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巷の陰謀論者にとって、アメリカを陰で操るユダヤ金融資本なる人たちを追い落とすため、使命感を持ってドナルド・トランプは大統領選に打って出たらしい。
トランプ自身は20年くらい前から、何れは大統領になることを考えていると、TV インタビューで答えていて、不動産王として名をはせた成り上がりのホラ程度に考えられていた。
今回の大統領選にしても、泡沫候補の一人でしか無かったが、白人労働者階級の支持を得て、大統領になってしまった。
ハリウッドの有名芸能人や、アメリカの大手メディアは、右へ倣えでトランプの暴言や差別主義を批判しているが、州の選挙人制度という時代遅れのやり方のために誰もトランプを止めることは出来なかった。共和党の重鎮ですら、早くからトランプ批判を行っていたにも関わらずである。
以前も書いたが、この結果に一番驚いているのは当のトランプ本人であって、大統領選に勝利するまでの戦略については娘のイヴァンカやその婿さんの手法が功を奏したとみるべきだろうが、肝心の大統領になって何をするかの具体策は何も無い。
「アメリカをもう一度、世界一にする」とか「イスラム教徒を追い出す」とか「メキシコとの国境に壁を作る」などと言うのは、グローバル化が進むボーダーレス時代にあっては、愚策もいいところであって、その点は民主党のみならず世界中の指導者から総スカンである。
欧米では、「Post Truth」が日本で言うところの流行語大賞らしいが、それはつまりトランプの主張する幻想と似通っている。トランプはこれまで物凄く簡単に言うと地上げ屋の親玉みたいな存在で、ハッタリと口の上手さでのし上がってきた成り金なのだ。プリンストンだかイエールだかを出た秀才であるにも関わらず、粗野な言葉でアメリカの低所得者層が抱える不満や鬱屈をそのまま言葉にして拍手喝采を浴びたまでは良かったが、そこにはアメリカの今後についての言葉が何も無い。一部国民の心情をざっくばらんに口にするというだけの手法は、確かにちょっとしたブームを作ることは出来ても、世界一の国の指導者としての力量を図る物差しにはならない。総得票数でクリントンが圧勝だったにも関わらず、トランプが勝利してしまったことに、アメリカ国内のestablishment達は大いに困惑した。FRBはトランプに対しては静観の構えを崩してはいない。アメリカの根幹を支える金融に関しては、断固として譲る姿勢を崩そうとはしていないのだ。
基軸通貨を握る国家の屋台骨が、自国の大統領を支持していないのである。唯一、アメリカ国内に一時的にせよ、内需の好景気が見込まれると踏んでいる投資家によって、株価が買い支えられているのが実情である。
ところが、トランプ大統領の四年間で全くの暗黒時代が到来すると見ているのは、都市部ではなく地方の工業都市だ。
トランプはアメリカ国内にドルを還流する目的で、工業系の企業がアメリカから流出することを阻止するとしているが、これはもろ刃の剣であろう。アメリカ国内経済の6割は、生産で成り立ってはいない。主たる産業はサービス業であり、そのベースになるのは国民が消費し続けることなのだ。これまで辛うじてドル安傾向があったからこそ、一部産業を除きドルが諸外国の取引の中心となって経済が成り立っていた。現在のアメリカの株式市場の活況とドル高は、アンバランスなきわどい状況を生みかねない。FRBはマイナス金利政策をやめた。当然、ドルは流通量が少なくなるからドル高は益々進行する。この上、アメリカ国内にドルを還流させたら、国内経済は潤うどころか、一層の格差を生む結果となるだろう。FRBが最も恐れるのはバブルの崩壊である。
物価安定を目論むFRBは、意図的に金融リスクを回避したいにも関わらず、消費マインドが低下してしまえば、国内にカネ余り状態が生まれ、結果として予想を超えたインフレが発生しかねない。これは益々、消費マインドを悪化させる。その上、トランプが言うように高い賃金で作られる国内製品が増加すれば、必然的にインフレを助長する。勿論、雇用統計は比較的上向きつつあるものの、産業自体が無い地方では一層の格差が生まれることが懸念されているのだ。
まして、トランプが廃止すると豪語しているオバマケアのかわりになる策は打ち出されていない。これは、白人労働者層の不満どころの騒ぎではない。ヘタをすると暴動すら起きかねない事態が予想されるのだ。
ところで、ロシアはアメリカの切り崩しにやっきになっている。また、中国やBRICs諸国は自分たちが台頭する世界を生み出し、これまでの世界地図を塗り替えたくて仕方が無い。ところが、これまた実態が追い付いていない。だから、アメリカの首根っこを押さえることに必死である。
恐らく、ロシアは益々、欧州への影響を強めるだろうし、中国は南シナ海から太平洋へと突き進むだろう。
ところが、対中国に関しては強気の姿勢を崩さないトランプも、対ロシアについては慎重で、寧ろ融和路線に進もうとしている。
そのトランプを指導者と仰ぐ陰謀論者の情報誌であるところのタブロイド紙日刊ゲンダイが、トランプがロシアで行った女性を多数はべらせて乱痴気騒ぎを行った事実を掴んでいて、そのためトランプはロシアに対して強気に出られないと報じた。
報じるほうも報じる方だが、報じられる方もロクなものではない。
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