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「10年間だけで2000億円」 核燃サイクル施設 膨らむ廃止費用
前例なく手探り/維持管理に負担
核燃料サイクル施設の解体・廃止にかかる膨大な費用をどうするのか。日本原子力研究開発機構や政府の試算では、東海再処理施設(茨城県)と高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)でいずれも2000億円を超し、商用の原子力発電所の数倍になる見通しだ。上振れする可能性もあり、核燃料サイクル政策を巡る議論に発展しかねない。
東海再処理施設の廃止には70年かかる見通し=原子力機構提供
「いま言えるのは最初の10年間に2000億円は必要ということだけだ」。11日に開かれた原子力規制委員会の田中俊一委員長らとの会談後、原子力機構の児玉敏雄理事長は東海再処理施設の廃止について報道陣にこう語った。
同施設は原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理する目的で、1981年に運転を始めた。すでに再処理は終えており、廃止が決まっている。廃止計画を規制委から求められ、費用について最初の10年で約2170億円と算出した。作業期間は70年だが、総額は出せていない。児玉理事長は「いろいろな仮定があって難しい」と話す。
商用原発の廃炉費用は出力100万キロワット級の大型でも560億〜約830億円だ。東海再処理施設は試算していない60年分の作業でさらに膨大な費用がかさむ。
原発は部品や設備の多くが共通化しており、解体作業の手順も定まっている。放射性物質に汚染される場所も原子炉の周辺などに限られる。
一方、東海再処理施設には約30の建物があり、部品や設備は特注品が多い。海外でも前例はほぼなく、解体法や除染の手順などは手探りの状況だ。バックエンド研究開発部門の小林健太郎部長は「どの技術をどこで使い、どう組み合わせるかが問題」と話す。再処理の工程で放射性物質が通る施設も多く、除染に必要な範囲も広くなる。
維持管理費も大きく、廃止費用の大部分を占める。例えば、再処理した後に残る放射線量の高い廃液は400トンある。管理を誤ると発熱して爆発するため、特殊な方法で冷却する必要がある。
昨年末に廃炉が決まったもんじゅについて、文部科学省は30年で3750億円以上と試算した。維持管理費は2250億円にのぼる。この維持管理費は順調に作業が進むと仮定し、今の年間の維持費200億円からはじいている。担当者は「厳密な試算とはいえない」と明かす。
トラブルが起きれば、期間は延び、費用も膨らむ。東海再処理施設では、高放射線量の廃液処理を昨年1月に再開したが、機器のトラブルが相次ぎ、3カ月で中断した。もんじゅは原子炉の冷却材に通常の原発と違って水ではなくナトリウムを使う。空気や水に触れると爆発するため、廃炉でも大きなリスクとなる。
処理後の放射性廃棄物の処分場もリスク要因だ。原子力バックエンド推進センターの渋谷進専務理事は「処分場が見つからなければ、期間と費用は跳ね上がる」と話す。
稼働が遅れている青森県六ケ所村の再処理工場でも同様の懸念がある。電気事業連合会が2003年に廃止費用を1兆6100億円と試算した。維持管理費は全体の3割ほどと見積もっているが、廃止する2施設の例をみると、さらに膨らむ可能性が高い。
核燃料サイクルについて採算性を問う声はこれまでにもあった。だが、政府は事業の意義や技術の継承などを理由に、今後も政策を堅持する方針だ。ただ、関連施設の廃止費用が膨らみ続ければ、国民の理解は得にくくなる。
(安倍大資、松添亮甫)
核燃料サイクル政策とは
▼核燃料サイクル政策 原発の使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムやウランを再び燃料として利用する国の計画。関連施設には、再処理施設やその燃料を加工する工場、高速増殖炉がある。普通の原発で燃やす「プルサーマル」方式もある。
フォームの終わり
[日経新聞1月23日朝刊P.13]
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