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日銀資料には詳細な図やチャートも書かれている〔PHOTO〕gettyimages
激震!日銀内部資料を入手 〜株価はまだまだ下がる、最悪の事態を想定せよ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47605
2016年02月02日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
巨大国家の首脳から、グローバル企業の経営幹部までが揃って頭を抱える異常事態に突入した。株も為替も不動産も生活も、すべてを巻き込んで猛威を振るう「新型恐慌」が地球全土を覆い始めた。
■日銀資料が描く驚愕の未来図
日本銀行金融機構局は総勢300名を超す日銀マンたちが働く大所帯である。経営危機で資金繰りに行き詰まった金融機関への緊急融資を決断する重責を担う部署で、日本の金融システムの安定をつかさどる「最後の砦」とも言われる日銀の中枢の一つである。
そんな金融機構局が昨年10月に作成していたレポートがいま、市場関係者の間で話題騒然となっている。金融マーケットで現在起きていることを完全に予見しているというのだ。
その「問題作」の正式名称は、『金融システムレポート別冊シリーズ』という。金融機構局は日本の金融情勢をマクロ分析した結果を『金融システムレポート』として年に2回発表しているが、これはその別冊版として出されたものである。
特定の課題やテーマについて掘り下げた分析がなされる内容で、今回はマーケットで異常事態が起きた場合にどういうことが起き得るかのシミュレーション結果に大半の紙幅が割かれている。
確かにそれを読むと、背筋が寒くなるほどに現在のマーケット情勢を言い当てている。
たとえば、このレポートでは〈アジア経済の成長が減速するシナリオ〉を想定し、その際に世界や日本でどのようなことが起こるのかをシミュレーションしているのだが、書かれている内容は、中国経済の減速を契機に世界中が混乱相場に陥っている現状そのままである。
レポートを引けば、〈アジア経済の成長率の大幅な減速を想定する〉と、〈資源価格の下落を通じて資源国経済にも悪影響を及ぼす〉。また、〈海外投資家のリスク回避姿勢が高まり、わが国の株式市場や不動産市場にこれまで流入してきた投資資金が引き揚げられ、株価や不動産価格が下落する〉とある。
中国ショックと原油暴落の嵐が同時に吹き荒れる中、日本の金融市場に投資していた海外勢が一斉に逃げ出している様が見事に予測されている。
しかも、このレポートが恐ろしいのは、「その先」までをシミュレーションしていることにある。
続けてレポートを見れば、株価や不動産価格の下落が起きた後には、〈資産効果を通じて設備投資や個人消費などの国内需要を減少させ、この面からもわが国経済に下押し圧力がかかる〉。
さらに、〈金融機関への影響をみると、デフォルト(債務不履行)確率が平常時よりも大きく上昇する〉と、銀行危機の可能性まで示唆。
加えて、〈経営体力の低下や不動産価格の下落による担保価値低下により、金融機関が貸出供給スタンスを消極化させると、それがさらに国内経済の下押し圧力となる〉として、金融不況に陥る様まで描いているのである。
レポートではこうしたシナリオが実現した場合、株価や地価、為替がどう推移するかまで具体的に試算されている。以下が、レポートが導き出した驚愕の結論である。
〈株価は'15年9月末から1年間かけてマイナス23%下落し、地価の前年比はマイナス2・8%まで低下する。名目為替レートは、'15年9月末から1年かけて1ドル=104円まで円高ドル安が進み、その後は横ばいで推移する〉
'15年9月末の日経平均株価は1万7388円。レポートに従えば株価はここから23%下落するので、1万3388円まで暴落することになる。
日本の株式市場では年始からの急激な株安・円高局面がそろそろ落ち着くとのムードも出始めているが、楽観にひたっている場合ではない。日銀の予測シナリオでは現状はまだ道半ば、ここから急激な株安・円高の本格局面が到来することになっているのである。
