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原子力と電力システムの虚を列挙してみます。
電力は産生したものを消費するしかない、蓄電できない。
送電コストの方が消費電力より高くつくので全国を送電網化するのは愚の骨頂。
送電線下で蛍光管をかざせば明かりが灯る。
原発は出力調整できない、電源オフかオン(100%出力)のどちらか。
金属ナトリウムの扱いすらできない人類がそれを冷却材とする、机上理論でしかない増殖炉と核燃料サイクルの破綻。
地中に放射性廃棄物を保管するのは無理、地下水脈を通じて数百キロの距離を2、3日で行き来する。
原子力発電は、地球の生きとし生けるもの全てを滅ぼす核爆弾プラントの詭弁。
発電中は、冷却のために大量の海水・湖沼・空気を直接温暖化、できた放射性廃棄物は、安定化するまで総じてその気の遠くなるような長期に渡る崩壊熱で地球を温暖化。
それ以上の放射能の環境暴露を伴わない原発の廃炉は世界で一つもない。
放射能の毒性は、既存の疾病や症状を頻発、憎悪化し、結果として伝染し、総じて数千年、万年といった人智を越える長期にわたる地上最強最悪の特性を持つ。
フクイチ事故は完全に手がつけられない、アン・アンダーコントロール。 そこから発生している不可解な霧は不可解でなく、トリチウム毒霧とホットパーティクル化したり、気化したりした核種の混合物で非常に危険。 これはもはや世界的難問。
そして問題先送りのこの事態を収拾するのは一体誰?
対米従属の原子力政策破綻 もんじゅ廃炉が示すもの 子々孫々に莫大なツケ 長周新聞
安倍政府は14日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉も視野に検討をおこなっていることを明らかにし、26日召集の臨時国会前にも結論を出すとしている。高速増殖炉「もんじゅ」は歴代の自民党政府が推進してきた原子力政策の根幹である核燃料サイクルの中核施設であり、もんじゅの廃炉は原子力政策の破たんを象徴的にあらわしている。実態としてはすでに20年前のナトリウム事故から破たんしていたが、日米原子力協定に縛られて引くに引けず、何兆円もの国家予算を注ぎ込んできた。福島原発の重大事故も経験し、高速増殖炉の破たん表明まできて、アメリカ追随の日本の原子力政策を抜本的に見直し、すべての原発を停止させることが迫られている。
核燃料サイクル成り立たず
高速増殖炉もんじゅは「夢の原子炉」と持ち上げられ、建設費など総事業費には1兆円が投じられた。1950年代に中曽根がアメリカから持ち込んできた日本の原子力政策は、単に軽水炉で発電するだけではなく、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、プルトニウムを燃料とする高速増殖炉で燃やす。高速増殖炉は燃やした以上のプルトニウムを生産するので、資源の少ない日本にとっては「準国産エネルギー」を産み「エネルギーの自給率を向上させる」というものであった。歴代政府はこの核燃料サイクル確立を中軸に原子力政策を推進してきた。
地震列島である日本に54基もの原発を建設し、福井県に高速増殖炉、青森県六ヶ所村に使用済み核燃料の再処理施設やウラン濃縮施設を建設してきた。ただ核燃料サイクル施設のなかで使用済み核燃料の最終処分場の建設についてはいまだに候補地も決まっておらず、「トイレなきマンション」のままである。
核燃料サイクル施設のなかでも燃やしたプルトニウム以上のプルトニウムを生産する高速増殖炉が中核をなしており、もんじゅの廃炉は核燃料サイクル政策の中核施設の破たんであり、政府が推進してきた原子力政策の論理は根底から崩れ去る。
もんじゅは、実用化されれば、「使った分の1・2倍のプルトニウムを生み出すことができる」と宣伝され、政府はもんじゅの建設費などに1兆円を投入したほか、95年のナトリウム漏れ事故で動かなくなったもんじゅの維持には年間200億円を支出してきた。だがもんじゅの運転実績は250日しかない。
もんじゅは研究開発用の原型炉で、1985年に建設が開始され1994年4月に初臨界に達したが、翌95年12月にナトリウム漏れ事故を起こして以来停止している。2010年5月に試運転を再開したものの同8月には燃料交換に使う炉内中継装置が落下し、再稼働できないままの状態である。巨額の資金を投じてつくったものの、使いものにならなかったというのが30年の実績となった。
