http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/483.html
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NATO加盟国であるトルコが、今なおNATOの仮想敵国である軍事大国ロシアの戦闘爆撃機Su24M(以降Su24と表記)を撃墜したことで、世界の軍事的緊張が一気に高まり、戦争やきな臭い事件を好物とする腐敗メディアは危機を盛んに煽っている。
(いつものように、一部メディアの幹部は露機撃墜事件の“真相”を知っている)
まるで世界中がそれを渇望しているかのように報じられている対IS作戦はどうでもいいことだが、ロシアとNATO(米欧土)の関係がおかしくなることで、膨大な犠牲者を積み上げつつようやく緒についたシリア和平の流れが止まってしまうのは痛ましく大きな損失である。
(首切り映像などで世界に向けて露悪趣味を噴出させてきた肝心のインチキIS幹部はとっくにイラクやその他の国へ脱出し(中東にいないまま中東と思わせる映像に出演している人物もいる)、現在シリアIS支配地域に残っているのは、ここ十数年の欧米諸国の仕打ちに対し怒りと義憤を高めてきた信仰に篤く義侠心に富む“善良なムスリム”である。旧フセイン派の偽看板であるイラクのISも、まもなく看板を掛け替えることになるだろう)
■ Su24撃墜事件の構図
ハリウッド映画はともかく、ISが流している醜悪で猟奇的な映像でわかるように、今では映像の合成や編集はパソコンレベルでもそれほど難しくない。
今回の撃墜事件に関するものとして流布している映像にも別の映像が挿入されていることからも、Su24撃墜映像の創作説を捨て去ることはできないが、Su24は実際に撃墜されたという前提で説明する。
結論を先に言うと、今回のSu24撃墜事件は、トルコとロシアの角逐や衝突ではなく「露土合作」、ロシアとトルコが共謀した撃墜劇である。
トルコとロシアの公式発表や流されている関連映像から判断した結論だが、事実を伝えられていた第三国も存在するはずだし、事後に事件に接した多くの国の機関も、今回の撃墜事件の“性質”をつかんでいるはずである。
あれこれ説明するまでもなく、エルドアン大統領を頂点とするトルコ政府とトルコ軍が、彼ら自身が公表したレベルの“軽微な”領空侵犯を理由に、プーチン大統領率いる軍事大国ロシアの軍用機を撃墜するはずがないという話で終わる。
トルコ政府主張の状況でトルコ空軍がロシアのSu24を攻撃することは、まさにロシアにケンカを売る行為である。そのような決断は、トルコにとって、国家のとまでは言わないとしても、政権の存亡がかかる極めて重たいものである。
喩えるなら、日本が最悪対中戦争に踏み切ってもいいと考え、尖閣諸島の領海を侵犯する中国公船に攻撃を仕掛けるようなものである。
今回のケースであれば、ロシアから報復攻撃があったとしても、トルコの過剰な軍事行動にも原因があると判断され、NATOの集団自衛権が発動されることはないだろう。
日本も、中国公船によってあれだけ繰り返し領海を侵犯されていても、警告にとどめ、軍事的行動は起こしていない。
中国公船が領海を侵犯していたとしても、日本が“先に”攻撃を仕掛け、日中両軍のあいだで戦端が開かれることになったら、米国が日本を軍事的に支援することはない。
(わかっているからあり得ないが、中国が先に攻撃を仕掛けてきたケースなら、ひょっとしたら、局地戦限定で米国が軍事的支援を行うかもしれない)
むろん、日本が、不必要であるにも関わらず無謀にも大国アメリカに大胆不敵な奇襲攻撃を仕掛けたという歴史もあるくらいだから、トルコ政府がそうせざるをえないワケが何かあるのかという思考はめぐらせる。
そして、どう考えても、ロシアを相手に、トルコがあのような軽はずみで向こう見ずなことを敢行する動機が見つからないことから、事件には何か裏があるのではと勘ぐる。ロシア政府の曖昧な説明や自重した態度からもそう判断する。
日本政府も、Su24撃墜事件の翌日(25日)、菅官房長官が「わが国としては、まだ事実関係の解明がされていないためコメントは控えたい。いずれにしろ、状況を注視していきたい。関係国が客観的事実に基づいて冷静に対応し、国際社会として、対テロで引き続き結束していくことを望みたい」と述べている。
ロシア機領空侵犯説=トルコ正義説に与する米国に追従することなく、少し距離を保っている。従米的外交からなかなか抜けられない日本政府だが、撃墜事件を分析し、トルコ支持=ロシア非難も“絶対命題”でないことも知っていると推測できる。
