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アメリカ社会を紐解くと、ケネディ以後、左派勢力あるいはリベラルと言われる思想があらゆる支配中枢を握ってきたことが分かる。
アメリカは第一次世界大戦以後、イギリスや大航海時代の覇権主義を超越したより現代的な地球上における大国観というものの姿を体現してきたのだが、その行き過ぎた国家観が、「人類皆兄弟」的な全体思想に集約され、アメリカの在り様についての議論を白熱化させてきた。それが民主党の台頭の根源にある。
アメリカは世界一の大国だという自負心がありながら、自国の国家の姿に矛盾を抱えながら歴史を積み重ねてきたわけだ。
矛盾とはつまり基軸通貨を握るという政策を着々と進めながら、では経済の基盤を握り支えながら自国を含む全体の幸福に貢献できるか?を自問してきた姿のことを言う。同時にそれは、軍事力の拡充という問題に帰結する。当然ながらアメリカに対抗してきたのがソ連の核拡散政策であり、結局は共産主義が国民の豊かさを育み担保する本質ではないのか?を問うてきたのだ。言い換えると、冷戦時代は富の分配の方法論の争いと見ることも出来る。
宮台真司はその著書の中で、右派と左派の理解の誤解について痛烈に批判している。宮台の言う「右派と左派の違いとは自己責任が持てるか否かである」という問いは、まさに地球規模に拡大できる問題だ。
第二次世界大戦が終結し、人類はイデオロギーの変革の終焉と始まりを迎えることになったわけだが、経済におけるアメリカ中心の視点は、アメリカという国家の偽善を表していて、宮台は憤りを隠していない。世界の警察という名の下による、全体主義的な基軸通貨支配は、正に富の収奪ではないか!という意見は、賛同できる面があるのも事実だ。
一方、資本の拡充による国家と国民の富の充実するための「自由と平等」を担保する資本主義と自由主義が、正答とは言えないまでも「国家」の形を成す基礎的要素でなければならないだろうという現時点での人類の最善策でしかないのも致し方ない事実ではあるし、基軸通貨ドルを利用してきた各国の選択の結果でもあるのだ。その意味では、ドルを利用してきたアメリカ以外の国のお調子者気質も批判されてしかるべきだろう。
しかしながら、経済とは文明の進歩と同義であり、事実、世界は国境線を全く無意味としてしまうほどに経済のグローバル化を容認してきた。
これらの時代背景の分析に、キリスト教やユダヤ教、イスラム教といった宗教的な要素をさしはさむことは無意味この上ない。それは後付けだったり為政者の言い訳でしかなく、その点でコシミズはアホだ。
人類の欲求の上位に宗教的観念論や形而上的パースペクティブは存在しない。寧ろ人類の欲求を恣意的に利用している点で、人類の欲求は宗教を超える。宗教を作り出したのは人類であって、神ではない。「八百万の神ガー!」などとバカも休み休み言え。日本の神道を作ったのは明治政府だ。そのような基礎的知識も持っていないコシミズはやっぱりアホだ。
話を戻す。
アメリカ社会を支配しその経済的実権を握ってきたのは、間違いなく左派勢力である。それらはマスコミにも教育にもエスタブリッシュメントにまでも及び、権力を謳歌してきた。体制を作り出し、儲けるときは皆でねの傍若無人ぶりは言うに及ばない。強いて抵抗を見せてきたのはピューリタニズムに起源をもつキリスト教保守派くらいのものか。アメリカに住処を求めたユダヤ教一派においてすら、巨大なリベラリズムと融和する道を選び、西海岸を支配してきた。
エスタブリッシュメントは富を、経済学者は彼らに言い分を追加し、政治家は軍事力を与えてきた。そうすべては自由と平等と民主主義という偽善のために。
トランプの出現は新しい時代の到来だろうか?天使か悪魔か?或いはアメリカの歴史の贖罪を果たす重責のためだろうか?
いや違う。彼は中小企業の社長で、プロレスの興行主なだけだ。彼にはイデオロギーが無い。あ、あった。金儲けだ。
好意的な識者は、「ビジネスの失敗や紆余曲折を経験し、今では自分の家族が困らない程度の資産は作り上げた。彼に足りないのは自分自身への尊敬だ。歴史に名を残しあらゆる書物に名前が載る最も分かりやすい手段はアメリカ大統領という地位だ」という。
失うものは何もないからこその強気の戦術は、プロレス興行的アジテーションの盛り上がりを見せ、テレビ好きのアメリカ国民は無責任に彼に声援を送った。その結果、トランプ大統領を生み出した。
「有権者がオレを選んだんだ」は解としては正しい。
つまり、トランプは右でも左でもない。そもそも、そのようなアメリカ史の学びは、彼が父親と共に不動産業に身を投じた大学生時代から止まっている。多分、自分自身がアメリカリベラル思想的なコングロマリットの歯車であったという自戒の念すら、或いはその意識すらない。彼は作られた大統領なのだ。
そのトランプに思想性を加えているのがスティーブ・バノンだから、アメリカの大手リベラルメディアは総攻撃を仕掛けている。
その位の見立ては、持っておいた方がいいというのが、拙記事の本旨だ。
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