策への疑念に起因する不確実性の高まりで、株価が高値から一時的に20%前後下落しても、景気後退に至らないと見る。なお、当社エコノミストは、複数の景気先行指数の底堅い動きを踏まえ、景気後退リスクはかなり低いと認識している。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKCN0VV0G5


 

World | 2016年 02月 22日 16:07 JST 関連トピックス: トップニュース

湾岸産油国、原油安への対応で財政調整必要=IMF専務理事

[アブダビ 22日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は22日、湾岸協力会議(GCC)の産油国は、原油安に対応するため財政の調整を行う必要があるとの認識を示した。

専務理事は「原油価格は直近のピーク時から3分の2以上下落したが、需給状況をみると原油価格は長期にわたり低水準にとどまる可能性が高い」との考えを示した。

中東と北アフリカ産油国の昨年の収入は原油安により3400億ドル以上減少し、これはこれらの国全ての国内総生産(GDP)の20%に相当すると指摘。「外的衝撃の規模や継続の可能性を踏まえると、産油国は歳出を縮小し、歳入を拡大することで調整する必要がある」と語った。

その上で「GCC加盟国の大半は、今後数年で調整を行い、成長への打撃を限定的にできる状況にある」との考えを示した。
http://jp.reuters.com/article/imf-mideast-idJPKCN0VV0H5


2. 2016年2月22日 22:12:40 : aFMu7xtlBo : avgeLALoKg0[14]
せっかくのマイナス金利、これを生かして国債発行と財政出動があれば、景気は上向き税収は増え、消費税も上げなくて済む。今の日銀の緩和策はアクセル、財務省の財政規律はブレーキであり、これらを同時に踏んでも経済は活性化しない。日銀も財務相も秀才の集まりなのに、やっていることは子供でも分かるような誤った景気対策となっていしまっている。不思議なことである。

3. 2016年2月22日 23:02:26 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[302]
2016年2月22日 マネックス証券
日本株の上昇要因 マイナス金利が促す資本構成の変化 - ストラテジーレポート
要旨

・ 金利はマイナス、PBRは約1倍。このような状況では負債比率を高め、自社株を買い戻すのが企業の財務戦略として非常に合理的な判断であろう。

・ マイナス金利が導入されたことで負債のコストは一段と低下。一方、株主還元強化の流れもあって業績悪化でも減配する企業は少なく株式の資本コストは高止まりする。企業財務の観点からは負債比率の引き上げ、自己資本比率低下のインセンティブが働こう。

・ 総資本コストの低下は企業価値を増大させる。これが理論的側面からの株価上昇理由である。もっと直観的にわかりやすい話は自社株買いが増加するということだ。本決算の発表から株主総会までの4-6月期には相当の企業が例年にも増して自社株買いを発表するだろう。それは日本株の上昇要因になると考える。

得する負債
日銀のマイナス金利については、その副作用や効果を疑問視する声などネガティブな意見ばかりが目立つが、マイナス金利が真価を発揮するのはこれからである。よく指摘されるのは、預金が金利をとられて目減りしたり、反対に借入が金利をもらって得をするような極端なことにはならない、というものだが、借入金利もマイナスになるケースが実際に出てきた。

13日付の日経新聞によると、REIT(不動産投資信託)のGLP投資法人は金利スワップ契約を活用して、53億円分の借入金の金利が実質マイナスになるという。以下は日経の記事の引用である。
「GLP投資法人はこれまで銀行3行から1カ月ごとに金利が変わる変動金利で53億円を借り入れていた。この借入金に対して野村証券との間で15日から実施される金利スワップ契約を結んだ。金利スワップは変動金利と固定金利を交換する取引で、GLPは野村に固定金利を支払う一方、変動金利を受け取るようにした。元本のやりとりはないが、固定金利で資金を借り入れたのと同じ効果がある。取引の結果、実質的に0.009%の金利をもらえる計算になるという。」
これは実にすごいことである。負債というものの概念が根底から覆る。借金をすると得になる。負債というものの価値が格段に上昇する。こうしたことが可能になるのは、いまはまだ一部の企業金融の世界に限られるが、これをもっと推し進めることができれば、日本経済が長く陥ってきた停滞を抜け出すきっかけになるかもしれない。これまで刷り込まれてきた「借金は悪だ」という考えを180度覆すことができれば、大きなブレークスルーになる。

