http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/145.html
Tweet |
資源安、消費国へマネー大移動 産油国から136兆円試算も[日経新聞]
2016/2/1 1:01
原油や金属などの資源安で産出国から消費国への所得移転が加速している。最近の価格低迷が2016年も続けば、日米欧や中国などの貿易収支改善額は1兆1581億ドル(約136兆円)に上る計算だ。原油価格の急落は金融市場の動揺を招いたが、資源を輸入に頼る国では企業や家計の所得を増やす面も併せ持つ。ただ所得は先進国などに滞留し、世界経済の成長押し上げにつながりにくくなるとの指摘も出ている。
日本経済研究センターが国連や国際通貨基金(IMF)のデータをもとに、資源安が始まる前の13年平均と比べて各国の資源の輸出入額が14〜16年にどう増減するかを試算した。原油のほか、食品や金属など約40品目を対象とした。15年後半から資源安が加速しており、16年の所得移転額が最も大きくなる見通しだ。
例えば、原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は15年末が1バレル37ドルで、14年初めから6割下落した。16年に入ってからは30ドル前後まで一段と落ち込んだ。IMFによると、資源全体でみても15年12月の価格は14年1月と比べて半減した。
産出国から消費国への移転が見込まれる136兆円は日本の貿易総額に匹敵する。輸入額が減って貿易収支が改善するのは、日米欧や中国などのアジア諸国だ。中国の37.9兆円が最大で、ユーロ圏が31.7兆円と続いた。日本は20.7兆円だが、国内総生産(GDP)比では3.8%と中国やユーロ圏より高い。米国は輸出する農産物の価格低下で、改善額が13.6兆円、GDP比で0.7%にとどまる。
SMBC日興証券は、米国の家計所得は資源安で1500億ドル(約17兆円)増えたとはじき、消費押し上げにつながるとみる。減速懸念が強まる中国も生産や設備投資の弱さが目立つが、個人消費はインターネット通販の拡大などで堅調を保つ。同証券の牧野潤一チーフエコノミストは「家計の懐に余裕を生むという資源安の恩恵も効いている」と指摘する。
資源国は商品価格の急落をうけ貿易収支が悪化する。産油国が多い中東・北アフリカの悪化幅は61.7兆円で、GDPの15.1%にも及ぶ。ロシアを含む旧ソ連地域も33.0兆円に達した。
資源安はこうした国の財政を直撃した。サウジアラビアは16年予算で10兆円超の財政赤字を見込み、補助金削減などを決めた。ロシアもプーチン大統領が、1バレル50ドルという16年予算の原油価格の前提を「楽観的」と指摘。予算の減額修正に向けて動き出した。
リーマン・ショック直後、日米欧の金融緩和であふれ出たマネーは商品市況に流れ込んだ。09年2月からの3年間で、資源価格は2倍に上がった。当時は消費国から産出国へ所得が流出し、産油国の政府系ファンドなどを通じて一部は先進国の株式や債券市場に還流した。収益性を重視したマネーの動きが世界の成長を高めた側面もある。
その後、米国の金融引き締めをきっかけに、資源価格は上昇から下落へ転じた。中国経済の減速なども拍車をかけ、所得移転の流れも反転した。
ただマネーは企業の内部留保などの形で消費国に滞留している。IMFの16年見通しでは先進国の成長率が2.1%なのに対し、新興国は鈍化してきたとはいえ4.3%に達する。成長センターである新興国にマネーが行き渡りにくくなるだけでなく、資源バブルの調整が長引くことで、「世界経済の回復ペースは高まらない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との指摘も出ている。
(川手伊織)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96759460R30C16A1SHA000/?dg=1
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民105掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。