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[地球回覧]中国草の根の対日感情は
安徽省懐寧県は中国中部のありふれた街だ。農業や軽工業が中心の経済は北京や上海に遠く及ばないが、貧困地区でもない。1921年結党の中国共産党で初代総書記に就いた陳独秀の故郷である以外には、中国国内でも話題にのぼることが少ない。
「このアンケートに答えてもらえますか」。中国人民大学で国際政治を研究する趙衛濤・助理研究員(31)は2015年8月、妻の故郷の懐寧に1カ月滞在し、知人のいる職場や学校を回った。対日感情に関する実地調査を行うためだ。
中国人の対日感情を正確に把握することは日中関係の難題の一つ。中国では体制批判に転じかねないため、世論調査自体がほとんどない。数少ない調査も大都市が対象で、13億人の中国人全体を代表しているとは言いがたい。
日中の国民感情に関心を持つ趙氏は「ごく普通の街である懐寧は草の根の対日感情を知るのにいい場所だ」とアンケートを思いつき、362人から有効回答を得た。近く論文にまとめる本人の許可を得て、その一部を分析してみた。
「日本の第一印象は」という問いの答えは「南京大虐殺」が最多。一方で「日本の基本的な印象は」は「経済が発達している」がトップだった。「中日関係の重要性は」との問いでは「比較的重要」と「非常に重要」が合計で5割を占めた。
「日本製品のボイコットをどう見るか」は「意義がある」が36%を占めたが、「意義は大きくない」「理性的でなく誤り」が合わせて5割を超えた。歴史問題で厳しい回答が目立つものの、日本の良さや重要性を否定しているわけではない。
今春のある週末、懐寧の中心部にある「独秀公園」を訪れた。
公園のシンボルである陳独秀の石像の回りでは桜が咲き、家族連れでにぎわっていた。ぶしつけに趙氏と同じ質問をしたところ、5人に答えてもらえた。
日本人の印象は「残忍」(70歳代の農民)、「身勝手」(50歳代の工員)、「文明的で礼儀正しい」(40歳代の会社員)。回答には日本への好悪が入り交じっているが、「日本人と会ったことがない」点は全員に共通していた。
実は趙氏のアンケートでも、362人のうち日本人と接触した経験があるのは50人足らず。5人が日本に1、2回行ったことはあったが、何度も行ったことのある人はゼロだった。
「日本を知る主な手段」との問いでは「歴史の教科書」と「テレビのニュース」の2つの答えが抜きんでて多かった。懐寧住民の対日感情は「おおむね厳しく、前向きな見方もあるが、基本は間接情報に基づいている」と総括できる。
中国人の訪日者数は15年、過去最高の約500万人と前年の2倍強になった。ただ、中国の総人口の0.4%ほどで、比率としては懐寧と同様まだ低い。懐寧は地方都市にすぎないが、趙氏の読みの通り、中国の草の根の対日感情の縮図となっている可能性がある。
趙氏は「庶民の関心は生活にあり、中日の政治対立をあおる考え方は少ない。中日に友好の基礎はある」と前向きだ。実際に、急増する日本経験者は日本のサービスの質の高さや街並みの清潔さを知り、そろって日本への好感を高めている。
「1901年10月に初めて日本に留学し、一生に5回、日本に渡った」。独秀公園の石碑には、陳独秀が中国最後の王朝の清朝打倒につながる革命思想に日本で触れたことが刻まれている。日中交流の意義の大きさは懐寧の先達も示している。
(中国総局長 山田周平)
[日経新聞5月25日朝刊P.6]
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