バランスシート不況
日本の80年代バブルの後遺症を「バランスシート不況」だとする見方がある。バブルのときは、こぞって借金して株や不動産を買ったがバブルが弾けて資産価格が大幅減少。負債は減らないから、結果的にバランスシートが限界まで毀損した。日本が長く不況にあえいできたのは、そのバランシート調整の過程にあったからとする説だ。その時負った傷があまりにも大きかったために、「借金をして投資すること」が企業も家計もトラウマになった。だから、金利がゼロでも誰もおカネを借りようとしない。まさに資金需要が弱い理由のひとつであり、同時にまたいくら金融緩和をしても効かない理由である。

事実、家計や企業の預貯金は増え続けている。1月25日付けの日経新聞は、長引く超低金利にもかかわらず、銀行の預金残高が増え続けていることを報じている。記事は、<年間10兆円増のペースで過去最高を更新しており、2015年11月末時点で677兆円に達した。預金者の内訳を調べると、高齢化や長寿化で「投資から貯蓄へ」という逆流現象が起きている>と伝えている。

企業が内部留保を貯めこみ、その結果、手元キャッシュが100兆円にまで膨らんでいることは、多くの報道の通りだ。僕は別に日経新聞の回し者ではないが、最近の日経はその手の報道が多く、どうしても触れないわけにはいかない。先週から始まったゼミナール(「経済教室」の下のコーナー)はずばり「内部留保の解剖」である。第2回目の金曜日は、企業が借入に頼らなくなった背景を解説している。

<1990年ごろまで、企業の資金調達は金融機関からの借り入れが中心だった。内部留保が顕著に増え始めたのは90年代後半からだ。90年前後に不動産や株式など資産価格のバブルが崩壊し、企業は債務・設備・雇用という"3つの過剰"を抱えた。経営の最優先課題は過剰の解消となった。金融機関も大量の不良債権を抱えて貸出余力が低下し、貸し渋りや貸しはがしが社会問題化した。(中略)
その後も07〜08年の世界金融危機や11年の東日本大震災で金融システムが不安定になり、企業の資金繰りに影響した。こうした経験から、企業は自分で稼いだ利益を事業活動の原資とする傾向を強めている。自己資本比率は14年度、39%になった。>

企業の資本構成が変わる可能性

僕は自己資本比率の上昇がそろそろピークアウトするのではないかと思う。冒頭に述べたように負債の価値が高まるからだ。まっとうな財務担当者であれば、こういう状況では負債の活用を真剣に検討するだろう。事実、早くもそういう動きが出てきた。JR西日本は民間企業として初めて、期間が40年の普通社債を発行する。味の素も期間20年の社債発行を計画している。<日銀がマイナス金利政策の導入を決めてから市場金利が大きく低下しており、安いコストで長期の資金を確保する><低金利の環境を生かし成長投資に必要な長期資金を調達する動きが広がり始めた>と日経新聞は解説している。本当に僕は日経の回し者ではないが、他にも記事を拾ってみよう。
20日:社債発行を再開 マイナス金利後初 大和証券など5社 利回り軒並み最低
21日:不動産融資、26年ぶり最高  昨年10.6兆円、緩和マネー動く マイナス金利が拍車も

これまで日銀が「量」を中心にした緩和策を行ってきた背景は、金利に働きかけることの限界があったからだ。金利がゼロ近傍まで低下して更に金利を下げる余地がなかったということ以上に、金利をゼロにしても資金需要が高まらなかったことのほうが金融緩和の限界を示していた。

だったら「量」を強引に増やそうとしたわけだが、その試みは成功しなかった。だが狙いは悪くなかった。つまり、どっちにしろ「壮大な経済実験」である以上、やってみなければわからない、という割り切りである。卵が先か鶏が先か、ということだ。つまり、資金需要がないからマネーが増えないのなら、強引にマネーを増やせば需要はあとからついてくるのではないか、ということを試そうとしたのである。

誤算は − いや黒田総裁はじめ日銀の方々は専門家なので、じゅうぶんわかっておられたと思うが − マネタリーベースを増やしても、それが市中に流れるマネー(ストック)の増加に直結しないという点である。銀行が信用創造を行わなければマネーは増えない。

