Business | 2016年 02月 18日 14:40 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス アングル:欧州銀、石油企業向け融資で損失発生の懸念[ミラノ/ロンドン 17日 ロイター] - 欧州の銀行は、原油が最高値を更新していたときに高リスクのプロジェクトに大量の融資を行った。しかし油価急落で石油会社の経営はひっ迫。銀行は融資の焦げ付きで最大180億ドルの損失を被る恐れもあり、投資家の間で懸念が高まっている。 原油高の際にはING(ING.AS)、HSBC(HSBA.L)、ドイツ銀行(DBKGn.DE)など大手行が融資を競っただけに、痛みは金融市場全体に広がっている。 シティグループ(C.N)やバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)などエネルギー業界向けのエクスポージャーが大きい米金融大手は既に巨額の引当金計上を発表しているが、こうした問題は北米に限らないようだ。 SYZアセット・マネジメントのファンドマネジャー、マイケル・ペドロニ氏は「投資家の懸念の矛先は欧州に転じた」と話す。その上で、痛みを伴う問題だろうが、まだ見通しは限られるものの乗り切り可能に見受けられるとした。 広告 欧州の銀行は既にマイナス金利などほかにも不安材料を抱えており、投資家は大規模な融資の返済期限を注視している。原油は価格低迷が続き、石油会社の信用力も悪化する恐れがある。 BNPパリバのストラテジストによると、欧州の銀行のエネルギーセクター向け融資は総額4000億ユーロ(4450億ドル)。このうち20%が高利回り融資で、債務不履行により60億ユーロの損失が発生しかねない。 債務保証コスト上昇のため銀行はローン債権で減損処理を余儀なくされ、貸倒引当金を積み増す可能性もあるという。 欧州の銀行株指数は年初来で20%下落し、市場全体の2倍の落ち込みとなっている。 モルガン・スタンレーは欧州の銀行株の下落について「エネルギーとコモディティの組み合わせによるリスクを反映している」と分析。原油安で自己資本比率が175ベーシスポイント(bp)低下する恐れがある金融機関としてスタンダード・チャータード(STAN.L)、DNB(DNB.OL)、クレディ・アグリコル(CAGR.PA)、ナティクシス(CNAT.PA)、ING、ABN(ABNd.AS)を挙げた。 原油安で低インフレへの懸念が強まり、欧州中央銀行(ECB)が利下げに動いたため、銀行の利幅は一層圧迫されている。 アシュバートンのベロニカ・ペシュレーナー氏らファンドマネジャーの中には、石油セクターへのエクスポージャーにばかりに目を向けると欧州の銀行の状態の悪さの一部しか取り上げないことになるとの声もある。ただ、こうした主張のファンドマネジャーも銀行がエネルギー関連のエクスポージャーの情報開示を進めることは歓迎している。 アナリストなどによると、欧州の銀行は米銀に比べて引当金の開示がお粗末だ。 一方、欧州銀の打撃の程度が顕在化するのには時間が掛かりそうだ。 バーンスタインのアナリストらは、高利回りの融資の返済がピークを迎えるのは2017年の第2・四半期と第4・四半期の110億ドル強で、今年第2・四半期は80億ドルと推計。欧州と英国の銀行がエネルギー産業向け高利回り融資で被る損失はそれぞれ130億ドル、50億ドルとみている。 (Danilo Masoni and Alistair Smout記者) http://jp.reuters.com/article/eurobank-oillending-idJPKCN0VR0FG
ECBに新たなジレンマ 欧州銀行株の急落 欧州の銀行株が下落する中、のドラギ総裁(中央)率いるECBはジレンマに陥っている By TOM FAIRLESS 2016 年 2 月 18 日 14:16 JST 【フランクフルト】欧州の金融株が急落しているため、欧州中央銀行(ECB)は3月の定例理事会でマイナス金利のさらなる引き下げを見送るよう圧力にさらされている。しかし、ECB当局者は、追加利下げを検討すると表明している。 欧州の銀行・保険株は最近、市場全体よりもさらに大幅な値下がりに見舞われている。投資家らによれば、マイナス金利が金融機関の収益を圧迫していることが一因で、追加利下げへの懸念がさらなる下落を誘発している。それでもECB当局者は、3月10日の次回理事会で現行の金融緩和策を見直す際に、そうした懸念に左右されないとのメッセージを市場に送っている。 マイナス金利政策によって、市中銀行がECBに預ける中銀預金に対する金利はマイナスとなっている。ECBは、これによって金融機関が貸し出しに積極的になり、低迷するユーロ圏の景気が浮揚することを期待している。 ECB本店(フランクフルト ECBのドラギ総裁は15日の欧州議会で、インフレ目標実現のためあらゆる政策手段の活用を躊躇しないとの決意を表明した。一部のECB理事も追加利下げを唱えている。 ドラギ総裁は銀行株の急落について、中央銀行が対応する必要のあるシステミックリスクではなく、各金融機関固有のものであるか、もしくは収益性に基づくものであるとの認識を示した。同総裁は、銀行の収益を守るのはECBの任務ではないとしばしば強調している。 金融政策をめぐる論議では、銀行から投資家や顧客が逃避する事態を誘発せず、ECBが金利をどこまで引き下げられるかが焦点となっている。ECB関係者によれば、銀行株の急落で、ECBは銀行の資金調達コスト上昇を相殺するため追加利下げに踏み切る可能性もあるという。 ロンドンにある「G+エコノミクス」のエコノミストであるレナ・コミレバ氏によれば、金利先物市場が織り込むECBの中銀預金金利は現行のマイナス0.2%からマイナス0.5%に低下し、その後も利下げが続く確率は86%とされている。コミレバ氏は、同金利が最終的にマイナス1%に落ち込むと予想している。 金融株の最近の急落が起きる前の昨年12月の理事会では、大半のメンバーが「中銀預金金利をさらに引き下げる調整余地が多少ある」との認識を示した。だが、欧州の金融機関は一般に、マイナス金利のコストを個人顧客に転嫁できないので、銀行にとっては一種の課税として作用すると懸念している。欧州銀行連盟(EBF)首席エコノミスト・グループのヘルジ・ペダーセン氏は、マイナス金利は融資支援に大して役立たず、銀行が追加コストを転嫁しようとすれば、融資金利が高くなる恐れさえあると警告する。 投資家もその見方に同調しているようだ。MSCIヨーロッパ・フィナンシャルズ指数は年初来で約20%下落し、下げはストックス・ヨーロッパ600指数のほぼ11%を大きく上回っている。 米資産運用大手ピムコのドイツ・ポートフォリオ運用チームのトップであるアンドルー・ボソムワース氏は、「(マイナス金利の結果)銀行の利益率が極端に低下するのではないかと市場が不安視すれば、投資家は銀行株を買わなくなるだろう」とし、「これが欧州で起きている可能性が高い」と述べる。 しかし、ドラギ総裁は1月、銀行の収益性をめぐる懸念への最善の対処法は「物価安定の下で持続的な成長を確実に達成することである」と指摘し、「追加金融緩和が必要になるかもしれない」として追加利下げをほのめかした。 キャピタル・エコノミスクスのエコノミスト、ジョナサン・ロイネス氏は「ECBは景気てこ入れのため、目先は銀行収益をさらに圧迫することに踏み切る構えのようだ」と分析する。同社は、ECBが3月の理事会で中銀預金金利を0.2%引き下げ、国債購入プログラムを大幅に拡大すると予想している。 ただ、金利をさらに引き下げればいずれ銀行は中銀への預金をやめ、現金を保有するようになるため逆効果になるだろう。一部アナリストは、同金利がマイナス0.5%以下になればそうした事態になる恐れがあると警鐘を鳴らす。 一方、ピムコのボソムワース氏は、金利がマイナス1%前後になれば、問題が表面化する可能性が大きいとみる。同氏によれば、銀行は個人顧客へのコスト転嫁を始めるため、預金者は預金を引き出して退蔵しようとし、取り付け騒ぎとなる恐れがあると言う。 関連記事 原油価格めぐる懸念、欧州の銀行に響く 日銀マイナス金利、裏目に出た円安誘導の意図
