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原子力規制庁長官に経産省出身の安井正也氏。核燃料サイクルの費用負担試算の“隠蔽工作”問題を引き起こした経歴の持ち主(各紙)
http://rief-jp.org/ct4/66652?ctid=76
2016-12-22 15:23:36 一般社団法人環境金融研究機構
原子力規制委員会は22日、原子力規制庁の清水康弘長官(60)が退官し、後任に安井正也長官官房技術総括審議官(58)を充てる人事を発表した。来年1月5日付の発令。安井氏は規制庁の3人目の長官になる。ただ、同氏は、過去に使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算をめぐり不正行動が指摘された経緯を持つ人物だ。
安井氏は大阪府出身。京大工学部原子核工学科卒で1982年に通商産業省(現・経済産業省)に入省、資源エネルギー庁原子力政策課長など、長年、経産省の原子力行政を担当してきた(写真)。
安井氏への批判が表面化したのは、2012年1月に毎日新聞による「核燃料サイクル、直接処分コスト隠蔽。エネ庁課長04年指示」との報道による。それによると、安倍政権は21日に、核燃料サイクルの中核に位置づけてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決めたが、同氏は04年4月に、核燃料サイクルで生じる使用済み核燃料は全量再処理が国の前提であるのに、再処理をせずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算のデータを隠蔽するよう部下に指示していたことが、関係者の証言やメモで分かった、と報道された。http://blog.livedoor.jp/aoumigame/archives/52029567.html
再処理をめぐっては、2002年以降、東京電力と当時の通産省首脳らが再処理事業からの撤退を模索していた。その過程で、通産省は、財団法人「原子力環境整備センター」(現原子力環境整備促進・資金管理センター)に対して、直接処分の試算を委託、同センターは直接処分のコストを4兆2000億〜6兆1000億円と算定した。
通産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」では同年5月、複数の委員から直接処分のコスト計算を求める意見が出ていたという。しかし、安井氏が課長を務めていた原子力政策課は分科会の担当課だったが、安井氏の指示を受け、委員らに試算の存在を伝えなかったという。その結果、分科会は同6月、直接処分費用より3〜4倍高い、約19兆円の再処理費用を了承、産業用、家庭用の電気料金に上乗せする新制度の導入案をまとめた。
毎日新聞によると、同紙が入手したメモは、経産省関係者が04年4月20日付で作成したもので、「部下(メモは実名)が昨日、安井課長に(試算の存在を)伝えたところ『世の中の目に触れさせないように』との厳命が下った」と記載されているという。
またその部下は同紙の取材に対し、安井氏から「試算を見えないところに置いておいてくれ」と指示されたことを認め、「目立たないよう他の資料も山積みにしていた、いすの後ろの床の上に置いた」と証言した、と記載している。
安井氏の直接処分試算データの隠蔽指示がなければ、12年前の段階で、直接処分が再処理より安価であることを踏まえて、早期の政策変更ができた可能性もある。毎日新聞はこうした経緯を説明しながら、「(安井氏の)データ隠しが重要な決定につながった疑いが浮上した」と指摘している。同氏は当時の報道に対して、「記憶に無い」と述べている。
安井氏が今回、長官に任命された原子力規制庁という組織は、東京電力福島第一原発事故が発生した際、従来の原子力行政を推進してきた経産省に原子力規制の部署があることに世間の批判が強まったことから、2012年9月に経産省から独立した規制機関として、規制委とともに発足した経緯を持つ。
このため、規制庁の初代長官の警察庁出身の池田克彦氏、二代目の現長官は環境省の清水康弘氏と、経産省以外の官庁の人材が起用されている。しかし、3代目が元の原子力行政の責任者で、かつ、核燃料サイクル推進者で、議論に必要なデータを“隠蔽”を指示した疑惑のある人物をあえて選出したことになる。
このことは、わが国の原子力行政が、東電事故の経験や、核燃料サイクルの頓挫にもかかわらず、これまでの政策運営への真摯な反省がなく、原子力ムラの元の利権構造を維持する体制に戻っていることを映しているようだ。
http://blog.livedoor.jp/aoumigame/archives/52029567.html
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