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東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」 日経ビジネス
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/524.html
投稿者 BRIAN ENO 日時 2017 年 2 月 16 日 06:46:14: tZW9Ar4r/Y2EU QlJJQU4gRU5P
 

東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」

逃げ道を塞ぐ、7934億円の「債務保証」


「排他的かつ取り消し不能の固定価格オプションが発効したら、EPC(設計・調達・建設)契約が変更され、プロジェクトの残りのコストが確定する」
 2016年5月26日、米スキャナ電力が1通のプレスリリースを配信した。同社が発注し、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)がサウスカロライナ州で建設中の「VCサマー2/3号機」について、一定額以上のコスト負担を拒否するという内容だ。

米スキャナ電力が2016年5月26日に配信したプレスリリース
 具体的には5億500万ドル(約570億円)を支払って「固定価格オプション」を行使することで、スキャナ電力が支払う原発建設コストの総額を最大76億7900万ドル(約8680億円)に固定する。建設工事に関してこれ以上のコスト超過が発生した場合は、スキャナ電力ではなくWHが支払うように契約を変更する。11月に米国の規制当局が承認し、実際にオプションが発動した。
 東芝は本件を開示していないが、広報担当者が上記の内容を認めた。ある関係者は、WHが米ジョージア州で建設中の「ボーグル3/4号機」についても同様の契約になっている可能性を指摘する。
 「契約変更の結果、WHは“無限責任”を負わされることになった」と、東芝原子力部門の元幹部は説明する。東芝の米原子力事業における損失が雪だるま式に膨れあがった原因の1つがこれだ。固定価格オプションが発動されたことで、WHはコスト超過分を電力会社に転嫁したり、交渉したりできなくなったのだ。
 東芝は2017年2月14日、WHが米国で建設中の4基の原発について、労務費や設備調達費用などの合計が当初の想定より「61億ドル(約6900億円)」も増加したと発表。この日の記者会見で畠澤守・執行役常務は「現時点からプラントが完成するまでのコストを保守的に積みあげた」と説明し、コスト超過分を含めた7125億円を減損損失として計上した。
 ではなぜ、東芝とWHはこのような契約に苦しめられているのか。原因を探ると2015年12月末の買収劇に突き当たる。キーワードは2つ。「焦り」と「思い上がり」だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021500008/?i_cid=nbpnbo_tp
WHが4基の原発建設を受注したのは2008年。米国内で約30年ぶりとなる新規建設プロジェクトだったが、受注直後から米当局の規制強化に苦しめられることになる。航空機の衝突対策などの設計変更が相次ぎ、許認可審査もやり直しとなった。これを受け、原発の建設コストが見積もりから次第に乖離するようになっていった。2011年以降は、原発を発注した電力会社とWH、そして土木工事を手掛ける建設会社との間で訴訟が発生するようになった。
東芝を追い立てた「焦り」
 東芝とWHはこの訴訟を何としても解決する必要があった。電力会社から損害賠償請求を受けると、WHの収益計画の見直しが迫られるだけでなく、原発ビジネス自体の将来性にも傷が付く。そうなると、東芝が連結決算で計上していたWHの「のれん」、約3500億円の減損処理が現実味を帯びる。粉飾決算に手を染めるほど財務が劣化していた東芝にとっては、絶対に避けたい事態だった。