欧州市場、本当の問題は銀行より債券 By RICHARD BARLEY 2016 年 2 月 18 日 13:04 JST 栄光からの転落は、急激でしかも厳しいものだった。投資家が高利回りを求める中、利回りが高く中核的自己資本(ティア1)に算入できる銀行劣後債の購入は、注目を集める取引となっていた。現状ではまさに、市場自身がその最大の敵となっている。 欧州の銀行は、このところの市場の混乱では中心にあり、特に注目を集めているのはドイツ銀行の債券だ。同債券価格は、ここ数日反発しているものの、これまで大きく下落している。 バンクオブアメリカ・メリルリンチ(バンカメ)が発表するココ債(偶発転換社債)指数は、今年に入ってからすでに7.6%も低下している。 欧州が現在、分裂状態にある銀行システムへの対応で未解決の問題を抱えていることは明らかだ。だが、これ自体は別段新しいことではない。問題は、債券を発行した銀行のバランスシートよりもむしろ、その債券とそれを保有している投資家にとってより深刻なのだ。 投資家が注目している大きなリスクは、銀行が問題を抱えた場合にこうした債券では投資家も救済負担を負うことになる、という点ではない。一定の環境の下で債券への利払いが行われないことなのだ。債券価格の下落を受け、銀行が最初の償還を行わないのではないかとの懸念が広がり、これがさらなる価格下落を招いている。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが発表するココ債(偶発転換社債)指数 こうした状況により、中央銀行が市場に流動性を供給する中、投資家の心をつかんでいたかつての人気商品に混乱が生じている。この債券は市場が好調だった時期、安全性が高く利回りが低いシニア債と似ているが、より収益性が高いという位置づけだった。ところが現在は、この債券の株式により近い特徴が前面に出ている。これは債券保有者にとって大きな転換であり、すぐに状況が以前のように戻る気配はない。 債券を満期まで保有しようという買い手がいるかはよく分からない。ただ、転売を考えている保有者にとって、現状は差し迫った問題だ。出口なしの状態であり、混乱はまだ収束しない可能性がある。長期的には、同債券のハイブリッドな構造はこの債券を安全資産と見なす投資家に左右される可能性がある一方、発行体である銀行はこれを株式に準ずるものと考えている。価格がより株に近い形で決定されるのであれば、発行体にとってあまり妙味はないかもしれない。規制当局は、市況が好調な時しか成長できない証券の誕生を支援してきた、ということなのかもしれない。 その一方、他市場の参加者から見ると同債券価格の下落は、先行きの悪さを知らせる警告のように映っている。常につきまとっている一つの懸念としては、この債券が資本増強として機能するため投資家にとっての安心材料になるどころか、さらなる圧力の高まりを示す警告になるというものだ。市場は、銀行が債務を調整したり資産の再評価を行うより速く、銀行債務の再評価行う可能性がある。 債券価格が動いた場合、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の転換を示唆する何らかの兆候が出るまで待とうというのが自然な反応というものだ。だが、銀行劣後債が苦境にある現在の状況は、投資家の行動やその想定の方が、投資先の企業が抱える問題以上に市場転換の大きな原因となり得る、ということを思い起こさせる。 関連記事 ドイツ銀行、手元資金潤沢も自己資本に懸念 欧州銀行株、いまが絶好の買い場か http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MQ321_bankbo_G_20160217040945.jpg Business | 2016年 02月 18日 15:41 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 日経平均は大幅反発、一時500円超高 1週間ぶり水準に回復 [東京 18日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は前日比360円高となり、大幅反発した。終値は2月8日以来、約1週間ぶりの水準を回復した。原油相場の上昇や欧米株高などを背景にリスク回避姿勢が後退し、序盤から幅広く買い戻しが入った。後場に上げ幅は一時500円を超えたが、高値圏では戻り待ちの売りに押された。 業種別では石油関連の上昇が顕著となった。イラン石油相が、サウジアラビアとロシアが主導した増産凍結合意を支持すると表明。これに原油相場が反応した。「複合的な要因でスパイラル的な株安となっていたが、原油相場に底入れ感がみられたことで、下落に歯止めが掛かりつつある印象」(光世証券執行役員の西川雅博氏)という。 東証1部銘柄の9割近くが上昇するなか、三菱商事(8058.T)が8%超高。商社株に加え、日立製作所(6501.T)、富士通(6702.T)などハイテク関連も軒並み高となった。ドル/円JPY=EBSは日中114円近辺で推移。堅調なアジア市場も日本株の支援材料となったが、さらなる上値追いには慎重な姿勢もみられ、大引けにかけては伸び悩んだ。 REIT総合.TREITは続落。NTTドコモ(9437.T)をはじめ携帯3社もそろって下落となっている。「売られ過ぎ銘柄を買い、比較的値持ちの良かった銘柄を売るリターンリバーサルの動きも出ている」(国内証券)との声も聞かれた。 個別銘柄では鉄建(1815.T)が急伸した。JR東日本(9020.T)が17日、2031─2040年度に約1兆円を投じ、東北新幹線と上越新幹線の大規模改修を実施すると発表。長期的な受注拡大への期待感から買いが入った。 半面、横河電機(6841.T)が昨年来安値を更新。資源関連の英社を約308億円で買収する手続きを開始することで合意したと前日に発表した。だが、石油・ガス市場の環境の厳しいなかでの発表であることに加え、割安ではないとの見方も広がり、買収効果を懸念した売りが出た。 東証1部騰落数は、値上がり1725銘柄に対し、値下がりが171銘柄、変わらずが42銘柄だった。 日経平均.N225 終値 16196.80 +360.44 寄り付き 16138.08 安値/高値 16118.80─16337.59 TOPIX.TOPX 終値 1311.20 +28.80 寄り付き 1307.06 安値/高値 1305.12─1322.28 東証出来高(万株) 262820 東証売買代金(億円) 27012.2 (長田善行) http://jp.reuters.com/article/tokyo-st-idJPKCN0VR0IR
