http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/645.html
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この戦争狂乱は一体どこへ向かうのか? サウジアラビアで悪臭を放っているのはラクダの糞ではない
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/isis-3403.html
2015年12月17日 マスコミに載らない海外記事
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
2015年12月8日
ここ数週間、様々な国々が次々、誤って「イスラム国」、ダーイシュに対するものとされるシリアでの戦争として知られている、七面鳥を狙う射撃大会への参加に、文字通り全力を発揮しつつある。最も必要ながら最も恐れられている質問は、この戦争狂乱は一体どこに至り、一体どうすれば、全世界を、世界破壊戦争に引きずり込む寸前で止められるのかだ?
9月30日、適法に選出されたシリア・アラブ共和国大統領の正式要請あるいは懇願に答え、ロシア連邦がシリア政府軍を支援し、当初は極めて効果的な爆撃作戦を開始した。
11月13日、ISISが実行したと主張するパリにおけるテロ攻撃後、フランス大統領は、フランスは“戦争”状態にあると宣言し、即座にフランス唯一の航空母艦シャルル・ド・ゴールを、戦闘に参加するために、シリアに派遣した。更に12月4日、ドイツ議会は、フランスを“支援する”ため、1,200人のドイツ人兵士と、6機のトーネード攻撃機を配備することを承認した。ドイツからの報道では、ドイツは、ロシアやアサド政権とは協力せず、フロリダ州のアメリカ中央軍と、ダマスカスではなく、クウェートの連合国司令部と協力するという。同じ週、イギリス議会は、イギリス航空機と部隊を、“ISISと戦う”ためシリアに配備することを承認した。またしても、これがシリアの主権を回復するために、アサドのシリア軍と協力するというロシアの大義を助けることにならないことは確実だ。
更に、犯罪的で周到に準備した、シリアでのロシアのSU-24撃墜をしたばかりのトルコの短気な大統領レジェップ・エルドアンが、イラク政府の強硬な抗議にもかかわらず、トルコ戦車を、イラクの石油の豊富なモスル地域に進攻させた。この混乱に加え、アメリカ合州国は、アメリカの航空機が、ISIS拠点を、一年以上、外科的に爆撃したと主張しているが、結果は、ISISや他のテロ集団が支配する領土を拡大しただけだ。
時間を割いて、一歩下がって、じっくり考えれば、シリアは、我が愛すべき平和な地球を破壊する可能性がある遥かに醜い状況への単なる点火装置で、世界が文字通り暴れだしつつあることを、我々は容易に理解できよう。
何が重要なことが欠けている
ここ数週間、全中東での策謀、より正確には諸策謀を一体だれが実際に操っているのかに関する一般的な説明を益々不満に思えるようになり、サウジアラビアの役割に関する、私のこれまでの見解を再検討するに至った。2015年6月、サンクトペテルブルクにおけるロシアのプーチン大統領とサウジアラビア国防大臣サルマーン王子との驚きの会談以来、サウジアラビア君主制は、かつての不倶戴天の敵ロシアとの和解という印象を、入念に助長し、100億ドルものロシアの軍装備品と原子力発電所の購入や、プーチンにとって、サウジアラビアのサルマーン王と“実際にあって会話する時間”までも話し合ってきた。
ここ数カ月、プーチン大統領と会談するため、アラブ指導部が、次々とモスクワやソチ訪問したことは、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が、カノッサ城のローマ教皇グレゴリウス7世に、ハインリヒ4世の破門の解除を請うた1077年の『カノッサの屈辱』現代版のような印象を与える。今回は、ハインリヒ4世の役を演じているのが、湾岸アラブの絶対君主で、ローマ教皇グレゴリウス7世を演じているのがウラジーミル・プーチンであったように見えた。あるいはそう思われた。私も、当時は少なくともそう思った。多くの世界的な政治的出来事同様、あれも策略とウソにまみれていたのだ。
