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マイナス金利導入に踏み切った黒田日銀総裁(C)日刊ゲンダイ
官製バブルますます膨張 はじけた始末は誰が取る 日本経済一歩先の真相 高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174692/1
2016年2月5日 日刊ゲンダイ
黒田日銀が導入に踏み切ったマイナス金利により、民間銀行の資金運用や個人投資などあらゆるマネーが株式市場に向かうに違いない。官製の株バブルはなおいっそう膨らむだろうが、景気の実態が伴わなければ、いずれははじける宿命だ。そのダメージは計り知れず、黒田総裁の決断は将来に大きな禍根を残すことになる。
マイナス金利の対象となるのは、市中の金融機関が日銀に預けているカネ(日銀当座預金)のうち、法廷準備預金や支払準備預金のほかに積み上げている余剰分だ。
この残高は2006年には年平均5兆円ほどだったが、08年のリーマン・ショック時には損失補填などで巨額の資金が流出し、5426億円まで激減。その後は次第に増え続け、12年の平均額は3兆8000億円まで回復した。
異常なのは13年4月に黒田日銀が異次元緩和のバズーカを放って以降の動きだ。13年は7兆9000億円、14年は13兆円と倍々ゲームで増え続け、昨年12月末の残高は22兆円に拡大。残高もまさに異次元レベルで急上昇していった。
この現象は、日銀が資金供給量を猛烈な勢いで増やしたところで、民間銀行がダブついた資金の使い道に困り、日銀の口座に放置してきたことを物語る。
日銀とすれば当然、この眠れるカネを銀行融資など経済の現場で使って欲しい。そこで、マイナス金利の離れワザで、日銀に余剰金を置くなら今後は預かり賃を取るぞと宣言したのだ。
ただ、いくら日銀がけしかけたって、カネの借り手が存在しない現状は変わらない。国内企業の設備投資意欲は低調なままで、仮に意欲が高まっても、企業の内部留保額は史上最大レベルに達している。融資取引の実需が急増する見込みはゼロに等しい。
とはいえ、民間銀行としては、ダブついた資金を放っておけばマイナス金利で損をするだけ。かくなるうえは海外融資に打って出るか、資産運用に回すしかない。
海外展開のために銀行が大量の円をドルに替えれば、それだけ円安は進む。国内運用にしても、国債は日銀が大量に買いまくったおかげで、すでに短期物の利回りはマイナスだ。マイナス金利導入後は8年物までマイナス利回りが広がった。運用先の選択肢は株式に向かうしかない。
民間銀行では、企業の普通預金口座から手数料を取るという動きが始まっているようだし、りそな銀や横浜銀などが実施したように、定期預金の金利引き下げの流れもある。こうした動きが広まれば、銀行に預けるだけ損だということで、個人の株式投資家だってますます増えていく。
こうして円安・株高が続けば、安倍首相は満足なのだろうが、同時に日銀はいよいよ「出口」を見失ってしまう。将来、黒田総裁が出口戦略をほのめかすだけで、恐らく株価は一気に暴落する。あらゆるカネをのみ込んだ実態なき株高はあまりにもイビツで、危険をはらんでいる。
高橋乗宣
エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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