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技術流出より銀行経営を優先(4日、会見で社長続投意欲を示した高橋社長)/(C)日刊ゲンダイ
シャープ再建案は鴻海に軍配 決め手は“マイナス金利”だった
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174798
2016年2月6日 日刊ゲンダイ
シャープは、台湾の鴻海精密工業の買収案を受け入れる方向で最終調整に入った。大方の予想は官民ファンド、産業革新機構案だったから、鴻海は土壇場で大逆転したことになる。
4日、阪急阪神HDの角和夫社長は、「日本企業同士が連携して競争力を上げていくのが一般的なやり方ではないか」と話し、大手銀行幹部は、「技術流出の恐れもあり、革新機構の案がよかった」とつぶやいた。
これが大方の見方だったから、株式市場からも驚きの声が上がっている。
「鴻海案は雇用の維持や、現経営陣の続投を認めるなど、革新機構の再建案に比べると、シャープにとって魅力的だったのでしょう。ただ、シャープの取締役にはメーンバンク出身者や、経産省OBがいる。彼らは鴻海案を受け入れないと思っていたのですが……」(市場関係者)
そんな中、流れが変わったのは1月29日という説が急浮上している。
■技術流出より銀行経営優先
「この日、日銀はマイナス金利導入を決定しました。銀行株の急落でも分かるように、マイナス金利は銀行経営を圧迫します。これがシャープ再建案の選択に影響を与えたというのです。機構案は、メーンバンクに債権放棄を含む3500億円程度の金融支援を要請しています。メーンバンクは、マイナス金利時代を見据え、シャープ救済に数千億円を投じるのは危険と判断した可能性があります」(金融関係者)
マイナス金利導入が発表された翌30日、絶妙のタイミングで鴻海の郭台銘会長は大阪のシャープ本社を訪問した。支援額の増額を申し入れ、改めてシャープ買収の意欲を見せたのだ。
「シャープのメーンバンクである三菱東京UFJ銀行と、みずほ銀行は資金運用が逆ザヤとなっています。ただでさえ苦しいのに、マイナス金利が重なるのです。経営に余裕はなくなります」(株式アナリストの黒岩泰氏)
16年3月期の第2四半期(15年4〜9月)の国内資金運用(総資金利ザヤ)は、三菱東京UFJ銀行がマイナス0.01%、みずほ銀行が同0.08%と逆ザヤだった。
「三井住友銀行はプラスを確保しているだけに、両行は見劣りがします。直近決算(第3四半期=4〜12月)を見ても、三菱UFJFGの純利益は前年同期比8.1%減で、みずほFGは同0.7%減と業績は悪化です」(証券アナリスト)
ただ、このまま鴻海案で最終決着するとは限らない。シャープの高橋興三社長も1カ月後をメドに最終契約を結ぶとしている。
「機構が支援額を積み増し、最後はそちらに転ぶ。そんなシナリオが進行している気もします」(黒岩泰氏)
シャープ再建はいまだ不透明だ。
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