FX Forum | 2016年 02月 16日 19:43 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:マイナス金利、20の疑問(上)河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長 [東京 16日] - 相場の乱高下を見て、日銀は青ざめていることだろう。15日は株価・ドル円ともに反発したものの、黒田日銀総裁が効果を豪語していたマイナス金利政策は先週を通じて為替市場や株式市場で全く効かず、1月29日のマイナス金利導入前と比べて、円高・株安が大きく進んでいる。 これまでの量的質的緩和(QQE) も実物経済にはほとんど効かなかったが、バーチャルな世界と化していた株式市場では多少の効果が見られていた。もちろん、リフレ派の論理からすれば、金融緩和の効果がないのではなく、金融緩和の度合いが足りなかった、ということになるはずである。もし黒田日銀体制の考え方がリフレ派の理論に基づくのなら、付利の引き下げは効果が現れるまで、あるいは限界に達するまで、続けられると考えるべきだろう。 また、日銀がリフレ派に占拠されていなくても、大衆民主主義のもとで、有効な手段が尽きてしまったと中央銀行は簡単には言えないだろうから、多少大きくても副作用には目をつむって、政策の限界まで突き進む可能性がある。現に先週の金融市場は、株安・円高が続くなどマイナス金利政策の効果に対しては強い疑念を示す一方で、さらなる追加緩和を織り込んで10年金利は一時マイナスの領域まで低下している。 では、日銀はどこまで付利を引き下げるのか、次の引き下げはいつで、どのようなペースで実施されるのか。また、そもそもマイナス金利政策は日本経済に対して景気刺激的なのか景気抑制的なのか。以下、筆者のもとによく寄せられる質問に答える形で、上下2回に分けて、日銀マイナス金利政策の是非を考察したい。 <量的ターゲットは徐々にフェードアウトへ> Q1)黒田日銀はなぜマイナス金利政策を導入したのか。 黒田総裁が付利の引き下げを選択したのは、緩和のEXIT(出口)コストの増加や技術的な実行可能性の観点から、量的ターゲットの拡大が限界に近づいていたためである。 長期国債の購入増額は20兆円程度であれば、実施可能だったと思われるが、数年後には技術的に継続困難となる恐れがある上、政策の打ち止め感がマーケットで広がる懸念があったため、適切ではないと判断したのだろう。もし金融緩和があるとすれば、それは付利下げという、筆者の読み通りだった。 また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の購入額を増やさなかったのは、現状の日銀の自己資本の水準から、これ以上のリスクテイクが困難になっていたためである(もちろん、金融システム危機を誘発するような株価大暴落が生じた際には、事後的な政府の資本注入を前提に、ETFやREITの購入を増額する可能性はある)。 Q2)事実上の金利ターゲットへの移行か。 日銀は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入」と称しているが、今回の決定は事実上の「金利ターゲット」への移行である。公式に量的ターゲットの旗を降ろしていないのは、これまでの政策の枠組みを否定することになりかねないからだ。 黒田総裁は、量的ターゲットを再び引き上げることを排除していないが、その可能性は極めて小さい。今後、追加緩和が実施される場合、長期国債の購入額、およびマネタリーベースの拡大目標は、従来の年80兆円のままで、付利がさらに引き下げられることになる。 Q3)マイナス金利政策は世界の潮流か。 中央銀行にとって、これまでの長い経験から、金利と経済物価の関係を語るのは比較的容易だが、マネタリーベースと経済物価の関係を明確に語るのは難しい。ゼロ金利制約に直面した各国の中央銀行は、2001年の日銀の量的緩和以降、量的拡大を模索してきたが、十分な効果は得られなかった。 一方、近年の欧州の経験から、効果は不確実であるとはいえ、一定程度であればマイナス金利政策が実行可能であることが発見された。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長も将来のマイナス金利政策の可能性を排除していない。