WHを長年率いたダニー・ロデリック氏(写真:村田 和聡、撮影は2015年11月)
 そうした「焦り」から、東芝とWHはある解決策に打って出た。建設工事を手掛けていた米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を傘下に収めることで、入り組んだ関係を整理することにしたのだ。訴訟の和解や納期の延長を認める条件として、電力会社がS&Wの子会社化を求めていたからだ。
 2015年12月末、WHはS&Wを「0ドル」で買収して電力会社などと和解。土木建設を含めてWHが責任を持つ一方で、4基の原発の完工期日の延期と、契約金額の増額を認めさせた。この過程で、冒頭の「固定価格オプション」が盛り込まれたとみられる。東芝関係者は「もしS&Wを買収しなければ、東芝は2015年中にWHののれん減損に追い込まれていたかもしれない」と振り返る。
 東芝とWHも、実はS&Wのような建設会社を求めていた。WHは原子炉などの機器製造に強みを持つが、原発建設プロジェクトで大きなカネが動くのはエンジニアリングなどの領域だ。そうした「おいしい部分は米ベクテルなどに持っていかれてしまい、悔しい思いをしていた」(東芝の原子力関係者)。「設計・調達・建設」を意味する「EPC」を手掛ければ原発ビジネスをさらに成長させられると、東芝社内では以前から検討されていた。
 買収の事情をよく知る関係者によると、WHのダニー・ロデリック社長(当時)がS&Wの子会社化を積極的に提案し、原子力を所管する東芝の志賀重範副社長(同)が後押ししたという。この関係者は「資産査定の時間は限られていたが、減損を回避するためには決断せざるを得なかった」と打ち明ける。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021500008/?P=2

一方でEPCにはリスクがある。建設工事などでコスト超過に陥ると、際限なく資金が流出しかねないからだ。実際に米国の原発建設プロジェクトでは、2015年末の買収時点でコスト超過に苦しんでいた。だが東芝はそのリスクに目をつぶった。「日本で培ったノウハウを注入すれば、WHとS&Wを立て直せると過信していた」(前出の原子力部門元幹部)。

東芝の原子力事業を統括してきた志賀重範氏(中央、奥は前社長の室町正志氏)。志賀氏は巨額損失の責任を取るため、2月15日付で会長を辞任した(写真:的野 弘路、撮影は2016年3月)
 米国ではスリーマイル島事故の後、原発新設が約30年にわたって途絶えていた。それに対して日本では、福島第1原発の事故が起きるまでは各地で原発建設が続けられてきた。別の原子力関係者はこう断言する。「東芝が本気になればコストを大幅に削減できると思い上がっていた」。電力会社がコストの上限を設定しても、その範囲内で原発を完工できれば損失は出ないと考えていたという。
 原発ビジネスで利益を稼げるのは、運転開始後に手掛ける燃料供給やメンテナンス事業だ。建設過程で多少赤字になっても、完工さえしてしまえばすぐに取り返せるとの意見もあった。
「世界一の原発会社」を統治できなかった
 ところが、東芝の目論見通りにはいかなかった。「WHの従業員は自分たちが世界一の原発会社だとのプライドを持っており、日本から来た技術者の言うことなど聞かなかった」(関係者)からだ。WHの現場だけでなく経営陣も、「本社の命令を半ば無視して独立国のように振る舞っていた」という証言もある。
 その結果、買収時に想定したようなコスト削減効果は得られなかった。2月14日に記者会見した東芝の綱川社長は「S&Wを買収したときに、彼らと一緒にやっていけばもっと(工事作業の)効率が上がるだろうと考えていた。30%改善しようとしてやってきたが、できなかった」と述べた。
 「焦って」買収したため、東芝とWHはS&Wが抱えるリスクを十分に精査できなかった。2016年に入って検証したところ、「買収時に認識されていなかったコストを見積もる必要性が認識された」(綱川社長)。
 さらに、コスト削減ができると「思い上がって」いたことも裏目に出た。東芝は2015年末にS&Wを買収して契約を見直した時、電力会社との間で決めた建設費用をクリアできると考えていた。しかし、想定通りに効率化が進まずに目論見が狂い、コストのコントロールに苦しんでいる。
 この2つが主な要因となり、4基の原発完工までにかかるコストの見積もりが想定から61億ドル増加。原子力事業全体で7125億円の減損損失を計上する事態になった。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021500008/?P=3

東芝が原発から撤退できない理由


[画像のクリックで拡大表示]