Business | 2016年 02月 18日 14:08 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 焦点:株価下落、景気後退の前触れか 政策余力乏しく薄氷 [ロンドン 17日 ロイター] - 最近の金融市場は、景気後退を予言するような動きを示している。市場の見通しが当たるとは限らないものの、現在の世界は少しのショックでも大きく動揺しやすい状態だ。 世界の株式時価総額は年初から8兆ドル超も消し飛んだ。こうした中で景気後退をメーンシナリオに据えているエコノミストが一握りしかいないことは注目に値する。 しかし懸念は強い。現在は大規模な経済政策が実施されそうにないどころか、そもそもその余力が乏しい上、欧州や日銀のマイナス金利政策は金融システムを救うのではなく、かえって問題を引き起こしているとの見方が多いからだ。 アクサ・インベストメント・マネジャーズは今年の世界経済の成長見通しを3.1%から2.7%に引き下げ、市場は循環的なリスクだけでなく、システミックなリスクを抱えていると警鐘を鳴らす。 アクサの首席エコノミスト、エリック・チェイニー氏は「世界の経済成長がこれほど弱く、企業利益がこれほど悲惨で、賃金上昇率がこれほど低い有様では、小さなショックでも世界の市場は大きく動揺する」と見る。 アクサは考え得るショックとして、中国の経済政策が突然変更されることと、ユーロ圏の不完全な銀行同盟をめぐるジレンマを挙げた。 しかし何より危なっかしいのは、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票だ。投票は6月末までに実施される可能性が高い。 チェイニー氏は「ロンドンは世界一の金融センターだ。英国の金融業界に何らかの混乱が起これば、すぐさま世界中の市場に伝播するだろう」と述べた。 <景気後退の予兆> モルガン・スタンレーとソシエテ・ジェネラルは世界がことし景気後退入りする確率を約20%と見ている。シティその他はリスクが高まり続けているとの見方。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは米国が景気後退に陥る確率を20%と予想している。 どの予想を信じようが、景気後退がレーダーに映り始めたことは間違いない。 株式市場は既に景気後退を織り込んだようだ。 シティのストラテジスト、ジェレミー・ヘール氏によると、過去の景気後退期前に比べ、株価の調整度合いは「少し激しい」程度だという。この動きに照らせば、「世界的な景気後退はことし始まり、2017年半ばに終わる」想定になるという。 米国株が1年間で15─20%下落した後に景気後退が訪れた回数は、訪れなかった回数より多いが、必ず訪れるというわけではない。アライアンス・バーンスタインは、1988年と2002年にも半年間でこれだけ下がったが、景気後退には陥らなかったと指摘する。 企業利益がことし7─10%減少すると予想されていることを考えれば、株式市場の懸念も無理はないのかもしれない。しかしJPモルガンの調査では、1960年代、80年代、90年代に企業利益と株価がピークをつけた後、景気後退を経ずに急速に回復した例がある。 しかし現在と違うのは、当時は毎回大規模な景気刺激策が講じられたことだ。今回はそう簡単には実施できない。 しかも今回は株価が下落しているだけではない。JPモルガンによると、社債スプレッドは正に景気後退の領域に入っている。通貨とコモディティ価格の動きも過去6回の景気後退期の平均的な軌道をたどっている。 スタンダード・ライフ・インベストメンツの首席エコノミスト、ジェレミー・ローソン氏は「金融市場の緊張が蓄積し続けるなら、過去より遥かに深い景気後退がもたらされるだろう」と述べた。 (Mike Dolan記者) http://jp.reuters.com/article/worldstock-drop-idJPKCN0VR0E4 日銀総裁:投資家リスク回避姿勢「過度に拡大」−必要なら追加緩和 (2) 2016/02/18 14:14 JST (ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は18日、国際金融市場の動きが経済や物価に与える影響を注視する意向を示した上で、必要に応じてマイナス金利拡大を含む金融緩和措置を追加する方針を示した。 参院財政金融委員会の半期報告で黒田総裁は「世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まっている」として、市場の経済・物価に与える影響について「しっかりと注視していく方針だ」と述べた。その上で物価安定の目標のために必要な場合には「量、質、金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じる」と語った。 日本経済は内需増や輸出が減速を脱することで、基調として緩やかに拡大していくとみている。原油価格上昇を前提に2017年度前半頃に物価も目標の2%程度に達すると予想している。それでも年初来の不安定な市場の動きが、企業コンフィデンスや人々のデフレマインドへの悪影響を通じて物価の基調を左右するリスクが増大している、と黒田総裁は見ている。 日銀はこのリスク顕在化を防ぐためにマイナス金利導入を1月29日に決定した。黒田総裁は「国債のイールドカーブは低下して政策効果は現れている。今後効果は実体経済や物価面にも、着実に波及していくものと考えている」と述べた。さらに経済・物価情勢を踏まえて追加緩和に踏み切る姿勢を示した。 上海G20 市場の動向について黒田総裁は「年初来、過度な面があったのではないか」、「為替、株がかなり不安定になっていたのは事実」などとの認識を示して「国際金融資本市場の動揺が収まっていない」とも述べた。背景としては「米金利引き上げテンポに不安、不透明感出てきた」という点などを答えた。同時に金融政策は物価目標早期実現が狙いだとして、株価維持や為替相場が目標ではないことを強調した。 中国・上海での20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、国際金融市場の不安定な動きを議論するとしている。必要応じて協調的な行動が重要とも黒田総裁は述べた。 マイナス金利導入に際して黒田総裁は、金融機関とも常に意見交換しているとして金融システムや金融市場の動向注視していることを示した。またマイナス金利を導入しても「国債買い入れに何ら支障は生じていない」と語った。預金金利はマイナスになることはないと思っているとしている。 経済政策に際しては「政府に引き続き適切な財政政策、成長戦略の実行を期待する」との考えを示し、民間主導の経済成長達成を期待したいとの意向を述べた。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2Q5N16JTSEA01.html Business | 2016年 02月 18日 15:32 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス マイナス金利、実体経済・物価への反映にはタイムラグ=日銀総裁 [東京 18日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は18日午後の参議院財政金融委員会で、「マイナス金利が実体経済や物価に反映されるには、一定のタイムラグがある」との認識を示した。