今後の大きな潮流は、量的ターゲットから金利ターゲットへのシフトだと見られる(量的緩和は時代のあだ花として終わるのだと筆者は常々考えている)。とはいえ、後述する通り、そのことはマイナス金利政策が常に有効であることを意味するわけではない。 また、今回、日銀が一気にレジーム転換しなかったのは、伝統的なマネタリスト・アプローチにシンパシーを持つ2名のリフレ派のボードメンバーへの配慮も少なからずあったと思われる。票決は5対4のぎりぎりで、彼らの1人でも反対すれば、過半数を得ることはできなかった。こうした点から、筆者は従来から、付利引き下げ政策への転換の際はQQEのバージョンアップ版になると予想してきた。 Q4)付利の引き下げ幅はなぜ10ベーシスポイント(bp)ではなく、20bpだったのか。 欧州中央銀行(ECB)は金融機関への悪影響などを考慮し、慎重に預金金利の引き下げを進めており、毎回、下げ幅は10bpと今のところ小幅である。10bpの引き下げ幅には、政策反応関数から導かれた頑強な経済的根拠があるわけではない。非伝統的な金融政策に明確な政策反応関数は存在しないというのが、大方の中央銀行関係者の認識ではないだろうか。 日銀の20bpの下げ幅についても、頑強な経済的根拠があるとは思われない。ただ、黒田総裁は逐次投入を強く嫌っている。とりわけ為替レートへの働きかけを意識しているのなら、ECBよりも大きな引き下げ幅が効果的だと考えているのではないか。日銀は、今後も10bpではなく、20bpの引き下げを続けると見られる。あるいは、円急騰や株価暴落に対し、さらに大きな下げ幅で対応するのだろうか。 Q5)量的緩和策とマイナス金利政策は矛盾しないのか。 付利の引き下げは、金融機関が日銀に国債を売却し日銀当預残高を積み上げるインセンティブを低下させるため、政策の方向性としては確かに矛盾する。ただし、当座預金へのマイナスの付利を考慮しても魅力的となる価格(つまり、マイナスの利回り)で日銀が買い取るなら、理論上、金融機関は日銀への長期国債の売却を続ける。 現実には金融機関が売り渋り、長期国債の買い入れオペにおいて将来、札割れが頻発する可能性は否定できず、今後、一段と付利が引き下げられれば、その可能性は増す。その際、日銀は、マネタリーベースの拡大目標の達成に必ずしもこだわらない姿勢に転じると見られる。つまり、今後、量的ターゲットそのものは徐々にフェードアウトしていく可能性がある。 Q6)マイナス金利が適用される準備預金の割合は。 各金融機関の2015年の年間平均残高に相応する日銀当座預金については、従来通り0.1%の付利が適用される。さらに、所要準備額に相当する残高や貸出支援基金残高に相応する準備額などにはゼロ金利が適用される。日銀は、これまでのQQEでの量的ターゲット拡大に協力した金融機関には、十分な配慮をしたと言える。 また、今後の資産買い入れの継続で日銀当座預金残高が増加するにつれ、適宜、ゼロ金利の対象となる残高(マクロ加算残高)が増加する。このため今後も、マイナス金利が適用される残高は、一部にとどまる。金融機関の業績への悪影響がかなり考慮されている。 <日銀が新たな通貨戦争の口火を切った可能性も> Q7)マイナス金利政策の国内経済への刺激効果は。 長期金利はもとより極めて低位にあり、さらなる低下が企業の投資行動に与える効果はかなり限界的なものにとどまる。国内の設備投資が伸びないのは、生産年齢人口の減少という構造的な要因に加えて、新興国バブル、資源バブルの崩壊によって企業の成長期待が下方屈折しつつあることが原因なのであって、資金コストが高いからではない。むしろ、マイナス金利は、銀行収益への悪影響を通じ、金融仲介機能を損ない、経済に負の影響を与える懸念もある。 前述した通り、日銀は付利を三階層方式とし、マイナス金利の適用を準備預金の一部に抑え、銀行収益への悪影響を極力抑制しているが、市場金利は全体として一段と低下している。一方、預金金利の引き下げ余地は極めて限られており、銀行の利鞘には一段の縮小圧力がかかる(日本では、家計部門から預金口座維持手数料を徴収するのは、政治的に困難である)。 また、一部の投資信託会社がMMF(マネー・マネージメント・ファンド゙)の募集停止や繰り上げ償還を決定しており、金融サービスへの悪影響はすでに現れている。 Q8)理論上もマイナス金利政策は景気抑制的か。 金融緩和とは、主に銀行業の資本コストの引き下げを通じて、借り入れコストの低下した家計や企業に支出増を促す政策である。