実際、レポートがシミュレーションしている通り、日本全国ですでに不況の足音が聞こえてきたから恐ろしい。
内閣府が発表する『景気ウォッチャー調査』は、日本のリアルな景気実態を調べるために全国各地の企業関係者などに聞きとり調査を行い、そのナマの声をまとめたもの。直近のその調査結果には、景気の転落ぶりを映すように、これでもかと現場の悲鳴が書かれている。
たとえば北海道の景気については、〈冬タイヤなどの冬物商材の販売量が前年比70%と大きく落ち込んだ(自動車備品販売店)〉、〈クリスマスケーキなどの予約状況が悪かった。特に沿岸地域では漁の不漁により、加工場、配送業者、燃料業者などの業種にも大きな影響がみられ、消費者が買物の金額を抑えている(コンビニ)〉と、消費減退を嘆く業者のリアルな実態が記されている。
北関東では、〈油圧建設機械分野の仕事が大幅に落ち込んでいる状況は変わらず、他の分野の仕事で埋めきれない厳しい状況が続いている(一般機械器具製造業)〉、〈業務の受注単価は引上げどころか、相変わらず値下げ要求が強く、現状維持がやっとである。単価の低い業務依頼が多く、当社の人件費等を考慮すると、やや赤字傾向の仕事が増えている(不動産業)〉と、企業の受注難ぶりがうかがえる。
さらに、北陸地方では〈中国の景気動向が悪いことで、建設機械、工作機械の輸出が悪化しているため、荷物の動きが悪くなっている(輸送業)〉。中国地方でも、〈中国経済の低迷を受け、受注先からの生産見通しが保守的となり、下請会社に少なからず影響が出ている(電気機械器具製造業)〉と、中国ショックが企業経営を直撃している様が浮かび上がってくる。
■1ドル=93円の超円高へ
安倍政権は「日本はデフレ脱却の目前だ」などと喧伝するが、実態はまるで違う。消費者は財布のひもを固く縛り、モノが売れないから企業は疲弊。そこへ海外発のショックに襲われて、日本全土がデフレ不況へ逆戻りする瀬戸際にまで追い詰められているというのがリアルな姿なのである。
東京大学経済学部教授の渡辺努氏が言う。
「日本ではGDPや雇用の7割をサービス産業が占めます。しかも、サービス産業のコストは多くを人件費が占めます。
そのサービス価格を見ると、レストラン、家賃、理・美容室、運賃、学費などの価格はほとんど上がっていない。日本ではサービス価格が上がらないため、賃金が上昇せず、それがさらに消費を冷え込ませる悪循環が続いているわけです。
物価が上がっているのはスーパーの食料品や日用雑貨など一部だけですが、最近ではその日用品も物価上昇に陰りが見えてきた。市場ではディスカウントショップが攻勢に転じているという事象も起きている。デフレ圧力が増してきた」
りそな銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの黒瀬浩一氏も言う。
「デフレの予兆が各所に散見され始めています。商品市況の下落はまだまだ下げ余地があり、中国や米国では企業物価がマイナスに転落し始めています。賃上げはホテルなど一部業界で兆しが見られますが、あとは期待薄で、今年の春闘も昨年の半額ほどになりそう。企業経営者は設備投資どころか内部留保に走るようにもなっている。日本はデフレを警戒する段階に入ったといっていい」
その行き着く先が、日銀レポートが予測したシナリオということ。株価1万4000円割れは絵空事ではなく、かなりの確度で現実味を帯びてきたと言える。
実は日銀レポートは、「最悪の事態」に備えるという意味で、前述のものとは別に、より過激なシミュレーションも行っている。
それは〈リーマン・ショック時並みのショックが発生〉したケースを想定したもので、その場合になにが起こり得るのかを詳述している。以下が、日銀が導き出したシミュレーション結果である。
〈国内経済の成長率は、'16年度はマイナス3・2%と大幅なマイナス成長となる。その後、'17年度もマイナス0・1%とマイナス成長が続く。金融市場では、株価(TOPIX)は、'15年9月末から1年間でマイナス55%下落し、その後横ばいで推移する。また、名目為替レートは、'16年度にかけて1ドル=93円と23%の円高ドル安となった後、横ばいで推移する〉
