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[GLOABAL EYE]欧州の電力料金急上昇 仏原発不調 供給に不安
暖房向けの電力需要が増える冬を前に、欧州の電力卸売料金が急上昇している。震源地はフランスだ。複数の原子力発電所に不具合が見つかり、点検のために停止せざるを得ない状況に追い込まれた。これまでは電力を輸出してきたフランスが輸入する事態になり、欧州全体に電力供給への不安が広がる。
「12月の冷え込んだ数日間は例外的な措置を取るかもしれない」。仏電力公社(EDF)の送電部門子会社RTEのブロット社長は8日、一部地域で計画停電を含む対応を検討していると明らかにした。既に大口需要家には節電要請を始めた。発電量の75%を原子力が占めるフランスで電力不足は異例の事態だ。
理由は原発にある。仏原子力安全局(ASN)は10月、圧力容器に関する部品に強度不足の恐れがあるとして、EDFに5基の原発をすぐに停止し検査を実施するよう指示した。通常の保守点検で停止中の原子炉を含めると、全58基のうち約3分の1を使えずに冬を迎えることになった。
フランスは原子力大手アレバの主導で原発を造っており、どの原子炉も構造が似ている。コストを抑え迅速に建設できるものの、トラブルが広がりやすい。今回は思わぬ形で原発依存度の高さの弱点が表面化した。2016年の供給力は15年比で約1100万キロワット低下する見込み。仏メディアによると、稼働率がこれほど下がるのは1990年代以降で例がない。
フランスは他の欧州各国に比べ、原子力のおかげで電力が安価だ。多くの家庭で電気暖房を使う。通常は電力を輸出して他国に供給する側だ。
理論上は1200万キロワット分を隣国から輸入できるというが、RTEは「700万〜900万キロワットをフランスに振り向けられれば」と控えめだ。送電網でつながる欧州とは余剰電力をやりとりできるが、今季は隣国も余裕がない。
英国は今年に入って複数の石炭火力発電所が閉鎖、ベルギーも原発に不具合が相次ぐ。スペインとの送電網は容量が小さく、イタリアは慢性的に電力不足。頼みの綱はドイツだが、時間帯で発電量が変わる再生可能エネルギーが多く、冷え込む朝や夜に十分な余力があるかは予断を許さない。
電力卸売市場に影響が出ている。フランスの17年1〜3月期渡し(ピーク)は9月まで1メガワット時当たり50ユーロ前後で推移したが、足元では100ユーロを超え、過去最高水準を記録した。ドイツや英国でも急上昇している。
「エネルギー源の多様化を進めたい」。ロワイヤル仏環境エネルギー海洋相は10月下旬、今後の戦略をこう説明した。仏政府は原発依存度を25年までに50%に引き下げ再生エネを30%前後に引き上げる計画だが、実現のメドはたっていない。
一つのエネルギーに過度に依存するリスクは原発だけでなく、火力でも再生エネでも同様だ。地球温暖化対策に気を配りつつ、エネルギー安全保障の観点からは複数の電源をバランス良く持つことの重要性をフランスの事例は示している。
(パリ=竹内康雄)
[日経新聞11月15日朝刊P.9]
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