超過準備にマイナス金利を課すことは、金融機関のコストを増やし、企業や家計にコストが転嫁される可能性があり、理屈上は、景気抑制的に作用する。静学的なモデルで考えると、マイナス金利は景気刺激的ではなく、景気抑制的に働く。ゼロ金利制約というのは、物理的に名目金利をゼロよりも低くできないというより、景気にプラス効果を持つ領域の下限がゼロということだと思われる。 ただし、以下述べる通り、マイナス金利とすることで、もし通貨の急上昇や大幅な株安を回避できるのなら、マイナスよりプラス効果が大きくなる可能性は十分あり得る。 Q9)マイナス金利は通貨安誘導を通じ大きな効果が得られるのか。 マイナス金利政策によって、内外金利差が拡大し、それが自国通貨安をもたらすのなら、ある程度の景気刺激は可能かもしれない。今回の決定は、円高回避と株安回避が、日銀の主たる目的だったと考えられる。貸し出し増による企業や家計の支出増という経路を黒田総裁が強調するのは、海外からの円安誘導への批判を避けるためである。 ただし、現在の不安定な世界経済、国際金融市場の情勢を踏まえると、為替レートへの効果も期待し難い。実際、マイナス金利政策の導入直後こそ円安、株高に振れたものの、足元では導入前よりも円高、株安となっている。 Q10)マイナス金利導入後、円高になったのはなぜか。 ゼロ金利に達すると有効な金融政策の経路は、主に通貨安を通じたものとなるが、通貨安の効果はグローバルではゼロサムである。日銀やECBが通貨高の回避を狙って付利を引き下げることは国内均衡の観点から見れば妥当だとしても、効果がゼロサムであるなら、通貨高となった他国で悪影響が現れる。 実際問題として、ドルに対し固定的な為替レート制を採用する中国の人民元問題をこじらせる。今回の国際金融市場の動揺の原因の1つは、人民元の大幅切り下げ観測が強まったことにあるが、人民元が割高になったのは、米国の利上げ観測に伴うドル高だけではなく、通貨安を狙った日銀やECBの金融緩和も背景にある。日銀のマイナス金利政策の採用後、先週、円高が進展したのは、市場がこうした構図を見透かしていたからだろう。 今回の日銀の追加緩和は人民元問題をこじらせている。日銀の決定後、市場ではECBの追加緩和への期待値がさらに高まり、米国についても、景気が悪化する場合には、マイナス金利を導入する可能性を意識し始めている。日銀が新たな通貨戦争の口火を切った可能性がある。 *後編は、2月17日の配信を予定しています。 *河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN0VP0F2 Business | 2016年 02月 16日 19:14 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 金融庁、MRFの運用柔軟化を容認 日銀のマイナス金利で
[東京 16日 ロイター] - 金融庁は、日銀のマイナス金利政策導入を受け、主に短期の金融商品に投資するMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の運用の柔軟化を容認する。マイナス金利導入に伴う金利低下で、十分な利回りが得られない間、MRFの運用に求められる有価証券の投資比率が基準を下回ることを認める。 元本割れを回避し、証券投資の玄関口とも言えるMRFの資金の先細りを防ぐ考え。 関係筋が16日、ロイターに明らかにした。 政令や投資信託協会の規則により、MRFの運用資産残高の50%超は有価証券に投資されなければならない。超低金利が長引くなか、MRFの主な投資先は国債やCP(コマーシャルペーパー)、翌日物コールローンとなっていた。 日銀がマイナス金利導入を決定したことで、短期国債などの利回りも急低下。運用環境が過去に例を見ないほど厳しくなったため、金融庁は臨時的な措置として、50%超の基準を下回ることを容認する。16日までに、運用方針の柔軟化を運用各社に伝えた。 これまでも、期末などの一時的な局面に限り、有価証券の投資比率が50%を下回ることは認められていたが、速やかに50%超に戻すのが原則だった。 金融庁は今後も、相場環境が改善すれば速やかに有価証券の比率を50%超に戻すよう求めている。 MRFは、銀行預金から来たお金が株式や投資信託の買い付けに回るにあたり、一時的に滞留する待機口座のようなもの。「貯蓄から投資」を促す観点から、元本割れを回避して投資家を保護し、こうしたお金の流れに支障が出るのを避けるのが重要と判断した。 