だから今まさに信用創造をさせるべく、マイナス金利を導入して「銀行のキャッシュの置き場(=逃げ道)」を塞ぎにいったのである。ところがここでまた例の堂々巡りにぶつかる。銀行が貸さないのではなく、企業も家計も借りようとしない。資金需要が弱いから金利を下げても借り入れは増えないという議論だ。

しかし本当にそうか。実際に社債で(すなわち借金で)資金を調達する動きが出始めたではないか。前例のJR西の資金用途は安全投資、味の素はM&Aなど成長投資に充てるという。なにも今になって出てきた「資金需要の理由」ではない。そのようなニーズは従来からあった。超低金利での資金調達環境が改めて企業に従来からあったニーズを意識させた、思い起こさせたという面があるだろう。まさに卵と鶏の議論ではないか。

債務による資金調達が広がる一方、株式での調達は資本コストの面から割高感が増す。17日の日経新聞は1面で、<配当、3年連続で最高 上場企業の15年度 株主還元を重視、初の10兆円突破 >と報じた。念のために言っておくと、僕は日経新聞の回し者ではない。

以下はその記事の引用である。
<上場企業が株主への配当を増やしている。2015年度の配当総額は約10兆8000億円と初めて10兆円を超え、3年連続で過去最高を更新する見通しだ。なかでも業績見通しを下方修正した企業の約9割が従来計画通りの配当を維持する見込みで、株主還元を重視する流れが一段と鮮明だ。>

スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス強化の流れで、企業も株主還元を一層重視している。業績が悪化しても減配などそう簡単にできない。三井物産のCFOは日経新聞のインタビューで業績悪化で減配の懸念はないかとの問いにこう答えている。

<減損は資金流出が生じないため、株主還元の原資となるキャッシュの問題はない。(中略)中計で最低30%とした配当性向は、業績下方修正の結果、今期は6割に達する。それでもキャッシュフローの枠組みが崩れない限りは、配当性向に機械的にこだわらず継続性を重視して配当に回していく>

負債のコストは劇的に低い。一方、株式の資本コストは高止まりする。普通に考えれば、割高な資本である株式を買い戻すという判断が働く。ましてや今や、PBRは1倍そこそこである。簿価で買い戻せるチャンスだ。

スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス強化の流れで言えば、企業の経営者はかなりROEへの意識が高まっているだろう。すでに昨年の定時株主総会にかけた経営トップの取締役選任議案では、ROEの低い企業の賛成率が下がる事例が目立った。議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、過去5年間の平均値と、直近の実績がともに5%を下回る企業に対しては、トップの取締役の選任案に原則として反対することを推奨している。こうしたことを受けて機関投資家も議決権行使の基準を明確にする傾向が鮮明となっている。簡単に言えば、ROEを上げないと経営者のクビが飛ぶという危機意識はじわりと高まっているはずだ。

こうしたなか、円安・原油安効果の剥落もあって来期の業績拡大に赤信号がともっている。トップライン(売り上げ)はもう伸びなくなっている。ボトムライン(利益)も減益になるかもしれない。利益が伸びない環境でもROEを高めることができる。自社株買いで分母を削るのだ。借り入れを増やして財務レバレッジをかけるのも一つの手だ。但し、本業の利益率改善の努力なしにそうした小手先の財務テクニックでROEを上げても市場の評価は得られないかもしれない。しかし、現在の環境に鑑みれば正当化されるだろう。金利はマイナスで株価はPBR1倍そこそこ。この環境では負債を増やして自社株買いで自己資本を削ることの正当性が得られるだろう。

当面はG20、全人代、ECB理事会、日銀決定会合、FOMCと世界の重要なイベントに振り回される展開が続こう。しかし、3月の権利付き最終日を前に配当取りの動きなどで相場はしまってくると思う。そして新年度になれば自社株買いの動きが加速し、たとえ外国人が売ってきてもじゅうぶん吸収できる買いの主体となるだろう。日本もやがて、米国のように社債を発行して自社株買いをするような企業が現れるのではないか。マイナス金利というのはそういう可能性を存分に秘めた政策である。この政策の威力を市場はまだじゅうぶんに評価できていない。個人的な意見だが − 僕のレポートはすべて僕の個人的な見解だから改めて断るまでもないけど − そのことを肌感覚でわかっているのは、おそらくソフトバンクだと思う。
http://diamond.jp/articles/-/86735
https://newspicks.com/news/1409191?ref=user_9094


