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この円高はやっぱり異常! ヘッジファンドを黙らせる「速攻の一手」を提示しよう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47911
2016年02月15日(月) 高橋 洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
■エコノミストを信じてはいけない
1月29日の日銀によるマイナス金利導入以降、株式市場と為替市場が乱高下している。
まず、はっきりさせておきたいのは、こうした市場の短期的な動きで、政策効果を考えるのは基本的に間違っている。政策効果は、GDPや雇用で計られるものであって、それらは半年〜2年後あたりに効果が出てくるものだ。
株式市場と為替市場は、短期的にはランダムな動きをするので、それらの先行指標を見るにも短期で見ると方向性すら間違うこともしばしばだ。
ところが、世の中にはカネの強欲亡者が多く、そうした人は、GDPや雇用に関する数値にはまったく関心がなく、カネだけの成果をいち早く求めがちである。
また、そうしたカネの強欲亡者を相手に商売する金融市場関係者も、株式や為替市場の動きで政策を語ることがしばしばである。そうした人たちは、本来政策を語る資格がないが、そういう人物に限って、テレビなどのマスコミでは幅をきかせている。
というのは、金融機関が番組のスポンサーになっているので、その関係会社に属している市場関係者、エコノミストが登場するという仕組みができているからだ。金融機関の立場に立つ論者しかメディアには登場しない、といってもいいくらいだ。
筆者もしばしば株式や為替市場の話を求められるが、政策効果についてはGDPや雇用の話をするようにしている。株式や為替市場の短期予測は理論上もできるはずがないので、筆者はそうした株式や為替市場の短期予測をする人に対して「デタラメをいって商売している」という断言もしている。
これは、2013年のノーベル経済学賞を見てもわかる。米シカゴ大学のファーマ教授、米エール大学のシラー教授が資産価格の実証研究で受賞しているが、ファーマ教授は短期的な資産価格の予測は困難であると語っている(一方のシラー教授は3〜5年先といった比較的長期の価格は予測可能なことを示している)。
■株価暴落の原因は明らか
筆者の分析は、政策の効果をGDPや雇用で計るものだが、それに至るまでの副産物として株価や為替も出てくるので、その範囲内で株価や為替について話すこともある。が、あくまでそれらは副産物である。筆者は株価や為替の話をするときも、絶対に短期予想はしない。
ところが、カネの強欲亡者は金融市場だけしか見ず、しかも時間概念も超短期なので、筆者の話を誤解・曲解する人が多く困ってしまう(笑)。
以上のことを前提としたうえで、ここ2週間の市場の動きについて話をしよう。
ご承知の通り、株価は大きく下げ、為替は大きく円高になっている。長期金利はマイナスにもなるほど下げている。これを、すべてマイナス金利のせいであると断定する輩もいるが、それはあまりに短絡的すぎる。
まず、株価については、昨年から世界で下がっている。1年前と比べると、日本▲19%、アメリカ▲12%、イギリス▲19%。なお、安倍政権発足直後の3年前と比べると、日本+32%、アメリカ+12%、イギリス▲11%と、日本のパフォーマンスはいい。
要するに、中国経済に懸念が出始めてから、世界の株価が怪しくなってきたのだ。中国経済は、その統計のデタラメさに根本原因があるので、なかなか出口が見えてこない。
そうした中国経済の問題は、本コラムでも、『衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている? データが語る「第二のリーマン・ショック」 2015.08.31』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44888)や『G20が認めた「危機の中国経済」 2015.09.07』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45145)などで書いたので、参照していただきたい。
次に為替である。
■投機筋に狙われている?
為替の動きは不可解だ。マイナス金利政策から想定される動きとは、まったく方向性も異なり、かつ変動幅も大きい。マイナス金利政策から、日米の金利差は円安方向にふれるはずだが、その方向とは逆の動きになっているのだ。
為替の短期的な動きはランダムであり、それを読むことは難しいといったが、ここ2週間の動きは、理論上想定される動きとまったく逆方向であるのみならず、その変動幅をとっても7%以上(2月1日1ドル121.3円が12日に112.35円と7.4%の円高)となっており、そのような大きな変動幅は1998年以来という、滅多にないものだ。
以下は、1971年の変動相場制以来の2週間の変動を統計分析したものだ。大半の場合、プライマイナス1%程度の変動しかない。しかも、どちらにふれるかは五分五分だ。これで筆者が短期の動きがランダムという意味がわかるだろう。
このデータから、2週間の変動幅が7%を超える確率は0.5%程度しかない。しかも、想定されるものと逆の動きになることはまずないともいえる。
しかし、実際に起こったわけである。それをどのように解釈するか。有力なのは、一部のファンドの仕掛けに市場全体がのってしまった可能性だ。
実際に、いくつかのヘッジファンドが投機的な仕掛けをしてきたのは事実のようだ。それで、短期的に逆方向の大きな変動になっていることは説明できるだろう。この点は、また後で述べよう。
第三に、長期のマイナス金利である。これは、今年1月4日の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47244)に書いたように、いまは国債の品不足状態であるので、十分にあり得る話だ。金融機関が品不足の国債を競って購入するために、高値になって、マイナス金利になるからだ。欧州でも、ドイツでは国債の品不足から、しばしばマイナス金利が見られる。
以上、ここ2週間の株安、円高、長期マイナス金利について見ると、株安は中国経済低迷の影響を昨年から引きずっている。そこに、為替の売り仕掛けで円高になって、さらに株価が下げているということだろう。長期マイナス金利については、国債の品不足を背景として考えれば、十分にあり得る話だ。
■市場に負けない介入が可能なはずなのだが…
こうした状況において、筆者としてまったく解せないのは、為替で投機的な仕掛けをかけられているにもかかわらず、為替当局が大規模な為替介入を行っていないことだ。
18年間も発生していないくらいの大規模な、しかも理論上と逆方向の為替の動きであれば、為替介入するのが当たり前だ。
しかも、円高に向かうなかで、為替当局としては、為券(国債)を発行してドル債を購入すればいいので、青天井で実施できる。普通に考えれば、市場に負けない介入が可能なはずである。
逆にいえば、ここ2週間、為替当局はボケーと市場を注視していただけということで、まったく情けない限りだ。ちょっと表現がきついかもしれないが、まったく無能な為替当局である。そうした無能な通貨当局だったので、ヘッジファンドも安心して仕掛けることができたともいえる。
この時点で、為替介入は為替の観点からだけでなく、国債の品不足を補うという観点でも正当化できる。ただですら、国債の品不足になっているのだから、介入資金調達のために国債を発行することは、恵みの雨ともいえるのである。
またこのとき、日銀は発行された国債を購入することで、さらに量的緩和を補強することができる(いわゆる非不胎化unsterilized)。
実際のところ、為替介入には直接的な効果はないといわれているが、非不胎化であれば、円安効果が実際にある。かつて小泉政権下では「溝口介入」といわれる介入が行われた。投機筋に狙われ03年末から急速に円高が進んだ際、04年初頭から日銀が1日1兆円といわれる介入に乗り出した。
このとき、発行した為券の半額を日銀が購入して非不胎化したので、円安になった経緯もある(この溝口介入の舞台裏については、拙著『日本経済のウソ』ちくま新書、を参照されたい)。
為替介入+日銀為券購入という手は、国会開催中でも行える政策である。一部のヘッジファンドに仕掛けられたのだから、その「倍返し」が必要だろう。この種の対策は、緊急を要するので、速攻で行うべきだ。
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