投信協によると、MRFの運用資産残高は1月末時点で10兆4005億円。国内で販売されている公募投信の11%を占める。 MRFを運用する運用会社は、野村アセットマネジメントや大和証券投資信託委託など8社ある。 今後、国債やCPなどの商品に向かうはずの資金が運用各社から信託銀行の銀行勘定に持ち込まれる可能性がある。金融庁は信託銀の運用を注視し、MRF関連の現金に一律マイナス金利が付されるなどの扱いがないよう監視する。 (和田崇彦) http://jp.reuters.com/article/mrf-idJPKCN0VP11P Business | 2016年 02月 16日 19:12 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス マイナス金利対象の日銀当預、1月は23兆円 ゆうちょ銀などで過半 [東京 16日 ロイター] - 日銀は16日、同日から運用を開始したマイナス金利政策に関連し、1月の準備預金積み期間における当座預金残高に新たな3階層の枠組みを当てはめた場合の試算値を公表した。それによると、1月平均残高253兆4290億円のうち、マイナス金利(マイナス0.1%)が適用される残高は23兆1940億円となった。ゆうちょ銀行や大手信用金庫などが対象となる「その他の準備預金制度適用先」が過半を占めている。 マイナス金利の適用残高を業態別にみると、最大はゆうちょ銀行や大手信用金庫などが対象の「その他の準備預金制度適用先」で12兆2560億円。次いで外国銀行4兆0930億円、信託銀行2兆3410億円、短資会社など「準備預金制度非適用先」2兆0040億円、都銀1兆6310億円、地銀6250億円、第二地銀2440億円となっている。 日銀は、マイナス金利導入にあたり、当座預金残高を1)2015年の平均残高である「基礎残高」、2)所要準備額と貸出支援制度などの利用額に基礎残高の一定割合となるマクロ加算額を加えた「マクロ加算残高」、3)当座預金残高から上記2つの残高を除いた「政策金利残高」の3階層に分類。それぞれにプラス0.1%、ゼロ%、マイナス0.1%の金利を適用している。 1月分に当てはめた場合のプラス金利残高は206兆4230億円で、ゼロ金利は23兆8120億円だった。 日銀では、今後も準備預金の積み期間終了の翌日に、階層別の当座預金残高を公表する予定だ。 *内容を追加しました。 (伊藤純夫) http://jp.reuters.com/article/boj-negative-rate-idJPKCN0VP0RM 日銀試算:マイナス金利適用は23.2兆円、1月当座預金残高で集計 2016/02/16 18:07 JST
(ブルームバーグ):日本銀行は16日、マイナス金利を1月分の当座預金残高に適用した場合の試算値を公表した。対象残高は23.2兆円で当座預金全体の9%となった。 金融政策でマイナス金利導入を16日から開始した日銀が、ウェブサイトで公表した1月分の業態別の日銀当座預金残高データで、試算値を開示した。金融機関の業態別のマイナス金利適用の内訳は、外国銀行4.1兆円、信託銀行2.3兆円、都市銀行1.6兆円、地方銀行0.6兆円などとなっている。 日銀は1月29日の金融政策決定会合で、日本で初となるマイナス金利の導入を決定した。各金融機関の昨年の年間平均残高に相応する日銀当座預金は従来通り0.1%、所要準備額に相当する残高や貸出支援基金残高に相応する準備額などは0%、当座預金のそれら以外の部分にマイナス0.1%を適用する。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:谷合謙三 ktaniai@bloomberg.net; Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 上野英治郎 更新日時: 2016/02/16 18:07 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MSW86K50XS01.html
ロンドン外為:円が全面高−生産量維持が原油高につながるか疑問視 2016/02/16 20:48 JST