 


2016年2月22日: Vol.353

<Vol.353:マイナス金利の導入は、異次元緩和の失敗を示す>

     テーマ:マイナス金利ショックと経済成長率
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
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     感想/連絡:yoshida@cool-knowledge.com
           Systems Research Ltd.  吉田繁治
                          42389部

おはようございます、吉田繁治です。日銀によるマイナス金利の導
入以来、金融相場は、日銀が目的とした効果と真逆に動いています。

【利下げで一般に起こること】
一般に、政策金利を下げれば、その国の通貨は下がります。比較上
で高い金利の通貨(米ドル:長期金利1.7%)が買われ、低くなっ
た金利の通貨(つまり円:0.005%:2月19日)が売られるという動
きが起こるからです。外為市場で買い超になった通貨は上がり、売
り超になったマネーは下がります。

金利が下がることは、負債がある企業の利益にプラスの要素です。
このため、一般に、株価は上がります。加えて、PER(=株価/期待
純益率)の逆数である期待収益率が金利の低下によって下がるため、
PER倍率も上昇します。〔株価=期待純益÷期待収益率〕、です。

株価に寄せる期待収益率が下がるとPER倍率は上がって、株価も上
がるのが普通のことです。金利が下がると人々がお金を使うため、
株価も上がり景気が良くなるというのがこれです。

しかしわが国の金融相場では、マイナス金利のあと、「こうした普
通のこと」とは、逆のことが起こりました。

【数か月前に、予想される変化を織り込むのが金融市場】
起こった現象には、理由があるはずです。利下げとは逆の金融相場
の動きは、「通貨と株価における織り込み」を入れると説明可能な
ものになります。(詳細は、前号(352号)の、「織り込み理論」
を参照)

【日本の株価は、円安・円高に連動する】
ドルの長期金利の動きから言います。

国内市場の成長がないわが国では、外需を増やす円安が株価上昇の
条件になっているので、ドル安・円高では株価は上がりません。円
安が株価上昇の条件になっているのは、上場大手企業の平均では、
売上のほぼ50%が、米ドルで計算される海外への売上(輸出+海外
事業)だからです。

10%の円安・ドル高になると、海外事業の売上は、円換算では10%
上がります。国内での売り上げが同じでも、海外事業が多い上場企
業の売上は5%は増加し、国内のコストは同じなので、企業利益が
20%や30%は増えたようになります。以上が、円安で株価が上がる
理由です。

(注)他方、輸入企業はコスト高になり、利益は減少します。しか
し上場企業には輸出と海外生産の企業が多いため、〔円安=売上増
加→利益増=株価上昇〕になるのです。

【12月の利上げを織り込んで上がっていた米国の長期金利】
米ドルの超長期金利(10年もの国債の利回り)も、奇妙な動きをし
ています。米国FRBは2015年12月16日に、恐慌的だったリーマン危
機以来8年ぶりに、0.25%の利上げをしています。

この利上げとともに、普通は上がるべきドルの長期金利は、2.25%
(15年12月27日)から1.77%(16年2月22日)に下がっているので
す。

この理由も、「織り込み」です。

6月からの中国株の下落を起点にしていた世界の株安は、2015年10
月に、ほぼ収まり、米国の雇用数の増加から、FRBがほぼ1年間念願
にし、そのタイミングを狙っていた15年12月利上げが確実になって
いました。

このため米国債のへ世界の投資家は、12月利上げを想定し、金利が
上がれば価格が下がる米国債を売り超にして、長期金利を上げてい
たのです。このときは、2016年での4回の利上げ(0.25%×4回=1
%)も想定されて、金利が上がると下がる国債の売りを誘ったので
す。

このため2%付近だった米国の長期金利は、利FRBの上げの前にほぼ
0.25%(FRBの1回の利上げの幅)分上がって、2.25%になっていま
した。12月16日の市場の長期金利は、12月のFRBの利上げと、16年
3月の利上げを想定して、2か月前から織り込んだものになっていま
した。