黒田総裁はマイナス金利導入で「市場では短期から長期までイールドカーブ全体が直ちに下がった」と指摘したうえで、「金利に関する限り、政策効果は表れている」と述べた。 また、1月29日にマイナス金利付き量的質的金融緩和政策を決定する前の国会答弁で、付利の引き下げは考えていないと発言していたことについては「個人的にも、実際考えていなかった」と説明した。 足元の物価に関しては「基調は着実に改善している」とし、2%の物価安定目標を達成する時期について「原油価格が緩やかに上昇していくという前提にたてば、2017年度前半ごろになる」と語った。 中西健治委員(無所属クラブ)、平野達男委員(新党改革・無所属の会)の質問に答えた。 (石田仁志) http://jp.reuters.com/article/kuroda-minusrate-idJPKCN0VR0I7
米大手銀の解体−まずやるべきこととは バンク・オブ・アメリカなどの米大手銀行は解体すべきなのか。銀行の規模だけで判断するのは単純過ぎる。
By DAVID REILLY 2016 年 2 月 18 日 15:27 JST 米大手銀行は解体すべきなのか。ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は解体が望ましいとの見解をこのほど明らかにしたが、市場もずっと前から大手銀解体論を支持する動きを見せてきた。 だが金融危機から数年がたち、銀行の安全性が当時よりも大きく改善したいま、銀行解体という役割は政府ではなく株主が担うべきだろう。 問題なのは、今のところシティグループやバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)などの株主が銀行を崩壊させる力を持っているようには見えないことだ。こうした状況を変える必要がある。 株価を見れば銀行が置かれた状況は明らかだ。米大手銀6行の株価は年初来10?25%下落している。もっと重要なのは、6行のうち株価純資産倍率(PBR)が1倍を超えているのはウェルズ・ファーゴだけという事実だ。実際、シティやバンカメは2008年9月以来、株価が会計上の解散価値である純資産を上回ったことはない。 株価純資産倍率(PBR)の推移、青=バンク・オブ・アメリカ、緑=シティグループ ENLARGE 株価純資産倍率(PBR)の推移、青=バンク・オブ・アメリカ、緑=シティグループ 銀行株がこれほど長期にわたりPBR1倍割れで推移しているのは、投資家が銀行は生かしておくよりもつぶしてしまった方が良いと考えていることを意味する。そうだとすれば、銀行を解体すれば価値が生まれる可能性がある。 そうだとしても、規模が大きいからという理由だけで全ての銀行を解体すべきとの考え方が必ずしも支持されるわけではなく、金融危機後の規制制度が機能していないと結論づけるのも正しくない。現実には、銀行の理想的な規模、つまり100%安全な銀行と定義付けできる規模などというものは存在しないのだ。 こうした点において、大手銀行の解体が望ましいとする16日のカシュカリ総裁の発言は的外れだった。全ての大手銀行は解体するか、政府傘下の公益事業に転換するかのいずれかだという問題ではなく、むしろ銀行やその株主にどちらかの道をはっきりと選ばせることが重要だ。 恣意的で単純化した手法だが、まず規模を見てみると、大手銀行が拡大の一途をたどってきたことは確かだ。米連邦預金保険公社(FDIC)によると、2015年末時点で大手銀4行の合計資産額は預金保険制度の対象となる銀行資産全体のうち51%を占めた。06年末には44%だった。 JPモルガン・チェースに目を向けてみよう。同行は2011年にバンカメを抜いて国内最大の資産を持つ銀行となったが、株主は解体を求めてはいない。バブルの発生から崩壊、そして景気回復へと続いた過去10年間をみると、同行の株価は平均で1株当たり純資産を少し上回る水準で推移している。 一方、ウェルズ・ファーゴの株価はこれまでJPモルガンよりもはるかに割高な水準、つまり1株当たり純資産を大きく上回る水準で取引されている。徐々に規模を拡大して今やシティよりも大きな銀行に成長したにもかかわらずだ。これは、株主利益をどれだけ創出できるかという観点から、市場がウェルズ・ファーゴの事業モデルにより大きな安心感を抱いていることの表れと言える。 こうしたことは金融危機後の規制制度にはっきりと反映されており、当局は銀行の規模だけでなくそれ以外の要素も考慮した上で新たな規制を策定している。このためウェルズ・ファーゴは、シティよりも規模が大きいものの、他の銀行に比べて他機関とのつながりが緩い、組織がさほど複雑ではない、デリバティブ(金融派生商品)の取引量が極めて少ないといった理由から、課される資本サーチャージ(上乗せ)はシティよりも小さい。 これは道理にかなう。新たな規制制度は完璧にはほど遠いが、金融システムへのリスクに照らして大手銀行にコストを課すという仕組みを作り上げる上で大きな役割を果たしてきた。 ただこの枠組みには、銀行の「終末」が明確にされていないという欠陥がある。資本サーチャージやその他の制約からうかがえるのは、規模やリスクの度合いが一定の水準に達した銀行は政府傘下に置かれるということだ。 ところが、銀行の取締役会や投資家からすれば、具体的にどこで線引きされるのかが分からない。従って、どこまで組織を小さくすれば比較的緩い規制の対象になるのかが確信できなければ、銀行が大幅な組織縮小やホールセール業務からの撤退などを急ぐことはないだろう。 選択肢や正しいインセンティブを与えられれば銀行は厳しい判断を下すものだ。その証拠はすでに存在している。最も典型的な例はJPモルガンだ。同行は、現行のままなら4.5%の資本サーチャージの対象になると伝えられた。4.5%というのは、システム上重要な金融機関に課される比率として最も高い水準だ。銀行の資本要件が厳しくなれば自己資本利益率(ROE)は下がる。ROEが下がれば、投資家から期待できる株価プレミアムも減少する。 こうした問題に直面したJPモルガンは早急に動いた。2015年に資産全体を約10%減らすという至難の業を成し遂げ、非営業性預金を2000億ドル、非流動性資産を約150億ドルそれぞれ削減した。その結果、同行は1月、資本チャージの比率は3.5%で済みそうだとの見通しを明らかにした。 もちろん、JPモルガンのように迅速な対応ができる銀行ばかりではない。だからこそ、資産やリスクがどこまで増えればアウトなのかについて規制当局が明確な見解を示すことが求められる。また当局は、株主が大手銀行に圧力をかけやすいような体制を整えることも必要だ。言い換えると、アクティビストの活躍の場を増やすのだ。 目下、大手銀行は株主からの要求にやや無関心だ。規制当局が銀行業務に対し大きな発言権を持っているからだ。当然ながら当局の立場からは、投資家が自社株買いの拡大要求など資本バッファーの減少につながることを行うのは容認できない。だが、株主が構造改革を求めたいのであれば、当局としてそれを邪魔するつもりはないことを示すべきだ。 規制当局の力でより安全で盤石な銀行システムへのお膳立てがそろったいま、今度は株主が手はずを整える番だ。 関連記事 バンカメ決算、米銀が利上げ切望する理由示す 巨大銀行規制、FDIC副総裁がFRB新規則を批判 大手米銀株がなぜボロ株のように扱われるのか http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MQ696_bankhe_M_20160217154319.jpg
