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12日の日経平均は1万5000円割れとなり、ドル円も大幅な円高で推移(撮影:尾形文繁)
円高はいったいどこまで進んでしまうのか 現実味を帯びてきた100〜105円のライン
http://toyokeizai.net/articles/-/104889
2016年02月12日 中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 東洋経済
『円安終焉へのカウントダウンが始まった』(2015年12月14日http://toyokeizai.net/articles/-/96061)で予測しましたように、米国の利上げをきっかけにして、年初からの円高傾向が鮮明になってきています。
多くの識者の方々の解説を伺っていると、円高進行の原因を「世界経済への先行きへの不安」や「地政学リスク」などと答えているようですが、そのような不安やリスクはすでに昨年の秋口から顕在化していたので、これらの解説は後付けの講釈にすぎないといえるでしょう。
端的にいえば、円高トレンドに転換した本質的な要因は、ドル円相場に大きな歪みが生じていたところに、米国の利上げが引き金となって、その歪みを修正する動きが起こるのは当然であるという話に過ぎなかったのです。すなわち、海外の投資筋の円売りにより、過剰な円安が日本経済の実力以下に進んでしまっていたというわけです。
■購買力平価の水準となる100円〜105円が妥当
『やっぱり2016年は円高トレンドの1年になる』(2015年12月30日http://toyokeizai.net/articles/-/98453)では、金利差だけで円安になるという見方は非常に短絡的であると指摘したうえで、円相場の予測はいろいろな要因を俯瞰したうえで総合的に判断することが重要であると述べさせていただきました。その記事では円相場を予測するのに大事な視点を説明していますので、できるだけ多くの読者にご覧いただきたいと思っております。
さて、個人投資家や機関投資家、企業関係者、さらには政治家までもが「円高はどこまで進むのか」と心配し始めています。それと同時に、企業収益への悪影響を懸念し始めています。それでは、円高の進行はどの程度まで進むと考えることができるのでしょうか。
実のところ、私の予測には今のところブレがありません。拙書『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』やこの連載をご覧になっている方には申し訳ないのですが、今でもやはり購買力平価の水準とみられる100円〜105円が妥当な水準ではないかと考えております。円相場の大きな流れでは、購買力平価を起点にして3年〜5年のスパンで、円高に振れたり円安に振れたりと繰り返しているからです。
ただし私にとって誤算だったのは、日銀が117円前後というずいぶん早い段階で「マイナス金利」という毒薬にも近い緩和策を講じてきたことと、その「毒を以て毒を制す」的な緩和策を講じたにもかかわらず、円高を短期的にしか止められなかったということです。
先に取り上げた記事(『やっぱり2016年は円高トレンドの1年になる』)において、私は日銀が110円あたりで追加の緩和策を決定し、最低でも5円幅の円安への反転はあるだろうと予想していました。なぜなら、できる限り円安を維持するためには、適正な水準に防衛ラインを設定してこそ、その有効性を発揮することができるからです。
しかし問題だったのは、日銀が円安を維持しようとする水準がどう見ても割安な水準にあったということです。そのように考えると、日銀の緩和策の決定はあまりに早すぎたという感が否定できません。通貨安を狙って安い水準で緩和や介入をすると、その効果が著しく低減してしまうというのは、過去の為替相場が示している通りなのです。
■浮上する政府・日銀による為替介入
それでも、マイナス金利という毒薬を持ち出してまで円高を止めようとしたのですから、1カ月〜2カ月くらいは115円(ここを抜けると、短期間で110円まで円高が進む可能性が高まる)を死守できるだろうと見ていました。しかし結果的には、122円まで円安に引き戻す過程で、海外投資家に円売りポジションをつくる絶好の機会を与えてしまっただけだったというわけです。
実際に2月に入ってから、ヘッジファンド関係者の間では、円相場のターゲットプライスを100円〜105円に設定するところが増えてきています。これに対して、日銀はマイナス金利と量的緩和の拡大で対抗するしかないのでしょうが、それではあまり効果がないことが先日のマイナス金利で証明されてしまっています。
そこで浮上してくるのが、政府と日銀が協力して為替市場で介入(覆面介入になるかどうかは分かりませんが)を実施するということです。もちろん、私は防衛ラインとして110円が妥当であると考えていますが、実際の防衛ラインがどの程度になるのかは分かりません。
2月中旬〜3月下旬にかけて、日本企業の円買い需要は否が応でも高まっていきます。日本企業の多くが今年も円安が続くと見ていたため、決算に向けた円買いを手当てできていない企業が多いということです。そういった点を考えると、政府・日銀は円高を食い止めるために、米国から批判を受けるまでは為替介入を繰り返すしかないのではないでしょうか。
■日本の銀行が取る選択肢は
しかしその間にも、銀行の収益基盤がマイナス金利の導入により脆弱なものとなり、日本経済は徐々に蝕まれていく可能性が高まっています。銀行の収益基盤を弱めるようにした結果、中小零細企業への貸し渋りを招くか、リスク資産への投資を増やすか、銀行の経営方針は大体この二つの選択肢に絞られるからです。
おそらく、日本の銀行は前者の選択肢を取るだろうと思われます。後者の選択肢を取った欧州の銀行は、今ではドイツ銀行を筆頭に経営不安を囁かれるほどの損失を抱えてしまっています。守りに強い日本の銀行が、欧州の銀行の真似をするとはどうしても考えられません。
いずれにしても、為替介入が実施されるようになり、それが続けられているうちは、円相場の下限は110円あたりになる可能性が高いと考えられます。しかしその一方で、為替介入が実施されない場合は、円高は100円〜105円のレンジまで進んでもおかしくないと考えておいたほうが無難であると思われます。
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