そして実際、12月16日に、FRBは利上げを発表します。

ところが、FRBの利上げの前後から、世界経済の雲行きが、怪しく
なってきました。
(1)中国を筆頭とする新興国の、経済成長の急減速。
(2)新興国投資からの、量的緩和マネーの米ドルの引揚げ。
(3)原油価格の下落による、産油国財政の悪化。
(4)新興国を50%の市場にしている米国の輸出の減少。

【FRBの16年3月利上げはなくなったという予想】
世界景気の悪化のため、米国の長期金利に織り込まれていた16年3
月のFRBの利上げは「ほぼない」から、「絶対にない」というよう
に、変わってきました。

このため16年3月利上げを織り込んで2.25%に上がっていた米国金利
は1.77%へと、0.48ポイント(21%)も下げたのです。(米国の長
期金利の推移:15年10月から16年2月をみてください)
http://jp.investing.com/rates-bonds/u.s.-10-year-bond-yield

【ドルの金利が下がるとドルも下がる】
ドルの長期金利が下がると、海外から、金利差(イールド・スプレ
ッド)で買われていた米ドルも下がります。事実16年2月1日に、$
1=121円だったドルは、2月22現在は113円付近に上がり、7.5%の
ドル安・円高になっています。

【マイナス金利にしても、米国との金利差は拡大した】
日銀のマイナス金利は0.1%の利下げ幅であり、米国の利上げ後の
長期金利の低下(2.25%→1.77%:0.48ポイント)よりもはるかに
小さいからです。マイナス金利の前より、米ドルとの相対的に見た
金利は、上がったからです。(注)仮に、日銀が、一挙に1.0%の
マイナス金利に踏み込んでいれば金、「円安」に向かったはずです。

【マイナス金利後の円高のため、日本の株価は下がった】
国内経済が成長しなくなった1997年以降、円高になると日本の株価
は下がり、円安で上がる性質があります。このため、-0.1%という
マイナス金利とともに、以上の織り込みの現象を理由に、「利下げ
で円高になり、株価は下がる」という事態が生じています。

以上、前号の要約した振り返りでした。

ドルに対する円高はほぼ7%(8円)、株価は21%(4000円)の下げ
です。
1円の円高に対して、日経平均はほぼ400円〜500円は下げています。

【日本の自然成長率の低下】
本稿では、「日本の自然成長率の低下」をテーマにします。日銀の
中曾副総裁は、2月12日にNYで講演し、マイナス金利をとった理由
を述べています。

講演内容は、「日銀の、日本経済に対する見解」と言えるものです。
幸い、講演の全文と経済データが日銀のサイトに出ています。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160213a.htm/

これを採りあげる理由は、日銀の政策であるマイナス金利の理由を、
日本の潜在成長率(自然成長率)の低下に求めるというように、日
銀が主旨替えをしているからです。2年9か月ほぼ200兆円分も行っ
てきた異次元緩和が、効かないのは、日本の潜在成長率(自然成長
率)が低いためだという、言い訳がされているからです。

2015年11月に、NYタイムズ紙のコラムで、量的緩和が、円安は生ん
でも、目的としていた物価と経済成長の面では効果を上げていない
ことを見て、クルーグマンが言っていた言い訳と同じ筋です。

日銀も、クルーグマンと同じ言い訳をし始めたと見ていいしょう。
なぜ、国内でこの講演をせず、NYで行ったのか。「アベノミクスの
本命だった量的緩和は失敗だった」と言われることを恐れたためで
しょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<Vol.353:マイナス金利導入は異次元緩和の失敗を示す>

      2016年2月22日:無料版

【目次】

1.日本の潜在成長率(自然成長率)の低下を挙げる
2.労働参加率を上げるという方法があるという
3.結論は、技術革新への期待の表明だった

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■1.日本の、潜在成長率(自然成長率)の低下を挙げる

<わが国の潜在成長率は趨勢的に低下しており、日本銀行の推計に
よると、ゼロ%台前半ないしは半ば程度となっています。潜在成長
率がこれくらい低くなると、経済にわずかな負のショックが生じる
だけで、──これには、統計上の誤差の発生も含みますが──、計
測上、GDPがマイナス成長に陥りやすくなってしまっています。
ご承知のとおり、成長率は、労働投入の伸びと労働生産性の伸びに
分けることができますが、長い目でみて、どちらの要因も成長率の
押し下げに寄与しています。(中曾講演(1):原文のママ)>