FRBの政策、株式市場との「堂々巡り」 By JUSTIN LAHART 2016 年 2 月 18 日 13:24 JST
株式市場が反発している。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)が投資家のように安心していないとしても、それは仕方ないことだ。 ここ数営業日の米国株は好調だ。S&P500種指数は3営業日の値上がりとして昨年8月以来最大を記録した。その理由は簡単に指摘できる。 サウジアラビアとロシアの増産凍結合意で、石油会社の債務問題懸念は和らいだ。春節(旧正月)明けの中国市場では、心配されていた値崩れが起こらなかった。17日の鉱工業生産を含め最近の米経済指標は事前予想より良好で、これまでのところ経済が世界市場の動揺を乗り切っていることを示唆している。 このところの株価反発を支えているのは、今年合計で1%の利上げを行うとの見通しを示していたFRBが、年内一杯利上げを見送るのではないかという観測だ。では、利上げを見送る理由は何だろうか。昨年12月に実施した利上げを受けて市場が混乱し、このため、米金融環境の引き締まり、国際商品(コモディティー)安とドル高を招いたことだ。 こうした要因はいずれも米国経済を左右する。市場が平穏だった場合と比べれば、成長はより力強さに欠けるとみられ、インフレ率もFRBの目標の2%に到達するにはまだ時間がかかるだろう。17日に公表された1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、まだ続いている市場の混乱による経済への打撃の程度について懸念するFRB関係者の姿を浮き彫りにした。 ただ、FRBと市場は「堂々巡り」に陥っているという感がぬぐえない。FRBが金利正常化を狙い金融引き締めを計画する。それに市場が怯えて混乱が起きる。するとFRBは計画を後退させる。そうすると市場は反発して上昇する。その結果、FRBは再度新たな金利正常化計画に乗り出す。これを受け再び市場は急落する、といった悪循環が続いているのだ。 最近までの株価急落は、昨年9月の利上げ先送りにつながった下落、あるいは2013年に債券購入策終了を遅らせたいわゆる「テーパーリングかんしゃく」とそれほど違わないように思われる。 このため、FRBは動きが取れなくなっている。そして、これは市場も同じことだ。 関連記事 米株式は先週末に一息、実体経済は堅調か 【FRBウォッチ】市場と指標、米経済の見方で相違 Business | 2016年 02月 18日 14:53 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米セントルイス連銀総裁が利上げ反対に転身、追加措置先送り示唆
[セントルイス 17日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は17日、低インフレや世界的な市場のボラティリティーを踏まえると、連邦準備理事会(FRB)が利上げを続けるのは「賢明でない」との認識を示した。タカ派とされる同総裁のこの発言は、FRBが描いていた追加利上げの計画実施が一段と遠のいたことを示唆している。 総裁は昨年、一貫して利上げを支持し、低金利の維持は資産バブルを形成するリスクがあるとの警鐘を鳴らしてきた。 しかし、この日の講演では米インフレ期待の持続的な低下が主な懸念だとし、このトレンドが反転するまでは安心して追加利上げできないとの見解を示した。 ブラード総裁が方向転換したことで、過去1年間にインフレに関して同様の懸念を示してきたブレイナード理事らハト派とされる当局者と足並みがそろい、引き締めサイクルは長期間先送りされる可能性がある。 広告 総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。 ブラード氏は「2015年に米金融政策の正常化を支持していた2つの重要な柱が変化した」と指摘。 「市場に基づくインフレ期待が低下する中で、正常化戦略を続けることは賢明ではないと考える」とし、株価下落や他の金融状況の逼迫により、資産バブルのリスクも「中期的に大きな懸念材料ではなくなった」との認識を示した。 こうした状況がFOMCに「正常化プログラムにおける一定の猶予」を与えるとの見解を示した。 また、一部の債券価格に織り込まれたインフレ期待が2014年半ば以降50%低下していると指摘。最初は原油価格の下落に関連しているとして重要視しなかったが、現在は特有の状況とみていると語った。 インフレは目標の2%に届いておらず、こうした状況下で利上げすると、FRBの信用が脅かされると危機感を示した。 この日公表された1月26─27日開催のFOMC議事要旨では、世界的な金融状況の逼迫に伴う米経済への悪影響が懸念されるなか、これまでに計画されていた年内の利上げ軌道の修正について議論されていたことが判明した。 投資家はすでに年内の追加利上げ見通しを後ずれさせている。 ブラード総裁は、四半期ごとのFRB当局者の金利見通しの価値を見直すべきではないかとし、金利について経済データに基づくのではなく、既定路線があるとの印象を与える可能性があると指摘した。 http://jp.reuters.com/article/frb-s-idJPKCN0VR02N
債券上昇、中期ゾーンの反動買いが支え−長期金利は0.015%まで低下 2016/02/18 15:55 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇。残存期間の短いゾーンを中心に前日に売られた反動の買いが優勢となり、相場全体を押し上げた。長期金利は一時0.015%と4営業日ぶり低水準を付けた。 18日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.05%で開始。徐々に水準を切り下げ、午後に入ると一時0.015%まで低下し、12日以来の低水準を付けた。 新発2年物の361回年債利回りは4bp低いマイナス0.19%に下げた。新発5年物の126回債利回りはいったん2.5bp低いマイナス0.15%まで低下。5年債入札後にマイナス0.135%に戻す場面もあったが、再びマイナス0.15%を付けている。 BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「朝方から2年債など短い年限が強く、追加利下げの織り込みでもあるような買いが入った」と指摘。5年債入札については、「結果は弱かった。国内投資家の需要は限定的だったもよう。ただ、午前に意外に強かったことに加え、午後に入っても今のところ大きく崩れていない」と話した。 長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比1銭高の151円15銭で始まり、いったん1銭安まで下げた。その後は買いが優勢となり、一時は151円49銭まで上昇。結局は24銭高の151円38銭で引けた。 みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「5年債入札の結果は決して強くはなかったが、その後は底堅い動きになっている。短中期金利は日銀のマイナス金利より少し低いが、追加利下げがあると思えば買える水準だ。