(ブルームバーグ):ロンドン時間16日午前の外国為替市場では 円が3営業日ぶりに上昇。サウジアラビアとロシアが原油生産量の維持で合意したものの、市場の減産期待には沿わなかった。 円は主要16通貨に対し全面高となった。サウジとロシアの合意が原油値上がりにつながるかが疑問視され、原油相場は上げ幅を縮めた。サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は引き続き買い手の需要に応えられるように生産量を1月11日の水準で維持すると、カタールの首都ドーハでのロシアのノバク・エネルギー相との協議後に述べた。カタールとベネズエラの石油担当相らも生産量凍結に参加することに合意したという。 ロンドン時間午前11時(日本時間午後8時)現在、円の対ドル相場は0.8%高の1ドル=113円74銭。15日は1.2%安と、先月29日以来の大きな下げとなっていた。ユーロに対しては0.6%上げ1ユーロ=127円12銭。 原題:Yen Gains as Biggest Oil Producers’ Freeze Struggles to Reassure(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Eshe Nelson enelson32@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Goodman dgoodman28@bloomberg.net 更新日時: 2016/02/16 20:48 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2N0TR6S972801.html 中国:発改委や人民銀、財政省が景気てこ入れに向け共同声明 2016/02/16 20:56 JST (ブルームバーグ):中国の主要政府機関は産業界の生産能力過剰に対応し、資金調達コストを押し下げ、企業の債務負担を減らすと表明した。当局は景気てこ入れを探っている。 中国人民銀行(中央銀行)や国家発展改革委員会(発改委)、財政省などの機関が16日発表した共同声明によれば、当局はさまざまな流動性管理手段を活用し、マクロ健全性管理を改善させるとともに、適切な流動性水準と短期金融市場の安定的な機能の維持を目指す。 原題:China’s State Organs Pledge Support for Capacity Cuts, Less Debt(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MZR36JIJVG01.html
欧州銀、募る債券投資家の不安 イタリアの4つの銀行の政府救済措置をめぐるローマでの抗議活動(1月) By JEANNETTE NEUMANN, PATRICIA KOWSMANN AND GIOVANNI LEGORANO 2016 年 2 月 16 日 17:59 JST 株価下落に苦しむ欧州の銀行は、銀行が資金難に陥った場合に債券投資家が予想以上に大きい損失を被り得るという懸念にも見舞われている。 投資家はイタリアの4つの小さな銀行、ポルトガルの1つの銀行に対する最近の救済から広範な影響がある教訓を得たという。中央銀行は、銀行の預金者であることも多い個人投資家に損失を強制負担させた場合に受ける政治的・財務的な反発を警戒している。そして、これは欧州全域、特に欧州南部の大口機関投資家が損失を被りやすくなったことを意味する。 投資家の懸念は、とりわけ欧州南部の銀行に対する信頼感を揺るがしている。こうした銀行は小売銀行業務の顧客でもある個人投資家に債券や株式を売ることで資金を調達している。 ヘルメス・クレジットのロンドン在勤シニアアナリスト、フィリッポ・アロアッティ氏は「明らかに影響を及ぼしている」と話す。 信頼感は最悪のタイミングで弱まった。マイナス金利と信用需要低迷の局面を迎えた欧州の銀行は利益の拡大と不良債権の削減に悪戦苦闘している。その保有資産は次第に過大評価となっているようだ。欧州の銀行の多くが抱えるソブリン債の膨大なポートフォリオは、欧州中央銀行(ECB)の債券購入プログラムによって高騰した。これらの債券の価格が下落したら、欧州の銀行は莫大な損失を被ることになるだろう。 投資家の懸念がさらに高まると、すでに危うい銀行は資本調達に苦しみ、救済が増える公算は大きい。 こうした懸念の大半は昨年12月にポルトガルで実施されたバンコ・エスピリト・サントの救済の際の取り決めで優先債権者が負わされた損失に起因している。