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高速増殖炉もんじゅ (c)朝日新聞社
徹底検証「原子力行政の闇」官邸主導のもんじゅ廃炉の裏〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161109-00000204-sasahi-soci
原発の再稼働を続ける安倍政権は選挙で原発の争点化をそらしてきた。だが、新潟をはじめとする知事選で住民は再稼働に明確なノーを突き付け始めた。高速増殖炉もんじゅの廃炉に向け、ようやく官邸が重い腰を上げたように見えたが、裏があるという。ジャーナリストの桐島瞬氏が報告する。
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「多くの国会議員が、次の国政選挙で原発を争点にすべきかどうか関心を持っています」
衆議院議員の河野太郎氏はそう話す。このところ知事選で相次いで“脱原発”を掲げる知事が当選しているためだ。
7月の鹿児島では、元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓氏がマニフェストで「川内原発を停止して、施設の点検と避難計画の見直しを行う」と表明し、自民が推す伊藤祐一郎前知事を破った。新潟でも米山氏が、泉田前知事の路線を引き継ぐと明言し、当選。
そうした状況の中、自民党議員らも脱原発の風を感じているというのだ。河野氏は原発推進政策を進める自民党の中で、脱原発を強く打ち出す言動を続けてきた異色の政治家だが、最近になり異変が起きたという。
「自分より強硬に“脱原発”を唱える議員が党内に増えてきたのです」(河野氏)
10月下旬に開かれた自民党原子力政策・需給問題等調査会の原子力政策小委員会合同会議では、若手や中堅議員の間からこんな意見が飛び出した。
「廃炉も除染費用もこれまでの数字を大きく上回っている。他の先進国では原発がコスト割れしつつある議論がされている。原発が一番安いなどという数字を出す経産省は信用ができない」(柴山昌彦衆議院議員)
「原発と再生可能エネルギーを分けられる市場になっているのか。廃炉会計にしても、託送料金で回収しなくてもよい方法はあるのに、そうでなければならないという議論はおかしい」(秋本真利衆議院議員)
いずれも原発立地県以外を地盤とする議員からの声だ。さらに、前内閣府副大臣で再稼働に肯定的な高鳥修一氏でさえ、新潟県知事選の主な敗因を原発とし、「国民が納得する原発政策を党として出す必要がある」と危機感をにじませた。
河野氏は自民党議員の意識が変わりつつある理由をこう解説する。
「経産省の説明を鵜呑みにしていたが、福島原発事故後に説明を聞いたら辻褄が全然合っていないことに気がつき始めた。経産省は原発事故後には電気が不足しないために原発は必要と言っていました。だが、全部の原発が止まっても足りている。その次は燃料費が上がって国富流出だという。ところがこれも本当に上がっているのかさえ怪しい。つまりインチキがばれてしまったのです。安倍政権は原発への依存度をできる限り低減させると公言している。ところが実際には経産省と電力会社が描いた絵の上にのってしまっているのが現状です」
その代表的なのが、高速増殖炉もんじゅを巡る動きだ。
もんじゅは、発電しながら消費した以上の燃料をつくり出す「高速増殖炉」の開発段階でつくられた原型炉。増殖した燃料を使って繰り返し発電すればエネルギー問題の解決につながる。もんじゅで発電技術を確立し、核燃料サイクルを実現するのが国の当初の計画だった。だが、水で冷やす一般の原子炉と違い、高速炉は中性子を「増殖」させるために金属ナトリウムを冷却材に使う。ところがナトリウムは空気中の水分と反応するだけでも爆発するため制御が難しく、1995年に冷却配管からのナトリウム漏れで火災事故を起こした。
「事故後に当時の運転主体だった『動力炉・核燃料開発事業団』が公表した事故映像ではナトリウムが飛び散った映像などをカットし、情報隠しと問題になりました。その後、2度にわたる組織の統合再編を経て、ようやく10年の試験運転再開にこぎ着けましたが、すぐに重さ3トンを超える装置を炉内に落とす事故を起こし、12年には1万点近い機器の点検漏れも発覚するなどトラブル続きだったのです」(原子力関係者)
