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1万5000円割れはいったい何だったのか…(撮影:尾形文繁)
リーマン時とは異なるPBR1倍割れの意味
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160218-00105546-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 2月18日(木)19時21分配信
12日の日経平均株価は前日比760円安の1万4952円と、2014年10月21日以来の1万5000円割れを記録した。黒田総裁就任後の日銀が第2弾の緩和策を打ち出したのは同年の10月31日。それ以前の水準に戻ってしまったわけである。
利払いへの不安から株価急落に見舞われていたドイツ銀行は債券買い入れの方針を示した。米国ではJPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏が、経営の先行きに対する市場へのメッセージか、自己株50万株を取得。そして、アラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー相は「非加盟国が協調するならOPEC(石油輸出国機構)内で減産する意向がある」とコメントした。
12日の日本時間にはすべて伝えられていたことだ。ダイモンCEOの件については2日も前のことである。欧米の銀行株の反発や原油相場の上昇が予想されていたにもかかわらず、東京市場は崩落状態が続いたのだ。
12日、ドイツ銀行の株価はプラス12.5%、JPモルガン・チェースがプラス8.3%と、ともに大幅高となった。原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物当限はプラス12.3%と、1日としては09年2月以来の上昇率を記録した。
これを受けて15日の日経平均は前週末比1069円高の1万6022円と12日の下げ幅を埋め切る急騰を演じ、東証株価指数(TOPIX)に至っては上昇率が8%を超えた時点で、取引所が一時的に裁定取引にかかわる株券の買い付けを停止する「サーキットブレーカー」を発動した。「12日の東京市場はいったい何だったのか」、「株価の先見性とはまやかしか」などと、釈然としない思いにかられた向きも少なくなかったのではないか。
■ 1万3300円割れなら悪夢の再現も…
12日に7本合計で337億円の日経平均リンク債が「ノックイン」したと聞くと、リーマンショック前後のことが思い出される。日経平均は07年の7月9日に1万8261円の高値を付けた。それからちょうど1カ月後の8月9日、フランスの金融機関、BNPパリバは傘下の3つのヘッジファンドの償還を停止すると発表した。保有するサブプライムローンの関連商品が換金できないため解約を受け付けないというものだ。
単なるヘッジファンドの破綻ならどうということはないが、即座に欧州中央銀行(ECB)が948億ユーロ(直後に無制限へ転換)の資金供給を決め、米連邦準備制度理事会(FRB)も240億ドルの供給に乗り出したのが事態の深刻さを示している。ECBの資金供給は01年9月の米国同時多発テロ発生時の693億ユーロを上回る規模に達した。いわゆる「パリバショック」である。
同ショックを契機に世界的な「リスクオフ」の状況が続いた。その後、3カ月あまりが経過して日経平均が1万5000円を割り込み、1万4837円まで下落した11月21日。今回と同じように相当量のリンク債がノックインした、と報じられた。ノックインプライスが近づくに連れて発行体(厳密にはスワップハウス)は発行量と同じ額になるまで先物などを買い続けるが、ノックインした瞬間にポジションをすべて放出、すなわち、売却するという設計になっている。
平時に株価を2〜3割も押し下げようなどとは誰も考えないが、自然体で下がって来て目の前にノックインプライスが迫ってくると投機筋の格好の標的になってしまう。それは当時も今も変わらない。07年当時、まず彼らの射程に入ったのは発行日の日経平均からマイナス20%程度に価格が設定されているリンク債で、その後はマイナス30%、マイナス40%といった保守的な設計のリンク債も次々と彼らの餌食になった。
現時点では次にノックインプライスが集中しているのは1万3300円近辺とみられている。ノックインすることなく無事に償還を迎えるよう祈るばかりだ。
投機筋の売り浴びせが一巡した後は小康状態を迎えるのが相場の常である。07年11月も日経平均は自律反発局面を迎えたが、同月21日の終値からは8%ちょっとの上昇で終了してしまった。今月12日の株価で計算すると1万6200円弱のレベルだ。これを超えることができないようなら、市場には再び疑心暗鬼が広がる場面が訪れるのかもしれない。
12日には当時を思い起こさせる、もう一つのニュースがあった。日経平均の株価純資産倍率(PBR)が1倍を割り込んだのである(TOPIXは1.01倍)。時価総額が解散価値である純資産総額以下になってしまったわけだ。
リーマンショック時にも当然ながら同じことが起きて新聞の紙面を飾った。それはいつだったのか? 答えはリーマン・ブラザーズの破綻から3週間あまり経過した08年の10月8日である。TOPIXのPBRは0.99となった。同日の日経平均の終値は9203円でTOPIXは899.01ポイントだった。
当時はその後も下値模索が続いた。PBRの1倍割れが必ずしも底入れを示唆するとは限らないのだ。00年以降は期間損益が著しく悪化したことに引っ張られてPBRは0.8倍台までたびたび低下した。
■ 国債の代替で買われそうな銘柄も少なくない
ただ、注目したいのは08年と現在では同じ1倍割れでも株価水準が大きく違う点である。ということは、純資産総額は大きく膨らんでいるのである。純資産は資本金と内部留保の合計に等しい。ため込まずに放出しろと政界でさんざん取り上げられた、あの内部留保だ。リーマンショック時に体験した過去に例を見ない信用収縮を日本企業は忘れていなかったということだろう。
マイナス金利の世界にいち早く入った欧州では「ニューソブリン」という造語が話題らしい。ソブリンとは平たく言えば国債。つまり、「ニューソブリン」は金利が付かないどころか、利回りがマイナスになってしまった国債の代替になるものを指すらしい。財務体質が強固な企業の社債の利回りも“潰れている”状況で不動産やREIT(不動産投資信託)などに資金が向けられているようだ。
短期的とはいえ、08年の暮れのように売り上げの2〜3割が蒸発するといった事態に至れば話は別だが、リーマンショックの教訓は各国・地域のセーフティネット構築や、日本企業の経営者心理にも生かされている。直近の米SP500のPBRは約1.81倍だ。ドイツのDAX指数は1.49倍、中国の上海総合指数ベースでは1.17倍だ。「ニューソブリン」の適格要件を満たす日本企業は多いのではないだろうか。
せがわ・つよし●新日本証券(現みずほ証券)に入社後、株式投信の運用業務、情報部門、自己売買部門のマネージャーなどを歴任。さくら証券にエクイティ部 部長として勤務後、2001年4月に新光証券(現みずほ証券)にストラテジストとして入社。独立後は経済番組のコメンテーターとして活躍し、現在は瀬川投資研究所代表。市場関係者への丹念な取材や緻密なデータ分析に基づいた独自の相場解説で人気。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
瀬川 剛
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