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シリアのアサド政権を倒すためにISを使ってきた米から反テロの露へ主導権が移動して空爆が変質
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201512040000/
2015.12.04 21:31:15 櫻井ジャーナル
ここにきてシリアにおける空爆が変質したことは間違いない。アメリカが主導する勢力はシリア政府を倒すことが第一の目的で、アル・カイダ系のアル・ヌスラ/AQIやそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)を基本的に攻撃しなかった。こうした武装勢力の兵站ラインを潰そうとせず、年間20億ドルを稼いでいるという盗掘石油の密輸も放置、アメリカが破壊してきたのはシリア国民の生活に関わるインフラだとも言われている。だからこそISは勢力を拡大して暴虐の限りを尽くしてきたわけだが、9月末にロシア軍がシリアで始めた空爆は実際にアル・ヌスラ/AQIやISを攻撃、司令部や兵器庫だけでなく兵站ライン、盗掘石油の関連施設、燃料輸送車などもターゲットになった。つまり空爆は変質したのである。ちなみに、この燃料輸送車、アメリカのヒューストンから運ばれていたようだ。
ロシアが空爆を始める2日前、ウラジミル・プーチン露大統領は国連で演説、国家主権について語ったが、これは国家主権を無視しているアメリカ支配層に対する批判にほかならなかった。暴力、貧困、社会破綻を招き、生きる権利さえ軽んじられる状況を作り上げた人びとに対して自分たちがしでかしたことを理解しているのかとも問いかけている。その直後にプーチンはバラク・オバマ米大統領と会談する。9月19日にアメリカ政府から持ちかけられて実現したのだという。ロシアの動きを察知してのことだろう。
ボリス・エリツィン時代、新自由主義によってもたらされた暴力、貧困、社会破綻でロシア人は辛酸をなめた。その政策に対するロシア国民の怒りがプーチン体制への支持につながっているのだが、この問題はロシアだけでなく全世界に通じる。
すでにアメリカもこの政策によって衰退した。現在は基軸通貨としてのドルを発行する特権と暴力装置(軍隊や情報機関)を使った脅しで支配システムを維持しているだけ。ところがドルが基軸通貨の地位から陥落する可能性が強まり、軍事的な優位も揺らいでいるわけで、破綻国家への陥落は目前に迫っている。
これまでアメリカを支配してきた人びとは巨大資本による世界の直接統治を目指している。そのためのシステムとして導入されようとしているのがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)だ。
本ブログでは何度も引用しているが、フランクリン・ルーズベルト米大統領は1938年4月29日、ファシズムについて次のように語っている。
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
ルーズベルトは支配階級に属す人物で、階級の裏切り者と見なされていた。自分自身が病気で下半身不随になってから弱者に目を向けるようになったと言われているが、理由はともかく、巨大資本の活動を規制、労働者の権利を拡大しようとする。
1932年の大統領選でルーズベルトはウォール街が推していた現職のハーバート・フーバーを破った。そこでJPモルガンをはじめとする金融資本は「裏切り者」を排除するためにクーデターを計画するのだが、この計画は海兵隊のスメドリー・バトラー少将が議会で明らかにしている。ウォール街が担いでいたフーバーは大学を卒業した後、鉱山技師としてアリゾナにあるロスチャイルド系の鉱山で働いていた人物だ。
JPモルガンは関東大震災の復興資金を調達する仕事を受けた金融機関だが、そのはじまりはロンドン。そこで銀行業を営んでいたジョージ・ピーボディーの新規事業に共同経営者として参加したのがジュニアス・モルガン。JPモルガンを創設したジョン・ピアポント・モルガンの父親だ。ちなみに、ジョンの息子が結婚した相手の従兄弟が1932年から駐日アメリカ大使になったジョセフ・グルー。この人物は戦後、民主化の動きを止めて戦前回帰させたジャパン・ロビーの中核としても活動している。
ピーボディーとジュニアスが経営していた銀行は経営状態が悪化、救いの手をさしのべたのがピーボディーと親しくしていたナサニエル・ロスチャイルド。ジョンはアメリカにおけるロスチャイルドの代理人になったという。つまり、JPモルガンはロスチャイルドが生み出した金融機関だ。やはりロスチャイルドを後ろ盾として巨万の富を築いたセシル・ローズの発案で作られた「選民秘密協会」のエージェントとして大統領就任前のフーバーが活動していたことも偶然ではないだろう。
本ブログでは繰り返し「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に触れている。
http://www.nytimes.com/1992/03/08/world/us-strategy-plan-calls-for-insuring-no-rivals-develop.html
1992年の初めに国防総省のネオコン/シオニストが作成したDPGの草案で、旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルを潰すと同時に、ライバルを生む出しかねない膨大な資源を抱える西南アジアを支配しようという計画だ。
この世界制覇プロジェクトの目標はアメリカに服従しない体制の破壊だが、アメリカという国の破綻はその時点でも明らかで、巨大資本に抵抗する体制を倒すことが本当の目的だったのかもしれない。DPGを作成したネオコン/シオニストは「イスラエル第一派」だが、このイスラエルは19世紀に建国が計画された。
例えば、1882年にフランスを拠点としていたエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがユダヤ教徒のパレスチナ入植に資金を提供している。このエドモンドを記念して1958年にイスラエルでは「ヤド・ハナディブ(ロスチャイルド基金)」が設立され、89年にはイギリスのジェイコブ・ロスチャイルドが理事長に就任している。
エドモンド・ジェームズの孫にあたるエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドはイスラエルの核兵器開発に対する最大の資金提供者としても知られている。ヘンリー・キッシンジャーと親しともいう。エドモンド・アドルフとならぶイスラエルの核兵器開発の資金提供者がアメリカのアブラハム・フェインバーグ。ハリー・トルーマンのスポンサーとしても知られている富豪だ。
また、イスラエル建国を実現する上で重要な意味を持つ1919年の「バルフォア宣言」とはイギリスのアーサー・バルフォア外相がウォルター・ロスチャイルドに宛てた書簡。実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだというが、バルフォア、ロスチャイルド、ミルナーの3人はいずれも選民秘密協会の主要メンバーだ。
人のつながりを調べるとネオコンは選民秘密協会につながり、選民秘密協会はウォール街に強い影響力を持っていた。このウォール街はフランクリン・ルーズベルトを排除してファシズム体制の樹立を目論み、TPP、TTIP、TiSAにつながる。ルーズベルトが国を凌駕する力を持つ私的権力の出現を危惧していたのは、彼が支配階級の出身で、その階級が何を考えているかを熟知していたからかもしれない。
シリアでの戦乱もそうした流れの中で引き起こされたのだが、「私的権力」の目論見が崩れ始めた兆候もある。シリアにおける空爆が変質したということは、主導権がアメリカの私的権力からロシア政府へ移動したことを意味しているからだ。恐らく、歴史は大きな分岐点に差し掛かっている。
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