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麻薬密売人の殺害現場を遠巻きに見守るスラム街の住民達(Getty Images)
フィリピン新政権、“超法規的殺人”でも高支持率の謎
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160824-00010002-wedge-int
Wedge 8月24日(水)12時30分配信
ドゥテルテ政権発足から7月30日で1カ月が経過した。民間調査機関のパルスアジアがドゥテルテ大統領の信任に関して行った世論調査で、「大統領を信頼している」と答えた国民は91%に上り、歴代大統領で最高を記録した。
調査は全国の1200人が対象で、7月2日から8日に行われた。この結果を受けてアンダナー大統領府報道班長は声明を発表し「信任率の高さは、国民の生活をより良く、安全にするため、改善を続ける新政権にとって刺激剤になる」と述べた。
しかし、この91%という数字に至った世論調査は、発足直後に行われたためドゥテルテ政権の実績に対する評価というよりは、改革への期待感が影響した可能性がある。貧富の格差や汚職といった従来の問題を解消できなかった歴代政権に対する不満の反動ともいえるだろう。
発足直後に信任率が高かったのは今回に限ったことではない。アキノ前政権が10年6月末に発足した直後の世論調査でも、信任率は85%に上った。ところが任期切れ直前は50%前後まで下落した。政権が交代する潮目の時に期待が高まるという傾向があるようだ。
■高支持率の裏で行われる“超法規的殺人”
ドゥテルテ政権発足後、最も顕著に取り組んでいるのが、麻薬密売組織の撲滅だ。国家警察によると、政権発足直後の7月1日から8月2日までの1カ月間、違法薬物密売などの疑いで超法規的に殺害された容疑者は約400人に上る。1日に10人以上が殺害されている計算で、事態を重くみた国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(米ニューヨーク)は、ドゥテルテ政権に抗議するよう国連薬物犯罪事務所(UNODC)などに要請した。
このような批判にもかかわらず、8月1日に公表された世論調査でも、1年後の生活が「改善する」と答えた国民は49%に上り、84年の調査開始以来で最高を記録した。同じ質問に関する調査は開始以来、これまでに120回実施されたが、40%を超えたのは全体のおよそ1割に当たる16回だけだった。
ドゥテルテ政権が支持されているのは「半年以内に麻薬密売組織を撲滅させる」と選挙前に豪語し、その公約通り有言実行の姿勢を示せたことだ。これが「何かやってくれるかもしれない」という国民の期待感につながっているとみられる。フィリピン人のある男性ジャーナリストは「ドゥテルテ氏のやり方には賛同できない部分もあるが、彼の強い政治的意思は評価に値する。犯罪組織にとっては一定の脅威になっているのではないか。実際、多くの国民は彼を救世主だと考えている」と語る。
ドゥテルテ大統領は就任後に初めて行った施政方針演説で、違法薬物と汚職の撲滅に取り組む姿勢をあらためて強調した。フィリピン共産党勢力との和平実現を目指す考えも示したが、成長を続けるこの国にとって重要なのはやはり、経済政策だろう。
国民が世論調査で「新政権が取り組むべき課題」に挙げたのは、インフレ率の抑制、雇用創出、貧困対策だ。これら生活改善の実感につながる政策が実施できるか否かが、今後の政権運営の鍵を握ることになる。
水谷竹秀 (ノンフィクションライター)
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