10−12月GDP1.4%減、消費低迷で予想超悪化−緩和期待を補強 (2) 2016/02/15 10:38 JST (ブルームバーグ):昨年10−12月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比年率で1.4%減と、2期ぶりのマイナス成長となった。 個人消費が大きく落ち込んで、事前の予想を下回った。 内閣府が15日発表したGDP速報は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減だった。項目別で全体の約6割を占める個人消費が0.8%減となり、設備投資は1.4%増だった。公共投資は2.7%減。GDP全体への寄与度は内需がマイナス0.5ポイント、外需はプラス0.1ポイント。ブルームバーグの事前調査は年率換算で0.8%減、前期比0.2%減だった。 マイナス成長はアベノミクスが始まって以来5回目。日本銀行は1月29日の金融政策決定会合で日本初のマイナス金利導入で決定したが、サプライズ効果は金融市場で長続きせずに早くも次の緩和観測が浮上している。夏予定の参院選を前に10−12月期のマイナス成長は追加緩和を含む新たな景気対策を求める声を後押しする。 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは個人消費、住宅投資、公共投資を始めとする内需と輸出が悪化したとして、10−12月期GDPは「ポジティブな評価はできない。景気は10−12月期から調整局面に入った可能性がある」とリポートに記した。「日銀は3月15日の金融政策決定会合ではさらなる付利引き下げと量的・質的緩和の追加を決断する可能性がある」と予想した。 個人消費について石原伸晃経済再生相は「記録的な暖冬から冬物衣料などが落ち込んだ」と記者会見で述べた。金融市場の変動がみられるが、日本経済のファンダメンタルズは良好で変化している材料はないとして「今後は景気は緩やかな回復に向かうと見込まれる」とも語った。7−9月期実質GDP成長率は年率換算1.3%増、前期比0.3%増と2次速報(それぞれ1.0%増、0.3%増)から改定された。 下振れリスクが大きい クレディアグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、10−12月期GDPは消費が予想より下振れ、設備投資はプラスだが不透明感が強いと指摘した。その上で日本銀行の金融政策について「メインシナリオは6月の追加緩和を維持するが、3月もしくは4月の追加緩和の可能性も排除できないと思っている」と述べた。3月に緩和があるとすれば、量の拡大になると考えているとしている。 日銀の黒田東彦総裁は3日の講演で、「2%の物価目標の実現のために、できることは何でもやる」と言明。「必要な場合、さらに金利の引き下げを行う」と語った。日銀は1月29日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2015年度の実質GDPの見通し(政策委員中央値)を10月の1.2%増から1.1%増に下方修正、16年度は1.4%増から1.5%増に上方修正。こうした見通しは「海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい」としている。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2BIKN6JIJV101.html Business | 2016年 02月 15日 11:43 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 日本経済の好状況に変化ない=10─12月GDPマイナスで官房長官
[東京 15日 ロイター] - 菅義偉官房長官は15日午前の会見で、この日発表された2015年10─12月期GDPが前期比年率1.4%のマイナスとなったことについて、暖冬による冬物衣料の売り上げ不振などが影響したものであり、「日本経済の好状況に変化はない」との認識を示した。 菅官房長官は10─12月期のGDPについて「記録的な暖冬の影響で冬物衣料が落ち込んだ」とする一方で、設備投資は強いと指摘。日本経済の状況について「経済のファンダメンタルズは良好だ。今後も景気は緩やかな回復が見込まれる」との見通しを示した。 また「中国や世界経済の変動の影響を受けやすい新興国など、その動向を緊張感をもって注視していきたい」と述べた。 消費の落ち込みが来年4月の10%への消費増税の判断に影響を与えるかどうかについては「(今回の個人消費の落ち込みには)暖冬の影響が出ていることは明快だ。消費増税はリーマンショックのような大きな経済変動がない限り、予定通り行うことにまったく変わりない」と語った。 *内容を追加します。 (石田仁志) http://jp.reuters.com/article/suga-gdp-idJPKCN0VO05F News | 2016年 02月 15日 10:26 JST 関連トピックス: トップニュース GDP10─12月期は年率-1.4%、予測以上の減速:識者はこうみる [東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した2015年10─12月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.4%だった。2四半期ぶりのマイナス成長。市場の予測を超える景気減速となった。 海外経済の減速で輸出が減少したほか、国内需要も消費や住宅など家計部門が悪化。設備投資の増加で補えなかった。足元の金融市場の混乱の影響で早くも1─3月期への懸念も高まっている。 市場関係者のコメントは以下の通り。 <大和証券 チーフエコノミスト 永井靖敏氏> 実質国内総生産(GDP)の2四半期連続のプラス成長も難しい状況になってきている印象を持つ。消費が弱く、関連統計からプラスになってもおかしくなかった輸出が減少した。内需が良くない中で、海外の景気も悪いということで、回復の糸口がつかめない感じだ。 きょうは海外要因で株式相場は上昇しているが、景気の自律的な回復の持続性を考えると、株式相場の戻りも一時的ではないか。あすの日銀によるマイナス金利導入を控える円債市場は今回のGDPの内容でマイナス幅を拡大することはないと思われるが、長期金利は0%近辺で推移する状況に変化はないだろう。 <みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト 山本雅文氏> 第3四半期GDPは予想以上にマイナス幅が大きかった。足元の円高や株安に加え、成長率が下がったことで、アベノミクスはあらためて強化しないといけないとの流れが出そうだ。 足元の円高・株安はさらに成長率を下振れさせかねない。当局は受け入れがたいとのロジックに傾きやすく、政策対応の必要性が強まるだろう。 株価を押し上げるには、成長期待を高めることが重要だ。G20や伊勢志摩サミットで政策協調を打ち出したり、そのために日本も成長戦略を強化する必要がある。こういう動きが出て株高となれば、リスク回避ムードが和らいで円高圧力を後退させる可能性がある。 3月末までのドル/円は112─122円とみる。世界的株安や原油安、米景気後退懸念などの外的要因次第では、さらに下値が深まる可能性も否定しないが、これまでのリスクオフは市場が悲観的になり過ぎていた面がある。当局の円高・株安への警戒感は強いと見ている。 <UBS証券 シニアエコノミスト 青木大樹氏> 2015年10─12月期の実質国内総生産(GDP)は予想より悪化した。大きく外れたのは輸出だ。インバウンド需要は前期比10.1%増と、とんでもない伸びとなったが、米国の10─12月期の成長率が相当弱く、グローバル景気の悪化が確認された格好となった。消費に関しては耐久財や半耐久財が大きく下げており、実質賃金上昇率の伸びの鈍さが影響したとみている。 世界景気の減速懸念などを背景にグローバルなリスクオフが高まっており、今月下旬の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での協調的な政策対応が期待されている。具体的には3月の米利上げ見送り、欧州・日本でのさらなる利下げや量的緩和の拡大、中国での財政面でのサポートが示唆されることが望ましい。ドイツ銀行に対する懸念などは引き続きくすぶるものの、各国での協調的な姿勢が確認されることで安心感につながるだろう。 http://jp.reuters.com/article/gdp-dm-idJPKCN0VO024 10〜12月実質GDP、年率1.4%減 2期ぶりマイナス 消費・住宅投資が低迷 2016/2/15 8:50 内閣府が15日発表した2015年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.4%減、年率換算では1.4%減だった。15年7〜9月期(年率換算で1.3%増)から下振れし、2四半期ぶりのマイナス成長に転じた。個人消費や住宅投資など国内需要が低迷した。
