http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/539.html
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昨日(3日)朝NHKBS1で放送されたカタール「アルジャジーラニュース」は、シリア問題に関して次のように報じた。
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アメリカのケリー国務長官は、トルコ政府とのあいだでシリア・トルコ国境の一部を封鎖することで合意したと語った。
ケリー国務長官:「エルドアン大統領と国境問題で話し合ったが、彼は2年半前からあるいは2年前からトルコとシリアの国境を封鎖する努力を続けてきた。国境には98Kmにわたって話し合う必要もなく完全に封鎖しなければならない部分があると我々は同意した。これから、軍事専門家により、国境閉鎖のために話し合いが行われる。また、トルコが違法な石油運搬を行っているとか、外国人戦闘員を送り込んでいるとか、トルコの信頼を中傷することは、逆に、トルコの重要性を理解させるものである。我々は、トルコ軍と反体制派勢力の空爆のあり方について協議をしていく。」
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ケリー国務長官は「シリア・トルコ国境の一部を封鎖する」と説明しているが、後述するように、98Kmを封鎖するとトルコ・シリア国境は全面的に封鎖される。
この情報から感じるのは、米英仏が中心になって画策してきたシリアでのIS騒動も、そろそろ幕引きを迎えるということだ。
トルコ・シリア国境の全面封鎖という米国とトルコの合意は、これ以上、ISにヒト・武器・カネを渡さないことを意味すると同時に、外国からきた人が多いと思われる信心深いIS参加のムスリムをシリア内に封じ込め殺害する(ないし捕虜にする)ことでシリアにおけるIS騒動に決着をつけることを意図していると思われる。
タイトルの先頭に「ロシアによる「怒濤の暴露」が結実!」と書いたが、利益が得られると思えないのにロシアがトルコ政府の“悪事”をしゃかりきに暴いたのも、シリアIS騒動にそっと穏やかに幕を引くための米露合作であろう。
(ただし、IS騒動は、リビアやサブサハラで肥大化する可能性が大きい)
末尾に転載する11月18日付の毎日新聞記事にあるように、ケリー国務長官発言で指摘されている98Kmの国境線(全体の25%)が完全に閉鎖されると、ISに合流する外国人戦闘員のシリア入国及び資金源となっている石油と武器・弾薬の密輸を阻止できる。
トルコ政府が独断で、ISに合流する外国人戦闘員のシリア入国や、資金源となっている石油や武器・弾薬の密輸を認めるわけもなく、米英からの助言ないし依頼に基づき“黙認”してきたことは間違いないだろう。
石油の密売を許すことで、米英仏のみならずサウジやカタールなどは、ISなどへの資金供出で自腹を切る額を減らすことができる。
もちろん、その「お駄賃」として、トルコ政府には、ISが運び込んでくる石油の一部を安価に供給、シリアのクルド人勢力やトルコのクルド人に対する“牽制行動”などが認められてきたはず。
そして、トルコがなかなか有志連合に加わらなかったように、この利益が、トルコ政府に全面国境封鎖を躊躇させてきた可能性がある。
トルコと共謀でSu24撃墜劇まで演じたロシアがトルコ政府に関する「怒濤の暴露」を行ったのも、後ろに隠れている大立て者=米国などを悪者として晒す代わりにトルコを犠牲にすることで決着を図る手法だと思われる。
ケリー国務長官も、後述する国防総省報道官のようにロシアが指摘した「トルコの悪事」をきっぱり否定してやればいいのに、「トルコが違法な石油運搬を行っているとか、外国人戦闘員を送り込んでいるとか、トルコの信頼を中傷することは、逆に、トルコの重要性を理解させるものである」とワケのわからない説明で終わっている。
トルコ政府がシリアとの国境を全面的封鎖することに合意したことで、ロシアのトルコ政府悪事暴露劇も終息に向かい、「Su24撃墜劇」も最終章(解決)に向かうと思われる。
※ 毎日新聞の記事の後ろに追加した内容は、「アルジャジーラニュース」がケリー国務長官の発言を報じる前に報じたものである。
有志連合の一員でありISとも関係が深い(最近もISとの捕虜交換をまとめた)カタールの放送局らしく、米国国防総省の報道官が、ロシアが指摘するトルコの悪事を全面的に否定した会見を紹介した後にケリー国務長官の発言を報じている。
ニュースバリューとしてはケリー発言のほうが大きいのだが...
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パリ同時多発テロ:米とトルコ、シリア国境閉鎖作戦に着手
毎日新聞 2015年11月18日 10時52分(最終更新 11月18日 13時00分)
【パリ福島良典】訪仏中のケリー米国務長官は17日、パリ同時多発テロを受け、シリア国境を閉鎖するトルコとの共同作戦に着手したと明らかにした。米CNNテレビのインタビューで語った。過激派組織「イスラム国」(IS)は、シリア北部の対トルコ国境を戦闘員や物資の供給路として使用してきた。
ケリー長官はインタビューで「シリア北部の国境の75%はこれまでに閉鎖され、今、残りの98キロを閉鎖する作戦に入っている」と述べた。国境を完全に閉鎖できれば、ISに合流する外国人戦闘員のシリア入国や、資金源となっている石油や武器・弾薬の密輸を阻止できる。
米国とトルコの計画では、米軍の支援するシリアの穏健反体制派がISとの地上戦に乗り出し、IS拠点を空爆している米軍と連携する。トルコ高官はロイター通信に「我々は対ISで米国と共闘しており、近日中に新たな共同措置を取る」と語った。
ケリー長官は17日、パリでフランスのオランド大統領、ファビウス外相と会談後、ISとの戦いでロシアと共同歩調を取るためには、シリア内戦の解決を目指す和平プロセスの進展が必要との見解を示した。長官は「プロセスが急進展すれば、(ロシアとの間で)より高いレベルでの情報交換などが可能になる」と述べた。
米露などの関係国はウィーンで14日に開いたシリア内戦に関する外相級会合で、アサド政権と反体制派が参加する移行政権を半年以内に樹立させ、1年半以内に国連監視下での選挙実施を目指すとした行程表で一致した。だが、アサド大統領の退陣を求める米仏やトルコなどに対し、ロシアは擁護の立場で、アサド氏の処遇を巡る対立が残っている。
http://mainichi.jp/select/news/20151118k0000e030180000c.html
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※ ケリー国務長官発言の前に「アルジャジーラニュース」が報じた米国国防総省報道官の発言
「 対IS有志連合軍のスティーブン・ウォーレン報道官(米国国防総省報道官)は、記者会見のなかで、アメリカ政府がトルコとISのあいだに協力関係があるとするロシアの主張を完全に否定したと語った。
報道官は、トルコがISに沿った行動をしているとするロシアの懸念は捏造であり、愚かな根拠のないものであるとしている。
我々はトルコがISの側について行動しているといういかなる考えに対しても、はっきりとこれを否定する。これは、愚かで考えられない捏造である。
また、我々は、トルコがISとの戦いで偉大なる同盟者であり、我々の戦闘機を受け入れ、ISに対し攻撃している。穏健な反体制派を支持している。
トルコ政府がISとともに行動しているといういかなる考えも根拠のない馬鹿げたものである。」
- 仏軍事専門家「欧州はトルコに責任を求める時が来た」:この問題も終局だが、トルコ以上に仏米英の責任 あっしら 2015/12/04 20:13:53
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