潜在成長力は自然成長力とも言い、インフレにもデフレにもならな
い状態での、GDPの実質成長率を言います。この時の金利は、潜在
成長率とほぼ一致します。

この潜在成長力は、1人当たりの労働生産性、労働者数の積です。

GDPの潜在成長率=労働生産性の成長率×労働者数の増加率、です。
会社の売上が、[1人当たり売上×8時間換算社員数〕から成るのと
同じです。

社員数が年率で5%増え、労働過程に、情報機器や機械の導入して
技術革新(イノべーション)を計ることで1人当たり売上を4%増や
すことができれば、会社の売上は9%増えます。

1人当たり売上が4%増えるなら、1人当たりの賃金も、3%は上げる
ことができます。賃金が上がれば、需要(世帯消費)は増えます。
賃金が上がることで増える需要に合わせて、生産も増えて行くとい
うGDPの成長軌道に乗るのです。GDPとは、生産される商品の合計金
額でもあります。このGDPは三面等価であり、生産=所得=需要で
す。

ほぼ100年前、世界ではじめてのテイラーイズムでの量産車T型フ
ォードの時代に、創業者のヘンリー・フォードがビジョンとしたの
は、「1人当たり生産性を高め賃金を上げることで、普通の人が車
を買えるようにする」ことでした(『藁のハンドル』:)。

テイラーイズム(当時の最新のイノベーション)とは、現代にまで
続くベルトコンベア型生産を開発したフレデリック・テイラーによ
る生産方式です。

国のGDPが成長するには、労働生産性の成長率(↑)×労働者数
(↑)×就業率(↑)での、全部またはいずれかの要素が、他の要
素よりプラスでなければならない。

日銀が集計したわが国の潜在成長率は、以下でした。いずれも年率
です。

【わが国の実質GDPの潜在成長率】
     労働生産性上昇率  労働者数増加率  潜在成長率
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1970年代     4.2%       0.8%     5.0%
1980年代     3.4%       1.0%     4.4%
1990年代     0.9%       0.5%     1.4%
2000年代     0.8%       -0.2%     0.6%
2010年代      不明       -0.3%        
2020年代      不明       -0.7%
2030年代      不明       -1.2%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)労働者数の将来推計は人口問題研究所の、生産年齢人口
(15歳〜65歳)と、内閣府の就業率の推計による。

1980年代までは、労働生産性の上昇は3%以上と高く、労働者数も
増加していました。このためGDPの実質成長率(≒潜在成長力)も
4%以上と高かった。(注)現在の中国のような感じだったのが、
1980年代までです。

90年代には労働生産性の年率成長が0.9%に下がります。ついで00
年代には、0.8%に下がっています。そして1997年以降は、生産年
齢人口(15歳〜64歳)も減り始めたのです。

2010年代(2010年から2019年)には就業者は年率で0.3%減り、東
京オリンピック後の20年代には年率で0.7%減って、30年代になる
と減少は年率1.2%と大きくなっていきます。

わが国の、自営を含む就業者は、2015年で6360万人(総人口1億
2673万人の50%)です。2010年代は、この就業者が年率で19万人減
り、20年代には45万人、30年代には76万人ずつ減っていきます。こ
れは人口構造に基づく変化であり、99%は確定しています。

◎2000年代に年率で0.8%に下がった労働生産性の上昇率を、1%、
2%、3%と高めていかない限り、わが国の実質GDPが、今後増える
ことはない。

日銀が異次元緩和というマネーの増発策で目標にしたのは、GDPの
実質成長率では2%付近でした。これは、働く人1人当たりの労働生
産性の可能な上昇を、ほぼ3%と見ていたことを示します。

ところが1980年代のバブル経済期にも、わが国の労働生産性の上昇
は3.4%/年でした。バブル期とほぼ同じ労働生産性の上昇を、今後、
わが国が毎年続けるのは、ほぼ不可能に思えます。

政府・日銀は、マネーを増発するという手段で労働生産性の上昇3
%付近が可能であるとしていたことになります。(注)この3%上
昇は1年だけではない。毎年、続くべきものです。

マイナス金利を含む金融緩和により、企業が設備投資を増やし、そ
れが労働者1人当たりの資本装備率(資本/労働者)を上げ、3%の
労働生産性の上昇が可能になるとしていたことになります。