QUICKが12日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.3%減、年率で1.3%減だった。 生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%減、年率では1.2%減だった。名目でも2四半期ぶりのマイナスとなった。 実質GDPの内訳は、内需が0.5%分のマイナス寄与、外需は0.1%分のプラス寄与だった。 項目別にみると、個人消費は0.8%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。前四半期(0.4%増)から減少に転じた。暖冬で冬物衣料などの売れ行きが鈍かった。円安による食料品の値上げなどで消費者の節約志向が根強く、実質賃金の伸び悩みも低迷の一因となった。価格上昇を背景に住宅投資は1.2%減で4四半期ぶりマイナス、過年度の補正予算の効果が一巡した公共投資は2.7%減で2四半期連続のマイナスだった。 一方、設備投資は1.4%増と2四半期連続のプラスとなった。底堅い企業収益から更新需要などがみられた。企業が手元に抱える在庫の増減を示す民間在庫の寄与度は、0.1%のマイナスだった。 輸出は0.9%減、輸入は1.4%減だった。輸出は減少したが、原油安を受けて輸入が減り、GDP成長率に対する外需寄与度はプラスを確保した。GDPで個人消費ではなく輸出に計上されるインバウンド(訪日客)需要は輸出を下支えした。 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス1.5%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.2%下落した。 2015年度の実質成長率が内閣府の試算(1.2%程度)を達成するには、16年1〜3月期で前期比年率8.9%程度の伸びが必要になるという。 同時に発表した15年暦年のGDPは実質で前年比0.4%増、生活実感に近い名目で2.5%増となった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15HOB_V10C16A2000000/ Business | 2016年 02月 15日 11:58 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 1月の中国ドル建輸出は前年比11.2%減、予想を大きく下回る [北京 15日 ロイター] - 中国税関当局が15日公表したデータによると、1月のドル建輸出は前年同月比11.2%減とロイターがまとめた予想(1.9%減)を大きく下回った。 ドル建輸入は前年比18.8%減少した。市場予想は0.8%減だった。 貿易収支は633億ドルの黒字となった。 http://jp.reuters.com/article/china-d-idJPKCN0VO073 Business | 2016年 02月 15日 11:27 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 1月の中国輸出、6.6%減少 輸入は14.4%減=税関
[北京 15日 ロイター] - 中国税関当局が公表したデータによると、1月の人民元建輸出は前年同月比6.6%減少した。輸入は14.4%減とだった。 この結果、貿易収支は4062億元(623.3億ドル)の黒字となった。 http://jp.reuters.com/article/china-i-idJPKCN0VO058 Business | 2016年 02月 15日 11:09 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
連休明けの人民元対ドル基準値、大幅な元高に設定 [上海 15日 ロイター] - 中国人民銀行は、春節(旧正月)の連休が明けた15日、人民元の対ドル基準値(中間値)CNY=SAECを1ドル=6.5118元に設定した。 連休前の6.5314元と比べて0.3%の元高・ドル安となった。前営業日比の元高幅では昨年11月2日(0.5%)以降で最大。 中国の外為市場は先週いっぱい休場だった。休場期間中、ドル指数.DXYは1.5%安、オフショア人民元CNH=D3は0.9%上昇した。 http://jp.reuters.com/article/china-yuan-midpoint-idJPKCN0VO04K
日本株4日ぶり大幅反発、米消費堅調と円高一服、急落反動も−全面高 2016/02/15 12:01 JST
(ブルームバーグ):15日午前の東京株式相場は4営業日ぶりに大幅反発。米国消費の堅調、為替市場での急激な円高一服や原油市況の大幅高を受け、過度のリスク回避姿勢が和らいだ。直近で急落していた反動もあり、銀行や保険、証券など金融株、輸送用機器やゴム製品など輸出株、商社や不動産株中心に東証1部33業種は全て高い。 TOPIXの午前終値は前週末比71.38ポイント(6%)高の1267.66、日経平均株価は765円81銭(5.1%)高の1万5718円42銭。 ミラボー・セキュリティーズ・アジアのトレーディング・ディレクター、アンドルー・クラーク氏(香港在勤)は「日本はかなり売られ過ぎていた。投資家は急いで買い戻している。ロングオンリーの投資家も、個人やヘッジファンドとともに入ってきている」と話していた。 米商務省が12日に発表した1月の小売売上高は、前月比0.2%増と3カ月連続でプラスだった。市場予想は0.1%増。