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昨年9月以降に開始された米軍のISへの空爆で、米国がISの原油密輸を黙認し、ISの活動を「支援」しているというロシアの主張は本当に正しいのだろうか。今年初めの報告だが、トルコで原油密売にかかわっているシリア人の証言が興味深い。
2015年1月22日
【キリス(トルコ南部)=溝田拓士、カイロ=久保健一】イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループがビデオ映像で日本人の殺害を予告し、巨額の身代金を要求したことについて、国際社会からは「日本が受け入れそうもない金額を要求することで、新たな政治宣伝を狙っている」(20日の英紙テレグラフ電子版)とする分析の一方、イスラム国が資金難に陥っているとの指摘も出ている。
イスラム国はこれまでも人質を撮影した映像などで米国などを脅迫してきたが、今回は初めて、公然とビデオで巨額の身代金を要求した。イスラム国の資金難が指摘されるのは、同組織を支えてきた原油による収入が、大幅に細ったとみられるためだ。
ドイツの情報機関「独連邦情報局」の報告書によると、イスラム国が掌握する油田の産油能力は推定で日量2万8000バレルとされ、米中央軍は、イスラム国の年間原油収入を10億ドル(約1200億円)と推計していた。
だが、米軍が率いる有志連合は、昨年9月以降、イスラム国が掌握する石油施設を相次いで空爆、昨年末にはシリア北部ハサカで四つの油井を破壊した。
昨年末以降、イスラム国支配地域からの石油輸送は、目に見えて減っている。イスラム国支配地から、トルコ南部レイハンル近郊のある村に転売されてくる石油は、多い時で1日10万リットルに上ったが、現在はほぼゼロという。密売に関わるシリア人、アブラシードさん(49)は、「去年の11月以降、石油を運ぶ仕事がほとんどなくなった」と語った。
独連邦情報局は、イスラム国の原油収入について「現在では年間数億ドル程度ではないか」との見方を示している。
国際原油価格の下落も、イスラム国の財政事情を悪化させているようだ。
トルコでは、4か月前に1リットル5リラ(約260円)だったガソリンは現在4リラ(約205円)。これに伴い、イスラム国からの密売原油も、同2・5リラから1・5リラにまで下落した。石油密売は多くの中間業者が介在するため、売価が低下すれば、商売が成り立たなくなる。
トルコ南部キリスの治安当局者は「イスラム国は収入減で戦闘員の給料支払いにも苦しんでいるようだ」と語った。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000679/20150122-OYT1T50004.html
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