2018年8月11日(土) 島根3号機 審査申請 建設中の原発2例目 中国電、課題山積のまま https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081101_01_1.jpg 中国電力は10日、建設中の島根原発3号機(松江市)の稼働に向けた適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。東京電力福島第1原発事故後、建設中の原発の申請は、2014年12月の電源開発大間原発(青森県)に続く2例目となります。島根原発は国内で唯一、県庁所在地にあり、防災計画が義務づけられる30キロ圏に島根、鳥取両県の約47万人が暮らす6市が含まれ、事故時の避難の実効性など課題が山積したままです。 新規制基準への申請は27基目。3号機は福島第1原発と同じ沸騰水型の改良炉で、出力は137万キロワットで国内最大級。本体の建設は大間原発より進み、ほぼ終わっています。中国電は新規制基準に対応した工事を19年上期に完成するとしており、審査によっては、震災後に新規稼働する初の原発となる可能性があります。 島根原発をめぐっては、中国電が13年12月に隣接の2号機の再稼働に向けて申請。審査の中で、原発の2キロ南の松江市内を東西に走る活断層「宍道(しんじ)断層」の長さについての中国電の評価に何度も疑問が呈された経緯があります。 住民の意見くみとれ https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081101_01_1b.jpg (写真)反原連が抗議 首都圏反原発連合は、首相官邸前抗議で「島根3号動かすな」とアピール=10日 島根大学名誉教授で島根原発・エネルギー問題県民連絡会(エネ連)の保母武彦事務局長(76)の談話 このような事態になったのは、住民の意見も聞かず、国いいなりの姿勢をとってきた県や立地自治体の松江市、周辺自治体が地方自治の精神を欠いていることによるもの。地方自治を再建することが原発問題を語るうえで重要だと明確になった。この意味でも原発問題はこれからが本番だといえる。「エネ連」では、科学的に原発問題を検討できる専門家から成る委員会の設置を提案してきた。県や市の安全対策協議会など現行の審査体制では住民の意見をすべてくみ取ることもできず、科学的な判断もできない。 解説 国民多数の声に逆らう無謀 震災前から建設中だった島根原発3号機の必要性について中国電力は住民説明会などで、安倍政権が閣議決定したエネルギー基本計画を盾にとって、「電源構成のバランスを改善」「早期稼働が必要不可欠」などと住民に押しつけています。同計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、2030年度の電力の20〜22%を原子力で賄うと明記しており、既存のすべての原発の運転をねらったものです。 福島原発事故を経験した国民の大多数は「原発ゼロ」「原発の再稼働反対」を求め、その声は揺るぎません。3号機が新たに稼働するなら、今世紀後半を超えて、原発の危険にさらされることになります。 事故が起きた時の住民避難の実効性には大きな問題が指摘されており、動かせば、処理・処分の見通しのない「核のゴミ」が増えるなど無謀な原発の運転はやめるべきです。 (「原発」取材班) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081101_01_1.html 2018年8月11日(土) 島根3号機 審査申請 負の遺産残さない 中国電力が10日、建設中の島根原発3号機(松江市)の稼働に向けて原子力規制委員会に審査を申請したことに対して、地元島根から抗議の声が上がっています。 住民抗議の声 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081115_01_1.jpg (写真)「原発やめろ」「島根3号、動かすな」と訴える人たち=10日、首相官邸前 しまね総がかり行動実行委員会事務局で島根大学の関耕平准教授(40) 電力の必要性や避難計画の実効性などについても大きな疑念が呈されていて、司法判断も分かれている現状では、まだまだ新規稼働のハードルは高い。安全性だけでなく、たとえば漠然とした経済効果への期待など、住民が意思決定するうえでの情報が十分いきわたっておらず、熟議の条件がそろっていないのが島根県の現状ではないか。