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「イスラム国」リビアで拡大
「第2のシリア」化懸念 戦闘員最大3000人指摘
【カイロ=押野真也】アフリカ大陸北部のリビアで過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)が勢力を広げ始めた。リビアの政治勢力は12月上旬、統一政府の樹立で原則合意したが、内戦の出口はみえず、同国が「第2のシリア」と化すシナリオに国際社会の懸念が広がっている。
フランスのバルス首相は今月、「我々はシリアとイラク、そして間もなくリビアで戦わなければならない」と述べ、リビアの情勢悪化に懸念を表明した。仏軍は11月のパリ同時テロ後、シリアへの空爆を強化しているが、バルス氏はリビアにも攻撃対象を広げる可能性を示した。
リビアは、中東の民主化運動「アラブの春」の波が押し寄せた2011年8月、カダフィ独裁政権が崩壊した。その後、部族対立や利権争いによる内戦が激化。混乱に乗じてISが勢力を広げた。
国連は11月にまとめた報告書で、リビア国内に2000〜3000人のIS戦闘員がいると指摘し、北アフリカの最大拠点になっている現状を裏付けた。北部の沿岸部で影響力を強め、地元のイスラム主義者のほか、エジプトやチュニジアから過激思想に染まった若者が合流しているようだ。
ISも傘下の広報媒体を通じてリビアでの勢力拡大を誇示し始めた。今年2月ころに、中部シルトを拠点に活動を活発化。人質を斬首して殺害する映像を公開し、「次はイタリアを標的とする」と述べた。
ISがリビアで戦闘員の訓練キャンプの建設を進め、国際テロの攻撃拠点にしようとしていると周辺国は警戒している。南欧諸国はISが地中海を渡る難民に紛れて戦闘員を送り込むような事態を警戒している。
米国防総省のクック報道官は11月、IS幹部を標的に米軍がリビアを空爆したと明らかにした。シリアやイラクからISの幹部がリビアに逃れているとの情報もある。
イラクとシリアで油田を制圧して活動資金を得ているISはリビアの油田にも大きな関心を示しているとされる。イスラエルのシンクタンク、ベギン・サダト戦略研究センターのヒラル・フリッシュ上級研究員は「リビアは、政治空白と民族対立という、過激派が浸透しやすい素地がある」と指摘する。
国連の報告書は「リビアは中東とアフリカ、欧州の交差点で、ISにとって戦略的に重要だ。ISの指導者はリビアの状況を理解し、足場を築く好機と見ている」と分析した。
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リビアの内戦とは
▼リビアの内戦 2011年8月、42年間続いたカダフィ独裁政権が崩壊した後に広がった複数の武装組織による戦闘。もともと部族対立が根深い国だったが、11年以降の混乱で大量の武器がリビアに流れ込み、戦闘が激化した。国軍を離反して結成された民兵組織や武装した部族、「イスラム国」(IS)やアルカイダなどの過激派組織が現地の利権などをめぐって衝突を繰り返している。
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国連、和平へシリアとリビアに積極外交 内戦終結は不透明
【カイロ=押野真也】内戦が続くシリアとリビアの和平を実現するため、国連が積極的な仲介外交を続けている。今月17日には国連の調停でリビアの対立勢力が統一政府の樹立合意にこぎつけた。シリアをめぐっても18日に安全保障理事会が停戦に向けた和平決議案を採択した。
両国の内戦が終結した後の政権づくりの土台になるとみられる。ただ、いずれも難題が棚上げされ、大規模な地上部隊投入なしに内戦終結が難しい状況も共通する。
シリアをめぐっては来年1月にジュネーブで和平協議が再開する見通しだ。米国やロシア、欧州諸国などが交渉団を送るほか、アサド政権と反体制派が参加するとみられる。
和平案はアサド政権と反体制派の交渉を国連が仲介し、18カ月以内に自由選挙を実施すると明記した。しかし、米ロが対立するアサド大統領の処遇について何ら言及がない。
「イスラム国」(IS)掃討では地上部隊の投入が不可欠とされる。しかし、米ロだけでなく、スンニ派諸国も派遣に否定的だ。
一方、リビアは2014年夏以降、北東部と北西部に2つの議会が存在し、分裂状態にある。今回、国連が仲介して北東部の主要勢力である世俗派と北西部のイスラム勢力が統一政府の樹立で合意した。
しかし、両勢力とも合意をめぐって早くも内部からの批判にさらされている。国連が提示した統一政府の閣僚リストは双方の議会で承認される必要がある。
さらに、ISやアルカイダ系組織など、今回の交渉に関与していない武装勢力も多い。こうした過激組織を掃討するには各国が軍事関与を一段と強める必要がある。
[日経新聞12月27日朝刊P.4]
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