シリア領空でのロシアSU-24爆撃機に対するトルコの意図的な待ち伏せ攻撃以来、特にくっきりと、明らかになりつつあるのは、ロシアは、単にISISテロリストや、トルコ国内のISIS支援者との戦争をしているわけではないということだ。ロシアは、恐らくは知らず知らずのうちに、はるかに危険な策謀と戦っているのだ。この策謀の背後にいるのは、サウジアラビアの隠された役割と、その新王政、サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウードと、彼の息子、国防大臣サルマーン王子だ。
サウジアラビアの‘衝動的な干渉政策’
ドイツ・マスコミは、漏洩したドイツ諜報機関BND予測を広く報じている。BNDは、ドイツ版のCIAだ。BND報告は、何よりも、王の息子、30歳のムハンマド・ビン・サルマーン王子の高まりつつある役割に集中している。息子王子の重要な役割に関して、BNDはこう述べている。“サウジアラビア王家の年長メンバーによる現在の慎重な外交姿勢は、衝動的な干渉政策によって置き換えられるだろう。”
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/saudiarabia/12029546/Saudi-Arabia-destabilising-Arab-world-German-intelligence-warns.html
サルマーン王子は、国防大臣で、王国を、今年3月から、サルマーン王子が“Operation Decisive Storm”とコード名をつけた隣国イエメンでの狂気の戦争に引きずりこんだ。サウジアラビアが、エジプト、モロッコ、ヨルダン、スーダン、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールとバーレーンを含むアラブ諸国の連合を率いている。王子は、彼が立ち上げたサウジアラビア経済評議会も率いている。
新王サルマーンは、決して彼の広報職員が描き出そうとしているような温和で優しい人物などではない。
近日刊行予定の著書、Lost Hegemon: Whom gods would destroyに詳細に書いた通り、1950年代初期、ナセル暗殺未遂をたくらんだとされ、エジプトで禁じられたムスリム同胞団の、サウジアラビアへの移送をCIAカイロ局長マイルズ・コープランドが組織して以来、サウジアラビア君主制と、過激“イスラム”テロリスト組織の邪悪な婚姻が存在していたのだ。元アメリカ司法省幹部のジョン・ロフタスが言うように、エジプトのムスリム同胞団と、サウジアラビアの厳格なイスラム教を結びつけることで、“彼等は、ナチズムの教義を、この異様なイスラム教カルト、ワッハーブ主義と結合した。”
アレン・ダレスのCIAが、1954年、サウジアラビア君主政府に、禁じられていたムスリム同胞団再建を支援し、膨大なサウジアラビアの石油成金に支援される、同胞団と、サウジアラビアの超原理主義、ワッハーブ派イスラム教との融合を作り出すよう、こっそり説得した。CIAは、恐れられているソ連の侵入に対し、サウジアラビアのムスリム同胞団に、武器をイスラム世界中で振るわせるのに利用しようと企んでいたのだ。オサマ・ビン・ラディンという名の一人の狂信的な若いテロリストが、ムスリム同胞団とワッハーブ派サウジアラビア・イスラム教との間のこの地獄での結婚から、後に出現することになった。
サルマーン王は、後に、マスコミでそう呼ばれるようになった、オサマ・ビン・ラディンのアルカイダ立ち上げの真っ只中にいたのだ。彼の関与は、彼がリヤド知事として、アフガニスタンとボスニアのアルカイダに資金提供していることが後に判明した、主要な保守的なサウジアラビアの慈善団体のトップに任命された、1970年代末にまでさかのぼる。サルマーンは、ビン・ラディンのサウジアラビア諜報機関“ハンドラー”で、当時のサウジアラビア諜報機関のトップ、トゥルキ・アル-ファイサル王子や、サウジアラビアが資金供与していたイスラム世界連盟と共に、後に、アルカイダとなったものへの資金供給のパイプとして、密接に働いていた。