しかし、勝手にそんな決めつけをされても撃墜事件は実際に起きているではないかという疑問に答えるとともに、今後も頻発する可能性がある「偽テロ」や「ウソ事件」を見抜く力を身につけるため、〜その2〜で「露土共謀撃墜劇」と判断した具体的な根拠を示していきたい。
ロシアとトルコの領空をめぐる“軍事的緊張”は、ロシアのシリア領内空爆開始(9月30日)以降いくどか発生しており、10月10日にはトルコ軍がロシア戦闘機Mig29を撃墜したという情報まで流れたが、今となっては、今回の撃墜事件が起きてもおかしくないと思わせるための布石だったと思う。
※[参考]以前の領空侵犯をめぐる記事
「ロシア軍機、領空侵犯 トルコ外務省が抗議[朝日新聞]」
2015年10月6日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12001340.html?_requesturl=articles%2FDA3S12001340.html&rm=150
「<速報>トルコ軍が領空侵犯したロシア軍のMig-29戦闘機を撃墜!ロシア側がロックオンなどの挑発」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/164.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 11 日 22:20:05: igsppGRN/E9PQ
「露土共謀撃墜劇」と判断しながらも、ロシアとトルコが共謀してロシア軍機を撃墜するという実に危なっかしい陰謀(乗員が死ぬ可能性もあり国民世論の動きによっては収拾が困難になる)を実行することで、誰がどういう利益を得るのかという問いにすっきり答えられないもどかしさも感じている。
あのような危険な撃墜劇を演じてまで実現したい目的は何なのか、明確には見えてこない。(そこまでしなくても実行できるテーマだと思うから)
「パリ偽テロ」以上に、トルコ・ロシア双方ないしどちらかだけであっても、両国政府機関が結託して意図的にロシアの軍用機を撃墜させなければならない必要性というか理由が見当たらない。
(トルコの軍用機をロシア軍が撃墜すると、共謀であっても収拾困難なとんでもない事態に陥るから選択肢にならない)
ロシアとトルコの関係は、経済を中心に、ウクライナ危機以降逆に良化している。
EU諸国及び米国とロシアのあいだで継続している経済制裁合戦を尻目に、トルコは農産物の対ロシア輸出を増加させてきた。
EUの果物や野菜の農家は悲鳴を上げているなか、トルコ産野菜・果物のロシアでのシェアは25%にも達している。(ロシアのトルコ産輸入でもっとも大きな品目は衣料品。ただし、ロシアの総輸入に占めるトルコの比率は4%:データは14年ベースRTR参考)
プーチン大統領は、昨日(28日)、品目は“未特定”ながら、トルコに対する暫定輸入禁止措置に署名した。
トルコはガスをロシアに60%も依存しているが、ロシアは、トルコ・ストリーム計画としてトルコ・ギリシャを経由するオーストリアまでのガスパイプライン敷設を進めており、トルコにとって、ガスパイプラインから得る通過料は大きな経済的魅力である。
ロシアは、トルコの原発建設という高額で巨大なプロジェクトにも参画している。
ロシア人のバカンス目的の国外渡航先No.1はトルコであり、トルコにとって、ドイツ人に次ぐNo.2、450万人にも達するロシア人観光客がもたらす経済的利益はおろそかにできない。(ロシア政府はすでにトルコ人に入国ビザを求めトルコへのチャーター便飛行禁止する措置を発効)
首脳レベルの関係でも、頻繁に行き来し、少し前も、モスクワに完成した壮麗なモスクのオープニング式典にエルドアン大統領が出席し、つい最近のG20でも両者は会談している。
Su24領空侵犯&撃墜に類する“陰謀”は、政治的指導者同士がたとえ事前に了解していても、愛国主義者を中心に国民感情を強く揺さぶる出来事だから、政治指導者はおかしな対応をできない。
また、事実関係を見破る能力がある一方で陰謀に理解も得られる諸国国家機関は別として、国際社会の一般人には、インチキを悟られずガチンコの撃墜事件だと受け止めてもらわなければやった意味がない。
政治的指導者は、国民に弱腰は見せられず簡単に問題を終わらせることもできない。世界の一般人を騙すためにも拳を振り上げて見せないわけにはいかない。
ロシアはすでに人的往来を含む経済制裁や外交関係の制限などの“報復措置”を口にしている。モスクワのトルコ大使館に石や卵が投げつけられているが、ロシアの警察は真剣に取り締まっていない。(このような反トルコ示威活動はその後収まっているようだ)