外部環境は株価・円相場とも小康状態にあるが、マイナス金利政策導入後は国内要因の消化が優先事項になっている。今は円金利水準の落ち着きどころを探っている状態」と説明した。 5年債入札結果 財務省が発表した5年利付国債の入札結果によると、平均落札利回りがマイナス0.138%、最高落札利回りがマイナス0.12%と、これまで過去最低だった昨年1月20日の平均、最高ともにゼロ%を下回り、初のマイナスとなった。最低落札価格は101円07銭と予想101円15銭を下回った。小さければ好調さを示すテール(落札価格の最低と平均の差)は9銭と2008年6月以来の大きさ。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.57倍と前回の4.10倍から低下した。 5年債入札結果について、パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、は、「弱かった。入札前に買われて金利が下がり過ぎたこともあり、その分弱かったと思われる。さすがにこの水準では、海外勢や日銀トレードを意識した動きも難しいということだろう」と分析した。ただ、「政策金利マイナス0.1%に対し、5年債利回りがマイナス0.15%からマイナス0.10%のレンジというのが市場の目線として水準感が定まってきた感がある」と述べた。 BNPパリバ証の藤木氏は、「この先も利下げが続くとの見方なら買うことは可能。海外勢は、マイナス金利でもドルから資金を調達したり、スワップ絡みで買うことはできる。ただ国内勢では、このマイナス金利で買う動きは起きにくいだろう」と語った。 日本銀行の黒田東彦総裁はこの日、参院財政金融委員会の半期報告で、「世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まっている」として、市場の経済・物価に与える影響について「しっかりと注視していく方針」と発言。物価安定の目標のために必要な場合には「量、質、金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じる」と語った。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2OKPG6KLVRP01.html
年末130円まだ描ける、「確信なきリスクオフ」の円高続かず-野村 (1) 2016/02/18 15:58 JST
(ブルームバーグ):世界的な金融市場の混乱を受け、ドル・円相場の予想を円高方向へ修正する金融機関が相次ぐ中、野村証券は年末1ドル=130円の円安シナリオがまだ維持可能とみている。まずは3月前半に発表される米経済指標が最重要のチェックポイントになるとしている。 日本銀行による1月29日のマイナス金利政策発表を受けて円安が進んだのは当日だけで、世界的な株価急落などを背景に2月に入り円は急騰。月初に121円台だったドル・円相場は、11日には一瞬ながら2014年10月末以来の110円台に突入した。その後円の上昇は一服したが、米国の利上げ後ずれ観測も強まる中、市場では12年末から続いてきたドル高・円安トレンドの転換を指摘する声が増えている。 こうした中、野村証の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは16日のインタビューで、ドル・円は下値を見た可能性が高く、14年末から掲げている「16年末130円」との予想を変える確定的な材料は「まだない」と語った。18日午後3時55分現在は113円85銭前後で推移している。 池田氏は、英国での複数のヘッジファンドとの面会を踏まえ、今回のリスクオフは米中景気や中国人民元、米利上げの動向をめぐる不透明感に根差した「確信のない」もので、「何が起きているのか分からないが、強気のポジションは取れないので、みんな市場のリスクオフに付き合わされて、仕方なく弱気のポジションを作っている感じだ」と説明。「そうすると自己実現的にどんどん相場は悪くなってしまうが、もともと確信がないため、ちょっとしたきっかけで戻してしまう」と指摘した。 池田氏の推計によると、もともと円ロング(買い持ち)だった投機勢のポジションは先週後半に「史上最大に匹敵」する水準まで拡大しており、こうした投機的な円ロングが解消されるだけで、ドル・円は117円50銭程度まで戻るという。118円から上に行くには米利上げの織り込みの復活が必要で、「1回分だけでも118円から119円ぐらいまで。2回利上げできるというところまで米指標が強気になれると122円ぐらいまで」戻せる計算だとしている。 バークレイズは先週、ドル・円相場見通しを第4四半期で95円と、従来の120円から大幅に引き下げた。リスクセンチメントの悪化や日銀の金融緩和余地をめぐる疑念、米利上げ観測の後退などが理由だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券も年末の想定レンジを従来の121−134円から104−117円に変更。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは今週、米金融政策の予想変更に伴い、ドル・円の年末予想を120円から110円に下方修正した。 池田氏は、ドル・円が昨年6月に13年ぶり円安値の125円86銭を付けた当時と違い、今はアベノミクスに対する期待感がほとんどないため、「当面は米国の利上げ期待に引っ張ってもらうしかない」と指摘。ワーストシナリオは米景気が決定的に悪くなり、「ローコンビクション(低い確信)リスクオフがハイコンビクション(高い確信)リスクオフになってしまうこと」とした上で、米供給管理協会(ISM)指数や雇用統計など3月前半に集中する米重要指標でリセッションリスクが低いことが確認できれば、130円予想は維持できると語った。 ブルームバーグが先物データを基に算出した米利上げ予想確率によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年12月の利上げに続き、年内に追加利上げに動く確率は4割程度となっている。昨年末時点の同確率は9割超だった。 マイナス金利政策の効果 池田氏は1月の日銀会合前のインタビューで、日銀が何もせずに円高進行を放置し、115円以上の円高が定着すれば、 投資フローや企業活動に「不可逆的なダメージ」を与えるとし、追加緩和の打ち止め感を防ぐにはマイナス金利政策への移行を示唆することが必要と話していた。 池田氏は、マイナス金利政策で市場が見逃している重要ポイントは、国債市場の7割方がマイナス金利の状況で、中長期で資金を運用する年金や地域金融機関が新年度の運用方針を策定する際に「必然的に相対的高金利の外国債券や国内外の株式などに分散を広げることにつながってくる」ことだと指摘。「3月の段階である程度リスクオフが静まっていれば、新年度の運用方針がそれなりにリスクを取りに行くという 循環になっていくので、最終的に130円まで行けるようなシナリオもまだ描ける。ただし、130円まで行こうと思ったら、米利上げは3回は必要」と語る。 市場では円売り介入への警戒感もある。池田氏は介入は世界的な危機対応の機運に水を差し、G7における日本の立場を極端に悪化させるとし、「基本的にはあり得ない」とみる。G7の取り決めで介入を行う際には相手側の承認が必要で、承認を得るには誰の目で見ても高過ぎるというところまで円が強くならなければならないと説明。