当時、サルマーン王は、1990年代、バルカン半島諸国のアルカイダの主要フロント組織、ボスニア-ヘルツェゴヴィナ救援サウジアラビア高等弁務団を率いていた。国連の調査によると、サルマーンは、1990年代に、彼の支配下にある高等弁務団の口座から - 彼の個人口座で - アル・カイダのフロント組織で、バルカン半島諸国のアル・カイダ戦士への違法武器出荷の主要パイプラインである、第三世界救援機関に、 1億2000万ドル以上送金した。オサマ・ビン・ラディンは、サルマーンのこうした活動に直接関与していた。
2003年から2004年の、アメリカによるイラク侵略の際、ビン・ラディンのアルカイダへの忠誠を誓うモロッコ生まれのテロリスト、アブ・ムサブ・アル-ザルカウィに率いられて、アルカイダが、イラクにはいり、イラクのアルカイダを作り、後に自らをイラクの「イスラム国」と呼んだが、これはサウジアラビアが資金提供するISISの先駆だ。機密解除されたペンタゴンDIA文書は、2012年8月、アメリカが支援するシリア反政府派勢力は、“サラフィー主義者、ムスリム同胞団や、イラクのアルカイダを含むイスラム主義過激派集団に牛耳られている”ことを、DIAが知っていたことを示している。作家のジェラルド・ポスナーによれば、サルマーンの息子で、2002年に亡くなったアフメド・ビン・サルマーンも、アル・カイダとつながっていた。
http://www.washingtonsblog.com/2015/02/new-saudi-king-tied-911-bin-laden.html
サウジアラビアの石油帝権
イラクのアルカイダの出現と、そのイラクとシリアの「イスラム国」 (ISIS)への変身を子細に見れば、これらはすべて、現在のサルマーン王、サウジアラビア人のオサマ・ビン・ラディンと、サウジアラビア諜報機関のトップ、トゥルキ・アル-ファイサル王子が関与した、1970年代末にさかのぼるサウジアラビアの作戦に由来しているのだ。
ワシントンとCIAは、このサウジアラビア・ネットワークと緊密に動いて、ビン・ラディンや、他の主要なサウジアラビア人を、パキスタンに送り込んで、パキスタン諜報情報ISIで訓練し、後に、アフガニスタン・ムジャヒディンとなったものを生み出した。ムジャヒディンは、1980年代のアフガニスタン戦争、CIAの“オペレーション・サイクロン”で、ソ連赤軍を打ち負かすためサウジアラビア、パキスタンと、アメリカの諜報機関が作り出したのだ。サイクロンは、モスクワを、アフガニスタンの“クマのわな”に誘い込み、ソ連に、彼がソ連の“ベトナム”と呼ぶものをくれてやるという、ズビグニュー・ブレジンスキーの計画だった。
現在、ロシアとアサドのダマスカス政府に攻撃されている、イラクとシリア内のいわゆるISISや、シリア国内におけるアルカイダであるアル・ヌスラ戦線や、様々な他の聖戦テロ分派は、全て、サウジアラビアとサルマーン王の活動がその淵源だ。
王は、サウルからパウロへの転向を経験し、王になって以来、彼の息子サルマーン王子も平和的な世界観に変わったのだろうか? ここ数カ月、サウジアラビアが、シリアの反アサド・テロ組織への資金供給を停止したような兆しがあるが、現実は逆だ。
エルドアンの背後にいるサウジアラビア
最近、もっともなことだが、世間の注目はもっぱらトルコの悪党レジェップ・タイイップ・エルドアンの独裁制に向かっている。彼の空軍が意図的に、ロシア SU-24爆撃機を、シリア領空で撃墜した、戦争行為以来、特にそうなっている。エルドアンと、彼のAKPと、サウジアラビアの君主制のつながりには、ほとんどの人が注目していない。
2014年に、私が話をした、アサドとエルドアンの間で和平協定の仲介をしようという取り組みに関与した、情報に通じたトルコの政治関係筋によれば、2014年8月のエルドアン最初の大統領選挙戦は、サウジアラビアからの、100億ドルの贈り物によって“促進された”。大統領選挙を買収して勝利した後、エルドアンと彼が抜てきしたアフメト・ダウトオール首相は、ISISと呼ばれるもののための秘密訓練センター設立を可能にした。エルドアンが抜てきした秘密情報局(MIT)のトップ、ハカン・フィダンの監督の下で、トルコは、トルコ国内で、ISISや他のテロリストを訓練するキャンプと、シリアの彼らへの補給を組織した。トルコのISIS作戦に対する資金供給は、どうやら、サウド王家と親密なサウジアラビア人の銀行家で、ムスリム同胞団メンバーで、1980年代以来、オサマ・ビン・ラディンとアフガニスタン・アルカイダへの資金援助者であるヤシン・アル-カディというエルドアンの個人的親友が手配したもののようだ。
