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「あくまで個人の考えとして発言したと聞いているが…」(画像はイメージ)
TOKIOも「寝耳に水」? 「DASH村復興」論が歓迎一色でない理由
http://www.j-cast.com/2017/01/29288716.html?p=all
2017/1/29 16:00 J-CASTニュース
“「DASH(ダッシュ)村の復興を後押ししたい」
政府高官の唐突な発言が福島県の自治体に波紋を広げている。
DASH村とは、アイドルグループ「TOKIO」のメンバーが人の住まなくなった古民家を修築し、田畑を耕したり、炭をおこしたりして、自給自足の田舎暮らしを実践して人気を集めた日本テレビ系バラエティ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の舞台になった山里。場所は福島県浪江町の山間部・津島地区の外れにある。「あった」という方が正しいかもしれない。
■副大臣が「個人的な考え」として表明
この場所は2011年3月の東京電力・福島第1原発事故で大量の放射性物質が降り注ぎ、今も住民が原則立ち入れない「帰還困難区域」にある。事故当日もTOKIOのメンバーが滞在して番組収録の準備をしていたが、津島地区全域が立ち入り禁止になったのに伴い、「村」での撮影は中断。その後は無人の離島や各地の農村などに舞台を移して番組が続いている。
政府は帰還困難区域がある浪江町や大熊、双葉、富岡などの町村ごとに1か所の「特定復興拠点」を設け、集中的に除染を進めて5年後に避難指示解除を目指す方針。だが、津島地区は海岸に近い浪江町の中心部から25キロ以上離れた孤立集落で、住民自身が「『復興拠点』に選ばれる可能性はほぼゼロ。地域は消滅するしかない」として、多くの住民は「ふるさと喪失」の慰謝料などを求め、集団訴訟を求め争っている場所なのだ。
発言の主は、原子力災害現地対策本部長を務める高木陽介・副経済産業大臣。事故で避難を強いられた自治体の避難指示を解除するかどうかを最終判断する政府の実質的な責任者だ。
地元紙などによると、高木氏は17年1月11日に新年のあいさつ回りで地元新聞社2社を訪れた時に、帰還困難区域をめぐる政府と自治体の協議は「簡単に進まない」と説明。その一方、「個人的な考え」と前置きして「DASH村の復興に向けた手立てがあるのではないか。近く県や町と協議を始めたい」と語ったという。
■住民のさらなる「分断」を招くことに?
今は原生林に囲まれた廃虚になっているDASH村が、帰還困難区域の「復興のシンボル」として本当に再生できるのか。地元紙の報道の翌日にこの問題を報じた毎日新聞福島版によると、浪江町の馬場有町長は地元紙の報道当日に高木氏と東京都内で会談して同様の説明を受け「津島の住民の希望になる」と歓迎したという。
だが、事はそう簡単ではない。番組の当事者である日本テレビの番組プロデューサーである島田総一郎氏は「知らぬ存ぜぬとは、まさにこのニュースの事。そもそもDASH村は、誰かのものでは無いですし」とツイッターで発言。一時は番組のホームページで原発事故による村の「汚染度調査」などを公表し、将来の撮影再開に含みを残していた同社も、「(高木氏の発言は)まったくの寝耳に水。(将来的に)DASH村を舞台に番組を再開することはまったく考えていない」(広報部)とコメントしている。
浪江町は町の面積の8割を帰還困難区域が占めており、合併前は独立した村だった津島、大堀、苅野の3地域のそれぞれに「復興拠点」を設定するよう求めているが、仮にDASH村がある津島地域だけに復興拠点を置くことになれば、住民のさらなる「分断」を招くことになりかねない。
政府関係者は高木氏の発言について「あくまで個人の考えとして発言したと聞いているが、ここまで報道されれば撤回はできないのではないか」と困惑している。政府は1月下旬から、町と合同で住民説明会を開く予定で、高木氏が出席するかどうかも調整中といい、その場でも発言の真意を問う声が出そうだ。
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