 東芝は2月14日に2017年3月期の業績見通しを明らかにし、原子力事業が6995億円の営業赤字に陥る可能性を示した(注:数字は監査法人のレビューを受けていない)。2014年3月期から4期連続の赤字となり、累計で約1兆円の損失を計上することになりそうだ。
 にもかかわらず、東芝は原発ビジネスから撤退するそぶりを見せない。土木建築やEPC契約を控えてリスクを低減する方針だが、燃料とサービス事業には収益性があるとの立場を堅持している。むしろ原発の損失を穴埋めするために、“大黒柱”である半導体事業の完全売却すら検討し始めている。
 黒字事業を売却して赤字事業を継続する。なぜ東芝は原発に関して、非合理的な経営を続けるのか。その理由の一端が、2月14日の記者会見で東芝が配付した資料に掲載されている。WHに対する「債務保証」である。東芝はWHの親会社として、7934億円の債務を保証している(2016年3月末時点)。その90%弱が、スキャナ電力など米国での原発建設の客先に対する支払い保証だ。
 資料には次のように書かれている。「米国AP1000プロジェクト(注:4基の建設計画)において、WHの客先への支払義務(プロジェクトを完工できなかった場合の損害賠償請求を含む)を履行できなかった場合、当社はWHの親会社として、客先にこれを支払うことが要求されている」。巨額減損によって財務基盤が極めて脆弱になった東芝にとって、原発の完工を諦めるという選択肢は存在しない。
 東芝は現在、WH株の87%を保有している。綱川社長は「興味のあるパートナーがいれば一緒にやっていきたい。出資比率は引き下げることを考えている」と話す。だが、これだけ巨額の債務保証を認識したうえで、出資に応じる企業があるかは不透明だ。安全保障の観点からも、WH株を売却できる相手は限られる。
 WHという爆弾を抱えて、東芝は立ち往生しているように見える。2月14日の記者会見で「WH買収は正しい経営判断だったか」と問われた綱川社長は、力の無い声でこう述べた。
 「数字を見ると正しいとは言いにくい」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021500008/?P=4


 

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コメント
 
1. 2017年2月16日 07:24:15 : e5KOpsedUA : SzmYbgTUWxM[3]
東芝が地獄の訴訟から助かる道はただ一つ、
会社組織として死ぬことである。
存在を抹消させて、
訴訟対象が存在しない、
と言う状況にするしかない。

さもないと今後、「アメリカ・ハゲタカ共和国」から
兆円単位の損害賠償訴訟を起こされる。

アメリカ・ハゲタカ共和国は
今も昔も日本をはじめ植民地からの強奪で
肥え太り続けているのだ。

東証二部降格で生き永らえると思ったら、
甘すぎるぞ。


2. 2017年2月16日 08:06:59 : vgyjvN5i3Y : suCkL7fiRXM[5]

トップセールス前のめりのァヘに乗せられて、第2第3の
東芝を彷彿させる大企業がゾロゾロ出てくるんだろうな〜。

3. 2017年2月16日 11:07:22 : 7cGDnFOlds : GbwkWYX@ltc[3]
日経に「どの口でそんなこと言えるのか」という言葉を返す。貴様等だって原発を推進してきたクセに、いざとなると正義はぶって逃げる卑怯なダマスゴミのくせに。

東芝が潰れるのは自業自得だが、日経も他のマスゴミ同様害悪。潰れろ。


4. 2017年2月16日 12:38:50 : cWC7V9moT2 : OmV@mFyGQt4[1]
漸く真実らしい言葉が出てきた。

>固定価格オプション

予想したとおり、金融派生商品(デリバティブ)に手を出していた。

しかし、これが、真相のすべてではない。

そもそも、東芝がWHを破格の値段で買収しなければならなくなった事情にも、金融派生商品は絡んでいるはずだ。

東芝が、無実を主張するならば、米国で、WHを被告として、詐欺で損害賠償を訴えれば良い。

それが、出来ない理由は、何か?

博打によって生じた損失を、公的及び私的(銀行融資)に補てんすることがあってはならない。

>>01氏の言うように、東芝を死亡させることが、損害が、東芝外に及ばない一番の方法だ。


5. 2017年2月16日 21:49:15 : fdkLbXGfTQ : N8P8YOnTyKs[7]
ところで

日経ビジネスは原発推進の旗振り役宣伝役を務めてきた。こんなすっとぼけたことを書ける立場ではない。


6. 2017年2月16日 23:08:25 : tlWnVFEXyg : YdpJ@QYwqXE[423]
困った時には税金投入ですよねアベ総理

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