これは上位5%のグループでしかない成長企業では可能でしょう。
しかし残り95%を含む260万社全体と一次産業を含む自営業の平均
生産性上昇としては不可能です(断言します)。

日銀の中曽副総裁は、異次元緩和が目的としていたGDPの実質成長
と2%の物価上昇の実現が不可能になってきたことから、「日本は、
潜在成長率が0%台に下がっている」というマネー以外の事実をも
ち出したと思えます。

■2.労働参加率を上げるという方法があるという

<こうした潜在成長率の低下傾向は、いつまで続くのでしょうか。
もし続くのであれば、これにどのように対処すればよいのでしょう
か。ことの重要性について、だいたいの勘所を持っていただくため
に、ここで政府が目標とする2%の実質成長率を実現するに当たっ
ての簡単な試算をお示ししたいと思います。(中曽講演(2))>

<図表2では労働参加の前提が異なる2つのシナリオを示していま
す。ひとつは、「現状維持シナリオ」で、将来の労働参加率が現状
のまま維持されると仮定しています。もうひとつは、「楽観シナリ
オ」です。「楽観シナリオ」では、(1)女性の労働参加率がスウ
ェーデン並みに上昇する(88%:日本は72%)、(2)全ての健康
な高齢者が、退職年齢を問わず働き続ける、との2つの仮定が設け
られています。(中曽講演(3))>

<このうち2つ目の仮定は、例えばわが国の80〜84 歳の高齢者の
うち約60%が「問題なく日常生活を送っている」と回答しているこ
とを踏まえたもので、ここでは、こうした健康な高齢者が皆働き続
けることを仮定しています。(中曽講演(4))>

【実質2%成長に必要な労働生産性の上昇と就業者数の増加】

         1990〜14 2015〜40    1990〜14
          実績  目標      米国
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
実質GDP成長率   1.1%  2.0%      2.4%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
労働生産性上昇率  0.9%  1.6%      1.5%
就業者数増加率   0.1%  0.4%      0.9%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
人口構成からの傾向     -1.0%      
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日銀が、2015年から2040年に、実質GDP成長で2%を実現するために
必要としている目標値は、
・労働生産性の上昇で年率1.6%、
・就業者の増加で年率0.4%です。

就業者で0.4%の増加を今後25年続けると、〔1.004の25乗=1.10で
す。2015年時点での就業者数は6360万人であり、人口に対する就業
率(働く人の割合)は50%です。

現在の就業者6360万人を1.1倍にするということは、6996万人です。
しかし2040年の人口は、約2000万人(16%)減って、1億726万人で
す(国立人口問題研究所の推計)。6人が5人になるイメージです。
現在30万人の都市が、人口では25万人に減ります。

現在の就業率50%のままなら働く人は人口減と同じ割合で減り、
5363万人(84%)になります。この中で就業人口を6996万人へと
10%増やすことは、従来は働きうことをやめていた人を、働くよう
にして1367万人増やさねばならない。

・女性の就業率72%を、ほぼ全員労働のスウェーデン並みの82%に
高め、
・65歳では退職せず、70代も働き続け、
・80歳から84歳までで健康な人(約60%)が働き続けることが必要
です。
(注)戦争のときの、国家総動員令のようですね。

以上によって実現するのが、今後25年間人口が平均で70万人減って
行く中で、就業者を6996万(現在の+10%)に増やすことです。こ
れが年率で0.4%の就業を増やすことの内容です。

0.4%はとても少ないように見えますが、実数で言えば、
・年率70万人の人口減の中で、
・働く人の実数を25万人増やし続けるということです。

生活イメージで言うと、
・健康な男性は、70代はもちろん、84歳まで働き続けること、
・女性の15歳以上64歳までは、82%の人が働くこと、です。

これが、実は、政府が言い始めた「1億総活躍社会」です。ただし
これによって実現するのは、就業人口の年率でわずか0.4%(約25
万人/年)の増加でしかない。

講演した中曽副総裁も「これが可能かどうかは別として(机上の計
算だけをすれば)」と加えています。実現しないという含意です。

以上のように、
・人口が減る中で就業者を増やした上に、
・1人当たりの労働生産性を年率1.6%(25年で1.49倍)増やさねば、
実質GDPの2%成長にはなりません。

