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[ビジネスTODAY]仏アレバ、笑顔なき増資
三菱重工・日本原燃が1割出資 中国勢撤退、受注に不安
【パリ=竹内康雄】フランスの原子力大手アレバの経営再建に暗雲が垂れこめている。アレバは3日、三菱重工業と日本原燃から出資を受け入れると発表した。だが当初想定されていた中国企業の名前はなかった。仏原子力産業の再建に不可欠な中国との関係冷え込みが懸念され、アレバの前途はなお多難だ。
フィンランドのオルキルオト原発3号機はコストが大幅に計画を上回る
アレバは3日、パリ郊外で株主総会を開催。フィリップ・クノル最高経営責任者(CEO)は「増資を含めた改革は、新しい成長を追求するために不可欠だ」と述べた。総額50億ユーロ(約6千億円)の増資案を承認する見通し。仏政府が45億ユーロをまかなう。残りは三菱重工と原燃が出し、核燃料の再処理を手がけるアレバNewCoに5%ずつ出資することになる。
アレバはフィンランドの新型原発の建設で費用が膨らみ、2015年12月期まで5期連続の最終赤字を計上。その間の累計赤字は1兆円を超え、資本増強を急いでいた。
NewCoには中国原発大手の中国核工業集団(CNNC)も出資交渉をしていたが、1月末に破談になったようだ。「日本側より出資比率を高めたい」「取締役を派遣させてほしい」。関係者によると、中国側はこう求めたが仏側が拒んだ。
実はアレバや原子炉事業(アレバNP)を傘下に収める仏電力公社(EDF)には「中国を優先すべきだ」との声が多かった。40年までの新設原発の大半を占める中国からの受注なしに成長はできないからだ。だが、仏メディアによると安全保障の観点から米国や日本政府が強い懸念を伝え、断念したようだ。
仏側は中国との協力が冷え込むのを懸念する。中国で原発新設を進め、再処理技術の供与で協力しているが、今後は受注が難しくなるかもしれない。英国での協力関係にも溝ができるおそれがある。南西部のヒンクリーポイントC原発はEDFと中国企業が出資。南東部のブラッドウェルではEDFの支援で、中国製原発をつくる。
中国は財務面で頼れる数少ないパートナーだ。仏側は「NewCoへの出資は閉じられていない」と期待をつなぐ。
仏原子力産業は30万〜40万人を雇用する。失業率の高止まりに悩む仏政府は原子力産業の立て直しは不可欠と見て再建を主導。アレバNPはフィンランドの原発建設事業を切り離してEDF傘下に入り、再処理事業をNewCoに分離する。
仏政府は外国企業にアレバNPへの出資も呼びかけている。三菱重工が関心を示し、中国企業とも交渉を進める。NewCo問題が尾を引くか。NPの資本構成は17年後半に固まる見通しだ。
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原発事業、膨らむリスク
原子力事業で逆風を受けているのは仏アレバだけではない。日本原子力産業協会によると、世界で建設中の原子力発電所(2016年1月時点)は計74基、出力7825万キロワット。順調に拡大しているように見えるが、安全対策強化や工事の遅延で建設費が計画を大幅に超える事例が相次ぐ。原発メーカーが抱えるリスクは膨らんでいる。
いま危機に直面しているのは東芝だ。06年に買収した米ウエスチングハウス(WH)を中心に原子力事業で16年3月期に約2500億円の損失を計上。WHが15年に買った米原発工事会社でも17年3月期に最大7千億円規模の損失が出る可能性がある。三菱重工業も米国での原発トラブルの責任を追及され、7千億円超の損害賠償を電力会社から請求されている。
原発コストは東日本大震災以降に安全対策強化の動きが活発になり、今は1基あたり1兆円に迫る。さらに中国や韓国の原発企業が受注合戦で安値攻勢を仕掛け、利益を出しにくくなっている。このため独シーメンスは原発から手を引いた。日立製作所と原子力事業を統合した米GEも原発事業の拡大に及び腰だ。
三菱重工の宮永俊一社長は3日「今後の出資を通じ、技術向上への貢献を確実にできる」と述べ、原子炉会社アレバNPへの出資などにも意欲を見せたが、アレバとの蜜月にはリスクの種も見え隠れする。
(市原朋大)
[日経新聞2月4日朝刊P.11]
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