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中国経済展望、専門家の見方
景気減速、近く底打ち 劉世錦氏(政府系シンクタンク元副主任) 年後半から来年前半、設備過剰解消カギ
中国の景気減速が続き、世界の不安はなお晴れない。中国経済の展望について、政府系シンクタンク、国務院発展研究センターの元副主任である劉世錦氏と、政府系ファンド、中国投資の総経理などを歴任した高西慶・清華大学教授に聞いた。
――中国の景気減速を世界が懸念しています。
「中国経済の現状の調整は正常なものだ。昨年、中国の貿易額は減少したが、世界の貿易に占める中国のシェアはいくぶん高まった。世界経済の成長のうち、25%は中国が寄与した。今年後半から来年前半に中国景気の減速は下げ止まり、底打ちするとみている」
――根拠は。
「需要面ではインフラや不動産の投資、輸出がすでに底打ちしつつある。一方、供給側のカギは設備過剰の解消だ。石炭や鉄鋼では生産能力の約30%が余剰だが、中国政府が解消に乗り出しており、20%程度まで減れば、下落が続いている卸売物価も好転し始める」
「景気が底入れしても『V字』や『U字』の急回復にはならない。高速から中高速へ成長速度を調整する過程にあり、基本的に『L字』に近いだろう。2020年まで年平均6.5%以上の成長をめざすという中国指導部の目標は実現可能だと思うが、特定の年に6.5%を多少、下回ることがあってもかまわない」
――中国政府は金融政策、財政政策で景気を下支えする方針です。
「短期的にマクロ政策で景気を安定させる必要がある。だが、設備過剰を抱える製造業は4年間も卸売物価の下落が続くデフレ状態だが、金融を緩和してもこの供給側の問題は解決できない」
――人民元の下落圧力はなお強いです。
「過去に上がり続けた人民元相場が徐々に調整されるのは正常だ。人民元の国際化を推進する方向において、中国政府が後退することはない」
――構造調整で雇用に問題が生じそうです。
「05年に中国は1%の経済成長で80万人の雇用を生んだ。経済規模が膨らみ、15年には1%の成長で170万人の雇用を創出できた。鉄鋼、石炭だけで180万人の余剰人員を予想しているが、1千億元の財政措置で就業を支援する。過去に国有企業改革を進めた1990年代後半に比べて雇用圧力は大きくない」
りゅう・せいきん 2015年7月まで国務院発展研究センター副主任(次官級)。61歳。
市場重視の改革実行を 高西慶氏(清華大学教授)
――中国指導部は2020年まで年平均6.5%以上の経済成長を目指します。最大のリスクは何ですか。
「改革を実行しないことだ。13年11月の共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)で打ち出した市場重視の改革を実行できなければ、経済のリスクは高まる」
――構造改革のスピードに満足していますか。
「満足していない。特に国有企業改革は遅い。たとえ改革で一部の利益集団が損害を被ることになっても、大部分の人々にとって利益になる」
――中国の株式市場の変動が激しい。実体経済からかけ離れています。
「市場が未成熟だ。3中全会で打ち出した『経済資源の配分で市場に決定的な機能を果たさせる』という考え方に近づけることが重要だ」
――証券、銀行、保険と金融監督部門がばらばらで非効率です。
「これらの部門の合併に賛成か反対かを問うのは早い。まず、どこに問題があり、だれが責任を持ち、どう解決するか整理する必要がある。全国人民代表大会(国会に相当)の権限で独立型の第三者機関をつくって検討してはどうか」
(聞き手は北京=大越匡洋)
こう・せいけい 証券界に通じ、中国投資総経理などを歴任。62歳。
[日経新聞3月16日朝刊P.6]
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