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マイナス金利で銀行界大混乱!預金者負担、地銀再編加速も
http://diamond.jp/articles/-/85893
2016年2月9日 週刊ダイヤモンド編集部
日本銀行が異次元金融緩和を導入して以降、銀行界は超低金利による収益悪化に苦悩してきた。そこへまた投入されたマイナス金利という“劇薬”は、弱った銀行の息の根を止めかねない。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、鈴木崇久)
マイナス金利政策の導入決定は一時的に株価を押し上げたが、対照的に銀行株は売られた Photo:Aflo
1月29日12時38分、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入決定──。
“情報機関”としての一面も持つ各地方銀行の東京事務所では、本店からの情報収集を命じる電話が一斉に鳴り響いた。しかし、日本銀行の黒田東彦総裁が繰り出した奇策に右往左往するばかりだった。
15時30分、金融政策決定会合後の会見が始まると、銀行関係者は黒田総裁を映す画面にかじりついた。その一人だったあるメガバンクの市場部門担当者は、「この1月で過去数年にわたって続いた相場のルールが激変した」と感じていた。中国経済の失速と原油価格の下落が重なり、年初からマーケットは波乱の幕開けを迎えていた。そこにマイナス金利政策がだめ押しで加わったからだ。
16時35分すぎ、黒田総裁の会見が終了すると、ある大手銀行の本店では経営企画部門と市場部門による緊急会議が開かれた。
その大手銀行では、すでに2016年度の業績計画値を組み立てており、資金運用先の一つとして0.1%の金利が付く日銀当座預金の残高を増やす予定だった。
ところが、黒田総裁の説明によれば、その日銀当座預金はこれから三つに分類され、今後積み上がる残高部分に対しては日銀が0.1%のマイナス金利を課すという。となれば、預けた資金が逆に目減りしてしまうことになる。
そこで、緊急会議では日銀当座預金残高の増額予定分の“避難先”を議論。融資や国債、リスク性の有価証券など、他の運用先に振り向けた場合のリスクとリターンをシミュレーションしたのだ。
ただし、議論はそこまで。現段階において、日本では前代未聞となるマイナス金利政策の影響度合いやその波及ルートについて、多くの銀行が測りかねている。
転換点は2月中旬に訪れそうだ。2月16日にはマイナス金利政策が適用開始。さらに、17、18日には金融当局と地銀・第二地銀の頭取が議論を交わす例会がある。そして、今回はその場に日銀の企画局長がやって来て、マイナス金利政策導入の背景を説明するという。
「そこが銀行界におけるマイナス金利対応のスタートライン」(大手銀行幹部)という状況だ。
■日銀が用意した運用の“安全地帯”が突如“戦場”に激変
マイナス金利政策が銀行経営に与える悪影響は大きく二つある。
一つは、マイナス金利による実質的な課金だ。日銀は0.1%のマイナス金利を課す日銀当座預金の残高について、「当初は約10兆円」と試算。本来約100億円の利息が手に入ると思っていたものが、逆に徴収されてしまうのだ。
しかし、それよりも悪影響を及ぼすのが、さらなる金利の低下だ。
実は、銀行はこれまでも日銀の金融政策に苦しんできた。銀行ビジネスを単純化すると、預金者に“仕入れ値”の金利を払って資金を集め、それを融資や有価証券で運用して“売り値”の金利を得る。この二つの金利の差である利ざやで収益を稼ぐのだ。
ところが、13年4月に始まった日銀の異次元金融緩和によって超低金利の状況に陥った。すでにスズメの涙ほどだった預金金利を下げる余地は少なく、“仕入れ値”以上に“売り値”が下がった結果、下図のように、融資と国債という二大運用先の収益が悪化の一途をたどってしまった。
さらに、今回のマイナス金利政策で日銀は、従来の金融緩和と合わせ技で「金利全般により強い下押し圧力を加える」と宣言。銀行収益のさらなる悪化は不可避だ。
また、銀行は融資と国債に代わる運用先を見つけられずにいた。利ざやを求めて、不動産事業への融資やREIT(不動産投資信託)、年限が長めの国債などに余剰資金を流したが、個人の場合と同様に運用先の集中はリスクが高い。金融庁は、それらの運用に対する銀行のリスク管理を集中的に検査・監督しているため、運用先はさらに限られてきていた。
そんな状況の中、日銀は大量の国債を買って市場へ資金供給する必要があった。そこで0.1%の金利が付く日銀当座預金を“安全地帯”とすることで、銀行の「虎の子」である保有国債を市場へ売りに出させた。
銀行界は日銀との“お付き合い”の意味も含めてそれに応じ、日銀当座預金に余剰資金が急激に流れ込んでいった経緯がある。
ところが、今回のマイナス金利導入で“安全地帯”は突如“戦場”に激変。銀行の余剰資金の行く手は八方ふさがりで、金利上昇まで籠城を決め込んでいた弱小地銀はいよいよ瀬戸際に立たされ、地銀再編の後押しにもなりそうだ。
■世間に衝撃を与えた企業向け預金への「口座手数料」報道
マイナス金利は銀行以外にも大きな影響を与える。個人や企業には恩恵もある。金利が下がれば、融資金利も下がるからだ。現に新生銀行は住宅ローン金利を最大0.1%引き下げ、10年固定型の金利を年1.15%とした。
一方で、銀行の収益悪化のしわ寄せを受ける可能性も大だ。2月3日、「日本経済新聞」の1面記事は世間に衝撃を与えた。マイナス金利政策への対応策として、三菱東京UFJ銀行が大企業などの預金口座に手数料を導入することを検討すると報じたのだ。
三菱東京UFJ銀行は「検討すらしていない」と急いで火消しに回ったが、ある大手地銀幹部は言葉を選びつつも「口座手数料も考えなくては仕方ない」と吐露する。
銀行にとって預金には金利だけでなく、銀行破綻時に預金を保護するための預金保険料というコストも掛かっている。その保険料率である「0.042%分だけでも手数料で補填するのか、機関投資家だけを対象にするのかなど、落としどころを検討する」という。
マイナス金利導入は経済学も既存の法律も想定してこなかった、日本にとって未曽有の世界だ。これまでの常識がひっくり返る事態が起きたとしても、何ら不思議はない。
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