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対ロシア関係 トルコのシンクタンク会長に聞く 対立、長期化の懸念
トルコによるロシア軍機撃墜事件を巡り、両国の対立が深まっている。トルコはロシアの謝罪要求に応じず、経済制裁の発令などに対して態度を硬化させているためだ。中東・欧州地域の外交・安全保障問題に詳しい、トルコのシンクタンクEDAMのシナン・ユルゲン会長に今後の見通しを聞いた。
――両国関係は今後どうなりますか。
「(シリアのアサド政権の支持・不支持など)利害の違いを乗り越えて(経済関係を深め)両国の関係は長らく安定していたのは特筆すべきことだったが、そんな時代は終わりを迎えた」
「プーチン大統領が現在の地位にとどまる限り関係改善は難しい。ロシアはトルコに謝罪を求めているが、(ロシアによる領空侵犯だとする)トルコはとうてい応じられない。対立は長引くだろう」
――プーチン氏は事件後、直ちにトルコへの経済制裁を発令しました。
「2国間関係は後戻りできない道を歩んでいる。制裁対象は発表済みのトルコ産野菜・果物の禁輸措置やロシア人のトルコ旅行制限などから、さらに広がるだろう」
「ただ、ロシアがトルコ向け天然ガスの輸出停止に踏み込むとは思わない。トルコにとって調達先の多様化がすぐには難しいのと同様、ロシアもドイツに次ぐ大口顧客の代わりを見つけることは簡単ではないからだ」
――トルコのエルドアン大統領は首脳会談を申し入れるなど事態の沈静化を模索しました。
「トルコは総選挙が終わったばかりで国内世論向けに緊張を高める必要はないが、ロシアは違う。経済減速や原油価格の低迷、ウクライナ侵攻に対する欧米の経済制裁など難題を抱える。プーチン氏は対外強硬姿勢を示すことで世論の歓心を買っている。シリア派兵の目的もそれだ」
「シリアでのロシアの空爆は98%が過激派組織『イスラム国』(IS)以外の反体制派が標的だ。親トルコのトルクメン人勢力を攻撃することでトルコの国益も脅かしている。最も危惧するのは、ロシア側が何らかの形で再びトルコ軍を挑発することだ」
――トルコ政府がIS掃討よりもクルド人勢力の台頭阻止を優先しているとの批判があります。
「国境のシリア側で伸長するクルド系の民主連合党(PYD)の存在は極めて敏感な問題だ。PYDの支配地域が広がるほど、トルコは国境周辺での影響力を失う。ISは一時的な脅威だがPYDは永続的だ」
「トルコと(PYDを支援する)米国とはPYDのユーフラテス川以西への進軍は認めないとの合意がある。しかし、撃墜事件を受けてロシアがPYDをたきつけ、西進を支援する可能性が浮上している。実現すれば、トルコは軍事介入を迫られるだろう」
(聞き手はイスタンブール
=佐野彰洋)
シナン・ユルゲン氏 元外交官。1990年欧州大学院大修士(欧州経済統合論)。トルコ外務省で欧州連合(EU)との関税同盟交渉などに携わった経験を持つ。欧米主要紙への寄稿も活発に手掛ける。49歳。
[日経新聞12月12日朝刊P.6]
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