中央銀行は大口機関投資家に売られた債券を主なターゲットとしており、小売銀行業務の顧客でもある個人投資家は大目に見られている。機関投資家は同じ債券の購入者なのに処遇が異なるのは違法だとして今や不満を訴えている。 欧州の一国が、同じ債券の購入者であるにもかかわらず個人投資家を保護するために機関投資家により大きな損失を負わせたという事実は、すでに神経過敏となっていた市場に衝撃を与えた。 それ以来、ポルトガル、イタリア、スペインの銀行の株式は一部の銀行が発行した社債と共に急落した。スペインの銀行大手バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)の株価は年初来で16%安、地元のライバル行、カイシャバンクの株価は21%安となった。イタリアの銀行はさらに厳しい状態で、ウニクレディトが36%安、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行が63%安となった。ポルトガルではポルトガル商業銀行が40%安となった。 ポルトガルがバンコ・エスプリト・サントの救済を決断したのは、イタリアで昨年11月の4つの銀行の救済方法をめぐって怒りの反発が起きた後だった。 イタリアの中央銀行は機関投資家と個人投資家の両方に損失の負担を強制した。そうした銀行の債券と株式にそれまでの蓄えを投資していた数万人の退職者たちはすべてを失ってしまった。 数百人が抗議のために街頭に繰り出した。ある個人投資家は自殺してしまった。 イタリア政府は、後順位債を保有し、全財産を失った一部の個人投資家に対する補償のために1億ユーロの基金を創設するなど、慌てて国民をなだめた。 イタリアとポルトガルのいずれの救済措置でも、中央銀行は欧州の資金難に陥った銀行の破綻処理に関する規則を適用した。これは少なくとも株主と劣後債権者は痛みを共有しなければならないというものだ。1月1日から施行された規則変更では、優先債権者と無保険預金者も損失負担の対象となった。 新たな基準の背景には、銀行が破綻した場合、損失を負担するのは納税者でなく投資家であるべきという基本理念がある。 しかし、イタリアでの余波は、新たな基準を個人投資家に適用することで招き得る政治的影響を投資家に示した。他国の政府は同様の反応を避けようと努力する可能性が高いというわけだ。 ポルトガルは規則変更が施行される前にバンコ・エスピリト・サントの破綻処理を遂行したが、当局者の救済措置の扱い方からは、特にイタリアで抗議活動があった後だけに、各国が個人投資家への損失負担の強制に慎重であることが裏付けられた。 これに加えて中央銀行の高官は、預金者でもある個人の債券投資家が損失負担を強制された場合、自分の銀行への信頼感を失い、預金を引き出してしまうという懸念も抱いている。 新たな救済基準はさらに多くの債券保有者や個人投資家に損失を被らせる可能性が高いので、イタリア政府の当局者自身もその導入に一段と慎重になることを示した。イタリアの銀行の後順位債券の半分近くを保有しているのは一般世帯だ。 関連記事 原油価格めぐる懸念、欧州の銀行に響く http://jp.wsj.com/articles/SB10671262863315044285504581544103353334630 2月の独ZEW景況感、2014年来の低水準−株安と中国懸念が重し (1) 2016/02/16 20:27 JST (ブルームバーグ):ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)がまとめた2月の独景況感指数は2014年10月以来の低水準となった。中国の成長減速に加え、ユーロ圏の銀行の収益力をめぐる懸念から株式相場が急落したことが景況感を悪化させた。 ZEWが16日発表した2月のドイツの期待指数は1.0と、前月の10.2から急低下した。同指数は向こう6カ月の見通しを示す。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査ではゼロへの低下が見込まれていた。 ZEWの国際金融・財務管理調査部門の責任者、サシャ・シュテフェン氏は「迫り来る世界経済減速と原油安の影響をめぐる不透明がZEW景況感指数を低下させた」と説明し、「こうした状況の中で、デフォルト(債務不履行)リスク上昇への懸念が既に、欧州や日本、米国の多数の銀行の株と社債の価格を押し下げた」と語った。 