また、同日のニューヨーク原油先物は12%高の1バレル=29.44ドルと2009年2月以来の大幅上昇を記録。石油輸出国機構(OPEC)には他の産油国と協力する用意がある、としたアラブ首長国連邦(UAE)エネルギー相の発言が好感された。同日の米国株はダウ工業株30種平均が300ドル以上急伸、欧州株も銀行セクター中心に総じて上げた。 為替市場でもリスク回避の動きが一服し、きょう午前のドル・円相場はおおむね1ドル=113円台半ばと12日の日本株市場の終値時点112円44銭から円安方向に振れた。また、前週末までの3営業日で日経平均は2000円以上急落、東証1部の騰落レシオも売られ過ぎを示す80%を大きく下回る状況で、目先の反発を狙う動きも出やすかった。UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジストは、「典型的なリバーサル。米国が利上げできない環境が一番悪く、米国が強く、内需堅調でドルが上がり、円安となることが日本株には重要」と言う。 一方、取引開始前に内閣府が発表した昨年10−12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率1.4%減と2期ぶりのマイナス成長で、個人消費の落ち込みを中心に市場予想の0.8%減より悪かった。ジャパンマクロアドバイザーズの大久保琢史チーフエコノミストは、「日本銀行は金融緩和を続け、安倍首相は消費税増税を中止せざるを得ないだろう。政策当局は、市場のリスクに注意しており、リセッションを防ぐために全てのことをするという姿勢を示す必要がある」とブルームバーグ・テレビで指摘した。 春節(旧正月)の休場明けとなった中国上海総合指数は2.8%安と下げて始まり、その後はやや下げ渋る動き。UBS証の大川氏は、「中国株との連動は薄れてきている。今の市場のリスクは米利上げの延期とドイツ。その話が出たり、消えたりで市場のボラティリティは上がっている」とみている。 東証1部33業種は保険、ゴム、証券・商品先物取引、その他金融、空運、銀行、卸売、不動産、輸送用機器、海運が上昇率上位。東証1部の売買高は15億1653万株、売買代金は1兆3248億円。上昇銘柄数は1861、下落は61。 売買代金上位ではトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、ソニー、JT、パナソニック、野村ホールディングス、東京海上ホールディングス、オリックス、三井物産、第一生命保険、ブリヂストン、ヤマハ発動機、大塚ホールディングスが高い。半面、15年12月期が10%を超す営業減益だった楽天、16年2月期利益計画を減額したイオン、16年12月期は営業減益を見込むサントリー食品インターナショナルは安い。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2K72O6TTDS401.html 欧州銀行株、いまが絶好の買い場か
By LAURENCE FLETCHER 2016 年 2 月 15 日 06:12 JST 欧州銀行の株式と債券に浴びせられた大量の売りは行き過ぎであり、「驚異的な」買い場を提供している――。欧州有数のヘッジファンド運用担当者らはそう指摘する。 欧州銀行株は今年に入って20%以上下落している。なかでも下げが目立つのは、ドイツ銀行や仏ソシエテ・ジェネラルなどだ。ただヘッジファンドの一部は今回の売りについて、2008年のような金融危機には発展しないと顧客に話している。その要因として彼らは、欧州中央銀行(ECB)の支援策やレバレッジ比率の低下、エネルギーセクターへの投融資残高(エクスポージャー)の低さなどを挙げている。 英マンGLGの共同創業者ピエール・ラグランジュ氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、銀行危機は存在せず、株価の下落は「多くのケースで、完全な行き過ぎだ」と話した。同氏は欧州で最も著名なヘッジファンドマネジャーの一人でもある。 同氏は投資を検討中の欧州銀行株リストを現在作成中だと明かした。検討しているのは、自己資本比率が14%〜16%、株価純資産倍率(PBR)が0.7〜0.8倍の銀行だという。具体的な銀行名には言及しなかった。 同氏は「探すべきは希釈化の可能性がなく、自己資本率が高いところだ」とし、いまが「驚異的な」買い場だと述べた。 投資家は今年、銀行の純金利マージンを圧迫する低金利政策の影響に懸念を募らせてきた。一方で、原油安や新興国経済の減速による潜在的損失への不安も抱えている。 米連邦制度準備理事会(FRB)のイエレン議長が10日、米経済の下振れリスクや市場のインフレ期待の後退などを強調したことを受け、市場にはさらに不安感が広がった。 だが、投資家の中には、銀行の株式や債券への投資から大きな利益が得られると確信している向きもある。 