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モンゴル経済急減速 11年17.3%成長→昨年2.3% 再建、総選挙の争点
資源に大きく依存するモンゴル経済が不振に陥っている。2013年まで2桁だった実質経済成長率は15年に2.3%まで急減速した。景気の低迷で財政の悪化が鮮明になり、外債の償還を不安視する声が強まっている。11日に立候補者を締め切り、29日に投開票する総選挙では経済と財政の再建が最大の争点となる。総選挙の結果は来年に控える大統領選挙にも影響を及ぼしそうだ。
ウランバートル市内の建設が頓挫したビル
モンゴルは石炭など天然資源への依存度が高く、市場の動向に経済が大きく左右される。2011〜13年に2ケタ成長を記録、1人当たり国民総所得も4千ドルを超え、中国やタイと同様に中所得国に仲間入りした。
ただ、その後は資源価格の下落に加え、輸出で全体の約6割、輸入で約3割を占める中国の成長鈍化がモンゴル経済を直撃した。11年に17.3%の急成長を達成した経済成長率は14年から急速に鈍化。世界銀行は16年について0.8%の低成長へと一段と減速すると予測している。
首都ウランバートルでは工事が止まったビルが目立つ。1940年代に建てられた団地は老朽化で倒壊する恐れがあるが、建設業者は資金不足から建て替えを断念した。団地に住むエンクバートルさん(43)の部屋は7平方メートルの1室だけ。7人家族の一部は郊外の移動式住居「ゲル」で暮らしている。「売ることも担保にすることもできない。早く家族全員で一緒に住みたい」と嘆く。
市中心部のチンギスハン広場近くの一等地にも、鉄骨がむき出しの25階建てビルが放置されていた。別のビルは建設中断が約4年に及び、外壁が一部がはげ落ちている。
経済の不振で財政も悪化した。モンゴルは17〜18年に計21億ドル(約2310億円)相当の外貨建て債務「チンギス債」の償還時期を迎えるが、財源のメドは立っていない。債務不履行(デフォルト)に陥れば国際市場で信用を失い、経済再建がおぼつかなくなる。
与党・民主党政権は緊縮財政による自主再建を進めるが、それでも「今年は歳出超過に陥る見通し」(別の政府関係者)という。これに対し、野党第1党の人民党は国際通貨基金(IMF)の支援を受け、その管理下で財政を再建すべきだと主張。他の政策の違いは小さく、財政再建に具体策が総選挙の争点となる。
与党・民主党は経済の不振や議員の汚職問題などによる劣勢を挽回しようと、選挙制度を従来の中選挙区比例代表制から小選挙区制に変えた。選挙区の区割りは民主党に有利とされる。人民党を除く野党はすべての選挙区に候補者を立てることは難しく、両党の事実上の一騎打ちとなる。
今回の総選挙の結果は、17年の大統領選挙の行方を占う。もっとも、景気の悪化に加え、汚職のまん延や貧富の差の拡大などから、有権者には「どこが政権を取っても同じ。選挙には興味がない」(ウランバートル市内の男性)という政治不信も広がっている。
(ウランバートルで、原島大介)
[日経新聞6月10日朝刊P.7]
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