ドイツ経済の内需堅調を示す兆候にもかかわらず、同国株の指標であるDAX指数は年初来で約15%下落。独銀最大手のドイツ銀行の株価は8日に10%近く下げた。 独連邦銀行(中央銀行)は15日、今年のインフレ率見通しを下方修正した。最近の原油値下がりを受けて緊急に経済見通しを調整した。ただ、エネルギー安が国内経済への刺激となり、力強い雇用市場と相まって1−3月(第1四半期)の成長加速に寄与する可能性があるとも分析した。2015年10ー12月(第4四半期)の成長率は0.3%だった。 原題:German Investor Confidence Falls Amid Equity and China Woes(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MXZE6S973301.html
去年の勝ち組も失速−米国株の低迷が楽観論を押しつぶすのか 2016/02/16 14:50 JST
(ブルームバーグ):世界の株式市場が4年ぶりの弱気相場から素早く抜け出すと見込む向きは誰もが、個人投資家にとって重要なセクターの株価下落に注意を払う必要がある。 昨年と打って変わって、消費者・テクノロジー関連銘柄が米株式市場での成績下位を占めている。アマゾン・ドット・コムとネットフリックスの年初来下落率は20%を超える。米国株が最悪の年初スタートとなる中で、楽観的な見方が押しつぶされつつある。 世界株の下落率が先週、昨年5月の高値から20%に達し、2011年以来となる弱気相場に入った。先週の米株式相場は下落。S&P500種株価指数の年初来下落率は8.8%に達した。マイナス金利で利益が損なわれるとの懸念から、世界中で銀行株が売られた。ニュースレター執筆者を対象としたインベスター・インテリジェンスの調査によれば、弱気派に対する強気派の割合は0.63と、09年3月以来の低水準を記録した。 アマゾンの株価は昨年、倍以上となったが今年は25%下げている。昨年134%上げたネットフリックスは24%安だ。住宅株も下落。トール・ブラザーズなど不動産開発の13銘柄から成るS&Pの指数は今年に入りその価値のほぼ2割を失った。 中央銀行 自動車株も下げている。米国での販売がピークに達した可能性があるとの懸念が背景だ。1月の販売が好調だったゼネラル・モーターズ(GM)は年初来で19%安だ。 JPモルガン・ファンズのチーフ・グローバルストラテジスト、デービッド・ケリー氏(ニューヨーク在勤)は「一般消費財セクターのファンダメンタルズはまさに良好に見えるが、問題は消費セクターをめぐる状況が一段と良くなってはいないとの認識があることだ。世界の中央銀行があたかもリセッション(景気後退)のリスクがあるように行動すれば、これが消費者の態度を湿らせ得る。誰もが警戒感を若干強め、経済が潜在成長力を下回れば一定の足かせとなるだろう」と述べた。 原題:Fallen Giants Block Path to S&P Bull Market as Amazon Loses 25%(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MI5Y6JIJUT01.html ブラックロック:ファンドの流動性危機の不安を当局が誇張−リポート 2016/02/16 13:50 JST
(ブルームバーグ):ファンドが大量償還で保有債券の処分に一斉に動かざるを得なくなれば、次の金融危機を招くとの懸念について、世界最大の資産運用会社ブラックロックは、監督当局が市場のある部分から導き出した不当な結論に基づくものだと主張した。 ブラックロックは債券市場の流動性に関する調査リポートで、米連邦準備制度理事会(FRB)の集計データを引用し、39兆ドル(約4478兆円)の債券発行残高のうち、オープンエンド型のミューチュアルファンドが保有しているのは約5兆ドルだと指摘した。バーバラ・ノビック副会長を中心とするブラックロック幹部が執筆したリポートによると、残りは目的や優先順位が異なるさまざまな投資家クラスが保有しており、相場急落時に値下がりすれば、「質の高い」債券に買いを入れる投資家が出てくることも予想される。 流動性が低下する現在の金融市場で、相場急落に耐える十分な能力があるか監視を強める監督当局の動きに資産運用各社は反発している。資産運用業界は、資本要件が導入されればコストを押し上げる恐れがあると懸念し、流動性を提供する新たなソースが得られたことで危険は低下したと主張する。 