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(Can Tokyo bring Washington and Manila closer together?: DW English)
http://www.dw.com/en/can-tokyo-bring-washington-and-manila-closer-together/a-36175489
アジア
日本は米国とフィリピンの仲介役となれるか?
東京を訪問したロドリゴ・デュテルテ比大統領は、自国の経済発展のための日本の重要性を強調する一方、反米という自身の立場を繰り返し述べた。マーティン・フリッツが報告する。
ロドリゴ・デュテルテ比大統領と安倍晋三・日本首相の会談では大いに怖れられていた不作法が出なかったので、双方の高官たちは安堵の息をついた。
物議を醸す発言や仕草を好むデュテルテ氏の性向や天皇との会見での彼の振る舞い方について、訪日の前から不安が表明されていた。天皇は日本で深く尊敬される人物だ。
特に最近、デュテルテ氏が北京で習近平・中国主席と会談している時にガムを噛む様子が見られた後だけに、こうした懸念は無理のないことだった。また、このフィリピンの指導者はその会談では手をポケットに入れたまま立っていた。
東京でそのような所作を繰り返えせば、行動規範の厳しさで名高い日本国民は大いに尊敬する明仁氏への侮辱と見なしただろう。
しかし、天皇の叔父である三笠宮氏の死去に伴いその会見は直前で取り止めとなった。
そのため、デュテルテ氏の3日間の訪日はウォッチャーたちが心配したような大きな外交的失策が何もないまま終わった。
対米政策を話し合う
訪問を終える前にデュテルテ氏は日本との合同軍事演習を提案したが、自分が大統領でいる限りフィリピンと米国の軍部隊の間でそれを実施するつもりはないとも繰り返し述べた。
数ヵ月前に大統領になってから、デュテルテ氏は米国と距離を置く政策を取っている。また、先日の中国訪問の際にフィリピンは米国と「離別」するとまで表明した。
対照的に、安倍晋三・日本首相は自国の厳格な平和主義憲法の解釈を見直すなど、米日同盟の強化に努力してきた。
デュテルテ氏は、安倍氏は自身の対米政策を説明するよう問いかけたが、同氏から米比間の冷え切った関係を取り持とうとの申し出はなかったと述べた。
「なぜ私が米国に悪感情を持つかを私は彼に話した」と、フィリピンの指導者は述べた。「人権や他のあらゆる事柄で問題が常に存在し、私たちは鎖で繋がれた犬のように扱われており、彼らは(食料に)手が届かないようにそれを遠く離れた場所に投げるのだ。」
安倍氏は仲を取り持とうとしなかったと彼は語ったが、「安倍氏の…名誉のために言っておくが、彼は非常に丁重な人物だ」と指摘した。
関係の強化
それでも、デュテルテ氏は招待主に比中関係の強化が比日関係に悪影響を及ぼすことはないと改めて保証した。
「事態は変化しているが、フィリピンは日本と改めて繋がりたいと考えており、フィリピンが日本にとって真の誠実なパートナーであり続けることを皆さんに保証したい」と、デュテルテ氏は安倍氏に語った。
自分の他国への訪問は経済と貿易だけがテーマであり、軍事や他の同盟関係はテーマでなかったと、デュテルテ氏は指摘した。日本首相は中比関係の強化を歓迎すると述べることで、これらの発言に賛意を示した。
会談後の共同記者会見で、デュテルテ氏は南シナ海における領有権の主張の競合について安倍氏と同じ種類の言葉を用いた。
「フィリピンは地域で懸念を共有する問題について今後も日本と密接に協力し、民主主義という共通の価値・法の支配の遵守・南シナ海を含む諸紛争の平和的解決を支持する」と、デュテルテ氏は述べた。
この数年は両国の間に心のこもった関係が続いており、日本はフィリピンの防衛能力強化のために同国に巡視船の提供まで行っている。また、日本はフィリピンが領土面の諸利益確保に資するために配備可能な偵察機を同国に送っている。
紛争の解決
紛争解決には国際法を最大に重視すべきだと長らく主張する安倍氏は、デュテルテ氏に同意しているようだ。フィリピンは「基本的な価値を共有する重要なパートナーだ」と安倍氏は指摘し、さらに、地域の領土紛争は脅しや暴力に訴えるのではなく、国連海洋法条約や他の国際条約に基づき解決するべきだと両指導者の意見が一致したと付け加えた。
7月、国際法廷は南シナ海における中国の拡張主義的な領有権の主張を却下した。同海は毎年推計5兆ドル相当の海上貿易物資が通過する重要な水路だ。フィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイもまた同海の一部について領有権を主張しており、その結果として地域の緊張が増大している。
フィリピンにとって日本は最も重要な貿易パートナーであり開発援助の供与元だ。そして、私たちは特に工業と農業で2国間の貿易投資パートナーシップを更に強化したいとデュテルテ氏は語り、日本の投資はフィリピン経済の成長拡大に不可欠だと指摘した。
その一方で、麻薬と犯罪に対するデュテルテ氏の残忍な作戦について安倍氏は沈黙を守った。この作戦の結果、警察や自警団の手により現在までに3,000人を上回る人々が死亡したと伝えられている。
この取り締まりは西洋では人権侵害と見られており、米国などの国々から批判を招いてデュテルテ氏を激怒させている。
軍事協力はなし
その上、デュテルテ氏は東京での投資フォーラムで挨拶し今後2年以内にでも外国部隊を国外に出したいと語った。
それでも、パーフェクト・ヤサイ比外相はその後、大統領は米国との全ての2国間安保協定を尊重しており彼にはその違反や不履行の意図はないと、デュテルテ氏の政策を説明した。
しかし、米国との合同訓練はフィリピンが中国との友好関係を育てるのに役立たないと、ヤサイ氏は指摘した。
米国はフィリピンに5ヵ所の軍事基地を維持しており、地域における中国の軍事的影響力の増大に対抗するために基地は不可欠だと見られている。
同時に、デュテルテ氏は彼の中国寄りの姿勢を懸念する人々の不安を静めようとして、中国とのいかなる協力も純粋に経済的なもので、軍事的な性質を持つものは何もないと強調した。デュテルテ氏は「私たちは兵器についても部隊の展開についても話をしなかった」と、先週の北京訪問のことを語った。デュテルテ氏と安倍氏の綱渡りは日本が数ヵ月後に米比両政府の重要な仲介役として出現する可能性を示唆していると、専門家たちは語る。
この話題の音声・動画
フィリピンの残忍な捜査活動[2016.10.10 英語]
[Brutal manhunt in the Philippines]
発表 2016年10月27日
記者 Martin Fritz (Tokyo)
関連テーマ フィリピン、アジア、日本
キーワード アジア、フィリピン、マニラ、ロドリゴ・デュテルテ、日本、東京、安倍晋三
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