政府はもんじゅでプルトニウムが燃やせないために、再処理したウランやプルトニウムを通常の原発で燃やすプルサーマル発電をおこない、核燃料サイクル維持の装いをとってきた。だが高速増殖炉に比べプルトニウムの発生効率は低く、コストが高いなど問題が山積みである。現時点で実施されているのは四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)1基のみである。
もんじゅ廃炉によって、日本の核燃料サイクル政策は名実ともに完全に破たんするが、そもそももんじゅが稼働できないことで核燃料サイクルは早くから実質的に破たんしていた。破たんしているのが明白な核燃料サイクルを政府が強引に進めてきたのには理由がある。
電力会社はこれまで原発の立地自治体に対して、使用済み核燃料は原発敷地内のプールで一時的に冷却保管するが、一定の時間が来れば青森県の再処理工場に搬出するので、使用済み核燃料は立地自治体には残らないと約束してきた。他方で再処理工場がある青森県は、使用済み核燃料は、「再処理の原材料」であるという位置づけで県内への搬入を認めてきた。もし、使用済み核燃料の再処理をやらないことになると、使用済み核燃料は「資産」から「ただの核のゴミ」になってしまい、電力会社は使用済み核燃料を青森県から持ち出さなくてはならなくなる。
持ち出した使用済み核燃料を原発の立地自治体に保管するためには、これまでの地元との合意の枠組みをつくり直す必要が生じてくる。電力会社としてはそれを避けてきたし、またそれが非常に困難であることを承知していた。
再処理工場も稼働せず 最終処分場は未定
しかも現実には、六ヶ所村の再処理工場はトラブル続きで稼働しておらず、再処理工場にある原材料プールはすでに満杯になり、これ以上受け入れはできない状況である。使用済み核燃料の中間貯蔵施設も青森県のむつ市にしか建設できておらず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は候補地の選定もできていない。この状況では、青森県から使用済み核燃料を持ち出しても持っていくところがないのが現実である。そのため、経産省と電力会社は、再処理の継続を明言し、使用済み核燃料の問題を先送りする道を選び続けてきた。
現在でも原発の敷地内のプールには使用済み核燃料が溜まり続け、限界を迎えている。核燃料サイクルの破たんでこの処理をどうするかは重大な問題となる。
もんじゅの稼働ができないなかで、経産省はプルトニウムをウランと混ぜたMOX燃料をつくりそれを普通の原子炉で燃やすプルサーマルを推進する方向に転換したが、問題だらけの状況である。
ウラン燃料を燃やしてできる使用済み核燃料を再処理しても再利用できるのはプルトニウム1%とプルトニウムとともに回収される回収ウラン1%の合計2%にすぎない。残りの回収ウランは不純物が多く、そのままでは再利用できない。不純物の混ざった回収ウランを燃料にするためには再転換、濃縮、転換、成型加工のプロセスが必要だが、日本にはそのための転換工場がないため、回収ウランから燃料を製造できない。再処理で回収されたウランは貯蔵しておくしかない。
再処理してとり出した1%のプルトニウムと1%の回収ウランにしても、それからMOX燃料をつくるためには新しい劣化ウランを混ぜて濃度調整することが必要になり、ほとんどウランのリサイクルにはならない。
それでも新しい劣化ウランを混ぜてMOX燃料をつくった場合、このMOX燃料を燃やすと、ウラン燃料と同じように使用済み核燃料になる。しかし、その使用済みMOX燃料は、プルトニウムの濃度が高く、臨界の危険性などから、六ヶ所村では再処理できない。使用済みMOX燃料は、使用済み核燃料と比べ発熱量が大きく、取扱いも困難であり、必要となる貯蔵施設、処分施設の面積は大きくなる。
もし仮に使用済みMOX燃料を再処理しても、新しいプルトニウムを加えなければ燃料をつくることはできない。核燃料サイクルといってもそのまま燃料のリサイクルが可能なのはせいぜい2回までで、無限にサイクルが続くわけではなく、プルサーマルはつじつまあわせでしかない。