トルコのエルドアン大統領も、領空侵犯があったことを理由に撃墜したのだから、ロシアの要求に応えて、国民に弱腰と受け止められてしまう謝罪に踏み切るわけにはなかなかいかない。
(トルコのチャウシュオール外相が「遺憾の意」を示した程度だったが、昨日(28日),)エルドアン大統領が、「あのようなことは起きなければよかった」と後悔の念を示し、「二度と起きないことを望む」と遺憾の意を表している。その一方、トルコの「TRTニュース」は、そのような発言内容は一切報道せず、ロシアに対する次のようなエルドアン大統領の非難を哨戒している。「ロシアには本心から火遊びを奨めない」・「プーチン大統領のテロに二重基準で臨むのは火遊びであるという発言には激しく同意するが、トルコがそうだという責めは受け入れられない」・「シリアで38万人が死ぬ国家テロを起こしたアサド大統領を支持するロシアも火遊びである」・「ISに対する攻撃を名目に、国際的に支持されている反体制派を攻撃するのも火遊びである」:この発言から今後の動きを推測することもできる)
ロシア・トルコ両国の政府幹部が、ことあるごとに今回の事態を深刻化させるつもりがないことを強調しているのも、安心して欲しいとの国際社会へのメッセージであるとともに、国民感情をゆっくり落ち着かせていきたいからである。
ともかく、現在のトルコ・ロシア関係は、戦争で突破口を切り開かなければならないとか、戦争が利益をもたらす可能性があるといった危機的な緊張状況にはない。
お互いが地政学的問題をうまく処理しながら、経済的利益を大きなものにしていこうと思っている。
撃墜事件までのロシアとトルコの関係は、にわかには信じることはできない「露土合作ロシア軍用機撃墜」という共謀がスムーズにできてしまうほど良好だったということになる。
加うるに、現在のロシアとトルコの国情や政治的指導者の政治的価値観や手法はよく似ている。
ともに、かつてはその広大さと強大さを誇った大帝国である。そのような大帝国が、戦争や政変を経るなかで縮小していった。そこにお互い西欧諸国の影響を見ないで済ますわけにはいかない。
新たな国家建設を目指すなかで西欧近代主義をも取り入れたが、強権支配の国家構造から抜け出すことができない。そのためだけでなく、歴史的価値観(宗教を含む)的問題や政治的思惑(敵や対立が必要)からも、秋波を送り続けている欧州(欧米)からは素直に受け入れてもらえないという共通の“苦悩”もある。
さらに、トルコとロシアはともに、国内に分離独立主義勢力を抱え、軍事的衝突やテロリズムが繰り返されている。
両国は、文化(歴史的生活様式)や宗教的基盤が違うだけでなく、歴史的経緯や地政学的関係からも良好で緊密な関係を築くことは難しいかもしれないが、経済的発展のために補完し合える関係なら構築できる。
ロシア軍の戦闘爆撃機Su24の撃墜というきわどい合作をなんのために仕組んだのかという目的論は、この問題の決着の付け方など今後の動きを見ていくことでわかってくると考えている。
現段階では、「パリ偽テロ」が非イスラム世界に与えた“衝撃と畏怖”にさらなる衝撃を加えることで、対ISを名目とした対イスラムの国際政治を変えていく牽引力にするという大枠的目的をベースに、
1)今回のような軍事的衝突に至ることを避けるということを大義名分に、「共同作戦本部」を設置するなどを通じてロシアと米英の大軍事連合を構築
2)トルコがISを含むシリア反政府勢力に人(IS参加者など)・もの(武器弾薬など)・カネ(石油代金)が渡る手助けを停止する一方、ロシアが攻撃対象とする反政府勢力の選別を進めるきっかけ
3)軍事的必要性はないと思うが、ロシアがシリアにS400までの高度防空システムを持ち込む言い訳
4)「パリ偽テロ」に集まりすぎている世界の注目を分散
くらいしか思いつかない。
「パリ偽テロ」は、ドイツをマリやシリアに部隊を派遣させたり、英国におけるシリア介入問題を再燃させたりしているだけでなく、「それを名目とした難民受け入れ制限」・「シリア問題解決に向けた枠組み変更に対する世論支持」・「国内支配体制の強化」・「公安予算及び軍事費の増大」・「国際政治における仏の存在感」など大きな動きを誘発したり正当化したりしている。
※ 27日、フランスのファビウス首相は、これまでの対シリア政策を修正し、シリア政府軍との協力も検討していると明言、シリアの政治的移行過程でのアサド政権との協力も選択肢とした。
「Su24撃墜事件」は、今後、世界に何をもたらすのだろうか?
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