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無能力は許しても無礼は許さない韓国社会:無礼は判断できるが、無能力かどうかの判定は困難
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/173.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 4 月 26 日 02:07:54: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


記事入力 : 2016/04/24 06:02
【コラム】無能力は許しても無礼は許さない韓国社会

 ポッドキャスト(インターネット放送の一種)『ナヌン・コムスダ(「私は小ざかしい」の意、通称ナッコムス)』の元司会者、キム・ヨンミン氏が先の国会議員総選挙で落選した与党候補に「落選祝い」の花輪を贈ったというニュースを見て「来るべきものが来た」という気がした。キム氏はナッコムスで有名になり、国会議員に立候補した過去もある人物だ。今は何をしているのだろうと気になっていたが、ポッドキャストのポータルサイトをのぞくと「キム・ヨンミン・ブリーフィング」という番組が人気1位になっていた。ナッコムスのメンバーだった鄭鳳株(チョン・ボンジュ)氏が3位、キム・オジュン氏が5位だ。こっちの世界がどう動いているのか、全く知らなかった。数年前、鄭鳳株氏が帰農したというやけに大きな記事が本紙に載ったが、いつの間にか「Uターン」したようだ。やはり腕力よりも口が達者なせいだろうか。それぞれの内情は知らないが、この勢いで再び結集すれば猛威を振るうに違いない。

 ナッコムスをおもしろく聴いていたこともある。やや度が過ぎていても、公人をおちょくる世人の楽しみは許されるべきだ。初心を忘れず風刺とウィットに富んだ放送を続けていれば、彼らは韓国の政治とマスコミに変化をもたらしただろう。だが結局は教養の限界だろうか。人気が出ると調子に乗って周りが見えなくなってしまった。キム・ヨンミン氏の口から大統領の私生児を暗示する言葉が飛び出し、人々が背を向けた。彼らの人気に便乗した野党は総選挙と大統領選挙で国民の審判を受けた。その様子を見て、韓国社会の価値観をあらためて理解した。無能力は擁護しても、無礼は許さないという価値観を。この国が健全だという証拠と受け止めた。

1カ月ほど前、マスコミ界の重鎮と会った。北朝鮮の出身であるせいか、常に保守党を支持している人だ。だが、その日は与党の保守系セヌリ党に憤っていた。「セヌリ党には上下関係もないのか」と。総選挙の党公認をめぐる内紛で、朴槿恵(パク・クネ)大統領に近い「親朴派」の公認管理委員長が、朴大統領と距離を置く「非朴派」の金武星(キム・ムソン)党代表(いずれも当時)に対し「バカみたいなことを言っている」と口にした日だった。

 総選挙の1週間前に会った政界の重鎮は、ソウルの中心部から出馬した与党候補を批判した。ほかの選挙区で立候補しても当選するのに、大統領の座を狙い、あえて先輩を押しのけて中心部の選挙区を確保したとして、その人格を非難した。その候補は落選した。公認選びの内紛が響いたためだが、先輩のポストに居座るという「無礼さ」がより大きな原因だったと思っている。

 与党の大敗に終わった今回の総選挙で、私自身も怒りを覚えたことがあった。セヌリ党の金代表が一部の公認候補を認めず、押印を拒んで波紋を呼んだ日だ。いくら気に食わないといっても、公認をせず有権者の選択権までをも奪ってしまうのは、民主主義を否定し、公党であることを放棄する振る舞いではないのか。だが自身はものすごい決断と感じていたようだ。翌日にはインターネット上に「(金)武星が玉璽(ぎょくじ=印鑑)を持って飛ぶ」という広告映像を掲載した。親朴派の元裕哲(ウォン・ユチョル)氏をおちょくり「元裕哲の印鑑訪ねて三万里」という映像もセットで載せた。こんな悪ふざけをするとは、どれほど高慢なのか。やはり韓国社会は無礼を許さなかった。

 私の周囲には、今回は野党を選んだ保守層が多かった。与党が派閥を解体して政策政党に復帰すれば、いつでもまた支持に回る人たちだ。私はこの選挙結果を、時代の変化とは受け止めていない。革新系のやり方で、国民の生存がかかった経済・安全保障問題を根本的に解決することはできない。私たちは依然として保守の時代に生きている。野党の2党が票を得るため、保守派を擁立したのもそのためだろう。礼儀を取り戻し、政策政党として戻ってくることさえできれば、与党はすぐにこの逆風を突破できる。新たなリーダーも、野党との激しい政策闘争の過程で自ら生み出すべきではないのか。空からぽとりと落ちてくることを願うのではなく。これは中学生でも知っている公党の基本だ。

この世はめぐりめぐっている。相手の失敗から教訓を得られないためだ。野党はすでに暴走している。保守政権の失政をめぐる聴聞会を開こうとさえ言い出している。これまでの腹いせに、ということだ。この先、経済と安保の基盤を揺るがす数々の政策が法案となって国会になだれ込むだろう。当選議員が来月就任すれば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の流れをくむ「親盧派」から殺気立った暴言もたくさん出てくるだろう。だが、相手をののしることに熱を上げる野党勢力の有様ほど、野党の政権交代の可能性を遠ざける強力な伏兵はない。

 ナッコムスが登場したのは2011年の今ごろだった。大統領選の1年8カ月前だ。そして今、再び彼らが暴れ回るときが来た。かつて大きな騒動を巻き起こした、いわゆる「BBK事件」を旬が過ぎても1年以上、引っ張り続けた彼らだ。独身の女性大統領を放っておくわけがない。根拠のないうわさを引っ張り出しておちょくり、無駄話を繰り広げる違いない。今度はどんな発言で世間を騒がせるのか、今から気がかりだ。キム・ヨンミン氏の「落選花輪」を見る限り、彼らの本質は変わっていないようだ。すでに活躍中の鄭鳳株氏、キム・オジュン氏が結集し、近く国会議員バッジを外す鄭清来(チョン・チョンレ)氏までもが加われば、全盛期の威力を取り戻す「ドリームチーム」をつくることも可能だろう。

 記者生活の25年間、人と組織の盛衰をたくさん目にしてきた。実力がないから、後ろ盾がないからと誰もが成功できないわけではない。だが、無礼な人、尊大な態度の組織はいつしか姿を消し、滅びた。だからこそ、子どもにこれだけは教えている。「謙遜を忘れずに生きろ」と。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/22/2016042201960.html

 

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