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Aly Song and Pete Sweeney
[上海 5日 ロイター] - 上海の一角に、コンクリートの壁で囲まれた場所がある。がれきやごみが散乱するこの土地は、世界で最も価値ある不動産の1つだ。
光復里地区は書面上、投資家が夢見るような不動産だ。世界の不動産市場で最も高く、そして急騰している土地の1つのど真ん中にある。
だが実際はむしろ、不動産開発業者にとっては悪夢に近い。光復里のある上海市普陀区当局が新たな建築のための更地を求めるなか、この地に住む数百人の住民たちは、今にも崩れ落ちそうな家から立ち退くことを16年近くも拒否し続けているからだ。
このようなこう着状態は、半自由化された中国の不動産制度が抱える根本的かつ未解決の問題を浮き彫りにしている。つまり、誰が土地を所有しているのか、という問題だ。
光復里の周辺には何百万ドルもするタワーマンションが立ち並ぶが、住民たちは混とんとした生活を送っている。まるで爆弾でも落とされたかのような土地でがれきやごみに囲まれるなか、住民たちは発泡スチロールの箱で野菜を育てている。多くの窓にはガラスがなく、壁も穴だらけなため、冬はいてつく寒さに、夏はうだるような暑さに耐えなくてはならない。
ほとんどの家には解体を意味する「折」の文字が書かれている。といっても、住民と不動産開発業者との対立が長引き、文字はかすれている。
Luo Baochengさんは兄弟と自身の家族と一緒に、母親から受け継いだという小さな3階建てのアパートでずっと暮らしている。
不動産開発業者は、同アパートの買い値として、Luoさんが提示する420万元(約6920万円)を拒否したという。Luoさんはアパートにはそれくらいの価値はあると考えている。
「私が不動産の権利証明書を持っていないと、彼らは言う。ここに32年間も住んでいるのに、自分の不動産ではないというのか」と、Luoさんは話す。
上海の不動産業者によれば、光復里周辺の平均価格は1平方メートル当たり1万2000ドル(約130万円)に近づいているという。
上海の不動産価格は3月、前年同月比で25%上昇。価格上昇が加速するにつれ、光復里地区をめぐる対立も過熱している。
住民たちによると、不動産開発業者はここから離れた市内の嘉定区にある新しいアパートと交換することを申し出たという。だが問題は、そのために金を支払わなくてはならないことだ。
Luoさんは、自身と兄弟のためのアパート2つを118万元で提示されたが、4つのアパートを希望しており、価格にもたじろいだという。
「どこに118万元もあるというのだ。私は定年退職しているし、兄弟も解雇されている」と、Luoさんは嘆く。
普陀区当局は、ファクスによる質問に対し、光復里を取り壊し、住民たちを移転させて「より良い暮らしをさせる」ことを望んでいると答えた。
Luoさんに話を持ちかけた不動産開発業者は、度重なるコメントの求めに応じることはなかった。
<どこへ行くのか>
一般的に、平均的な中国人は富を現金と不動産の形で所有している。だが中国での不動産所有権は、はっきりしない定義のうえに成り立っている。そのような不動産市場が存在する以前に与えられた古い家の場合はなおさらだ。
中国政府が不動産権利を付与したとき、何らかの補償はつけるが、いずれは移転する可能性もあるとしたうえで、人々は住んでいた家に引き続き住むことが許された。
しかし、地元当局によって提供された補償に対する不満が拡大し、住民たちは抵抗を示すようになった。そして、買収に応じず、立ち退きを断固拒否する「釘の家(取り残されて1本刺さったくぎのように見えることから)」現象を生み出した。
その結果、高速道路や遊歩道、あるいは地下駐車場建設のために掘られた場所の真ん中に小さな家があったりと、建築的におかしな風景がしばしば出現している。
だが時は、「釘の家」の住民の大半が家を買い取られ、追い出され、また住民の多くが高齢であることを考えると、彼らが運ばれていくのを目の当たりにしてきたのだ。