アメリカが認可し、サウジアラビア資金提供する、エルドアンのテロリスト訓練キャンプが世界中から、200,000人と推定される傭兵テロリストを寄せ集め、シリアで“聖戦”をおこなうためトルコを通過した。
だがこの聖戦は、もはや明らかだが、アラーが問題なのではなく、お金が問題なのだ。サウジアラビア君主制は、それを実現するのに、ISISを利用して、イラクとシリアの油田を支配すると固く決意している。彼等は明らかに全世界の石油市場を支配したがっている、まずは、アメリカのシェール石油生産者連中による挑戦を破綻させ、更に、イラクとシリアのトルコ経由による石油の流れを支配することによって。
サウジアラビアがISISに送ったTOWミサイル
2014年5月、MITは、シリアのISISテロリストに、特別列車で、サウジアラビアが提供した大量の重火器と、トヨタ・ピックアップ・トラックの新車を輸送した。
今や、トルコによるロシアSU-24爆撃機撃墜の詳細な調査で、爆撃機を撃墜したトルコF-16戦闘機は、二機のAWACS偵察機に支援されており、それが、SU-24のように機敏なジェット機に対して、不可能な妙技ではないにせよ、非常に困難なトルコF-16による命中を可能にしたことが明らかになっている。AWACS機の一機は、サウジアラビア空軍のボーイングAWACS E-3Aで、これはサウジアラビア、リヤドの空軍基地から離陸した。
更に、ロシアの救援ヘリコプターが、SU-24墜落現場が急行すると、サウジアラビアのTOW対空ミサイルが、ロシア・ヘリコプターを撃墜した。10月9日に、サウジアラビアは、非常に効果的なTOWミサイル、500発を、シリアの反アサド・テロ集団に送付した。
だから、今起きているのは、シリアのISISに対するだけのロシアの戦争ではない。ISISの背後にいるのは、エルドアンの犯罪的政権だけではなく、それよりはるかに強大なサウジアラビア王国と、そのワッハーブ主義のお仲間、クウェート、UAEと、カタールだ。
本当の意味で、ISISは、単に“偽装したサウジアラビア軍”だ。
まやかしの宗教的装いをはぎ取れば、出現するのは、売春宿の用心棒のように荒仕事をこなす悪党役として犯罪的トルコ政権を利用して、イラクとシリアのスンナ派地域にある世界最大の石油埋蔵の一部を強奪しようというサウジアラビアの動きだ。もしモスクワが、この大きな構図を自覚していないと、ロシアは、益々彼等に1980年代のアフガニスタンを思い出させるであろう、命取りの“クマのわな”掛かってしまう危険を冒すことになる。
サウジアラビアで悪臭を放っているのは、ラクダの糞ではない。サルマーン王と、短気な息子、サルマーン王子との君主制だ。連中の個人的な金権政治の狙いを推進するために、彼等は、偽の宗教的装いで、何十年も、テロに資金提供してきたのだ。宗教とは全く無関係で、金と石油が全てなのだ。イラクとシリアのISIS地図を一瞥すれば、連中が、この二つの主権国家の石油豊富な地域を、正確に標的にしていることがわかる。サウジアラビアによる、連中のISIS代理人を利用した石油の富の支配が、アメリカのシェール・オイル競合を潰すというサウジアラビアの明確な計画、あるいはリヤドがそう当てにしているものと共に、サウジアラビア君主制を、途方もなく豊かな国家にし、恐らく、その金のおかげで、ついに欧米の白人金持ち連中や社会に尊敬されるようになるのだ。これは明らかに鈍感な考え方だ。
それはどうだろう、サルマーン。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”に独占的に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/12/08/what-stinks-in-saudi-aint-the-camel-dung/
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