運用資産額76億ポンド(約1兆2000億円)のH2Oアセット・マネジメントは顧客向けリポートの中で債券市場について、「この混乱は(金融)システム全体には広がらないと引き続き信じている」と記している。このリポートはウォール・ストリート・ジャーナルが確認した。 同社は「簡潔に言って、欧州金融セクターのファンダメンタルズは安定している。3年前よりもはるかに強くなっている」と指摘。さらに、欧州金融機関によるエネルギーセクターへのエクスポージャーは8億ドル(約902億円)程度であり、その大半は投資適格級で「デフォルト(債務不履行)のリスクはほとんどない」としている。 関連記事 欧州銀行株、なぜ下がる 欧州銀、米国市場を譲れない理由 欧州市場、銀行信用リスクの急騰が大きな足かせに 【特集】金融市場動揺 市場の混乱続くか−景気変調めぐる議論に拍車で 金利先物市場ではFRBが年内は利上げを見送ると織り込まれている By MIN ZENG, CORRIE DRIEBUSCH AND MIKE CHERNEY 2016 年 2 月 15 日 12:06 JST 市場関係者らは再び慌ただしくなりそうな1週間に身構えている。世界経済が変調の兆しを見せているのか、あるいは金融市場でそうした兆しが見られるだけなのかをめぐって議論が激しさを増していることも、相場をさらに不安定にさせそうだ。 今年の株式相場は軟調で、景気敏感銘柄とされる銀行株、自動車株、消費関連株が特に売られている。一方、安全性の高い国債は価格が急騰し、米国債の10年物利回りは年初来で0.5%余り低下した。 いわゆる信用スプレッド(米国債よりもリスクが高い債券を買う投資家が要求する上乗せ利回り)が上昇していることもあり、こうした相場展開はリセッション(景気後退)入りを示唆しているのではないかとの声が多く聞かれる。 だが投資家の間では、米経済がリセッション(2四半期連続のマイナス成長)入りの危機にあるようには全く見えないとの声が多い。むしろ、米経済はペースこそまちまちでも拡大を続けているとみている。事実、何か月も雇用が着実に伸び、直近では12日発表の1月の小売売上高が予想を上回った。市場がリセッション入りのシグナルを発することに頼っている向きは、中銀が緩和局面に入る前と違って経済内部の健全性をもはや反映していない機能不全の指標に注目している恐れがある、との声もある。 アナリストや運用担当者は、こうした議論が展開され、株式や債券、為替の値動きがさらに大きくなることで、ボラティリティーは高まり続けると予想している。 ヘッジファンドのナインアルファ・キャピタルの共同創業者、ジェイソン・エバンズ氏は、市場は不安定状態にあるとし、「人々はただ、いま何が起きているかを把握できていない」と述べた。同氏はドイツ銀行とゴールドマン・サックス・グループで米国債取引部門責任者を務めた経歴を持つ。 13兆ドル規模の米国債市場のボラティリティー(変動率)を測る代表的な指標は先週、1年ぶりの高水準に達した。JPモルガン・グローバルFXボラティリティー指数によると、為替市場のボラティリティーは2011年末以来の高水準に達している。 シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX、恐怖指数)は先週上昇したが、それでも昨年8月に付けた直近の高水準を大きく下回ったままだ。 このことから、経済成長への不透明感がくすぶり、非伝統的な金融政策手段が国際金融システムに及ぼす影響も見通しにくい中、資産をどう配分すればよいか運用担当者がますます頭を悩ませていることが分かる。 先週末12日の米国株の反発が短命に終わるのではないかと懸念する声もある。春節(旧正月)のため1週間休場していた中国市場が15日に再開し、ここ最近の他市場の下げに追い付こうとする可能性があるためだ。同日の米国株式市場および債券市場はプレジデンツデーの祝日で休場となる。 ウォーラックベス・キャピタルのシニアバイスプレジデント、ジム・ライアン氏は「中国で何か動きがありそうな気がする」とし、そうなっても米市場は16日まで反応することができないと述べた。 15日にはさらに、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が欧州議会の委員会で証言する。ドラギ総裁は1月、3月のECB理事会で追加緩和に踏み切る可能性を示唆していた。 米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、1月26日・27日分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表する。市場関係者らは、昨年12月に9年ぶりの利上げに踏み切ったFRBに追加利上げする意欲があるか手掛かりを探そうとするだろう。 また、19日には米労働省が1月の消費者物価指数(CPI)を発表する。