http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/640.html
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自然界のカリウム40を体内に取り込んで被ばくしているので、同程度の内部被ばくは影響がない、
という安全デマを未だにまきちらす工作員がいます。
琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬先生がカリウム40と放射性セシウムの違いを
わかりやすく解説されているのでご覧下さい。
長い記事ですので一部のみ引用しますが、ホールボディ・カウンターなどの問題点についても
述べられており、できれば元記事全部を読むことをおすすめします。
「尿中のセシウム、具体的な事実から科学すれば「安全・安心」とはいえない:矢ケ崎克馬氏の警告」
(Peace Philosophy Centre 2012/9/19)
http://peacephilosophy.blogspot.com/2012/09/blog-post_19.html
-------(引用ここから)---------
1.考察すべき事柄(カリウムと比較しながら)
身体の中にセシウム等が確認された時に、えてして「被曝量は少ないので心配ない」というコメントが特に安心論を唱える「専門家」から即刻届けられます。健康・いのちを大切に思う立場からは、検討しなければならない被曝状況はどのようなものなのでしょうか?
まず、おしっこに放射性セシウムがあるということはどういうことかを確認しなければなりません。放射性セシウムが身体の中にあるということ自体が、「あってはならないこと」なのです。
【進化の前提条件だったか、全くの異物か】カリウムは太古より常に体内に存在する状態で人類は進化してきた、いわば人類が「耐性を身につけてきた」とでもいうべき物質なのですが、放射性セシウムは、全くの異物として体内に侵入 しているということを、まず念頭に置かなければならないでしょう。
【存在形態の違いと危害の大きさ】カリウム原子の約1万分の1が放射性です。体内での流動性と代謝は非常に活発であると言われます。しかし、セシウムのように放射性原子が微粒子を形成するようなことはなく、従って、同一 細胞が短時間内に繰り返し被曝する確率は非常に少ないと考えられます。それに対し、セシウムは蓄積しやすいとか、微粒子を形成して、局所的で継続した被曝 をすることが知られています。体内でことなった挙動をするにもかかわらず、セシウムをカリウムと同様だとして「安全」と判断することは実態とは相いれない ものがあります。安全と言い切って何の備えもしないことは子どもを保護する責任のある主権国家日本として決して行うべきではありません。
さらに、ウクライナの「チェルノブイリ膀胱炎」からがんへの機構の研究では、汚染度が高く尿中のセシウム濃度が高いと特異な膀胱炎の発症率が高いことも報告されています。カリウム40はセシウムの汚染の無い、あるいは低いところにもありますが特異な膀胱炎は発生していないことも報告されています。(A.Romanenkoら)
セシウムは原子が集団をなす状態で身体に入ります。これに対してカリウムは、個々別々の単一原子で存在します。これは被曝の危害に大きな差をもたらします。その理由は、一つの細胞を再打撃する確率が全く異なるのです。身体に危害が加わる危険の程度は、単に吸収線量(体が浴びた放射線の量:からだの単位質量当たりのエネルギーで測られます)で判断できるのではなく、細胞、特にDNAの損傷確率によるものです。この点では、一度打撃を受けた細胞に、細胞が修復しているプロセスで第2の打撃が加わるかどうかが、大きな危険度の指標となります(最近.分子生物学、あるいはECRRの主張)。健康に対する危害の大きさを判断することなしに、被曝線量だけで検討するのは今や全くの時代遅れなのです。
【排泄の対象か、体内定着か】身体の中には、血液やリンパ液中に存在するセシウムと臓器の中に取り込まれたセシウムがあります。この点は、カリウムは体内にある全量が排泄されうる状態なのに対して、セシウムはそうではなく、おしっこに出ることがない臓器中にある状態を持つので、単純に比較することはできません。臓器に取り込まれたセシウムは排出され難く、体液(血液、リンパ液)中のセシウムだけが排泄の対象です。おしっこに出るセシウムは、血液やリンパ液中に存在するものの一部が排泄されるのです。
