http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/894.html
Tweet |
年間維持費200億! それでも文科省が「もんじゅ」廃炉を決められないバカげた理由 なぜ参院選の争点にしないのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48979
2016年06月23日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
■年間維持費は200億円!
1994年の初臨界(原子炉での核分裂連鎖反応が一定の割合で継続)から22年で延べ200日強しか稼働していないのに、年間維持費が200億円もかかるという高速増殖炉もんじゅ――。
福井県敦賀市にあるこの壮大な「夢の原子炉」の存続を含めて検討する「もんじゅの新たな運営主体を探す有識者検討会議(有識者会議)」は、5月末、玉虫色の「中間報告」を出した。そこで、受け皿機関の決定は7月10日の参議院選挙後に先送りとなった。
日本の原子力政策のなかでもバックエンドといわれる、再処理から廃棄物最終処分に関する工程は、常に結論を先送りしてきた。
そうせざるを得なかったのだ。
原発で出た使用済み核燃料を溶かしてプルトニウムを再処理工場(青森県六ケ所村)で取り出し、それをもんじゅなどで利用する核燃料サイクルをバックエンドの根幹としながら、もんじゅも再処理工場も実用化のメドが立っていないからだ。
この壮大なムダと管理体制の不備に苛立った原子力規制委員会は、もんじゅ運営主体の日本原子力研究開発機構(原子力機構)に代わって運営する組織を、半年をメドに見つけるよう馳浩文部科学相につきつけた。それを受けて立ち上がった有識者会議が出した結論は、「存続のための条件」を示しただけの形式的なものだった。
原子力規制委の田中俊一委員長が、「勧告に沿った議論がされているように見えない」と、不満をぶちまけたのも頷ける。「廃炉を見据えた勧告」だったのに、文科省は「存続ありき」の議論しかしなかった。
それにしても、文科省の仕掛けは露骨だった。
有識者会議の座長を務めたのは元東大学長で文部相などを歴任した有馬朗人氏(85)。国際的な原子核物理学者として知られる有馬氏は、原子力行政に理解があり、文科省がこの人を座長に据えたのは、「もんじゅ延命」のためである。
その期待に応え、有馬氏は就任時、「廃炉の可能性はゼロではないが小さい」「これだけの資本を投資し、研究者もいるので活用できるものを活用する」と述べ、抜本的な見直しを求める原子力規制委の勧告を、ハナから意に介していなかった。
結果は予想通り。具体的な運営主体にはふれず、その「在り方」については、「研究開発段階炉の特性を踏まえた保全計画の策定・遂行能力があること」「社会の関心・要請を適切に反映できること」といった、誰にでも言えるどうでもいい空疎な言葉が並ぶ中間報告書となった。
■答えは日米原子力協定にアリ
参院選後に先送りしたものの、「もんじゅの新受け皿機関」に具体的な“当て”があるわけではない。
原子力規制委は、「看板の掛け替えは認めない」(田中委員長)とプレッシャーをかけ続けており、つけ刃の回答を許さない姿勢がわかっているので、馳文科相は「一日も早く運営主体を特定できるよう作業を進める」と、通り一遍の答弁を繰り返すしかない。
水面下で文科省が進めているのは、複数の大手電力会社に対する新法人への人材拠出の要請。しかし、電力会社は再稼働の見通しが全く立たない「無用の長物」に社員を積極的に派遣する気がない。
八方塞がりなのに、国=文科省はなぜそこまで延命にこだわるのか。答えは日米原子力協定にある。
非核保有国として日本だけに使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」を認めたのが日米原子力協定で、1988年に発効し、30年後の2018年7月に期限切れとなる。
日本には、現在、使われないまま積み上がっているプルトニウムが47・8トンもあり、それは核弾頭6000発前後に相当。核弾頭に代用できるプルトニウムの不用意な増加は、核不拡散の旗振り役である米国にとって迷惑な話である。
だがそれは、日本が使用済み核燃料をもんじゅや、プルトニウムにウランを混ぜたMOX燃料として燃やす通常の原発でのプルサーマル発電を行う核燃料サイクルだから認めたことだ。その象徴であるもんじゅが廃炉になれば、日米原子力協定の継続は厳しくなる。
日米原子力協定が破棄されれば、使用済み核燃料の再処理は認められず、中間貯蔵施設で保管中の使用済み核燃料はどこかに廃棄しなければならない。最終処分場の選定という困難な課題に直面する。
したがって、もんじゅの廃炉は原子力政策の抜本的見直しを意味するが、そろそろバックエンドを本気で論じるべきだろう。
■いつまで幻想にとらわれているのか
原発燃料の製造と発電というフロントエンドについては、東日本大震災後の再稼働も含め、さんざん論議されてきた。
今回の参院選の公約は、自民党が「重要なベースロード電源と位置づけ再稼働を進める」であり、公明党が「原発ゼロを目指すが再稼働は立地自治体の理解を得て判断」、民進党が「2030年代の原発ゼロの堅持」、共産党が「原発再稼働を全て中止」と、これまでの路線と変わるところがない。
ところがバックエンドは、ほとんど論議になっていない。自民党は核燃料サイクルについて公約で触れておらず、公明党はかつて「もんじゅ廃炉」を公約にしていたのに、「存続容認」に転じた経緯がある。民進党は「もんじゅ見直し」を打ち出した原子力規制委に賛成の立場で、共産党はもちろん廃炉。だが、本格論議にはほど遠い。
核廃棄物の処分場がなく、「トイレのないマンション」と言われる状態をいつまで続けるのか。再開のメドがつかないまま維持費200億円をドブに捨てつつ、日米原子力協定という特権を手放さないために核燃料サイクルという“幻想”にこだわり続けるのか。
文科省が有識者会議の結論を先送りしたのを逆手にとって、もんじゅ廃炉と核燃料サイクルの是非を参院戦の争点にすべきではないだろうか。
- 廃炉という結論には同意だが、伊藤 博敏氏の論考に「米国支配層代弁」の匂い あっしら 2016/6/25 04:21:14
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素45掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。