アナリストらにとっては、FRBの目標とする2%を3年8カ月連続で下回っているインフレ率が少しは上昇したかを確認する新たな機会となるだろう。 FRBの金利政策に対する予想が反映される金利先物市場では、年内の利上げ見送りが織り込まれている。 市場の混乱を受け、FRB関係者らは、経済成長と雇用拡大は着実に進みインフレ率は緩やかに上昇するという見通しを数カ月先まで維持することができるか再検討しつつある。関係者らは今のところ、景気拡大が続き金利は上昇するとの見方を維持しているが、イエレンFRB議長は先週の議会証言でどんな選択肢も排除しない考えを強調した。 レイモンド・ジェームズの債券資本市場責任者、ケビン・ギッディス氏は「足元の相場が不安定な要因の大半は、市場とFRBの考えが明らかに乖離(かいり)していることにある。一方は正しく一方は間違いだと経済指標が証明するまでこうした状況は続きそうだ」と述べた。 米国は経済成長率が金融危機前の平均水準を下回っているにもかかわらず、一部の尺度で見ると大国の中では最も健全な状態を維持している。このように経済に関する明確なシグナルが不足していることなどを反映し、市場の混乱が短期間ないし無傷で終わると考える向きはほぼいない。 ペイデン&リゲルのマネジングプリンシパル、ジム・サーニ氏は「これは後になってみれば一時的な動きだったと振り返ることになるのだろうが、それでも6カ月以上は続くとみている」とし、市場は米大統領選が行われる11月まで不安定な展開が続くだろうと述べた。 米経済については「非の打ち所がないわけではないが、足元はしっかりしている」と評した。 関連記事 金融市場動揺【特集】 欧州銀行株、いまが絶好の買い場か 債券は下落、株高や明日の20年債入札に向けた売り−超長期ゾーン安い 2016/02/15 11:26 JST (ブルームバーグ):債券相場は下落。前週末の米国債相場の下落や国内株高に加え、明日に20年債入札を控えて売りが優勢となっている。日本銀行が今日の金融調節で長期国債買い入れオペを通知したことが相場の下支えとなっている。 15日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前週末比1銭安の151円10銭で開始し、いったんは151円24銭まで上昇した。再び下げに転じ、16銭安の150円95銭まで下落。午前10時10分の日銀オペ通知後に一時プラスに転じたが、再び水準を切り下げ、午前終値は13銭安の150円98銭だった。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.08%で開始し、0.095%と2日以来の高水準を付けている。新発20年物の155回債利回りは横ばいの0.80%で開始後、0.815%と2日以来の水準に上昇。新発30年物の49回債利回りは1bp高い1.155%と1月29日以来の高水準で推移している。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「国内総生産(GDP)が予想を下回り買われる場面もあったが、海外市場の流れを受けて弱めに推移しそうだ」と指摘。「明日は20年入札がある上、マイナス金利導入で短期金利が本当にマイナス0.1%に向かっていくのかがポイントで、今日は買い進みづらい。10年債はマイナス金利に突っ込んだ後に戻ってきており、すぐにゼロ%割れで定着とはならないだろう」と言う。 日銀は今日午前10時10分の金融調節で、今月5回目の長期国債買い入れオペの実施を通知した。残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下が対象で、総額は1兆2700億円程度となる。 12日の米国債相場は下落。利回りは2カ月で最大の上げとなった。原油価格が7年ぶりの大幅高となり、米株相場も6営業日ぶりに上昇したことが手掛かり。米10年債利回りは前日比9bp高い1.75%程度で引けた。この日の東京株式相場は大幅上昇。日経平均株価の上げ幅が800円近くなる場面があった。 GDP統計 内閣府がこの日午前に発表した2015年10ー12月期のGDP(速報値)は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.4%減、年率換算で1.4%減と2四半期ぶりのマイナス成長となった。個人消費が大きく落ち込んで、ブルームバーグの予想中央値の年率換算0.8%減を下回った。 野村証券の松沢中チーフストラテジストは、GDPについて、「債券にポジティブ。前期比年率マイナス1.4%と消費が特に弱い。統計上のゆがみが指摘されているので1−3月は消費が反発するとみられるが、プラス成長が定着せず、政策対応への声も高まりやすい」と言う。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2FIO76K50XV01.html
ドイツ銀の社債買い戻し、狙いは?