ドル・円が「少なくとも1ドル=105円というOECD(経済協力開発機構)計算の購買力平価を下回らないと話にならない」とし、105円を下回らない間は「日銀によるマイナス金利政策の強化が、事実上の円高抑止政策になる」と語った。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2PZYQ6KLVS901.html ドル・円は113円台後半、米景気への警戒感がドルの重し−株高支え 2016/02/18 15:38 JST (ブルームバーグ):18日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=113円台後半で推移。株高に伴うリスク回避圧力の緩和が支えとなる一方、米景気の先行きへの警戒感から、ドルは上値の重い展開となった。 午後3時35分現在のドル・円相場は113円85銭付近。ドルは朝方に付けた114円33銭を上値に、一時113円80銭まで水準を切り下げた。その後114円台を回復する場面もあったが、上値は限定的だった。 大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、「前日の海外市場では原油や株価の上昇でリスクオン的な動きだったが、一方で世界的な景気懸念は根強い」とし、「リスクオフの圧力はなかなか消えにくい」と指摘。これから発表される米経済指標の内容次第で景気懸念が強まる可能性があるとし、「ドル高が進行しにくい状態になっている」と話す。 この日の米国時間には13日終了週の新規失業保険申請件数が発表される。 米株高・金利上昇 17日の米国株式相場は3日続伸。年初来から最も下げがきつかった銘柄が引き続き回復したことに加え、原油高を背景にエネルギー株も上昇し、ダウ工業株30種平均の上げ幅は250ドルを超えた。米国債相場は下落し、10年債の利回りは一時1.85%と8日以来の水準まで上昇した。 この日の東京株式相場は日経平均株価が大幅反発。前日終値からの上げ幅は一時500円を超えたが、引けにかけて伸び悩んだ。 17日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅反発。イランのザンギャネ石油相はカタールとイラク、ベネズエラとの協議を終えて、サウジとロシアが打ち出した原油生産を1月水準で維持するとの計画を含め、石油市場の安定化を図るいかなる取り組みも支持すると語った。 米連邦準備制度理事会(FRB)が17日公表した連邦公開市場委員会(FOMC、1月26−27日開催)議事録によると、政策当局者らは商品価格下落や金融市場混乱が米経済にもたらすリスクが高まっているとの懸念を示した。 三菱東京UFJ銀行経済調査室のチーフ米国エコノミスト、栗原浩史氏(ニューヨーク在勤)は、議事録の内容について、「中国や新興国の問題だけで市場が混乱しているという割り切りでもないということだと思う。今回はウエートという意味で、もう少し自国のことも少し気にかけているような雰囲気がある」と説明。「市場の反応は小動きの範囲内」と言う。 日本銀行の黒田東彦総裁は18日の参院財政金融委員会の半期報告で、「世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まっている」として、市場の経済・物価に与える影響について「しっかりと注視していく方針だ」と述べた。その上で物価安定の目標のために必要な場合には「量、質、金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じる」と語った。 黒田総裁は「国際金融資本市場の動揺が収まっていない」と指摘。中国・上海で26日から開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、国際金融市場の不安定な動きを議論するとしている。必要に応じて協調的な行動が重要とも述べた。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2PRNN6K50Y001.html Business | 2016年 02月 18日 15:27 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス ドル113円後半、株高への反応鈍る [東京 18日 ロイター] -
午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ小幅にドル安/円高の113円後半。株高期待で114円前半まで買い進まれたものの、午後には株価への反応も鈍り、方向感を見い出せないまま東京時間の終盤を迎えた。 ドルは朝方の取引で一時114.33円まで上昇したが、114円半ばを抜けられなかったことで「買われた分が売られ、いってこいになった」(国内金融機関)という。午後の取引では、114円手前での一進一退となった。 市場では「マイナス金利のシステム対応で、為替相場どころではない金融機関が増えている」(市場関係者)という。 目先については「113円台では、本邦勢も含めて買いが染み出してくるイメージ。上値では115円ちょうどが心理的節目、115円半ばからは損失確定玉がある」(外銀)とされ、短期的にドルは113―115円のコアレンジに収まる確率が高いとみられている。 朝方発表の1月貿易収支は6459億円の赤字(ロイター予測6802億円の赤字)。市場の反応は限定的だった。午後には黒田日銀総裁や石田日銀審議委員の発言が伝わったが、こちらにも目立った反応はなかった。 市場では、今月26─27日に上海で開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の場で、不安定さを増す金融市場を沈静化するためのコミットメントが採られるとの期待が広がり始めているという。 「G20は何らかのメッセージを発することが期待される。お題目でも構わないので、市場の底値形成を支援するものが望まれる」とFXプライムbyGMO、常務取締役の上田眞理人氏は言う。 一方、為替市場では、日銀の追加緩和に対する期待が徐々に広がっているとの声もあるが、上田氏は「マイナス金利導入時には、サプライズの発表が逆に市場のネガティブな反応を招いたので、次回は、根回しをして市場とのコミュニケーションを尊重してもらいたい」としている。 ドル/円JPY= ユーロ/ドルEUR= ユーロ/円EURJPY= 午後3時現在 113.89/91 1.1139/43 126.87/91 午前9時現在 114.28/30 1.1119/23 127.08/12 NY午後5時 114.08/10 1.1127/32 126.93/97 (為替マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/tokyo-fx-idJPKCN0VR0HT 地方でも過剰生産 後遺症に苦しむ中国経済 随州の工場にはミキサー車に使われる巨大なドラムが放置されたままだ By JAMES T. AREDDY 2016 年 2 月 18 日 12:40 JST 【随州(中国湖北省)】中国の辺鄙な都市でさえ、容赦ない過剰生産が中国の繁栄への道に影を落とし、世界経済をも動揺させている。ここ随州の場合、シイタケとコンクリートミキサー車の過剰生産だ。 