1994年から2015年までの20年間、年率の労働生産性の上昇は0.9%
でした。00年代には多少高かったので、2010年代はほぼ0.5%付近
に低下しています(日本生産性本部)。

これを、どうやって政府・日銀が、毎年1.6%高めるのか? 
しかも、向こう25年間、毎年です。

■3.結論は、技術革新への期待の表明だった

<しかしながら、バーナンキ前FRB議長が言うように、金融政策
は決して万能薬ではありません。近年の経済成長理論などの発展を
みますと、経済成長には、制度設計や経済システムといった視点が
不可欠であることを認識させられます。最先端の企業がさらなるイ
ノベーションを生み出し、生産性を引き上げることができるような
制度設計が必要となっています(中曽講演(5))>

<先ほど、わが国にとってキャッチアップが引き続き重要と申し上
げましたが、結局のところ、経済成長の究極のエンジンはイノベー
ションにほかなりません。ここで申し上げている「制度設計」とは、
経済的な側面のみならず、法律や教育など、他の社会的な側面をも
含んだ概念です。わが国の政府が、構造改革の継続を通じて、そう
した制度設計面での役割を果たしていくことを強く願っている次第
です。(中曽講演(6))>

労働生産性を上げるには、企業内の技術革新が必要です。会社での
働き方の変更で、生産性(1人当たりの売上)を増やさねばならな
い。(注)作業の手順変更と、機械化、情報化です。

中曽講演の結論はこのイノベーションの必要でした。
この結論は、日銀の金融政策では、実現が無理だということです。

ところが日銀は、デフレは貨幣現象であると間違って結論付け、こ
の前提の上に、異次元緩和として現金の増発策を実行してきました
(約200兆円)。

マネー量が増えれば、2年で物価目標2%は達成できる(消費税増税
分は含まない)。2%のインフレになれば企業家は売上の増加を期
待するように変わり、260万社が設備投資を増やすよう変わる。そ
れによって、経済は成長すると説くのがリフレ論でした。

しかし実際は、2%のインフレも、2%の実質成長もなかった。

そこで、貨幣現象以外から、「人口構成と技術革新の停滞による
GDP長期停滞論」をもち出した。これが、NYでの2016年2月の中曽講
演でしょう。

『流動性の罠』で、量的緩和を奨めたクルーグマンが、2016年11月
に、NYタイムズ紙のコラムで認めた「人口構成と技術革新の停滞に
よるGDP長期停滞」なら、マネー量を増やす異次元緩和は、治療薬
ではなかったのです。

人口構成と技術革新の停滞によるGDP長期停滞の場合、GDPを増やし
て同時にインフレにするには、「国債の増発による財政支出の増
加」が必要でした。(注)ただしこれは、財政破産の危機もはらみ
ます。

今後の日本で、実質GDPの2%成長という目標の達成は、副総裁の中
曽氏が言うように、<最先端の企業がさらなるイノベーションを生
み出し、生産性を引き上げることができること。他が、そのイノ
べーションを追うこと>が必要です。

これは日銀の金融緩和とマイナス金利で実現できることではない。
ヘンリー・フォードの現代版のように、「自分が変える」というイ
ノベ─ティブな精神をもつ企業家が行わねばならないことです。

政府・日銀が、民間企業のイノベーションを引き起こすことはでき
ません。イノベーションの邪魔をしないこと、支援することしかで
きないのです。

中曽日銀副総裁のNY講演の、立論の構造とその素材を見て、日銀は、
リフレ策の失敗として、それとは言わず白旗を上げています。異次
元緩和とは無関係な、就業人口の増加と企業のイノべーションが必
要という結論だったからです。

マイナス金利は、異次元緩和の延長ではなく失敗を示すものです。
これを株式市場は、すでに見透かしています。このため、マイナス
金利と同時に、将来の企業利益の増加が期待できなくなってきた株
を売って下げているのです。

2013年当時は、異次元緩和が、GDPの実質成長とインフレをもたら
すと期待していました。2年10か月が経ちました。予定額以上に、
異次元緩和は実行されました。しかしGDPの実質成長率とインフレ
率は高まらない。

あるかも知れないと思っていた幻想が、剥(は)がれ落ちたのです。
中曽氏の講演は、金融緩和以外の要素に、経済成長とインフレを求
めたものです。

【後記】
新刊書:膨張する金融資産のパラドックス

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