度重なる不祥事を受け、原子力規制委員会は昨年11月、当時の馳浩文科相に新たな運営主体を特定することなどを求める勧告を出す。
文科省の有識者を集めて開いた「『もんじゅ』の在り方に関する検討会」では、当初は廃炉も選択肢のうちに入っていたが、いつの間にか存続ありきの議論に切り替わった。今年5月に方向をまとめた報告書でも廃炉には踏み込んでいない。
ところが9月21日の原子力関係閣僚会議では、一転して菅義偉官房長官が「高速炉開発会議で本年中に廃炉を含めた抜本的な見直しを行う」と発言。突如として再び廃炉が現実味を帯びてきたのだ。なぜなのか。全国紙記者が解説する。
「政府がもんじゅを動かし続けた場合の費用を試算したところ、今後10年で約6千億円との結果が出ました。すでに1兆2千億円を使っています。文科省はまだ存続の道を探っているとはいえ、こんなにカネを食うようでは国民の理解が到底得られないと官邸サイドで判断したようです」
決断の時期を12月としたのは、地元対策や総選挙のタイミングを見据えたものだと分析するのは元経産官僚の古賀茂明氏だ。
「3カ月あるのは、それまでにもんじゅの地元福井県と再処理施設のある六ケ所村が納得するような仕組みを作れと官邸主導で話が進んでいるのではないか。それに年明けともいわれる総選挙前に『文科省や原子力村の反発が強いなかで安倍首相が遂にもんじゅの廃炉を決断した』という絵を見せれば、選挙で有利に働きます」
もんじゅが廃炉になれば、一向に動かない核燃料サイクルを続けるために無駄な税金を使わずに済むが、実際には何も変わらないと古賀氏は続ける。
「経産省は原子力政策全体の中で腐った重要パーツであるもんじゅを切り捨てることで、原発政策を維持できるように仕向けました。それにもんじゅがなくても核燃料サイクル維持に困らないのは、フランスが開発中の高速炉『アストリッド』プロジェクトに日本も参画しているからです。国の核燃料サイクル計画は今までどおり続き、経産省、文科省にはプロジェクトを通して大きな利権が生まれる構造になっているのです」
アストリッドは、高速増殖実証炉の「スーパーフェニックス計画」が失敗したフランスが新たに打ち出してきた高速実証炉計画。2030年代半ばの運転開始を目指し、日本政府も研究開発に参加することを14年に合意している。問題は巨額な開発費がかかることだ。原子力資料情報室の伴英幸共同代表が言う。
「アストリッドの開発費は5700億円と評価されているが、これで終わるとは思えません。日本はもんじゅと同じくらいの費用を要求されるかもしれない。そこで得られた成果が日本で生かせるか不明だし、仮にうまくいったとしても、原発よりもはるかに危険な高速炉を今後受け入れる自治体はおそらく国内にはないでしょう。つまり、計画に協力しても無駄遣い以外に何もないということです」
古賀氏も「日本の原子力関連産業にお金が落ちるためにフランスに付き合っているだけ」と話す。
核燃料サイクル自体、すでに破たんしている。
原発で燃やした使用済み核燃料を再処理して抽出した日本のプルトニウム保有量は、核保有国を除いて最大の48トンにも上る。だが、本来の使い道の高速増殖炉ができないからたまる一方だ。プルトニウムを消費させるために考えついたプルサーマルにしても、稼働しているのは伊方原発の3号機だけ。日本のプルトニウムの3分の1を保有する東京電力は、福島第一原発3号機と柏崎刈羽原発の3号機がプルサーマルだが、稼働のメドさえ立っていない。
行き場のない使用済み核燃料は国内に1万7千トンあり、六ケ所の再処理工場の貯蔵プールも設備が動かないのにすでに9割が埋まっている。そんな中で原発を動かせば、さらに使用済み核燃料はたまっていく。
前出の河野議員は「破たんした核燃料サイクルは手じまいをしないといけない」とし、国が続けようとする理由をこう説明する。
「まず六ケ所の再処理工場の問題です。持ち込んだ使用済み核燃料を再処理しないとなると、青森県からは核のゴミだから持ち出せと言われる。だが、持ち出す場所がないからやめると言えないのです。もう一つは原発を動かすと20年には使用済み燃料プールがいっぱいになってしまう。そのために再処理を続ける。こんな本末転倒な話で明らかに不要なコストを国民に回しているのが現状です。政府は原発の問題点を国民にきちんと説明し、経産相は青森県に頭を下げ、最終処分地を探さないといけません」
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