By DAVID REILLY 2016 年 2 月 15 日 10:18 JST 銀行株の急落は経営陣と投資家に衝撃を与えている。しかし、銀行の財務責任者の注意を本当に引いているのは資金調達コストの急騰だ。 欧州銀行セクターの相場下落の中心となってきたドイツ銀行が、無担保優先債を買い戻すのもそのためだ。ドイツ銀の1兆7000億ユーロ(約216兆6700億円)のバランスシートに占める無担保優先債の割合は非常に小さいことを考えると、買い戻しは奇妙に見える。実際、買い戻し額はわずか50億ユーロにすぎない。 しかし、買い戻しの主な狙いは、社債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)提供者などのデリバティブ(金融派生商品)契約のカウンターパーティー(取引相手)の見方を変えることにある。 それがどうして重要なのかを理解するには、銀行を通常の事業会社と考えてみるといいだろう。通常の企業のようにドイツ銀行にも最終製品の製造に必要な原材料を供給するサプライヤーがいる。銀行の場合、原材料はお金で、それを元にローンを組成する。 例えば、家具メーカーであれば、原材料費が高騰したり、サプライヤーが一斉に供給をためらったりした場合、メーカーは会社としての機能に大きな支障をきたす。銀行も同じだ。つまり、デリバティブカウンターパーティーをなだめることは、サプライヤーをなだめるのと同じだ。 そして、沈静措置は必要だった。ドイツ銀の債務保証コストは11日、2011年以来の高水準に達したが、買い戻し発表後、大幅に戻した。ただし、依然、高水準にある。 買い戻し発表には、他にもメリットがある。株価と債務保証コストが互いに影響し合うことだ。株価下落は信用市場にも影響し得るが、その逆の事態も起こり得る。ドイツ銀は、今回それが当てはまることを期待している。ドイツ銀株は12日、買い戻し発表が一因となり、前日比1.62ユーロ(11.80%)高の15.30ユーロで引けた。沈静の取り組みは両市場で実を結んでいるようだ。 関連記事 ドイツ銀行、54億ドルの社債買い戻しを発表 ドイツ銀行、手元資金潤沢も自己資本に懸念 欧州銀行株、いまが絶好の買い場か 欧州銀行株、なぜ下がる Column | 2016年 02月 15日 10:51 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:ドイツ銀シニア債買い戻し、投資家が断るべき理由 BY NEIL UNMACK Neil Unmack [ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)が投資家に対して、絶対断るべきであるような提案をしている。同行は12日、50億ドル相当の無担保シニア債を公開入札で買い戻すと発表した。買い戻しが大規模になれば、ドイツ銀には自由に使える資本が多くなる。 しかし同時に同行の存続性に関して投資家が確信を持てないことを示す恐れがある。シニア債の価格が今後反発する可能性を考えれば、投資家は買い戻しに応じずに様子を見た方が得策だろう。 銀行が債券を買い戻す理由は多々ある。ドイツ銀の場合は強気のメッセージを発信したいという思いと、ちょうど良い機会がめぐってきたことが重なった。世界経済の先行き懸念や、同行が自己資本強化のために発行した債券の一部について利払いを中止するのではないかとの観測から、シニア債は価格が急落した。これに対してクライアン共同最高経営責任者(CEO)は、経営基盤が頑健だと強調した。 ドイツ銀はこれらのシニア債を買い戻すことで多少の利益を得られる。一部のシニア債の利回りが高水準、つまり価格が額面を下回って推移しているからだ。投資家としても、ドイツ銀が取引実勢に色を付けた買い取り価格を提示したという点で、悪くない話に見えるかもしれない。例えば2021年償還債は11日時点で額面の約92%の価格で推移していたが、提示額は額面の94.4%となっている。 それでも投資家がここで売ってしまうのは、かなり近視眼的な取引になるだろう。1週間前、同じ債券は額面の97%前後だった。 今の市場環境では大規模な債券の取引が難しく、一部の資産運用会社が資金流出に苦しんでいることも、投資家にとっては売るべき理由になる。だがもしもドイツ銀への信頼を持っていて、2週間前に比べて経営の存続に疑いを強める根拠はないとするなら、シニア債は同行の買い戻し提示額などすぐに上回る価格になるとみるべきだ。 ドイツ銀と債券保有者双方にとって最適な結果は、買い戻しが低調な規模にとどまることだろう。 それはつまり、債券保有者は現在の市場価格が示唆しているよりもドイツ銀を信頼している証しとなる。シニア債の買い戻しというのは論理的には妥当な動きだが、今回のケースでは買い戻しが予定額に達しないことこそが好結果と言えるかもしれない。 ●背景となるニュース *ドイツ銀は12日、ユーロ建てとドル建てのシニア債50億ドル相当を買い戻すと発表した。それまでの1週間に同行の債券は経営健全性をめぐる懸念から価格が下落していた。 *ドイツ銀の5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは、1日時点の133ベーシスポイント(bp)が11日に268bpまで拡大。12日の買い戻し発表後は219bpに縮小した。 *ドイツ銀の発表は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。 bit.ly/1RwoBsa http://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-bonds-breakingviews-idJPKCN0VO02L
無担保コール翌日物「下がってもゼロ%」、マイナス金利対応に遅れ 2016/02/15 09:09 JST (ブルームバーグ):市場イールドカーブの代表的な起点金利である無担保コール翌日物は、日本銀行が一部当座預金に対してマイナス金利適用を実際に始める明日になってもマイナス圏に突入しない可能性がある。市場関係者から金融機関のシステム対応が追いついていないとの指摘が出ているためだ。 日銀は1月29日に公表したマイナス金利政策の声明の中で、「当座預金金利のマイナス化によりイールドカーブの起点を引き下げる」と言明した。国債市場では、この日銀によるサプライズ追加緩和を受けて、新発10年物利回りまでが発表から10日足らずでマイナスを付けた。 一方、取引の対象となる期間が1年以下の無担保コール金利はプラス圏で推移し、金利を期間の短い順に並べたイールドカーブの一部にゆがみが出る背景となっている。先週末12日の相場では、取引期間が16日にかかる1週間物から1カ月物が0.001%やゼロ%で取引され、マイナス金利の取引はなかった。 日銀は16日から、銀行などの金融機関が日銀に預けて利息をもらっていた一部の当座預金に0.1%のマイナス金利を課す。日銀の試算によると、対象となる残高は当初、約10兆円に上る見通し。これは、無担保翌日物が中心のコール市場の半分程度に相当する規模だ。 日本よりも前にマイナス金利政策が導入されているユーロ圏のインターバンク市場では、無担保翌日物金利(EONIA)はマイナス0.25%前後。1週間物はマイナス0.2%台、1カ月物や3カ月物はマイナス0.1%台で推移している。 ECBのドラギ総裁はマイナス金利政策に踏み切る1年以上も前から、市場に導入の可能性を伝えていた。一方、日銀の黒田総裁は1月21日の国会答弁で、「マイナス金利を具体的に考えていることはない」と述べていただけに、同発言からわずか約1週間後にマイナス金利政策の導入を表明したことで、市場関係者は不意打ちを食らった形だ。 日本のインターバンク市場で、金融機関同士の短期資金の取引を仲介するセントラル短資総合企画部の佐藤健司係長は、「みんなマイナス金利導入を想定していなかったので、あまりに急な決定に実務面が追いついていない」と言う。金融機関が16日から無担保コール翌日物をマイナス金利で取引を始める可能性については懐疑的で、「トラブルが生じてもいけないので、当面はどんなに下がってもゼロ%近辺での取引ではないか」とみている。 複数の短資会社によると、外国銀行や地方銀行の中にはマイナス金利に対応可能なシステムをすでに構築した金融機関もあるが、取引の下限は0.0001%という銀行も少なくない。翌日物をマイナス金利で取引した場合の決済手続きを昔流の手作業で処理しなければならないと言う。 日銀の準備預金制度の対象となっている金融機関は、日銀当座預金に積み立てることが義務付けられている所要準備を上回る超過準備に関して、今日までは年率0.1%の利息を受け取ることができる。2008年9月のリーマンショックで混乱した国内金融市場への対応策として白川方明前総裁時代に導入された同制度は、金融機関にとって日本で最も安全で安定的に収益が確保できる運用手段の一つとなっていた。 外国銀行は、速水優氏や福井俊彦氏が日銀総裁だった01−06年の量的緩和下のコール市場で、為替取引などで調達した割安な円資金を日銀当座預金に積む代わりにマイナス金利で運用した経緯がある。ただ、当時も国内銀行がマイナス金利で資金を運用したとの報告はなかった。 もっとも、セントラル短資の佐藤氏は、「システム対応が進めば邦銀も取引が可能になる」として、2月分の準備預金の積み期間の半ばに当たる2月末から3月中旬にかけてマイナス金利の取引が出てくるとみている。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2GN496JIJUP01.html
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