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フィリピン大統領選 接戦
過激発言ドゥテルテ氏に勢い、「南シナ海」影響も 来月9日投票
【パンガシナン(ルソン島北部)=佐竹実】5月9日投票のフィリピン大統領選挙まで2週間となった。6年に1度の選挙の最大の争点は、アキノ政権下の高成長を維持できるかどうかだ。4候補による混戦が続く中、犯罪の一掃を掲げるダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が過激な発言で注目されている。外交政策次第では中国が軍事化を進める南シナ海情勢にも影響するだけに、選挙戦の動向が注目される。
24日にパンガシナン州で開かれた候補者による公式討論会で、ドゥテルテ氏は「不正を正し平和な国をつくる」と主張した。自前の「暗殺団」を用いてダバオの治安を改善したとされる同氏は、「大統領になっても犯罪者は法の範囲内で殺害する」と公言し、世論調査で僅差でトップに立つ。
有権者の一部は、経済や外交よりも身近な犯罪に関心が向いている。アキノ政権でも解消できない経済格差が犯罪の温床となっているためで、同氏のリーダーシップに期待する人が増えている。
だが最近では過激な発言が裏目にも出る。レイプ犯罪の被害者をジョークにしたことについて、米国とオーストラリアの駐比大使が批判した。これにドゥテルテ氏は「黙れ。俺が大統領になったら両国との関係を切ってもいい」と反論した。
フィリピンは南シナ海の領有権を巡って中国と争う。現政権は米国など同盟国との関係を深めるが、次のリーダーが関係を悪化させれば、地域のパワーバランスに変化をもたらしかねない。
同氏は地方の権限を強める連邦制を主張するが、経済についての言及はそれほど多くない。世論調査で2位の上院議員のグレース・ポー氏(47)は討論会で、「法人税を引き下げ雇用を作り出す」「地下鉄など公共鉄道を充実させ、渋滞担当相を置く」と主張した。無所属ながら汚職撲滅を進めたアキノ政権の基本路線を引き継ぐ考えを示しており、外交では「南シナ海は中国の水族館ではない。同盟国との関係が重要だ」と語った。
捨て子だったポー氏は、幼い頃に国民的俳優フェルナンド・ポー氏の養子となった。上院で汚職を追及するなど清廉なイメージが強い。米国暮らしが長いため出馬資格に疑義が付いたが、最高裁が3月に正式に認めた。
マヌエル・ロハス前内務・自治相(58)は討論会で「経済特区にさらなる優遇を与える」と述べ、雇用創出のために外資誘致を優先する考えを示した。ジェジョマル・ビナイ氏(73)も雇用が重要とした上で、「住宅や医療、無料の教育を提供する」と主張した。いずれも20%前後の支持率を維持しており、4人に大差は付いていない。経済成長の維持だけでなく地域の安全保障にも関わる選挙戦は、残り2週間の情勢から目が離せない。
▼フィリピンの大統領選挙 マルコス長期独裁政権の反省で大統領は任期6年で再選が禁じられており、外資から評価の高い現職のアキノ大統領は6月末で退任する。約6千万人にのぼる有権者による直接選挙で、政策よりも人気が重視される傾向がある。副大統領選挙も同時に実施される。正副大統領はセットで選挙戦に臨むが、投票は別々のため、現在のビナイ氏のように対抗陣営から副大統領が選出されることがある。
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経済政策、方向性は維持 現政権に評価、今年6%成長へ
【パンガシナン(ルソン島北部)=佐竹実】フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも比較的堅調な経済成長を維持している。アジア開発銀行(ADB)は、2016年の成長率は6%、17年は6.1%と予想する。先進国の景気回復の遅れや中国の経済減速が影響する中でも、ADBは「消費と投資が経済を支えている」と評価する。
好調な経済の礎を作ったのが、10年に誕生したアキノ大統領で、就任以来おおむね6%程度の成長を維持してきた。汚職撲滅を掲げて財政を改善させ、外資から評価されたことが大きい。
成長を持続する上で、次の大統領が誰になっても経済政策の方向を大きく変えることは難しい、というのが進出する日本企業を含めた大勢の見方だ。HSBCのエコノミスト、ジョセフ・インカルカテラ氏は「各候補の主張は、おおむねアキノ政権の経済政策から外れていない。政権運営や財政の改善などが大幅に変わることは考えにくい」と指摘している。
[日経新聞4月25日朝刊P.7]
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