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[羅針盤]中国、金融危機の「発火点」
中国の経済が金融と不動産への依存を深めている。国内総生産(GDP)に占める金融と不動産の比率は計15%と過去最高に達した。膨らんだ債務と高騰した資産価格が何をきっかけに調整を始めるのか目が離せない。
2016年のGDP実質成長率は前年比6.7%。政府目標(6.5〜7%)は達成したが、問題は中身。GDPに占める金融業の比率は8.3%。株式バブルで過去最高を記録した15年(8.4%)よりは下がったが、10年前の2倍。国務院発展研究センターの趙昌文産業経済研究部長によると「約7%の英国や米国より高く、主要国で最高」。金融と関連する不動産業の比率は16年に6.5%と過去最高だった。
一方、製造業がGDPに占める比率は33.3%と10年間で8ポイント低下。「製造強国」を掲げる中国共産党の幹部も「正常でない」と懸念する。
原因はカネ余り。16年に中国のGDPは5.5兆元(約90兆円)増えたが、企業や個人の借金は3.2倍の17.8兆元増加。経済成長と環境保護の両立を狙い、地方政府が金融機関を誘致するのも一因だ。
金融業の比率が急上昇した国は金融危機に見舞われた。一部の当局者は「中国で金融システム危機が発生する確率は高まっている」と認める。
発火点になりうるのは短期金融市場と債券市場。16年12月に中国の国債市場が暴落した。中小の銀行が短期市場から調達したお金で国債投資を膨らませていた。中国人民銀行(中央銀行)が短期金利を高めに誘導すると資金不足で投げ売りを迫られた。市場関係者は「一部の銀行は資金繰り破綻寸前だった」とみる。
中国の銀行は市場資金が3割と調達構造が脆弱だ。中国社会科学院の張明研究員は「債券の債務不履行の一段の増加が17年のリスク」と話す。人民元安と資本流出を食い止めようと人民銀が利上げ、債務不履行の債券に巨額投資していた中小銀行が資金繰り破綻、疑心暗鬼で短期市場が凍り付く……。こんなシナリオも絵空事ではない。
(中国総局 原田逸策)
[日経新聞1月30日朝刊P.14]
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