http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/893.html
Tweet |
悪事が露見しつつあるトルコ政府は米政府を後ろ盾にした言論弾圧で自分たちへの批判封印を図る
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201601300000/
2016.01.30 16:08:15 櫻井ジャーナル
安倍晋三首相と友好的な関係にあるらしいトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権は言論弾圧に熱心だ。トルコからシリアへはアル・カイダ系武装勢力やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)を支える兵站線が延び、シリアやイラクでISに盗掘された石油はトルコへ運び込まれている。これは広く知られている話だが、トルコ政府はその事実に触れる人物は軍人であろうとジャーナリストであろうと容赦なく刑務所へ送り込まれている。こうした物資輸送の実態を調べていたジャーナリストの死にトルコ政府が関係しているとも言われている。
シリアのバシャール・アル・アサド体制打倒を目指す勢力が戦闘を始めたのは2011年3月だが、その段階からトルコはその勢力へ軍事拠点を提供してきた。米空軍インシルリク基地ではアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員が反アサド軍の戦闘員を訓練、武器/兵器を含む兵站を供給する拠点にもなっている。
昨年5月にはトルコのジュムフリイェト紙はシリアの武装勢力へ供給するための武器を満載したトラックを憲兵隊が摘発した出来事を写真とビデオ付きで記事にした。この輸送はエルドアン大統領の命令でトルコの情報機関MITが実行していたもので、同紙は「国家機密」を漏らしたことになった。11月26日に逮捕された同紙の編集長を含むふたりのジャーナリストは検察から終身刑を求められている。
この違法な輸送を昨年1月に摘発したトルコ軍の昨年1月にはアンカラのウブラフム・アイドゥン憲兵少将、ハムザ・ジェレポグル憲兵中将、ブルハネトゥン・ジュハングログル憲兵大佐も昨年11月28日に逮捕された。トルコでは政府の違法行為を摘発したり報道すると刑務所へ送られるのだが、トルコが所属するNATO、あるいは従属するアメリカがこうした行為を批判するようなことはない。
このように事実を明るみに出す憲兵やジャーナリストをエルドアン政権が弾圧している一因は自分たちの支配体制が揺らぎだしていると認識しているからだろう。昨年9月30日にロシアがアル・カイダ系武装集団やISへの空爆を開始、兵站線や石油の密輸ルートも攻撃しはじめたことが大きい。
ロシア政府は何機かの爆撃機を派遣し、カスピ海の艦船から巡航ミサイルで攻撃する程度で、大規模な介入とは言えないが、アメリカが主導する連合軍とは違って本当にアル・カイダ系武装集団やISを攻撃したことから戦況は一変、政府軍の反撃が始まって侵略軍側は慌てた。
司令部や武器/兵器庫が破壊されたことも大きいが、それ以上にアメリカ/NATOやペルシャ湾岸産油国を動揺させたのは兵站線(安倍政権が言うところの後方支援)への攻撃だろう。そうしたロシア軍機の攻撃を止めるためなのか、WikiLeaksによると、エルドアン大統領は10月10日にロシア軍機の撃墜を計画、同じ頃にアメリカはISへまとまった数のTOW(対戦車ミサイル)を供給したと言われている。
11月17日には何者かがシナイ半島を飛行していたロシアの旅客機を撃墜、24日にはロシア軍のSu-24爆撃機をトルコ軍のF-16が撃墜した。トルコ政府はロシア軍機がトルコ領空へ侵入したと非難しているが、ロシア政府はその主張を否定、撃墜の際にトルコ軍機がシリア領空を40秒間にわたって侵犯したと反論している。
トルコ側の主張では、国境線から1.36マイル(2.19キロメートル)の地点までロシア軍機は侵入、1.17マイル(1.88キロメートル)の距離を17秒にわたって飛行しただけ。Su-24は時速398キロメートルで飛行していたことになるが、この爆撃機の高空における最高速度は時速1654キロメートルで、トルコ説に基づく飛行速度はあまりにも遅く、非現実的だ。もし最高速度に近いスピードで飛んでいたなら、4秒ほどでトルコ領空を通り過ぎてしまう。トルコ側にとって脅威だとは言えない。
しかも、事前にロシア軍はアメリカ/NATO軍へ攻撃に関する詳しい情報を提供、ロシア軍機がどのようなルートを飛行するかを伝えていた。それだけでなく、その当時、中東地域を2機のAWACS(空中早期警戒システム)機が飛行中だった。ギリシャの基地を拠点とするNATOのものと、サウジアラビアのものだ。トルコ側はロシア軍機だということを承知で攻撃、その様子をアメリカ軍は見ていたはずで、トルコ政府はアメリカ政府の命令、あるいは承認のもとで攻撃したと考える人が少なくない。
以前からネオコン/シオニストなどはシリアとトルコとの国境地帯に「飛行禁止空域」を設定、アル・カイダ系武装集団やISを自由に行動させようと目論んでいたが、そうした人びとにとってロシア軍の存在は目障り。そこでNATO加盟国であるトルコがロシア軍機を撃墜し、その空域の制空権を握ろうとしたという見方がある。
本ブログでは紹介済みだが、アメリカのジョン・マケイン上院議員たちはエルドアン大統領に対し、アメリカの国防総省はバラク・オバマ大統領と対決する用意ができていて、これを知っているロシアはシリアから手を引くと伝えたとする情報も流れていた。
ところが、ロシア軍は怖じ気づくどころかミサイル巡洋艦のモスクワを海岸線の近くへ移動させ、最新の防空システムS-400を配備、約30機の戦闘機を「護衛」のために派遣、アメリカの対戦車ミサイルでも破壊できないT-90戦車も送り込み、トルコとの国境に近い地域はロシア軍によってコントロールされた。
窮地に陥ったバラク・オバマ政権はメディアも使ってロシアが「穏健派」を攻撃していると批判するが、そうした集団が事実上、存在しないことはアメリカ軍の情報機関DIAも2012年の段階でホワイトハウスに報告している。アメリカをはじめとする西側(日本だけではない)の有力メディアは腐敗が進み、支配層の宣伝機関に徹しているが、軍の内部にはまだ正常な感覚の持ち主がいるようだ。
同年8月にDIAが作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラはその別名だとしている)で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けていると報告しているのだ。この報告書が作成された当時のDIA局長、マイケル・フリン陸軍中将によると、DIAの警告を無視してアメリカ政府が決定した政策によってAQI/アル・ヌスラやISは勢力を拡大、支配地を作り出せたのである。
こうしたDIAの警告をオバマ政権が無視した理由は、問題を作り出しているのがアメリカの好戦派だからだ。イラクのサダム・フセインを排除すべきだとネオコン/シオニストやイスラエルは1980年代から主張、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年にはネオコン/シオニストで中心的な役割を果たしてきたポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はイラク、イラン、シリアを5年以内に殲滅すると口にしたという。この計画にエルドアン政権も加わったということだ。日本では1995年に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表されてから軍事体制の強化が本格化した。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。