GDPは大きく落ち込み、株価は半減、1ドル=100円割れの円高へ……。目を背けたくなるような惨状だが、この最悪シナリオすら幕開けしないとも限らない。
目下、マーケットで最も懸念されているのが、産油国の政府系ファンドの動向。サウジアラビアなどの政府系ファンドは豊富な原油収入を元手にファンドを組成して日本株に莫大な資金を投じてきたが、止まらない原油安でこのオイルマネーが逆回転を始めたのだ。
すでにオイルマネーは日本売りに走っているが、原油価格の下落が止まらない中で、どこまでの投げ売りに発展するのかが見通せなくなっている。
「私はシンガポールなどのヘッジファンドと情報交換をしていますが、一番警戒されているのがサウジアラビアなど中東勢の動きです。特にサウジ政府が国営石油会社サウジアラムコの上場を検討しているというニュースが駆け巡った時には、衝撃が走りました。
サウジアラムコはサウジにとって虎の子の企業であり、これを上場させなければいけないほどに財政が逼迫していることが明らかになったからです。実際、サウジは対GDP比で10%、15%という赤字を垂れ流し始めた。その赤字を補填するための日本株売りに発展している」(S&Sインベストメント代表の岡村聡氏)
■日本株投げ売りの「Xデー」
追い打ちをかけるように、サウジに続いて、産油国であるノルウェーも日本売りに走る可能性が浮上してきた。
ノルウェーの政府系ファンドは約90兆円という資産規模を誇る世界有数のファンドで、日本株に多額の投資を行っている。同ファンドが投資している日本株は1523銘柄で、投資総額も約4兆8000億円と莫大。そのため、このファンドが日本売りを始めれば、日本株にはリーマン級のショックになりかねないと、気付いた市場関係者は警戒し始めた。
「政府系ファンドが資金を引き揚げる時は、まさに輪切りにされるイメージ。投資している全銘柄の運用比率をバッサリと10%減らすという投資行動に走る。投資額が大きい銘柄ほど大量に売られて、株価も下がりやすくなってしまう。ノルウェーファンドの日本株への総投資額は約5兆円なので、1割カットされるだけで、5000億円の日本売りのインパクトになる」(ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表の菊池真氏)
ノルウェーファンドが投資している主な日本株には、トヨタ、三菱UFJFG、ソフトバンクグループ、第一生命、日立など日本の名だたる企業がズラリと並ぶ。こうした大企業の株が一斉に投げ売りされれば、日本の株式市場が暴落する「Xデー」となることは容易に想像できる。
安倍官邸や日銀もこのような事情をわかっていて、危機感を募らせている。しかし、事ここに及んで、もはや打つ手がないというのが実情である。
「昨年12月、日銀の黒田東彦総裁は追加緩和の補完策を打ち出しました。が、これは効果を発揮するどころか、むしろ日銀の追加緩和策が限界に達していることをマーケットに認識させてしまった。外国人投資家の日本株離れを助長し、現在の暴落相場の一因にもなっている。
政府が強引にインフレにしようとしたため家計を痛め、逆に景気を悪化させるという悪循環になっているのが現状。財政政策も金融政策も手詰まりになる中で、日本経済の危機が深刻化するリスクは高まっている」(経済評論家の斉藤満氏)
元財務官僚で法政大学教授の小黒一正氏も言う。
「日銀が景気浮揚策を打とうにも策がつきています。そもそもこれだけ金融緩和をやっても、実質GDPはほとんど増えなかった。雇用が増えたのも団塊の世代の大量退職があったからで、アベノミクスのおかげではない。これまであった政策への期待感が消え失せていることが、そのまま現在の株価に表れていると見るべきです」
海外投資家の日本離れは、まだまだ止まりそうにないのである。
「週刊現代」2016年2月6日号より
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