http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/527.html
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なぜ原発事故で放出された放射性微粒子は危険なのか。
体内に取り込まれると、一部は排出されず特定の臓器に蓄積され、24時間絶え間なく
周辺の組織を破壊するから、という答えは正しいが満点回答ではない。
放射性微粒子は何千万個という原子の塊のまま体内に蓄積され、局所的に大量の被ばくをさせる
という大切な点が欠けている。
以前、矢ヶ崎克馬・琉球大学名誉教授の解説を引用したが、重要なので再度説明しよう[1]。
まず食品の汚染だが、100ベクレル/kgの汚染があったとしよう。
このサンプルのどの1グラムをとっても0.1ベクレルなのか、汚染は均等に分散しているのかというと
もちろんそんなことはない。
極端なことを言えば、ある1グラムに100ベクレルの微粒子が含まれ、残りの999グラムは汚染がゼロ
ということもあり得る。いや実際に汚染はそのように偏っているのだ。
福島の汚染米を測定したところ、約18グラムのサンプル米のおよそ半分の汚染、2.9ベクレルが、
わずか0.02グラムの米一粒に集中していることが明らかになった[2]。
汚染食品や呼吸により放射性物質はわれわれの体内にはいって一部は蓄積される。
福島事故で放出されたセシウムは不溶性のガラス質微粒子になっているという報告もあり、
体内にはいっても溶けて拡がりにくいと言われている[3]。
セシウム137は0.1ベクレルでも原子の数は1億を越える[4]。
微粒子の大きさが1万分の1ミリであっても、含まれている原子はたいへんな数にのぼる。
これらが1秒間に何回も崩壊を起こして24時間放射線を発し、生体組織に局所的な損傷を与える。
同じ細胞が何度もダメージを受けるわけで、いくら生体組織に修復能力があるとはいっても、
これではたまらない。
その結果、がんが生じたり、動脈硬化が起きたり、脳に損傷が生じたりと、ありとあらゆる疾患の原因となる。
よく御用学者が引き合いに出す自然界の放射性カリウム40との違いもここにある。
カリウム40は天然カリウム中に0.01%存在するが、ほぼムラなく均一に含まれている。
ほぼ1万個の原子の中の1つの割合でカリウム40が含まれている。
原発から放出された放射性微粒子のように、カリウム40が何千万個も集まった塊は
自然界にはまず存在しない。
カリウムは生物にとって必要不可欠な元素で、動植物は絶えず取り込みかつ排出・排泄しており、
自然界の中で常に循環しているから、カリウム40もムラなく分布している。
また人体にはカリウムを一定に保つ仕組みがあり、特定の部位に長期間蓄積されることもない。
原発から放出された何千万個もの放射性核種の塊と、ポツンと1万個に1つだけ混じっている
カリウム40とでは破壊力は雲泥の差であり、同列には議論できない。
エネルギーが小さな部位に集中するときのダメージは凄まじい。
よく例に出されるのが銃弾だ。
銃弾が致命傷を与えるのは、1平方センチぐらいの面積に集中して強大な力が加わるからだ。
この力が体全体に均等に加わったらどうなるか。
人間の体表面積は約1.6平方メートル(16000平方センチ)前後であるから、1平方センチ当たり
1万6千分の1の力しか加わらず、大した損傷を与えることはないだろう。
しかし、どちらも人体に加わるエネルギー総量は同じなのだ。
このように、あるエネルギーが全身にムラなく均等に加わるのと局所的に集中するのとでは
そのダメージは天と地の差があるのだ。
御用学者は、飛んでくる銃弾はこれこれのエネルギーを持っていますが、全身にムラなく
均等に力は加わるので安全ですと言っているわけだ。
彼らは、自然・人工放射性核種どちらも、吸収線量が同じなら人体に対する影響は同じだと言うが、
それはあくまでも原子1個についての話であって、何千万という原子の塊である放射性微粒子には
当てはまらない。
カリウム40が体内に何ベクレル存在するので、他の放射性核種が同様にあっても問題ありません、
というのは完全なマヤカシである。
そもそも吸収線量(グレイ、シーベルト)は、対象物全体にムラなく照射されることを前提にした単位であり、
放射性微粒子の局所的な被ばくの度合いを表わすのには不適当である。
内部被ばくの議論で行なわれるベクレル->シーベルト換算も無意味であり、また換算に使う
実効線量係数にも全く科学的根拠がない[5]。
こんな単位で、局所的な被ばくの度合いを表わせるはずがない。
内部被ばくをベクレルから換算すると○○マイクロ・シーベルト/hになるので安全です、と言った説明は
すべてデタラメであり、信用してはならない。
ついでに言うと、低線量被ばくという言葉は内部被ばくに関しては不適当である。
局所高線量被ばくと呼ぶべきだろう。
100ベクレル/kgといった数字を挙げられると、放射性物質は均等に存在するかのように錯覚するが、
実は放射性物質は何千万という原子が含まれた塊で体内に沈着し、局所的に生体組織を破壊し、
その結果、心筋梗塞や脳卒中、がんなど深刻な疾患を引き起こす。
だからこそ内部被ばくは恐ろしいのである。
(関連情報)
[1] 「自然界のカリウム40と放射性セシウムの違い (矢ケ崎克馬先生による解説)」 (拙稿 2016/5/9)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/640.html
[2] 「アイナメの時と同じ、米粒2.9ベクレルでもう一方は0.0048ベクレル! (原発はいますぐ廃止せよ)」
(阿修羅・赤かぶ 2012/10/24)
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/284.html
[3] 「東京に降り注いだ放射性セシウムはガラス質微粒子に蓄積」 (阿修羅・stix 2016/7/31)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/239.html
[4] 「セシウム137の10ベクレルは、何個のセシウム原子に相当するか? 10個ではありませんよ」
(拙稿 2016/9/25)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/521.html
[5] 「放射能と人体(10)安全デマのキモ−実効線量係数とは(250万アクセス)」 (院長の独り言 2012/1/13)
http://onodekita.sblo.jp/article/53082228.html
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