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岡田 広行 :東洋経済 記者
2016年08月02日
「原発ゼロ」を訴え続ける小泉純一郎元首相が、独占インタビューに応じた
小泉純一郎元首相が、福島の悲劇を繰り返してはならぬと「原発ゼロ」を訴え続けている。米海軍による東日本大震災被災者の救援活動「トモダチ作戦」で任務を遂行した米海軍の元兵士らが、原子力発電所事故で予期せぬ放射線被曝をしていることを知り、彼らの支援活動を開始した。小泉氏は何を目指しているのだろうか。本人を直撃した。
――脱原発を訴えている中、発起人となった「トモダチ作戦被害者支援基金」が7月5日に発足した。元米兵らの支援を始めた経緯は。
知人の紹介で知り合った日系4世のジャーナリスト、エィミー・ツジモトさんから、トモダチ作戦に従事した元米兵たちが、東京電力ホールディングスや福島の原発を製造した米GEなどを相手取って裁判を起こしていると聞いた。エィミーさんによれば、元兵士たちの多くは健康の悪化から除隊を余儀なくされ、収入もほとんどない。医療保険にも入れないという。
これは大変だと思っていたら、脱原発活動の盟友で城南信用金庫相談役の吉原毅さんから、米国にぜひ行ってほしい、と。それで5月中旬にカリフォルニア州サンディエゴを訪れた。そこで、10人の元兵士やその家族と会って、話を聞いたんだ。それが基金創設のきっかけになった。
元兵士の窮状を知る
――元兵士と面談して、わかったことは。
彼らの多くは20〜30代で、もともとは頑健な兵士だった。それがトモダチ作戦の任務を終えて半年、1年経つうちに体調不良に苦しむようになった。鼻血が止まらない、肛門から出血する、体のあちこちが痛い、レントゲン撮影をしたら腫瘍ができていたといった具合だ。米国出発の前にエィミーさんから、トモダチ作戦の際に兵士たちが携帯電話で撮影した動画を見せてもらった。それで驚いた。
彼らは空母ロナルド・レーガンを本拠に被災者の救助を続けていた。そのときに原発がメルトダウンし、放射能の煙雲(プルーム)が福島沖に停泊していた空母に押し寄せた。兵士たちはそのことも知らず、防護服も着けずに活動していた。ヘリコプターによる救出活動から戻り、放射能測定器が設置されたセキュリティチェックを通ると、警報が鳴り続けた。それで初めて気づくんだ。俺たちは放射能の真っただ中にいるんじゃないかと。
海も放射能で汚染されているのに、海水を真水にしてシャワーや食事に使っていた。だから内部被曝もひどかったに違いない。士官たち以外は安定ヨウ素剤も飲まずに活動していたようだ。
けれども兵士たちは入隊するときに、どんな被害があっても米政府を訴えないと誓約書を書かされている。医者や軍も因果関係を認めない。それでやむなく、東電やGEを訴えた。
当初8人だった原告は今では400人を超えるという。その一方ですでに7人が亡くなっている。7人目は私が会見をしている場に訃報として飛び込んできた。東電は放射能と健康被害の因果関係について明言せず、裁判の管轄権は日本国内とすべきとして、裁判の開始を引き延ばそうとしているという。
「思わず涙が出てしまった」
――元兵士と会って、どう感じたか。
彼らは恨みがましいことなんて、一言も言わなかった。これ(トモダチ作戦)は任務だと。運が悪かったとも言わない。こんな目に遭っても日本が好きだともいう。思わず涙が出てしまった。そしてこれは何とかしなきゃいかんと。
外務省の北米局長とも話をしたが、政府としては何もできないと言われた。それで、一国民として何ができるかを考えて基金を立ち上げた。
――基金創設の反響は。
私と(脱原発活動を共にする元首相の)細川護煕さんのほかにも、かなり有力な人に発起人になってもらおうとしたが、裁判が行われていることを理由に勘弁してくれと言われた。東電とかGEがかかわっているから不利だよね。米国と付き合いの多い人にも頼んだが、無理だと。そうしていたところ、高名な建築家の安藤忠雄さんが、自分も資金集めを手伝いたいと申し出てくれた。8月18日には安藤さんの呼びかけによる私の講演会が大阪市内で開催される。参加費は全額が支援基金に寄付される。本当にありがたい。
基金の募集は来年3月末まで。すでに、何がしか寄付させてほしいという人も多い。日本人を助けてくれた彼らの窮状を何とかしたい。
――「原発ゼロ」の主張を始めたのは原発事故後?
総理大臣のとき、原発は必要だと思っていた。だが、引退して原発事故を目の当たりにしてから勉強を始めた。それで、「安全、低コスト、クリーン」という経済産業省や電力会社の説明が全部ウソだとわかった。間違ったことを信じてきた後悔の念とともに、このまま黙って寝ていていいのかという気持ちから、過ちを正そうと思い、原発ゼロの講演活動を続けてきた。それを知った毎日新聞の記者がコラムに書いたことで一躍話題になった。
――経産省や電力会社の説明がウソだというのは。
たとえば、産業廃棄物処理業者は、自分で処分場を見つけないと、都道府県知事から営業許可が下りない。原発は、産業廃棄物よりはるかに有毒な放射性廃棄物を出し、その最終処分場がいまだに決まっていないというのに、国が認めている。これ一つとってもおかしいでしょう。憤慨するよ。有毒な放射性廃棄物の処分場コストやリスクを考えると、実は原発は高コストなんだ。
――鹿児島県で脱原発を掲げる知事が誕生した。脱原発の世論の広がりは。
鹿児島では絶対に勝つといわれていた現職が負けた。今や何が起こるかわからないんだよ。三反園訓さんが新知事になった。期待しているんだ、俺は。電力会社が再稼働を進めようとしても、反原発運動は根強い力を持っている。これはいずれ、大きなうねりになる。
――確信を持っているか。
ますます持っている。勉強すればするほど、原発は必要ないことがわかってきた。大体、この5年間、実質ゼロで困っていない。原発ゼロでも停電なし。暑い夏も寒い冬も。この事実は大きいですよ。自然エネルギーなんて大したことないと思われていたけど、今や原発を追い抜いている。原発ゼロはエネルギーの構造改革。やればできると日本が示している。
――原発の再稼働が進められるなど、揺り戻しの動きも強まっている。
脱原発の大きな方向性は変わらない。それよりも、政界も経済界もまだわからないのかとあきれている。今でも原発が必要だと思っている人が特に経済界で多い。
「原発ゼロは時間の問題なんだよ」
「今、総理が原発ゼロにすると言えば、誰も抵抗できない」と、原発ゼロ政策の決断を迫る小泉元首相
――政治がすべきことは。
原発ゼロは国民の多数が支持する政策。どうしてそれをやらないのか。
野党第一党の民進党が言わないのも不思議だ。電力会社、大企業、労働組合が選挙のときに応援してくれるからなのだろう。でも大した票じゃないよ。
――二男の進次郎衆議院議員とも脱原発の話はしている?
(私の)本は読んでいるはず。分かっていると思う。でも、親子で話はしないようにしている。進次郎は進次郎、俺は俺。まだ、(彼は)若造だという立場もあるしね。
――安倍晋三首相に伝えたいことは。
今、総理がゼロにすると言えば、誰も抵抗できない。すぐに変わっちゃうよ。世論も味方している。将来ゼロを目指すんだったら、すぐにゼロにしたほうが、準備ができるじゃないか。原発ゼロは時間の問題なんだよ。
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