【生物学的半減期と物理的半減期】おしっこに出るものは、生物学的半減期に従って排泄されると考えられています。おしっこのベクレル数はその時のおしっこ全体に含まれる放射性セシウム量(セシウムの原子の量)から、物理的半減期により決まります。
【ベクレル】ベクレルという量は1秒間に何本の放射線が出てくるのか(正確には1秒あたりの崩壊数)を物語る物理量です。崩壊という概念は、放射線を出すとその原子は別の原子あるいは別の原子状態になり、元の状態では無くなることを意味します。通常の場合は1崩壊に1放射線で、1秒間に出る放射線の量がべクレルの数値になります。
【半 減期】半減期という物理量は、放射線を出して崩壊した結果、崩壊した数だけ元の原子の数が減ります。元の量の半分にまでその原子が減ってしまう時間が 半減期です。「一定の定まった半減期」という物理量により崩壊の法則性が定まってくるのは、単位時間に放出される量がいつでもその時に存在する全体量に比 例しているという関係から導出されるのです。崩壊する場合も、排泄される場合も、この点が同一なのです。半減期を知れば、ベクレル数から全体量を知ること ができます。
【セシウムの量だけ知ればそれでよいか】カリウムの場合は、カリウムだけ検討すれば一応議論は一段落して完結します。カリウムの放射能と他の放射能が直接に関連していることはなく、放射性原子が一個一個ばらばらでいるからです。しかし、セシウムの場合はそうはいきません。事故を起こした原発から放出されたのは放射性微粒子です。たくさんの種類の放射性原子が放出されました。測定されたのはセシウムだけですが、存在する、あるいは存在したのはセシウム以外に、ヨ ウ素、ストロンチウム、プルトニウム、ウラニウム、その他、その他。これらの危険を無視するわけにはいかないのです。なぜなら、放出された放射性原子は全 て人々に危害を加えている(加えた可能性がある)のですから、無視するわけにはいきません。人々に危害を加えた可能性を語りたくない人は「セシウムだけ」 というでしょう。しかしこれは現実を切り捨てて、健康被害が出ても「自己責任」で片づけたい人々の、ごまかし手段となっているものです。中でも、大量に放出されて今は減衰しきっていて測定できない、ヨウ素の評価をきちんとすることはとても大切です。
(中略)
1.考察すべき事柄−カリウムと比較するのは適切か?−
身体の中にセシウム等が確認された時に、えてして「カリウムと比較して被曝量は少ないので心配ない」というコメントが特に安心論を唱える「専門家」が登場しますが、健康と命を大切に思う立場からみる被曝とはどのようなものなのでしょう。
まず尿に放射性セシウムがあることにどんな意味があるか確認しなければなりません。いうまでもなく放射性セシウムが身体の中にあるということ自体が「あってはならないこと」なのです。
<カリウムの放射線は:被曝のバックグラウンド:いつでもあり、ずっと在り続けた>
カリウムは太古より常に体内に存在する状態で人類は進化してきました。カリウム は人類が「身体中のカリウムの放射線を浴び続けて進化してきた」物質です。これに対して放射性セシウムは、全くの異物として体内に侵入します。これをまず 念頭に置くことです。放射性カリウムはセシウムがあろうが無かろうが常に身体中に在り、そのベータ線(11%のカリウム40は γ線)被曝は常に身体被曝のバックグラウンドとなっているものです。放射性セシウムが体中に入るときは、このバックグラウンドに加えて被曝を重ねます。極 論すれば、例えカリウムでは被曝の害が出なくても、セシウムの被曝が重なれば、害が出現しうるのです。この被曝の状況を考慮すれば、セシウムの被曝の線量 をカリウムの被曝線量と比較すること自体が誤りと言えるでしょう。
<崩壊の違いと被曝密度の大きさ>
カリウム原子の約1万分の1に放射能があります。放射性原子だけが集合していることはあり得ません。カリウム40の89%はベータ線を出してカルシウムになります。残りの11%は電子を捕獲してアルゴンに変わりその際ガンマ線を放出します。それぞれのカリウム40原子はベータ線を1本出すかあるいはガンマ線を1本出すか、放射線を1本だけ出します。同じ原子が放射線を2本以上出して局所的に被曝の密度を上げることはしません。物理的半減期は12億5千万年です。また、それぞれの放射性カリウム原子は遠く離れていますので、被曝領域が重なることはありません。