農業に従事するYang Qunさん(48)が5年ほど前、随州の朝市でシイタケの取引を始めたとき、キノコ業界は拡大しており、英国の金融大手HSBCホールディングスの農業融資部門さえ引き寄せるほどだった。Yangさんは貯金してミニバンを購入することができた。しかし、先月湿った雪が降ると、彼女は見切り価格で売ろうとしていた。半年かけて作った乾燥シイタケ6袋分を売り切るためだ。 Xu Songさんにとって、カンカンという金属音はかつて心地よい音だった。工場の200人ほどの同僚がせっせと鋼をたたき、ミキサー車に使われる巨大なドラムを作っているのを想像させたからだ。だが最近では、彼は暖房のないオフィスの中で1人寂しくビデオを見ていた。彼は今や見捨てられた工場に残された唯一の作業員だ。工場には何十個ものさびかけたドラムが巨大なアメフトのボールのように積まれていた。 随州などの小規模都市は国家全体の成長率を上回っているが、ここにきて減速 ENLARGE 随州などの小規模都市は国家全体の成長率を上回っているが、ここにきて減速 Xuさんはほぼ休眠状態になった湖北奥馬専用汽車の工場内に立ち、「(受注の)減りは急激だった」と述べた。品質管理担当者として採用されていたXuさんは、「われわれに一体何が起こったのか分からない」と話した。 中国では近年、鉄鋼とマンションのだぶつきによって成長が下押しされている。だが、中国経済はそれ以外でも、農場や工場からの余剰生産物で飽和状態になっている。随州のような無数の中・小規模都市は、金融緩和策や農業・建設業への政府支援のおかげで急成長を遂げたし、中国の成長ストーリーの第2波をもたらすはずだった。しかし、今やその勢いは止まり、物価、企業収益、そして雇用機会も低下ないし摩耗している。 随州の苦悩は、中国の経済減速がいかに広範で根深く、修正が困難であることを浮き彫りにする。それは世界中の市場を一層不安定にし、米国の潜在的な経済停滞への懸念を増幅させている。中国国内の過剰生産は、中国が今後、海外で支出する額(輸入額など)が小さくなることを意味する。一方で、中国にモノを輸出している外国企業は、地元企業のてこ入れを目的とした中国の保護主義的な措置導入の可能性に身構えている。また、中国の需要に黄信号がともるなか、遊休生産能力を抱える中国の工業大手は海外で市場シェアをつかもうとしている。建設機械や鉄道装置のメーカーなどだ。 Yang Qunさんは市場でシイタケを売り切るため値下げした 中国政府は「ゾンビ企業」、つまり融資を受けて、不要なものを生産して生きながらえている企業の排除を優先事項にしてきた。より活気のある経済分野のために道を開ける狙いだ。だが、排除の断行は簡単ではない。随州のような小規模で辺ぴな都市では、過剰投資企業が経済的な屋台骨であることがしばしばだからだ。
中国の製造業は1月も低迷が続いた。例えば、政府発表の購買担当者指数(PMI)は2012年8月以来で最も低い数値となった。昨年の中国の鉄鋼生産高は過去30年強で初の減少に転じた。銀行や公益事業会社の信用格付けは引き下げられている。格付け会社は債務問題が差し迫っているとの見方をしているからだ。 中国の将来は、「機会」をより大きく広げることにかかっている。上海をはじめとする沿岸部の大都市は、市場開放の最初の数十年間の原動力になった。だが、中国政府は現在、次の段階として、より小規模な都市に期待を寄せている。具体的には5年以内に総勢1億人の低所得層を都会化して中間層を拡大し、これら中間層が映画や医療(医薬品)などに手が届くようにして、上向きの成長軌道を維持することを目指している。 人口250万人の随州は、この取り組みの最前線に立つ比較的小規模な都市の1つだ。全国に約130あるこれらの都市は、農業従事者を収入の多い都市労働者に変え、地元企業のための新たな市場を構築する磁石のような役割を期待されている。政府統計によると、2015年の随州市民1人当たりの可処分所得は約3470ドル(約40万円)だった。この金額は農村住民のそれを40%以上上回る。だが、上海市民が稼ぐ約8100ドルの半分にも満たない。 随州の高速鉄道駅近くに建設中の高層マンションの模型 中国東部の寧波市にある英ノッティンガム大学寧波キャンパス経済政策プログラムの責任者、ミシェル・ゲラシ氏は、「都市は板挟みになり、何をすれば良いか分からない状態だ」と話す。同氏は、中国各地の都市の当局者から話を聞いた結果、農村と都市の間で「工業化リンボー(中途半端に工業化された)」状態にある都市が少なくないことが判明した、と指摘する。
今日の経済減速の一因は、これまでの刺激策の消化不良にある。新興のハイテク企業や産業上の刷新の波は、沿岸部に集中している。最近の中国金融市場の崩壊は、拡大を望む企業の選択肢を狭める一方だ。 中国指導部は、新たな成長の道を開くため、今年の政策の中心を経済のサプライサイド(供給面)に据えている。彼ら指導部は、経済の多くの部門を枯らす過剰生産能力の後遺症を一掃したいと望んでいる。 如皋や南通といった東部の沿岸都市では、低迷ぶりが明確だ。これらの都市は造船能力の過剰と失業者の急増に苦しんでいる。地元住民が「中国のトリード(トリードは米オハイオ州のガラス産業都市)」と好んで呼ぶ北部都市の沙河では、板ガラスの生産業者が相次いで工場を閉める事態に追い込まれた。海に囲まれた海南省は、零細な水産業者たちが中国を世界最大のティラピア生産国にするのに一役買っていたが、今や多くの業者が生き残りに苦戦している。 中国の経済成長は随州などの中産階級の拡大に依存 北京に本拠を置く投資銀行の中国国際金融(CICC)の推定によると、金属、石炭、セメント、アルミニウムとガラスの業界だけでも、生産能力を3分の1削減すると300万人が失業するだろうという。しかし、CICCは政府の取り組みによって多くの人々にとって打撃が和らぐだろうと述べ、当局が業界を徐々に縮小させて成長率を維持しようとする兆候が見えるとしている。
冒頭に紹介したYang Qunさんが夫とシイタケ栽培を始めたのは約5年前だ。近隣農家も数多くそうした。 シイタケ(shiitake)は食用キノコの日本語名だ。中国は現在、世界の供給の80%を占めている。 Yangさんは、市場で別の農家が最上級キノコをキロ当たり10ドル強で売ったのを見た後、自分の持ち込んだ乾燥シイタケについて同6.40ドルを要求した。しかし、今月の春節(旧正月)休暇前に売らなければ、降雪などに伴う湿度上昇で品物が劣化するのを懸念して、彼女は5.65ドル前後で合意した。売却相手は水玉模様の服装の女性と、作業服姿の男性で、合計2000ドル近い収入だった。 「きょうは損をしてしまった」と彼女はつぶやいた。 関連記事 中国悲観論が加速、指導部への失望感で 【寄稿】「アジアの世紀」支えてきた前提に疑問符 アリババ、ついに感じる中国経済の減速の影響 中国「資本流出2.0」 わざと海外企業に敗訴? 深センの起業家たち、景気鈍化でも影響受けず ギョーザの売れ行きが教える中国製造業の実情 http://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BW358_CSLACK_16U_20160217115725.jpg http://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BW359_CSLACK_16U_20160217122708.jpg
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