ブラックロックはリポートで、「市場リスクはシステミックリスクと同じではない。ある程度の市場のボラティリティ(変動性)は普通であり、投資家もこれを歓迎する。ミューチュアルファンドの価格は変動が見込まれるが、投資家はそれが分かった上でリスクを負っている」との見解を示した。 さらに監督当局が規則を行使し、新たに面倒な要件を課すのではなく、既に導入されたルールに照らして債券市場の構造を検証すべきだとした上で、大量償還など危機に対処する手法を全ての当事者が確実に共有できるルールの改定を行う一方、ストレステストは個別のファンドに限定すべきだと訴えた。 原題:BlackRock Says Regulators Overdo Fund Liquidity Crisis Concerns(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン John Glover johnglover@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Patrick Henry phenry8@bloomberg.net http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MFBB6JTSER01.html 魔法薄れる香港ディズニーランド、上海の開園間近で赤字に逆戻り 2016/02/16 21:19 JST (ブルームバーグ):米ウォルト・ディズニーが中国本土初のディズニーリゾートとなる上海ディズニーランドの開園準備を進める中で、誕生から10年の香港ディズニーランドは赤字に逆戻りした。 香港ディズニーランドの前期は1億4800万香港ドル(約22億円)の通期赤字。中国人観光客が減り、4年ぶりの赤字となった。前期は2015年10月初めまでの1年間。05年の開園から7年間赤字だったが、12年に黒字化を果たしていた。 原題:Magic Fades for Hong Kong Disneyland Ahead of New Shanghai Park(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2N0NL6KLVRQ01.html
ハリー・ポッターと消えるRBS税金の謎−1650億円節税はまるで魔法 2016/02/16 21:09 JST
(ブルームバーグ):ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズに出てくる魔法使いや魔女も顔負けの魔法だ。英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)は同シリーズの映画やその他のヒット映画に関連した取引で、税負担を少なくとも10億ポンド(約1650億円)減らした。 RBSはこれについて開示しなかったが、映画の「リース戻し条件付き売却」取引のために同行が以前設立した25社以上の企業からの数百の届け出によって分かった。これらの企業は現在も活動しており、RBSの収入に貢献している。不要資産を管理する部門に置かれているものの、契約はまだ15−20年残っている。 RBSはハリー・ポッターのシリーズ作品2本を含め25本以上の映画の権利を所有している。英国では1997年に映画業界振興のための優遇税制が導入された。この税制を利用する取引として「リース戻し条件付き売却」が広がった。 RBSは98年から2007年前後にかけて、映画製作コストを支払わず、興行成績が悪かった場合のリスクも負わないにもかかわらず、この税制の恩恵を受け、03−06年に約10億ポンドの税金の支払いを免れたか繰り延べることができた。届け出と過去の税率からの計算で分かった。 RBSの広報担当者は、リース契約は当時の法律に準拠しており、07年の法改正の際に同行はこの事業から撤退したと説明した。適正額を納税するため、同行は当局と共に作業したとも話した。 原題:Harry Potter and the Riddle of RBS’s Disappearing Tax Bill(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2MZ6D6KLVRG01.html
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