http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/700.html
Tweet |
シリアへの武力介入に慎重だった英軍が空爆に踏みきり、有志連合による過激派組織「イスラム国」(IS)に対する軍事介入は加速した。一方でアサド政権を支えるロシアによる空爆はISにとどまらない。民間人の犠牲も多く出ており、空爆下の市民は恐怖におびえる。
「今の状態が続けば、空爆ログイン前の続きに遭わなくても、子どもも妻も私も心が壊れる。シリアを逃れるしかない」
11月末、トルコ南部ガジアンテップで記者が会ったフッサム・フセインさん(36)はシリア北部イドリブ県ガダファ出身だ。空爆の激化を受けて、家族でトルコに逃れることにした。
トルコには、内戦を逃れた約210万人のシリア難民が身を寄せている。
ガダファ周辺は、反体制派の自由シリア軍の勢力圏だ。繰り返し受けてきたアサド政権軍の空爆は、すべて昼間だった。夜間の空爆が始まったのは10月だ。ロシア軍と思われる空爆を初めて体験したのは午後10時ごろ。郊外で友人とたき火を囲んでいた。突然、ドーンという爆発音が響き、大地が揺れた。直後にジェット機の飛行音。「戦闘機によるミサイル発射だ」と思った。
急いでたき火を消し、地面に伏せた。「妻と子どものためにも、どうか生かしてほしい」。神に祈った。
以来、昼夜を問わず空爆が続く。
妻(34)とともに英語教師として働き、平均より世帯収入は多い。今までの暮らしを手放すのはつらい。それでもシリアでの生活はあきらめたという。最も困っているのは、8歳から4歳まで3人の子どもの精神状態が不安定になったことだ。「飛行機の轟音(ごうおん)や爆撃音で、1人でいるのを極端に怖がるようになった」
シリア北部イドリブ県キッリで外国メディアやNGOの助手として働くムスタファ・アイシャさん(31)によると、ロシアが空爆を始めた9月30日以降、反体制派の地域への空爆は、格段に強化されたという。
複数の戦闘機が複数回にわたって爆撃するのが特徴で、爆撃回数は急増した。
ロシア介入前は、戦闘機が1機で数発攻撃したり、ヘリコプターが殺傷力の高い「たる爆弾」を投下したりするもので、頻度も月に数回程度だった。
アイシャさんは、「そもそもイドリブ県にはほとんどISはいない」とした上で、「空爆地点を調べると、ロシア軍によると思われる空爆の多くは、ISではなく、自由シリア軍やヌスラ戦線の拠点を狙っている」という。また「民間人を巻き込んだケースも目立つ。軍事施設と民間施設を区別しているかは疑問だ」と指摘した。
英国を拠点とする反体制派NGO「シリア人権監視団」は11月30日、9月30日以降のシリアでの空爆で、民間人485人を含む計1502人が死亡したと発表した。民間人以外の内訳はIS戦闘員が419人、ヌスラ戦線や他の反体制派が598人。民間人には、女性47人と18歳未満の子ども117人が含まれるという。(トルコ南部ガジアンテップ=春日芳晃)
12月4日 朝日新聞朝刊
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。