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英原発に1兆円支援 政府、日立受注案件に[日経新聞]
2016/12/15 2:04
政府は英国が計画する原子力発電所の建設プロジェクトを資金支援する。英国政府から原発の建設・運営を受託した日立製作所の英子会社に国際協力銀行(JBIC)や日本政策投資銀行が投融資する。総額1兆円規模になる公算が大きい。政府は原発輸出に力を入れているが、ベトナムでの新設計画が中止になるなど逆風が絶えない。官民連携で突破口を探る。
麻生太郎副総理・財務相と菅義偉官房長官が15日、ハモンド英財務相と会談し、日英関係の強化を確認。世耕弘成経済産業相は年内にクラーク・ビジネス・エネルギー産業戦略相と会談し、原発分野での協力を表明する方向で調整している。両政府は来年中にも資金支援の大枠を固める。
支援対象となるのは日立傘下のホライズン・ニュークリア・パワーが英中部ウィルファで計画する原発2基。ホライズンは日立が英国で手掛ける原発の設計から運営までを受け持つ全額出資子会社だ。
ウィルファの2基にかかる総事業費を現時点で約190億ポンド(約2.6兆円)と想定。日立が総事業費の1割程度、英国政府が25%以上を出す案が出ている。
日本政府はJBICと政投銀を通じホライズンに投融資する。さらに日本貿易保険(NEXI)が信用保証枠を設定。日本のメガバンクやHSBCといった日英の大手金融機関を呼び込み総額1兆円規模の資金を融通する計画。日英政府が支援姿勢を明確にすることで機関投資家などによる出資を促す。稼働後の売電収入なども加え全体の事業費をまかなう方向だ。
日本政府は原発稼働後の電力の買い取り価格や買い取り期間、事故が起きた場合の賠償の仕組みなどについても英政府と協議し、持続可能な枠組みづくりをめざす。
日本政府が異例の資金支援に乗り出すのはメイ政権の発足が大きい。
キャメロン前首相は2015年10月、英南東部の原発に先進国として初めて中国製原子炉の導入を決めるなど中国を重視する姿勢を示していた。
だが英国のEU離脱決定を経て就任したメイ首相は今年7月、中国国有の中国広核集団とフランス電力公社が英南部で手掛ける原発建設の許認可を突然先送りした。9月末には条件付きで建設を認めたが、メイ政権は中国への依存度が高まるのを懸念しているとみられる。日本にとってはチャンスともいえる。
安倍晋三政権はインフラ輸出を成長戦略の柱と位置づけている。ただ原発を巡ってはベトナムで三菱重工業の受注が確実視されていた計画が中止になるなど、厳しい状況が続いている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、30年の原発による発電電力量は13年の1.6倍に増える。新設需要も膨らむ見通しだ。政府は今回の案件で実績を積めれば、新興国も含めた受注活動に弾みがつくとみている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H8E_U6A211C1MM8000/?dg=1&nf=1
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