これに対しセシウム137はその原子の95%はベータ線を放出し、準安定状態のバリウムとなり、準安定状態のバリウムはガンマ線を出して安定バリウムになります。β崩壊の物理的半減期は約30年、ガンマ崩壊の半減期は2.6分です。この場合、たった一つのセシウム原子が孤立していた場合、一つの原子からベータ線が出ると、程なくガンマ線が放出され、ガンマ線が2.6分以内に放出される確率は2分の1なのです。もしセシウム137の 多数の原子が放射性微粒子の中に存在するならば、多数の放射線が同じ微粒子から放出されることとなり、微粒子周辺の被曝状況(分子切断状況)は大変危険な ものとなります。その際、ベータ崩壊とガンマ崩壊は放射平衡を形成し、ベータ線が放出されるテンポとガンマ線が放出されるテンポが等しくなります。カリウム原子がたった1個の放射線を出したのに比べ、この微粒子からは、一つの原子から2本放射線を出す割合で、ベータ線とガンマ線が同時に放出されます。残りの5%のセシウム137は。ベータ線を出して直接安定バリウムとなります。以上のように、(5%原子を除き)セシウム137は1原子から2本の放射線を出します。この放射線放出は、1原子当たりカリウムの倍であり、かつ被曝はカリウム放射線と重なるために、局所的被曝が高密度になります。
セシウムは他の放射性物質と共に微粒子を形成して放出され、微粒子も直径が1μm以下ならば、肺房等を通過して血 液の中に入ると言われます。(セシウムは環境に定着すると様々な元素と出会い、化学結合も行い、放出された時と姿を変える可能性が高いと思われます。しか し今、体中被曝を問題にするときには、原子炉が爆発した時の「放射性微粒子」の姿で呼吸により体内に入ったものを除外するわけにはいきません。)身体に危害が加わる危険の程度は、単にICRP式吸収線量(体が浴びた放射線の量で、体の単位質量当たりのエネルギーで測られる)だけで判断できるのではなく、細胞、特にDNAの損傷の確率あるいは密度によります。また、打撃を受ける細胞にとっては、一度打撃を受けた細胞が修復する過程で第2の打撃が加わるかどうかが、大きな危険度の指標となると言われます(最近の分子生物学、あるいはECRRの主張)。微粒子を形成した原子炉から噴出した放射性セシウム等は特に危険だと言えます。
放射線の作用は電離と言われ、電離は分子を切断します。人は全身の細胞数がおよそ60兆個と言われますが、カリウムが1日当たりで分子切断をもたらすその数は、おおよそ1細胞当たりで0.1個の程度です。それに対し、直径1μmの放射性微粒子が体内に入った場合で、時間当たりの放射線発射が一番少ない、全原子がセシウム137であった場合を仮定すると、ベータ線が届く範囲の半径1p球内での分子切断は、1細胞当たり100個の程度となります。微粒子で体内に入る場合は桁違いに密度の高い分子切断をもたらし、かつそれはカリウムの被曝と重なるのです。このカリウムの被曝状況はICRPモデル臓器ごとに平均化単純化をする測り方で代弁できますが、セシウム等の微粒子による被曝はICRPモデルでは決して表現できないのです。 (以下略)
--------(引用ここまで)------------
御用学者は、線量が同じなら核種によらず人体に対する影響は同じと主張しますが、
内部被ばくはそんなに単純なものではないことが、この説明からもよくわかります。
一つ気をつけなければならないのは、量が多いのでセシウムばかりが話題に上がりますが、
溶融燃料が放射性微粒子となって拡散されたのであり、セシウムが体内から検出されたということは
ストロンチウム、ウラン、プルトニウムなど他の放射性物質も取り込んでいるということです。
自然界に存在するカリウム40とは危険性が全く異なることに注意する必要があります。
(関連情報)
「人工放射能と自然放射能の違いを説明する埼玉大学名誉教授市川定夫氏の講義の動画が
わかりやすいので文字起こししました! 」 (阿修羅・赤かぶ 2012/9/18)
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/417.html
「カリウム40での内部被ばくがあるので、それと同じぐらいの内部被ばくは影響がないという主張のウソ」
(taked4700 2013/7/14)
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/501.html
「物理学者や化学者が、なぜ「健康に問題ない、安全だ」と主張できるのか」 (拙稿 2014/8/4)
http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/607.html
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