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志賀原発 活断層どう判断
規制委が有識者評価書を受理、「存在」なら再稼働できず
原子力規制委員会は4月、北陸電力志賀原子力発電所1号機(石川県)の直下に活断層があるとみられるとの有識者会合の評価書を受理した。敷地内の活断層を再調査していた6施設のうち5施設の評価書がそろい、2施設について原子炉直下に活断層がある可能性が指摘された。今後、規制委が同様に判断すれば、再稼働は不可能になる。
地震は原発にとって大きなリスクの一つだ。ある断層が割れて動き、巨大地震が起きると、周囲の断層もしばしばそれにつれて動く。断層のうち比較的最近に動いたことがあり、将来も動く可能性があるものを「活断層」と呼ぶ。
地震のたび厳格化
志賀原発で活断層と疑われている断層は数百メートルと短く、熊本地震のような巨大地震を起こす恐れはない。だがもし原子炉の直下で断層が動くと、配管などの重要な設備が損傷する恐れがある。
活断層への対策は、想定外の地震が起きるたびに厳しくなってきた。
1978年に制定されたかつての耐震指針では、5万年前以降に動いた断層を活断層と定め、そこで起きる地震の揺れを想定して原発を設計するよう求めていた。しかし2000年に、活断層ではないとされていた断層を震源とするマグニチュード7.3の鳥取県西部地震が発生。国はこれを受けて06年、活断層の範囲を「約12万〜13万年前以降の活動が否定できない断層」に拡大した。
11年3月に東京電力福島第1原発の事故が起きると、旧原子力安全・保安院は、全国の原発敷地内にある断層の資料を総点検した。そして志賀原発や日本原子力発電の敦賀原発(福井県)など6施設は、敷地内に活断層がある疑いがあると指摘。電力会社に詳細な調査を指示した。
12年9月に保安院に代わって規制委が発足。6つの原発それぞれについて、活断層の有無を調べる有識者会合を立ち上げた。13年7月に原発の新規制基準を施行し、活断層の上に原子炉建屋などの重要施設を置くことを明確に禁じた。重要施設の下に活断層がないことを証明しないと、原発は稼働できなくなった。
志賀原発の有識者会合は3月、1号機の原子炉建屋の直下を通る断層を「活断層と解釈するのが合理的」との評価をまとめた。根拠の一つが約30年前、1号機の建設予定地に掘ったトレンチの地層を描いたスケッチだ。原子炉建屋から南東に延びる断層が途中で約20センチメートルずれており、「典型的な活断層に見える」と地形学者から指摘された。
地層は1号機の建設で取り除かれ、今となっては確認できない。北陸電は断層が伸びた先に新たにトレンチを掘って調査し、「断層には活動性がない」と主張した。有識者会合は新たに調査した南東部分に活動の痕跡がないことは認めたが、建屋直下の部分に活動があった可能性は否定できないとの見解だ。
法的拘束力なし
このほか敦賀原発の有識者会合も、2号機の建屋直下に活断層がある可能性を指摘している。もし規制委がこれを追認したら、廃炉の可能性が濃厚だ。東北電力東通1号機(青森県)も、敷地内に活断層がある疑いが浮上した。
一方、関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層は「活断層ではない」、美浜原発(同)も「活断層ではない可能性が高い」とされた。日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(同)は検討中だが、活断層の可能性は低いとの見方が強い。
有識者の判断に法的な拘束力はないが、規制委は「重要な参考知見の一つ」と位置づけている。志賀原発の所長代理を務める米田貢さんは、「新しい資料を示して、丁寧に説明を続ける」と話す。
ただ、専門家がまとめた評価を覆すのは簡単ではない。首都大学東京の名誉教授、山崎晴雄さんは「規制委が安全性を下げる方向に判断を曲げると思えない。いつまでも結論が出ない状況が続くのではないか」と話している。
(松添亮甫)
キーワード 断層調査
活断層かどうかを調べるには、まず文献で地質の全体像を調べる。航空写真などを撮影し、断層が地表に現れている地形を探す。断層が見つかったら、付近に縦穴を掘ってサンプルとなる地層を抜き出す掘削調査を実施する。人工の地震波を照射して、地下の地質の構造を調べる物理探査をすることもある。
断層を横切るようにトレンチと呼ぶ溝を掘り、岩盤や地層の様子を直接確認する方法もある。堆積している火山灰や岩石の性質から地層ができた年代を特定し、段差やずれなどの活動がいつごろ起きたかを推定する。
[日経新聞6月17日朝刊P.31]
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