こうしたなかで、稼働に向けたステップを前に進める今回の事態、それに対し、地域住民に責任を持つ首長が異を唱えなかったことは大いに批判されるべきだろう。 松江市の金曜日行動実行委員会の岩本晃司代表(70) 原発は負の遺産。将来、孫たちに叱られたくない。3号機は「こわいこわい施設だったんだよ」と子どもたちに教えられるような見学施設にするべきだ。燃料を入れる前に絶対に稼働計画を止めなければならないと話しました。 法政大学名誉教授・元島根県立大学副学長・同大名誉教授の飯田泰三氏(75) 全国の原発を即廃止にすべきだ。この猛暑のなか、ほとんどの原発が止まっているにもかかわらず、電力は足りている。 命守るのが自治体の使命 日本共産党島根県議団の尾村利成団長の話 原発から30キロ圏内に暮らす約47万人のうち、入院患者や社会福祉施設の入所者、在宅の要支援者などの災害弱者は、1割以上にのぼります。これだけの災害弱者が避難できるような実効性ある避難計画は未策定です。こういう中で、原発を稼働するのは絶対に許されないことです。 国のエネルギー基本計画は2030年度の原発による発電割合を20〜22%として、島根原発の稼働を含んでいます。県政は、国の原子力政策に無批判であってはなりません。住民の命と安全を脅かす間違った国の政治に立ち向かうことこそ、自治体の使命です。 圧倒的多数の県民の願いは「原発ゼロの島根」であり、引き続き多くの県民と力を合わせて、原発を動かさないたたかいを広げていく決意です。 反原連 官邸前「3号機動かすな」 首都圏反原発連合(反原連)は10日、首相官邸前抗議を行いました。中国電力が島根原発3号機の新規稼働へ、原子力規制委員会へ新規制基準への適合性審査を申請。参加者は「島根(原発)3号、動かすな」などのコールで抗議の声をあげました。 東京都内から参加した女性(64)は「なんで今になって原発を新しく動かすのか。福島の原発事故を見ても“事故は起きない”とでも思っているのか」と憤りあらわにしました。 この日、550人(主催者発表)が参加。日本共産党の宮本徹衆院議員が国会正門前エリアで「島根原発は、全国で唯一、県庁所在地にあり、30キロ圏内には40万人以上が住んでいる。目先の利益だけを見て、新たな原発を動かすなど許されない」と訴えました。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081115_01_1.html 2018年8月11日(土) きょうの潮流 なぜ住民は原発を受け入れたのか。先日まで福島県いわき市と東京・駒場で上演された芝居「1961年:夜に昇る太陽」は、福島県双葉町議会が原発誘致を決議する直前の、住民説得の様子を描きました▼「東北のチベット」と呼ばれ、出稼ぎが当たり前の貧しい地域。地権者の家に突然、東京電力本社と福島県庁の人間が現れて、原発建設用地の買収を申し入れます。数ヘクタールの土地代金と移転費用に(現在価格で)3億円出すと▼県の役人は「この町が仙台のような都会になる」と夢を語り、広島出身の東電部長は「広島を知っている私が言うのです。原発は安全です」と確約する。作・演出の谷賢一さん(36)は、この人物とセリフは当時の記録にあると言います▼「福島3部作」の第1部。来夏には3部作上演の予定。第2部は反対運動のリーダーが双葉町長になり、原発増設を要求した事実を題材にします▼札束をちらつかせ、安全神話で不安を抑える。この構図はいまも変わりません。原発再稼働について全国世論の6割が反対の一方で、原発立地の町では賛成が6割以上。その理由に5割以上が「地域経済と雇用のため」をあげます▼しかし、原発事故で自宅も農地も失った双葉町の田中実・信一さんの父子は「豊かになったけれど、その代償はあまりに大きかった」と。全国の原発は止めてほしいと語っています。証言動画がNHKアーカイブス「戦後日本の歩み」で見られます。原発が結局地域経済を壊した事実を忘れてはいけません。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081101_06_0.html
[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理
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