使用済み核燃料を再処理すれば、高レベル放射性廃棄物の体積は減容されるものの、低レベル放射性廃棄物は莫大に発生する。再処理工場の廃止にともなう廃棄物の発生量まで合計すれば、廃棄物体積は4〜5倍になるとされている。だが放射性廃棄物の最終処分場の建設は手つかずの状況である。
余剰ウランのはけ口に 原子力協定の縛り
高速増殖炉が破たんし、プルサーマルも進展しないなか、再処理で抽出されるプルトニウムの使い道はない。日本はすでに原爆6000発分に相当する48dのプルトニウムを保有しており潜在的な核大国として国際的な批判も高まっている。
プルトニウムの半減期は10万年といわれ、安倍政府は10万年間処理施設を監視し続けると公言している。10万年という時間を考えて見ると、人類史上では約20万年前ごろ旧人類からホモサピエンスに進化した現人類が、10万年前頃にはアフリカからユーラシア大陸にも拡大したころで、このころマンモスも広く北アメリカ大陸まで生息拡大していたということがわかっている。10万年という時間は途方もなく想像もできない長さであり、したがって安倍首相が責任を持てるような時間ではない。
「核燃料サイクル確立」のための「夢の原子炉・もんじゅ」を柱とする原子力政策の結果、それほどの毒性の強い放射性物質を溜め込み、子子孫孫にわたってつけを回すことになっただけであった。政府は、もんじゅ再稼働のためには約6000億円かかり、もんじゅを廃炉にする場合は、原子炉の解体など30年間で約3000億円の費用がかかるとの試算をまとめており、廃炉にするにしても国民の負担は膨大である。
核燃料サイクルを柱とする原子力政策は、戦後アメリカの重要な対日政策として位置づけられてきた。アメリカは広島と長崎に2発の原爆を投下することで、日本を単独占領し、戦後も対米従属の支配下に置いてきた。広島では1950年8月6日に非合法下で原水爆禁止の大衆的な行動がとりくまれ、原爆反対の運動は瞬く間に広がり55年には世界大会開催にまで発展した。原水爆禁止の運動が唯一の被爆国である日本から世界に向けて発信され、世界中に支持を広げていった。
アメリカの原子力政策は、「原子力の平和利用」と称して原発を日本に持ち込み、原水爆反対の運動を押さえ込むことを狙ったものであった。また、余剰ウランのはけ口として日本市場を狙い、アメリカのウランを日本に買わせ、高い技術料をとって原発を推進させた。
なかでも高速増殖炉はアメリカですでに失敗しており、危険性がわかっていたものを日本に押しつけ、膨大な国費を投入させて研究させたものだった。高速増殖炉は技術的にはまったく未完成の原子炉であり、原発の先進国であるアメリカでまず失敗し、イギリスでもフランスでも失敗しているものである。それを日本だけが、しかも破たんが明白ななかで継続してきた。そこには日米原子力協定の縛りがあった。
アメリカは原発が軍事利用と一体のものであり、とくに使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムの抽出は原爆製造と結びついていることを知り抜いているため、再処理は日本以外には認めていない。米韓原子力協定でも再処理は禁止している。
それを核保有国以外では日本だけに認めてきた。日米原子力協定では、アメリカから輸入したウランを燃やしてできた使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムの処分権限はアメリカが持つことを明記している。そのうえで日本に原発を建設させ、使い物にならない高速増殖炉や再処理工場を建設させ、アメリカに貢がせてきた。アメリカのGEが製造した原子炉である福島原発が爆発事故を引き起こしても、日本が原発建設を中止することを許さず、原発再稼働や原発輸出を強行させ、第2、第3の福島の惨事を引き起こすことも平然とおこなっている。
安倍政府はもんじゅの破綻が明らかになっても「これは核燃料サイクルをやめるということではない」といい、アメリカへの忠誠を示している。
もんじゅ廃炉は対米従属の戦後日本の原子力政策の破たんを示すものにほかならない。福島事故で各原発が何千本という使用済み核燃料をプールに保有していることが暴露されたが、原発の排泄物は溜まり続け、どうすることもできないのが現実である。このうえにさらに再稼働でゴミだけ増やし続けることは無謀である。原子力政策の抜本的な転換が迫られている。
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