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東電、福島第一原発の汚染水貯蔵タンクのスケジュール狂う。応急の簡易型タンクから溶接型タンクへの年度内の移し替え断念。汚染水の増加、作業の遅れ等。来年度に延期。廃炉工程表も見直し(RIEF)
http://rief-jp.org/ct13/64689?ctid=76
2016-10-02 21:45:56 一般社団法人環境金融研究機構
東京電力は、福島第一原発で放射能汚染水を保管する簡易的なフランジ型タンクを、漏れにくい溶接型タンクに今年度の早期に切り替えるとしてきた廃炉工程表の目標を事実上断念した。今後の目標は、最短で2018年6月になるとの見通しを示した。昨年6月に改訂した廃炉工程表で、目標の断念が明らかになったのは初めて。
原子力規制委員会の検討会に提出した資料で判明した。2011年3月11日の福島第一原発事故以来、原子炉建屋等で発生する放射能汚染水を、簡易的なフランジ型のタンク等を大量建設して貯留してきた。しかし、同タンクは臨時の設備で汚染水の漏洩が頻繁に発生、耐用年数も5年程度で、溶接型のタンクへの切り替えが急がれている。
東電はこれまで、タンク切り替えの目標を「今年度早期」としてきた。しかし、すでに年度も半ばとなっているが、原子炉建屋に滞留する汚染水が予想以上に多く、台風の襲来等によって地下水が増加する日も増加している。先月は台風16号の影響による豪雨で、地下水ドレンの水位が地表面以上となり、周辺から汚染水が流出、港湾に流れ出る事態も起きた。
タンクは一日当たり汚染水500㎥のピッチで増設しているが、ドレンの汚染水は、水質分析に10日ほどかかり、一時貯留タンク不足に拍車をかけている。また、敷地南側のタンクスペースはすでに99万㎥分を設置しており、空きスペースは少ない。敷地北側は利用されていないが、整備するには3年かかるという。
またフランジ型タンクを、溶接型タンクに切り替える作業にも、旧タンクの解体から新タンクの新設、貯留水の移管等などで、現状は、平均2年かかっているという。東電では、これを1.5~1.8年に短縮、フランジ型タンクの解体も現在の平均月8基から、最大月12基に増やす計画だ。
ただ、建屋への地下水流入を防ぐために、巨費を投じて建設した凍土壁は、運用開始から半年近くが経過しているものの、依然、完全に凍結せず、想定された効果はあげられていない。このため、タンク増設の工夫等をしても、汚染水の減少が当分見込めない状況だ。
こうしたことから、廃炉工程表の修正をすることとした。新たな目標の2018年6月の切り替え完了も、サブドレン対応の強化と、凍土壁の機能発揮を前提としており、それらの条件が満たされないと、さらに目標は先延ばしされる可能性もある。
問題は、すでに大半のフランジ型タンクが耐用年数を超えているとみられる点だ。今後、新たな地震などが発生すると、劣化しているタンクのつなぎ目等からの漏洩が増加する不安も高まる。
https://www.nsr.go.jp/data/000165034.pdf
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