もんじゅ 廃炉への流れは当然だ 09/15 08:55 政府は、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)の廃炉に向けた調整に入った。 当然であり、むしろ遅すぎた印象すらある。1兆円以上の国費が投じられたのに、ずさんな管理でトラブルを重ねた上、再稼働には数千億円の費用が必要だからだ。 政府は速やかに結論を出し、国民に説明するとともに、責任の所在を明確にしなければならない。 もんじゅはまた、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策の要である。廃炉となれば政策の根本的見直しが避けられまい。 サイクルのもう一つの柱である使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理工場も、稼働のめどが立っていない。 行き詰まりは明らかだ。政府は、核燃サイクルからの撤退を正面から検討すべきである。 原子力規制委員会は2013年、約1万件の点検漏れが発覚したもんじゅの運転禁止を機構に命じ、15年には文部科学省に運営主体変更を勧告した。 しかし、電力会社などが協力に難色を示し、受け皿は見つからなかった。 もんじゅは1995年に冷却剤のナトリウム漏れ事故を起こして以降、実質稼働していない。 なのに、文科省は発電で消費した以上の燃料を生む「夢の原子炉」との触れ込みにすがり、延命を図り続けた。その責任は重い。 疑問なのは、経済産業省がなお核燃サイクルを維持する構えを見せていることだ。 高速実験炉「常陽」の活用や、再処理をへてつくったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を通常の原発で使うプルサーマル発電を進める考えという。 しかし、毒性の強いプルトニウムを含むMOX燃料は、原発の事故時に被害が拡大する恐れや、発電時に核分裂の制御が難しくなる可能性が指摘されている。 最終的に全炉心でMOX燃料を使う電源開発大間原発(青森県大間町)について、対岸の函館市が建設差し止めを求めているのも、そうした懸念が大きいからだ。 核燃サイクルで分離されたプルトニウムは約48トンに増えている。 核兵器に転用可能な物質である。米高官からは、プルトニウムを生産する日本の再処理事業への懸念を示す発言も出ている。政府は重く受け止めるべきだ。 核燃サイクルに不安を抱く国民は少なくない。プルトニウムの扱いを含めて、撤退に向けた議論を加速させたい。 http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0082836.html 福井県知事、もんじゅ廃炉論けん制 「長年責任を全うしてきた」 (2016年9月15日午前7時10分) 政府が高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)を廃炉にする方向で最終調整に入ったとの報道に関し、同県の西川一誠知事は14日の県議会代表質問で「もんじゅを含む核燃料サイクル政策に真剣に取り組むよう、今後とも国に強く求めていく」と強調した。終了後に「国策のもんじゅに長年地元として責任を全うしてきたことを考え、国はこの問題に対処する義務がある」と記者団に述べ、廃炉論をけん制した。 代表質問で県会自民党の田中宏典議員が、原子力規制委員会の勧告を受けた文部科学省がもんじゅの新たな運営主体を決められない状況について「国の本気度を疑わざるを得ない」と批判。廃炉方向の報道に触れ、県はしっかり情報収集し対応すべきだと指摘した。 自民党県政会の笹岡一彦議員は、国の対応を「もんじゅを長年受け入れてきた本県に対し、甚だ失礼であり、国策として進めてきた核燃料サイクル全体に対して極めて無責任」と非難。県は、廃炉を含め検討している官邸に直接要請するなどの対応を早急に取るべきだと求めた。 知事は、もんじゅの役割が位置付けられている政府のエネルギー基本計画を踏まえ、これまで菅義偉官房長官ら関係閣僚に対し政府一体で対応するよう再三要請していると答弁。同計画の次期改定に向け「もんじゅは国際的にも大きな期待が寄せられており、国は長期的、国際的な観点から役割を真剣に考える必要がある」と強調した。 知事は本会議終了後、廃炉方向の報道について「直接聞いたわけではないし、仮定の話を論ずるときではない」と記者団に述べた。菅官房長官への要請は「今のところは考えていない」と答えた。 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/104558.html
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